ドリルリーマ

ドリルリーマとは

ドリルリーマ

ドリルリーマとは、一度の加工で穴あけ加工とリーマ加工を行える工具のことです。

通常、ドリルで下穴をあけた後、リーマ加工 (穴の径精度や表面粗さを整える仕上げ加工0 を別途行わなければならないため、同一の加工穴に対して二度の加工が必要です。しかし、ドリルリーマを使用することで、穴あけ加工とリーマ加工を同時に実施できるため、大幅な加工時間の短縮が期待できます。

ドリルリーマの構造は独特で、先端部がドリル形状をしており、切り刃の中央から根元にかけてリーマ形状になっています。リーマ形状のおかげで、同時に2つの加工を行うことが可能です。

ドリルリーマの使用用途

ドリルリーマは、より精度が求められる穴加工に使用されています。金型加工を例に挙げると、金型の中心をなすダイとパンチの隙間 (クリアランス) は、組み立て直しを繰り返しても同じ位置に取り付けられるように、100分の1単位で調整されます。

位置決めピンをはめ込む穴には、ドリルリーマが使用されます。穴の精度が悪いと、位置決めピンを打ち込んでもずれが生じ、パンチとダイの位置が狂い、最悪の場合破損してしまうこともあるため注意が必要です。

ドリルリーマは正確な位置決めが求められる穴加工や、精密部品のはめ合い公差を加工する際に使用されます。そのため、精密機械や金型製作など、高い精度が必要とされる分野での利用が一層拡大していくことが期待されています。

ドリルリーマの原理

ドリルリーマは、作業効率を高めるために開発された工具です。下穴をあけるドリル加工と下穴の側面を削り取り穴径を整えるリーマ加工を同時に行います。そのため、一度の加工で穴あけから仕上げまで実現可能です。

ドリル加工用切刃とリーマ加工用切刃を兼ね備えています。先端部 (10~30mm程度) はドリル加工用切刃で、その後方がリーマ加工用切刃となっており、リーマ代は0.1~0.5mmに設定されています。

例えば、仕上げ寸法8mmのドリルリーマでは、呼び寸法8mm、ドリル径7.7mm、リーマ径8mm、ドリル刃長22mm、刃全長80mmです。リーマ加工用切刃の食い付き角度は、15°~45°の範囲で設定されることが一般的です。また、ニックやブレーカによって切粉が切断されるため、切粉の排出がスムーズに行われ、リーマ加工の精度が向上します。

ドリルリーマの主要な材料はハイス鋼で、耐久性を向上させるためにTiCNコーティングが施されたものも存在します。そのため、長寿命で高精度な加工が可能です。

ドリルリーマの種類

ドリルリーマには、主に「ストレートフルートドリルリーマ」「スパイラルフルートドリルリーマ」「タイプ合わせドリルリーマ」の3種類が存在します。

1. ストレートフルートドリルリーマ

ストレートフルートドリルリーマは、フルート (切削溝) が直線状に伸びているタイプのドリルリーマです。一般的な金属材料やプラスチックなどの加工に適しており、穴径精度や表面粗さが求められる場合に使用されます。

また、切削力が低く、切粉の排出がスムーズに行われるため、加工効率が向上します。

2. スパイラルフルートドリルリーマ

スパイラルフルートドリルリーマは、フルートが螺旋状に伸びているタイプです。この構造により、切粉の排出がさらにスムーズになり、深い穴加工や難削材の加工に適しています。また、振動が抑制され、加工面の仕上がりが良くなるのも特徴です。

3. タイプ合わせドリルリーマ

タイプ合わせドリルリーマは、特定の部品や用途に合わせて設計されたカスタムメイドのドリルリーマです。特殊な形状やサイズの穴加工が可能になり、高い精度や効率で作業を行えます。また、複数の工程を1つにまとめることで、作業時間の短縮やコスト削減が期待できます。

参考文献
https://patents.google.com/patent/JPH11129109A/ja
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223005446297/
http://www.fptools.com/reamer.html

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