フローティングジョイント

フローティングジョイントとは

フローティングジョイントとは部材間の偏心と偏角を許容するジョイント(継手)です。内部の球状構造と球を覆うホルダーが摺動することによって、偏心・偏角を吸収することができます。

主に直動アクチュエータであるシリンダとガイドレールなどの直動部品との接続に使用されます。

ボールジョイントと基本的な構造は同じですが、フローティングジョイントは回転や揺動用の継手では無いため回転運動や揺動運動の伝達には使用できません。

フローティングジョイントの使用用途

フローティングジョイントは主に圧縮エアや電力で駆動するシリンダなどの直動アクチュエータとガイドレールなどの直動部品との接続に使用されます。

直動部品に対して直動アクチュエータを使用することで動力方向を変更することなく動力を伝達することができますが、両者の組付け精度高いレベルでないと、偏心・偏角により大きな抵抗力が生じる場合やシリンダが破損する場合があります。

これに対してフローティングジョイントを使用することにより偏心・偏角を許容することができ、平行度合わせや芯合わせをする必要が無くなり、簡単に直動システムを構築することができます。

フローティングジョイントの原理

フローティングジョイントは、球体および球体を保持するホルダーと部材と接続するためのネジやナット部により構成されています。物理的な制約上、球体を保持するためには球体の表面の半分以上をホルダーによって覆う必要があるため、許容可能な偏角度にも限界があります。

一般的なフローティングジョイントは許容偏角度が5°程度に設定されており、これ以上の偏角が乗じる場合には抵抗が大きくなるかジョイントが破損してしまいます。以上のように、偏心・偏角の許容量はあくまで組み付け時の平行度合わせや芯合わせなどの作業を簡略化する程度であり、ボールジョイントやユニバーサルジョイントのように大きく芯方向が異なる部材間の伝達はできません。

また、大きな衝撃力を作用させると球体やホルダーの破損による故障が発生するため、シリンダはエアクッションやラバークッションが付属している製品を使用する、あるいは外部にショックアブソーバなどの衝撃吸収機構を設ける必要があります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md02/c1236.html
http://ca01.smcworld.com/catalog/ja/actuator/J/6-2-1-p1137-1159-jt-j/data/6-2-1-p1137-1159-jt-j.pdf

フィーダ

フィーダとは

フィーダ

フィーダとは、産業用の機械の一種で、主に粉体や微細な機械部品を供給する装置のことです。

ロータリーフィーダ、スクリューフィーダ、振動フィーダ、パーツフィーダなど、様々な種類と呼称があります。ホッパースケール搬送コンベアなどと組み合わせて供給から整列、排出までをオートメーション化するのに役立ちます。
   
アンテナの給電線のことをフィーダと呼称する場合もありますが、今回解説するのは供給装置としてのフィーダです。

フィーダの使用用途

1. ロータリーフィーダ・スクリューフィーダ

ロータリーフィーダ、スクリューフィーダの場合は、粉体の供給に使用されます。ホッパースケールなどで、計量された粉体を次の装置へと排出する際に有用です。

2. 振動フィーダ・パーツフィーダ

振動フィーダとパーツフィーダは小さな機械部品を振動によって整列し、排出することができます。バラバラになっている部品の1つ1つを綺麗に整列し、次の工程に送り込むことが可能です。その後の加工やパッケージ作業の効率化につながります。

フィーダの原理

フィーダは容積式と重量式に分類され、流量コントロールの手法がそれぞれ異なります。

1. 容積式

容積式フィーダは、原料を溜めるホッパ部と原料排出を行うフィーダ部の構成です。フィーダ部は主にスクリューフィーダが使用されます。容積式は、設定回転数で一定容積を連続供給する方式です。

粉は空気が含まれる度合いで、見掛比重や流動性の変動が発生します。そのため、ホッパ内の溜め量で粉体圧が変動し、スクリュとその付近に粉が付着することで搬送効率が変化します。回転数が一定であっても実際の排出量は一定で、無くなってしまう点がデメリットです。

2. 重量式

重量式では、組み合わせた計量部で排出重量を常時計量しています。コントローラで設定した流量になるようフィーダ部の回転数をPI制御しており、高精度な連続供給が可能です。

ホッパ内原料の上下限検出や運転実績の記録が可能であり、安心な運転管理が実現されます。

フィーダの種類

1. ロータリーフィーダ

ロータリーフィーダには羽根型のロータリーが内蔵されており、ロータリーの駆動モーターが回転することで粉体を押し出し、排出します。

2. スクリューフィーダ

スクリューフィーダにはホッパー部分の下に粉体を通すためのパイプが設置されており、その中に長い直線状のスクリューが内蔵されていて、それをモーターで駆動させることによって粉体を排出します。

3. 振動フィーダ・パーツフィーダ

振動フィーダとパーツフィーダの場合、ホッパー部に部品を投入すると、ボウルと呼ばれる受け皿の部分へと自動で部品を投入してくれます。ボウルには部品の残量を計るためのセンサーが設置されており、これによってボウル内の部品の不足を感知し、自動で供給を行う仕組みです。

ボウル部の真下には振動体があり、電磁石のON・OFFによって生じる力を板ばねによって増幅し、振動を発生させています。振動によってボウル部にあった部品は整列されてシュート部に送られ、そこから更に次の工程へと排出されます。

フィーダのその他情報

原料テスト

フィーダが扱う粉粒体原料は、様々な物性のものがあります。フィーダ製造メーカでは、実際に使用する粉粒体原料を使用して原料テストを行い、性能実証を行います。原料テストとは、テスト原料の物性を測定するパウダーテストのことです。

パウダーテストの結果と過去の原料テスト実績と比較することで、最適な機種やパーツ (スクリュなど) の選定が可能です。機種・パーツ選定後は、実際にホッパにテスト原料を投入して運転を行うフィードテストを実施します。

フィーダの供給精度が最終製品の品質を大きく左右するため、製造メーカは実際の原料を使用した実証テストを重視しています。

参考文献
https://www.shinwa-gikencorp.co.jp/partsfeeder/
http://www.earthtechnica.co.jp/powder/p65/
https://www.screwfeeder.jp/about/388

ヒューム管

ヒューム管とは

ヒューム管

ヒューム管 (英: Hume pipe) とは、鉄筋コンクリートを用いた管のことです。

遠心力鉄筋コンクリート管とも呼ばれます。ヒュームは発明した兄弟の名字が語源です。オーストラリアのヒューム兄弟が、1910年にヒューム管を遠心力を利用して製造する方法を発明し、1925年に日本に伝わりました。

鉄筋を配した型枠にコンクリートを入れて軸回転させ、遠心力を使って、締め固めて製造するので、強度が大きく外圧にも内圧にも強い管です。ヒューム管は、主に下水管などの導水管として使用されます。

ヒューム管の使用用途

ヒューム管は、主に3つの事業用途に使われています。内径500mm以下の開削工法に使用する場合は、重量と作業性などの面から、塩ビ管が主流になりつつあります。

しかし、管自体に高強度が必要な推進工法や内径が1,000mmを超える大径幹線水路では、ヒューム管が現在でも主流です。

1. 下水道事業

日常生活で発生する生活排水はこのヒューム管を流れ、下水処理場に集められます。下水処理場で浄化された水は、再利用や河川に放水されます。

2. 灌漑事業

灌漑は農業を行うにあたり、必要不可欠なものです。この灌漑を行う際の水路にヒューム管が使われます。灌漑は、水田灌漑と畑地灌漑とに区別されます。

水は自然に降る雨水だけでは足りない場合が多いので、河川や池などから人工的に水路を作り、水田や畑地に灌漑用の水をヒューム管を使って取り入れます。

3. 雨水対策事業

近年、都市集中降雨時に大量の雨水が、短時間に河川に流入し、大きな浸水被害をもたらしています。都市化が進んで農地や山林が減少し、遊水機能や保水機能が低下している要因が大きいです。

調整池の整備及び雨水の貯留施設の設置などの際、雨水管や貯留管にヒューム管が使われます。

ヒューム管の製造

ヒューム管は鉄筋コンクリートを原材料とし、遠心力を利用して製造するのが一般的です。まず、鉄筋を組み立てます。ヒューム管の長手方向の鉄筋と円周方向の鉄筋とを組み合わせます。それをヒューム管の外周となる円筒型の外枠に入れます。

次に、コンクリートの充填を行います。外枠を回転させながら、中心部からコンクリートを数回に分けて、コンクリートを流します。コンクリートは、遠心力を受けて、外枠に押し付けられて、円筒状のパイプ状に成形されて完成です。

なお、コンクリートの締固め時の遠心力は、重力の25倍から40倍程度であり、コンクリート中の水分が分離します。水-セメント比は30%以下となり、高密度の堅固なコンクリート管が得られます。

ヒューム管の特徴

1. 高品質・高強度

ヒューム管は、管理された工場で製造され、品質チェックされています。寸法精度、強度、材料などJISや業界規格を満足するように製造されています。ヒューム管の性能は、JIS A 5372に規格化され、曲げひび割れ耐力と終局曲げ耐力について、試験方法と規格値が定められています。

2. 見かけ比重が大きい

ヒューム管は、見かけ比重が大きく、液状化などの災害時に、浮力が小さく有利です。

3. 漏水が少ない

締固めが良いので、漏水面で優れています。

4. 軽量・低コスト

同一目的での使用では、ヒューム管は薄く作れるので、軽量で、コスト面でも有利です。

5. 特殊工法に対応可能

腐食抑制性能を簡易に付加する工法が可能です。腐食対策としてポリウレタンエラストマーを内部被覆したり、抗菌剤を添加した抗菌コンクリートのヒューム管などです。

また、推進管に可とう性を与える工法もあります。可とう管を使用して曲線推進に対応できます。

ヒューム管のその他情報

ヒューム管の利点

元々、日本でもヒューム管の代わりとなる手詰め管と呼ばれる管が使われていました。しかし、ヒューム管に比べると大量生産できず強度も劣っていました。そのため、連続回転式の多軸機械で大量生産できるヒューム管は画期的な発明です。

ヒューム管の主な利点は、高品質で高強度であること、他の管に比べて安価であること、原材料が国内で供給できることなどです。日本全国で供給体制が整っているため、万が一の下水道管トラブル時にも早急に対応できます。

ヒューム管の強度は、同一配合の振動締めコンクリート管に比べ、約30%強くなっています。

参考文献
http://hume-pipe.jp/about_hume/
https://www.hume-pipe.org/about/
http://www.h-nac-hp.co.jp/?page_id=500

ハンマークラッシャー

ハンマークラッシャーとはハンマークラッシャー

ハンマークラッシャーとは、ハンマーを用いて大きな物体を砕く粉砕機のことです。

高速回転するハンマーによって徐々に砕かれ、投入された物体は小さくなっていきます。鉱石や食品原料、化学製品など、多様な分野で使用されます。また、対象物に応じてハンマーの形や回転速度を調節することも可能です。

破砕能力が高いですが、細かく粉砕することはできないため、必要に応じて他の機器を併用する必要があります。また、設置費用が安価であるため、比較的簡易的な装置として利用されることもあります。

ハンマークラッシャーの使用用途

ハンマークラッシャーは、工業や食品、医学産業など、使用用途は多種多様です。

工業では、鉱石や石灰岩、石膏などの鉱物資源の粉砕や処理に広く使用されています。また、食品や化学製品の一時粉砕にも使用されます。例えば、原料となる塊状の食品をハンマークラッシャーに投入することで、一定の大きさまで砕いてから製造工程に進むことが可能です。化学製品の場合には、研究開発や実験の過程で、一定の大きさまでの粉砕が必要になることがあります。

対象物に応じてハンマーの形や回転速度を調節することも可能ですが、細かく粉砕することは不可能です。そのため、微小な粉末状にしたい場合には、他の種類の粉砕機を使用する必要があります。

破砕能力が高く、設置費用が安価であるため、岩石の採掘や建設現場など、比較的大きな物体の破砕が必要な場面で広く使用されています。

ハンマークラッシャーの原理

ハンマークラッシャーは、高速回転するハンマーが物体に強打することで、対象物を砕くという単純な原理で動作します。ハンマーにはさまざまな大きさや形があり、砕くものに合わせて設置することで効率的に粉砕ができます。また、対象物が板から跳ね返ったり、打ち付けられた衝撃で破壊されたりすることで、より効率的な粉砕が可能です。

さらに、排出口にはロストルと呼ばれる網目状の装置が設置されており、破砕された物体を選別できます。指定した大きさに砕くことも可能です。用途に応じて破砕物の大きさを調整できるため、様々な分野で使用されています。

また、設置費用が安価であり構造が簡単なため、破損や不具合が発生する可能性が低いことがメリットです。一方で、高速回転するハンマーによる振動や騒音が発生することがあり、周囲の環境に配慮する必要があります。

ハンマークラッシャーの種類

ハンマークラッシャーには主に、シングルローター式ハンマークラッシャーとダブルローター式ハンマークラッシャーの2種類が一般的に利用されています。

耐摩耗性の高い材料を使用したものや、冷却装置を搭載したもの、大型の物体を処理するための特殊な構造を持ったものなどもあり、用途に応じて、使用するハンマークラッシャーの選定が必要です。

1. シングルローター式ハンマークラッシャー

シングルローター式ハンマークラッシャーは、1本のローターに多数のハンマーを取り付けています。物体はローターに投入され、ハンマーの強打で砕かれます。大きなものを破砕するのに適しており、一度に大量の処理ができることが利点です。

2. ダブルローター式ハンマークラッシャー

ダブルローター式ハンマークラッシャーは、2本のローターにハンマーを取り付けています。物体は2つのローターの間に挟まれて砕かれます。一度に小さなものを処理するのに適しており、より均等な破砕を行うことが可能です。

高視認性安全服

高視認性安全服とは

高視認性安全服のイメージ

図1. 高視認性安全服のイメージ

高視認性安全服とは、それを着用している人の存在を視覚的に周囲からの認知度を向上させ、安全に作業を行うための作業服です。

明るい場所または暗い場所などの周囲から見落とされる可能性が高い危険な場所・状況において特に必要とされます。車両や重機・建設機械などの前照灯のもとで目立つため、高視認性安全服の着用により、車両運転者や機械作業者に対して、着用者の存在を知らせることができます。建設現場や作業現場での作業を安全に行うことが可能です。

高視認性安全服の使用用途

高視認性安全服は、周囲からの認識が必要とされる様々な作業現場で使用されています。危険の伴う作業現場はその危険性や現場内の移動体速度に応じて、一般的に3つのクラスに分類されています。

1. クラス1

駐車場やサービスエリア、倉庫内・工場内の作業など、移動体速度が30km/時未満の現場です。

2. クラス2

一般道路上の作業現場や公共事業の建設作業現場、配送業者など、移動体速度が60km/時未満の現場です。各種調査・検針作業者や交通警備・整理従事者などもクラス2に該当します。

3. クラス3

移動体速度が60km/時の現場です。危険の伴う高速道路上の作業現場、線路上および空港内での作業現場などや、公共事業作業者、緊急事態活動職員が該当します。

高視認性安全服の原理

高視認性安全服は、その規格がJIS T8127で定められています。素材は蛍光生地、再帰性反射材などの、360度全方向から目で確認できる高視認性材料を使用することが必要です。色は蛍光イエロー、蛍光オレンジレッド、蛍光レッドと限定され、色度座標により明確に指定されています。

また、全方向からの視認性を確保するため、水平方向帯状の再帰性反射材および蛍光生地が、胴部、脚部および腕部を一周する構造が必要です。胴部だけを覆う高視認性安全服では、蛍光生地や再帰性反射材の幅は50mm以上と定められています。

高視認性安全服の種類

高視認性安全服では、前述のクラス1~3の各種リスクレベルに適合する製品の種類があります。各クラスによって、高視認性材料の必要面積が定められており、具体的な数値は下記のとおりです。

材料 クラス3 クラス2 クラス1
蛍光生地 0.80m2 0.50m2 0.14m2
再帰性反射材 0.20m2 0.13m2 0.10m2

 

ただし、上記表を満たしていてもレベル1であってもズボンのみの着用では適合とみなされず、必ず上着の着用が必要となります。用途に合わせたものを適切に選択することが必要です。

高視認性安全服のその他情報

1. 蛍光

蛍光色とはその色によって吸収された波長の色より長い波長を発するため、一般の色に比べより鮮明に見える色のことです。具体的な色には、蛍光イエローや蛍光オレンジなどがあります。

原理は蛍光色素の分子が高エネルギーの光を吸収し、吸収した光よりも長い波長の光を放出することによります。蛍光生地は日中に鮮やかに見える一方、基本的に夜間に光を当てても反射しないため、注意が必要です。

2. 再帰性反射材

通常の反射と再帰性反射の比較

図2. 通常の反射と再帰性反射の比較

再帰性反射材とは、ある方向から入射してきた光が面に照射された後に同じ方向へ反射される特性を持った材質のことです。光がどのような方向から当たっても、入射方向に向かって反射するよう光学的に工夫されており、特に夜間に効果的です。

オープンビーズ型と封入ビーズ型

図3. オープンビーズ型と封入ビーズ型

高視認性安全服の表面にコーティングされる再帰性反射材素材は、微細ガラスビーズやプリズムなどです。特に、ビーズ加工のものには、オープンビーズ型 (ビーズが表面に露出している) と封入ビーズ型の2種類があります。オープンビーズ型の方が反射性に優れている一方、封入ビーズ型ではビーズの表面が平滑な樹脂層で覆われているため汚れの除去が容易です。

封入型では降雨などによる反射性能の低下がほとんど認められないのが利点です。

参考文献
https://www.kobe-sanuki.co.jp/setsumei/jist8127.html
https://jsaa.or.jp/

真空フィルタ

真空フィルタとは

真空フィルタとは、空気中の微小な粒子や汚染物質を取り除くフィルタです。

水やホコリなどが真空ポンプに混入すると装置の損傷や劣化につながるため、ラインへの真空フィルタの取り付けが必要です。真空フィルタを使用することで、有害な微粒子や化学物質を取り除けるため、労働者の健康と安全を保護し、環境への影響を最小限に抑えることも可能です。

真空フィルタの使用用途

真空ラインに向いている真空フィルタから、大きなライン、ポンプで長期間使用できるフィルタまで幅広い種類が販売されています。

1. 研究施設や実験室

研究や実験を行う現場では、微生物や粉塵などの外部からの汚染を防ぐために高性能な真空フィルタが用いられます。特に、細胞培養や生物学的実験においては、微細な異物の影響を最小限に抑えることが重要です。

2. 電子機器の製造

電子機器の製造において、微粒子の侵入を防ぐことが重要です。真空フィルタは、集積回路や液晶ディスプレイなどの製造工程において、製品の品質と信頼性を高めるために利用されます。

また、その他にも真空度を安定させたい場合に用いる取り付け時の配管抵抗が小さいタイプのもの、大きなサイズで大量のダストを吸引できる真空フィルタなどもあります。これにより、工業用の排気システムだけでなく、家庭やオフィスなどの室内空間など幅広い用途に使用することが可能です。

空気中の微粒子や花粉、ホコリなどを効果的に捕集する空気清浄機にも組み込まれており、清潔な空気環境を提供し、アレルギー症状の軽減や健康の維持に役立っています。

真空フィルタの原理

真空フィルタを用いるメリットは、人々の健康や環境保護に貢献できるという点です。物理的なプロセスによって空気中の微細な粒子を捕集し、より清潔な空気を提供するという優れた技術を持っているからです。

その高い効率と信頼性により、真空フィルタは現代社会において欠かせない存在となっています。

1. 圧力差

真空フィルタは、圧力差を利用したものです。真空フィルタは通常、一方の側に高い圧力をかけ、他方の側に低い圧力を維持します。これにより、空気は高圧から低圧へと向かってフィルターを通過します。

高い圧力側から低い圧力側へと空気が流れる圧力差によって、フィルターを通過する際、微粒子はフィルタ素材に取り残されるため、容易な微粒子補修の実現が可能です。

2. 真空フィルタの効率

真空フィルタの効率は、素材の設計や孔のサイズ、流れる空気の速度などに関係します。高品質な真空フィルタは、微細な粒子まで効率よく捕集できるように設計されていることが特徴です。

また、真空フィルタを使用し続けると水やダストがケース内に溜まっていくため、一定期間ごとにケースまたは真空フィルタ全体の交換が必要です。ダストケースの容量が大きいほどフィルタ交換の頻度は少なくなるので、連続的に真空状態を保つ系においては大きなダストケースを備えた真空フィルタの使用が推奨されます。

また、ダストケースをワンタッチで外せるタイプのフィルタもあり、交換作業時にダストの飛散を防ぐことが可能です。

真空フィルタの構造

真空フィルタは、減圧時に吸引する空気に含まれる水やダストを除去するフィルタです。空気中の微粒子は、通常の空気中を自由に動き回ることができますが、フィルタを通過する際には、その微粒子はフィルタ素材の孔や網目によって引き留められます。これにより、空気中の不純物や粒子がフィルターに捕集されることになります

真空フィルタの選び方

真空ラインの大きさに応じて、様々な種類の真空フィルタが販売されています。内部のメッシュを洗って再利用できるタイプや使い捨てのタイプ、ダストケースの大きさが異なるものなどさまざまです。

また、真空フィルタの中には小型のフィルタもあります。小型のフィルタは真空ホースに直接つなぐことができるほか、真空システムのハイサイクル化にとっても非常に有効です。

なお、フィルタごとに水やダスト、油分など物質によって捕集性能は異なるため、用途に適した真空フィルタの選定が重要です。

六角穴付き皿ボルト

六角穴付き皿ボルトとは六角穴付皿ボルト

六角穴付き皿ボルト_図0

六角穴付き皿ボルト (英: Hexagon Socket Flat Head Bolt, Hexagon Socket Countersunk Head Screws) とは、ボルト頭部の形状がねじ側にテーパー状の円すい形で、上端面に六角形状の穴があけられているボルトです。

横から見ると皿のような形状をしています。締め付けは六角レンチを使用し、頭部上面に六角穴に差し込み使用します。

一般的な総称として、「皿ボルト」も同義語です。六角穴付き皿ボルトの形状は、ネジの呼び径が同じであれば、皿小ねじと同じですが、六角穴付き皿ボルトは皿小ねじより大きい呼び径があります。

なお、六角穴付き皿ボルトの規格は下記の通りです。

  • JIS B 1194  六角穴付き皿ボルト
  • ANSI/ASME B 18.3.5M  Metric hexagon socket countersunk head screws

六角穴付き皿ボルトの使用用途

六角穴付き皿ボルト_図1

図1. 六角穴付き皿ボルトの使用例

六角穴付き皿ボルトは、主に取り付け作業のスペースが狭く、小さな機械や装置などへ部品を取り付け、固定するために使用します。

六角穴付き皿ボルトを取り付ける相手側に、ボルト頭部の円すい形より少し大きく、頭高さより少し深いザグリ穴あけを施工します。これにより、ボルト頭部は、完全にはみ出さずに取り付けることが可能です。

ボルト頭部と他部品との干渉を避け、すっきりとした状態になります。ボルト取り付け部の突出が無くフラットになるため、蝶番の取り付け部などに使用されています。

なお、ザグリ穴とは、ボルト頭部が隠れるように、取り付け部に穴あけ加工することです。

六角穴付き皿ボルトの原理

六角穴付き皿ボルト_図2

図2. 六角穴付き皿ボルトの原理

六角穴付き皿ボルトは、一般の六角ボルトと同じで、ねじ (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により締結します。六角穴付き皿ボルトは、ナットを使用して締結せずに、タップ加工したメスねじに直接ねじ込み締結する方法に多く使用されています。

六角ボルトのように、ボルト頭部にレンチをはめ込むのではなく、断面が六角状のレンチを六角穴に差し込み締め付けます。そのために、ボルト頭同士や他部品との間にスペースの確保が必要です。

しかし、六角穴付き皿ボルトの締め付け工具は、六角レンチのためボルト頭外側のスペースは不要で、密接して六角穴付き皿ボルトを配置することができます。その結果、小さい寸法で設計が可能でコンパクトな部品や装置が実現できます。

なお、六角穴付き皿ボルトの長さ表示は、ボルト頭部を含む全長で表されています。六角ボルトなど一般のボルトの長さは、ボルト頭部の高さを除きねじ部を含む軸部の長さで表されています。それぞれの長さ表示の違いは注意が必要です。

六角穴付き皿ボルトのその他情報

1. 六角穴付皿ボルトの主な材質と主な表面処理

六角穴付き皿ボルトの材質は、比較的強度区分の高い材質を使用しており、鋼製の場合 JIS B 1051 8.8, 10.9, 12.9、ステンレス鋼の場合 JIS B1054 A2-70, A2-50 を採用しています。高い締め付け力と高い強度が必要な場合に使用されています。

使用箇所や用途に適した材質や強度区分の選定が重要です。ステンレス鋼は、耐食性が求められる箇所に使用されます。

なお、ボルトの強度区分と材質は下記の通りになります。

鋼製

  • 強度区分8炭素鋼 (焼き入れ・焼き戻し、合金元素で強化) 、S45C (熱処理で強化) など
  • 強度区分8炭素鋼 (焼き入れ・焼き戻し、合金元素で強化) 、SNB7、SCM435
  • 強度区分9合金鋼、SCM435、SCM440
  • 強度区分9合金鋼、SCM435

ステンレス鋼製

  • 強度区分 A2-50, 70 SUS304、SUS304L、SUS XM7

六角穴付皿ボルト材質選定において、電蝕を防止することは重要です。ボルトの材質と被締結物の材質が異なる場合、それぞれの金属間に電位差が生じて腐食することがあります。

特に、アルミやステンレスの場合は注意が必要です。六角穴付き皿ボルトの表面処理は、鋼製の場合、耐食性を目的として電気メッキ、無電解メッキ、アルマイト処理、黒染めなどの施工が一般的です。

2. 六角穴付皿ボルトの使用上の注意点

基本的な六角穴付皿ボルトを使用する際、注意するべき点は以下の2つです。

  • 六角穴付皿ボルトと被締結物のねじ穴部が壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること
  • 六角穴付き皿ボルトと被締結物もねじ穴部に加わる、繰り返しの力 (振動などによる) が許容範囲内であること

3. 六角穴付き皿ボルトのゆるみ止め

皿ボルトや皿ねじは、一般的なボルトやナット、なべ小ねじ、フランジねじなどの座面が平らなねじと比較して、ゆるみやすいことが挙げられます。

六角穴付皿ボルトのゆるみ防止として、ゆるみ止め用接着剤の使用、ゆるみ止め施工されたボルトの採用などが有効的です。

4. 締め付け工具

六角穴付き皿ボルト_図3

図3. 六角穴付き皿ボルト締め付け工具の種類と形状

六角穴付き皿ボルトの締め付けは、ボルトのサイズに合った六角レンチ (六角棒レンチ) などの締め付け工具を使用します。六角レンチは、スパナやモンキーなどと比較して、小さい力で強い締め付け力を加えることが可能で、締め付けるときにボルト周辺の作業スペースが狭くて済むなどのメリットがあります。

ただし、六角レンチには、ミリサイズとインチサイズがあり、六角レンチの選定には注意が必要です。締め付け工具の種類は、L形六角レンチ (六角棒レンチ) 、T形ハンドル六角レンチ、ドライバー形六角レンチ、ヘキサゴンビットなどがあります。

また、六角レンチとヘキサゴンビットの六角穴付き皿ボルト差し込み側の先端形状は、「フラット」と「ボールポイント」があります。ボールポイント先端の形状は、角部をR加工しているため、六角レンチが斜めの状態でも締め付けが可能です。

参考文献
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element24.html
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/

ロッドエンド

ロッドエンドとは

ロッドエンド_図0

ロッドエンド (英: Rod End) とは、球面滑り軸受 (ベアリング) の1種です。

球面滑り軸受は、軸受ハウジングに球面加工された外輪が組み込まれ (もしくはハウジング内面を球面加工されている) 、穴あけ加工されたボール状の内輪が嵌め込まれています。一般的に、球面滑り軸受やロッドエンドベアリングも同義語として扱われている場合があります。

リンクボール、リンクボールジョイントも、機能的にロッドエンドの1種として扱われていますが、ここでは対象外としています。

ロッドエンドの使用用途

ロッドエンド_図1

図1. ロッドエンドの使用例

ロッドエンドは、球面滑り軸受のハウジング端部に、「おねじ」もしくは「めねじ」が施され、連結棒などのロッド (軸) 端部に締結して使用します。2つの部品の固定や連結などに使用され、両部品の相対的な変位をその球面滑り構造によって許容する機能を果たす機械要素部品です。

主にリンクを使って部品同士を連結させる場合や、直線運動を他部品に伝達する場合などに使用されています。建設機械や産業用機械、自動車、航空機など使用分野は幅広いです。

ロッドエンドで部品同士を連結させる場合は、連結棒と呼ばれる軸 (ロッド) の両端もしくは片端がねじ切り加工されたオスねじを、ロッドエンドハウジング部分のメスねじにねじ込み使用します。ロッドエンドのボール状の内輪中心部にあけられた穴に、部品のピンやシャフト、ボルトなどを差し込み、ナットなどで内輪とピンなどを締結します。ロッドエンドと連結棒のねじ込み深さで、部品間の距離と連結棒の長さを調整することができます。

ロッドエンドの使用例として、図1を参照してください。これは生産ラインの一部で、エアシリンダーのロッド先端にロッドエンドを取り付け、ワーク (製品など) が一旦停止して流れ出るように制御するものです。

ロッドエンドの原理

ロッドエンド_図2

図2.ロッドエンドの構成

ロッドエンドは、ボルトやナットを垂直に差し込む内輪部分を「ブッシュ」、ねじ加工され連結棒など他の部品と接続する部分を「ホルダ」で構成されています。

球面滑り軸受が組み込まれていて、ボルトやナットを垂直に差し込むために穴あけされた球面の内輪部分「ブッシュ (ボール) 」と、ハウジングに組み込まれた外輪部分が球面接触して、滑らかで柔軟な回転運動が可能です。

人間の関節のような役割を果たすので、複雑な動きをするアプリケーションに適しています。また、高負荷にも耐えられるため、高重量を扱う場合にも適しています。

ロッドエンドの種類

ロッドエンド_図3

図3. ロッドエンドの種類 (鋼製)

ロッドエンドのホルダ部は、「おねじ」と「めねじ」があり、連結棒などの接続する部品の構造により選択します。

ブッシュ部は、給油式 (給脂式) と無給油式 (無給脂式) の2種類です。

1. 給油式

給油式は、ハウジングにグリースニップルが取り付けられています。給油式は、グリースガンなどでニップルからグリースを注入します。無給油式は、自己潤滑性のある合成樹脂などが、ホルダ外輪部に組み込まれていています。

2. 無給油式

無給油式は、グリースを給脂する必要がないため、給脂するための作業ができない狭い場所用や、メンテナンスフリー用途で使用されています。

 

ロッドエンド_図4

図4. ロッドエンドの種類 (樹脂製)

中には樹脂製のロッドエンドもあり、樹脂には固体潤滑剤が配合されていて、無給油・無潤滑で使用できます。金属製と比較して、軽量で油やグリースが不要なため、粉塵などがある環境でも使用が可能です。

耐食性、耐薬品性などがあり、樹脂が振動を吸収することができるため、振動を伴う用途にも適用できます。

ロッドエンドの選び方

ロッドエンドの選定は、下記の2点が設計条件に適合するようにします。

1. 静負荷容量 (ラジアル方向)

ロッドエンド_図5

図5. 許容荷重の計算式

静負荷容量は、ロッドエンドの機械的強度の目安です。メーカーによって型式ごとに提示されていますので、カタログや取扱説明書などを参照してください。この静負荷容量から上記式にて許容荷重が計算され、許容荷重以下になるように選定します。

2. 傾斜角の許容範囲

ロッドエンド_図6

図6. 許容傾斜角

ロッドエンドホルダの長軸中心線と、ブッシュ穴中心線の角度を傾斜角と言い、ロッドエンドを使用し連結する部品の位置決めの際に、この傾斜角の許容範囲内で使用します。許容傾斜角もメーカーごとに提示されているので、カタログや取扱説明書などを参照してください。

ロッドエンドのその他情報

ロッドエンドの規格

ロッドエンド関連のJIS規格は、球面滑り軸受として下記に規定されています。

  • JIS B0161 球面滑り軸受 – 用語 Spherical plain bearings – Vocabulary

上記規格内でロッドエンドは、「部品間の相対運動及び部品間を連結するための、ロッドエンドハウジング及び軸受で構成する組立品」と定義されています。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/208/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0080.html
https://www.ikont.co.jp/product/needle/ndl10.html

メカニカルバルブ

メカニカルバルブとは

メカニカルバルブとは、人力や物体接触によって操作する空気の流れを変える制御弁です。

空気圧シリンダ等のアクチュエータを仕事させるためには、圧縮空気の流れを自在に切り替える必要があります。単動シリンダの場合、前進させるときは前進方向に圧縮空気を供給し、後退方向は反対に圧縮空気を大気に開放させます。

このように、エアの流れ方向の制御をおこなうバルブを方向制御弁と言います。方向制御弁は、電気、空気圧、人力・機械的接触の3種類の方法で制御することが可能です。電気信号によって弁の開閉を操作をおこなうものが電磁弁で、空気圧によって操作するものを (エア) パイロット操作弁と言います。

人力により操作する方式で、手や足で踏んで操作したり、リミットスイッチのように物体が機械的に接触することによって操作したりするものは機械制御弁です。このような人力や機械的接触によって操作する制御弁を、機械的な動作で動作させることからメカニカルバルブと呼びます。

メカニカルバルブの使用用途

メカニカルバルブの操作法による分類

図1. メカニカルバルブの操作法による分類

メカニカルバルブは、火気厳禁で防爆仕様が必要な場所などで重宝します。電気信号を使用せず、空気圧機器のみで空気圧シリンダ等のアクチュエータを操作することができるため、漏電・感電などの心配がありません。

人間の手足によって操作するものに、押しボタンやレバー、ペダルタイプがあります。装置の入り口に設置する供給遮断弁として使用するほか、主に半自動化装置に使用される場合が多いです。また、エアシーケンス制御の起動スイッチとして使用される場合もあります。

機械操作によるものは、プランジャやローラータイプなどです。シリンダの動作やワーク位置確認のスイッチとして使用することで、エアシーケンス制御の信号を発生させます。

例えば、扉を開けたら自動的にシリンダの動きが止まる、扉を開けたときにしか動作しないなどの制御をすることが可能です。

メカニカルバルブの原理

メカニカルバルブは人間の手足によってボタンが押されたり、扉やワークによってプランジャが押されたりすることで、流路を解放したり、弁によって塞いだりしています。これが圧空の流れを変化させる原理です。

弁の構造はポペット式とスプール式、すべり弁式の3種類あります。ポペット式は、構造が単純ですが操作には大きな力が必要です。その分、弁の封止性は高くなるため、高純度のガスラインなどに適しています。

スプール式やすべり弁式は、比較的小さい力で操作が可能である一方で、ストロークが必要になります。

メカニカルバルブの選び方

1. メカニカルバルブのポート数

図2. 2位置メカニカルバルブのポート別流れ方の違い (JIS記号)

メカニカルバルブも電磁弁の場合と同様、ポート弁数を選択する必要があります。

2ポート弁
2ポート弁は、単にエアの流れを止めたリ流したりする機能を持ちます。上記の図はJIS記号を簡略化したものです。2ポートを見ると左側の四角形に↑がありますが、これは押しボタンが押されたら空気が流れることを意味します。右側ではAポートとPポートがつながっていないため空気は流れません。

3ポート弁
3ポート弁は、排気ポートを持ち、エアを供給したり排気したりする機能をもちます。単動シリンダを動かす際やエアパイロットラインの信号用などに多用することが多いです。ボタンを押すとPからAへ空気が流れ、離すとAにあった空気はRポートから外へ排気されます。

4・5ポート弁
4および5ポート弁は、Pポートより吸気を行い、A、B2ヵ所の出力ポートより交互に供給・排気をおこなう機能を持ちます。排気ポートは、1ヵ所もしくは2ヵ所です。

複動エアシリンダに接続すると、両方向に摺動させる機能を持たせることができます。

2. メカニカルバルブの位置

方向制御弁の持っている切り替え位置の数によって、2位置と3位置があります。例えば、スイッチを”押す”か”押さないか”でバルブが状態1と状態2の2つを切り替える構造である場合には2位置、レバー式の手動切り替えバルブだと3つ目の状態3があるものが3位置です。メカニカルバルブの場合、基本的に状態3は3位置クローズドセンタというAとBのポートのどちらも封止するという構造になります。

3. ボタンが押された後の動作方式

ボタンを押した後、手を離した際にばねの力などで元の状態に戻るものをスプリングリターン方式、押した状態を保持するものを保持方式と呼びます。スイッチが押された後の動作を考えて選択することも大切です。

4. その他

メカニカルバルブ選定のポイントまとめ

図3. メカニカルバルブの操作法による分類

その他にも、ポートの配管口の大きさや使用圧力など様々な選定ポイントがあります。このようにさまざまな種類があるため、空圧回路をあらかじめ設計し、どの部品が必要になるかを見極めてから購入することが重要です。

メカニカルバルブのその他情報

メカニカルバルブの使用上の注意点

圧縮空気によって圧力がかかっている中、弁を動かさなければならないため、特にポペット式の弁のバルブでは大きな力が必要になります。例えばプランジャを押そうと思っていた物体が逆に押し返されてしまうということがあります。カタログ値にどれくらいの荷重をかければよいか記載されているため、確認するようにしましょう。

すべての方向制御弁への圧縮空気の供給回路には必ずフィルタを使用し、ごみやドレンを確実に取り除くことが重要です。フィルタのろ過度は、5μm以下を選定します。

ドレンを多量に含んだ空気圧は、他の空気圧機器に対しても作動不良の原因となりますので、アフタークーラー、エアドライヤなどを設置することで対策します。

参考文献
https://www.smcworld.com/products/ja/s.do?ca_id=262
https://www.ckd.co.jp/kiki/jp/product/list?cid=46&sid=0

ベアリングホルダ

ベアリングホルダとは

ベアリングホルダ

ベアリングホルダとは、さまざまな機械で使われる回転軸の荷重と回転を受けるベアリングを正しい位置で支えるためのものです。

ベアリングホルダは機械の本体に取り付けられ、ベアリングをはめ込んで保持します。ベアリングを保持するベアリングホルダは、ベアリングが受ける荷重の大きさに合わせて設計しなければなりません。

通常、ベアリングはその大きさによって受け持つことができる荷重の大きさが決まります。ベアリングホルダも保持できるベアリングのサイズによって、十分な剛性を確保できるように設計されています。

ベアリングホルダの使用用途

ベアリングホルダは、主に産業用機械などで使用されています。ベアリングを保持する部位には、回転軸が受ける荷重に対して、十分な剛性が求められます。さらに、穴の内径の表面粗さや隅Rの大きさなど、細かな点も考慮しなければなりません。

ベアリングホルダを使えば、ベアリングを固定するハウジング部分の設計と製造を簡略化することができます。通常、ベアリングホルダは固定するベアリングが深溝玉軸受けの場合は、シングルもしくはダブルで取付けます。

固定するベアリングがアンギュラベアリングの場合は、背面取付けのダブルで取付けて使用するか、さらに深溝玉軸受けを追加して、ベアリングホルダに組み込んで使用します。

ベアリングホルダの原理

ベアリングホルダには、以下のような機能があります。

1. 剛性

回転軸が荷重を受けても回転軸の位置がずれず、滑らかな回転の維持が求められます。回転軸に歯車がある場合、回転軸の位置がずれてしまうと、正しい歯車の噛み合いが維持できなくなります。回転軸が正しく保持されなければ、大きな異音の原因になったり、最悪の場合、歯車の損傷につながったりする可能性が高いです。

2. 位置精度

ベアリングホルダは、機械の本体部分にねじで固定される場合が大半です。ベアリングホルダのねじ穴とベアリング保持穴の位置精度が悪いと、回転軸を正しい位置で保持することができません。

また、ベアリングを保持する部分であるハウジング穴の大きさも大切です。ベアリングの外輪の外径に対してハウジング穴内径が大き過ぎれば、ベアリングとの間にガタが生じてしまいます。ベアリングのハウジング穴の内径は、隙間ばめであれば、H7程度の公差等級で仕上げる必要があります。

3. 放熱性

特に回転軸が高荷重を受けながら高速回転するような場合は、放熱特性も大切です。ベアリングは高い荷重と高速回転によって、大きな発熱を伴う場合があります。ベアリングが発生した熱を外部へと逃すのも、ベアリングホルダの重要な役割です。

ベアリングホルダのその他情報

ベアリングホルダの使い方

ベアリングホルダは、通常ベアリングの性能を損なわないように設計されていますが、正しい使用方法をしなければその機能は果たせません。大切な要素の一つに、ベアリングの取付方法があります。ベアリングの取り付けには、フランジ押え、止め輪、自在等、方法が何通りかあるため用途に応じた選定が必要です。

  • フランジ押え
    ベアリングホルダに付属しているフランジでベアリングを押え、軸方向を固定します。軸方向に動いてほしくない用途では、フランジ押えを使用します。
  • 止め輪
    ハウジングに溝を作り、そこに止め輪と呼ばれるリングを取付け、ベアリングが抜けないようにします。軸方向に力がかからず、多少の軸方向ガタツキが問題無い場合に使用します。
  • 自在
    軸方向への規制を設けず、ベアリングが自由に移動できるようにしています。これはボールネジの自由端支持に用いられる方法です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M0800000000/M0806000000/
https://koyo.jtekt.co.jp/support/bearing-knowledge/14-0000.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/c1228.html
https://www.ntn.co.jp/jimtof2004/pdf/PrecisionBrgs-j/PrecisionBrgs-j-005.pdf