アルマイト処理についての概要、用途、原理などをご説明します。また、アルマイト処理のメーカー17社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。アルマイト処理関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:テクノ工業株式会社、2位:理研アルマイト工業株式会社、3位:株式会社中部理化となっています。
1987年~1991年昭和電線電纜勤務 高分子材料研究室にて電線の被覆材の研究に従事
1991年~1997年小池国際特許事務所にてパテントエンジニアとして勤務
1997年~2005年GE横河メディカルシステムにて知財部員として勤務
現在、ライターとして活動。
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鈴木裕子のプロフィール
アルマイト処理とは、アルミニウム表面に酸化被膜を人工的に形成させる表面処理の一種です。
アルミニウムは、空気中の酸素と結合して酸化されやすく、空気に触れているとその表面に非常に薄い酸化皮膜を生成します。
この自然に作られる皮膜で保護されているので、耐食性が比較的良いと言われてます。
さらに、アルミニウムは軽量かつ加工性も高く、生活用品をはじめとした身の回りのありとあらゆる製品に使用されています。
しかしながら、加工性の高さゆえに折り曲げることや摩擦により表面に傷がつきやすいという性質も持っています。
また、アルミニウム表面に自然に出来る酸化膜の膜厚は非常に薄く、使用環境によっては、化学反応などで腐食したり、先に述べた様に折り曲げや摩擦などにより酸化膜が破損することもあり、破損部分から腐食が著しく進行する場合もあります。
そこで、アルミニウムを電解液中で通電させ、酸化を促し、アルミニウム表面を保護する酸化被膜を人工的に形成させるアルマイト処理を施します。
この酸化被膜を形成することで、耐腐食性や耐摩耗性、絶縁性、強度の向上などが期待できます。
アルマイト処理を施した製品は数多くあり、具体的には、生活用品ではやかんやサッシ、スマートフォン、工業用途では光学部品や自動車、航空機、半導体、医療機器などが挙げられます。
アルマイト処理は、アルミニウムを陽極に硫酸電解液中で電気分解することにより、酸化被膜を形成させています。
図1に示すように電解液中に陽極と陰極を配置し、陽極側にアルミニウム製品を配置して電極から通電するとアルミニウム製品の表面に酸化被膜が形成されます。
この酸化被膜は図2および図3に示すように、中に細孔が形成された六角柱状のセルの集合体です。
この原理に基づいてアルマイト処理をおこないますが、処理の方法によって、特性が変化するため用途に応じたアルマイト処理が求められます。
通常用いられるアルマイト処理で、複雑な構造をした小さな部品から大型の製品まで対応可能です。耐腐食性と硬度の向上を目的に使用される手法です。
一般アルマイト処理よりさらに高硬度にするための処理方法で、低温の電解質中で時間をかけて処理します。酸化被膜の厚さは一般アルマイトの数倍となり、高い耐久性が求められる車のエンジン部や航空機などに使われます。
アルマイト処理を施す前に化学研磨処理を行い表面を光沢化します。見た目が美しくなることから、装飾品や反射材に使用されます。
酸化被膜を形成させた直後に染料液中に浸漬させ、着色します。染料の濃度や浸漬時間、酸化被膜の厚さによって着色をコントロールできます。軽量性とデザイン性が求められる水筒などに使われます。
アルマイト処理の中で最も一般的な一般アルマイト処理により形成されるアルマイト酸化被膜の膜厚は、通常5~25ミクロンの範囲であり、使用条件等を考慮して設定されます。
硬質アルマイト処理により形成されるアルマイト酸化被膜の膜厚は20~70ミクロンの範囲で設定されます。
硬質アルマイト処理は、自動車のエンジン部品のような摺動性が求められる部材において施されることが多く、耐摩耗性などを発揮させるために一般アルマイト処理と比較して大きな膜厚が設定されます。
このようにおこなわれるアルマイト処理ですが、アルマイト酸化被膜の膜厚にはバラツキが生じます。1つの要因が電流分布によるものであり、もう1つの要因が温度分布によるものです。
アルマイト処理は電気化学的な反応を利用して行われるため、電気分布が不均一であるとアルマイト酸化被膜の膜厚にバラツキが生じます。
アルミニウム製品が保持される陽極と陰極の距離により、複数のアルミニウム製品間で膜厚のバラツキが起こります。また、複数のアルミニウム製品を一度にアルマイト処理する場合には、配置位置により電流分布が異なり、これが膜厚のバラツキにつながります。
複数のアルミニウム製品を一度にアルマイト処理する場合には、膜厚が厚くなりやすい位置や条件の場所にあるアルミニウム製品の近くにダミーのアルミを吊るして電流を逃がす方法などが用いられています。
アルマイト処理は電解液の中で行われますが、電解液の温度分布がアルマイト酸化被膜の膜厚のバラツキ発生の原因となります。
アルマイト処理では、浴内が撹拌されるため電解液槽内の温度は均一に保たれます。このように温度が均一に保たれる状態では電解液が自由に流動できるので電解液の温度分布が均一となります。
しかし、アルミニウム製品近くの拡散層のエリアでは、電解液が比較的動きにくく温度分布が不均一となります。これにより、アルマイト酸化被膜の膜厚にバラツキが生じます。このような問題への対策として噴射ノズルの使用など電解液の流動を促す方法が用いられています。
アルマイト処理によりアルミニウム表面に形成されたアルマイト酸化被膜は、柔軟性に乏しく脆いという欠点があり、このためアルマイト処理部分を屈曲させたり加工したりするとアルマイト酸化被膜が割れたり剥がれたりするデメリットがあります。
また、耐熱性に弱点があり、通常のアルマイト酸化被膜においては、100 ℃を超える高温環境下で、熱膨張によるクラックや剥がれが発生する懸念があります。
アルマイト処理により、耐腐食性や硬度が向上しますが、強酸や強塩基の溶液に弱く、このような溶剤には溶解する問題点もあります。
それ以外にも金属類に湿潤状態で触れると腐食のリスクが増加します。そのため使用用途に応じて、処理方法を工夫する必要があります。
参考文献
http://toeidenka.co.jp/alumite.html
http://toeidenka.co.jp/alumite.html
https://www.sanwa-p.co.jp/faq/detail673.php
https://www.toshin-alumite.jp/knowledge/alumite.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | テクノ工業株式会社 | 18.2% |
2 | 理研アルマイト工業株式会社 | 15.2% |
3 | 株式会社中部理化 | 9.1% |
4 | 株式会社清田アルマイト | 8.1% |
5 | 株式会社東海進研 | 8.1% |
6 | 株式会社竹内電化 | 5.1% |
7 | 株式会社サーテクノコア | 5.1% |
8 | 株式会社東研工業 | 5.1% |
9 | 東栄電化工業株式会社 | 4% |
10 | 株式会社コーケン | 4% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月のアルマイト処理ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
株式会社東研工業の硬質アルマイトは、アルマイト被膜厚50µm~100µmでHv450以上の硬度を達成し、長さが3mの製品にも適用できます。
さらに、カラーアルマイトと硬質アルマイトを組み合わせることで、繊細で美しい色調を出すアルマイト処理にも応用されます。
また、カメラなどの光学製品の筐体に施される表面反射・散乱を抑えるための梨地加工との硬質アルマイトを組み合わせた黒アルマイト処理にも適用されています。
株式会社東海進研の機械板金・筐体製造.COMは、厚み0.1mm~3.0mmの薄い精密板金加工品や、曲げ加工、溶接組み立てが必要な複雑形状・異形状の精密板金加工品のアルマイト処理に適応できます。
機械板金・筐体製造.COMの金属加工は、産業用の機器(OA機器や、医療機器、検査機器など)の各構成パーツの精密板金加工を得意としいます。
そのため、構成パーツ1つ1つを高精度の加工技術で作り上げることで、組み立て誤差により生じる性能劣化を最小限に抑えた高品質な製造を実現しています。
株式会社ワールド・アルマイト独自開発の超潤滑アルマイトは、アルミニウム表面に施したアルマイト被膜に点在するナノポーラス(微細穴)に、自己潤滑成分を含浸させることにより潤滑性をもったアルマイト皮膜を生成させるアルマイト処理です。
超潤滑アルマイトは、潤滑性が向上するだけでなく、撥水性、耐摩耗性が強化される特徴があります。
主な使用例として、駆動機会の摺動部、油圧制御部など、さらには搬送装置のガイド、レールなどの幅広い用途で利用されています。
アルバックテクノ株式会社のケミカルセンターでは、大型かつ重量のある様々な大型精密機器への表面処理が可能な国内最大級の硬質アルマイト処置ラインを設備しています。
具体的には、「大型部品専用アルマイト/バッカル」成膜ラインを設置しているため、大型化が進む液晶ディスプレイ製造装置チャンバーへの大型硬質アルマイトにも適用できます。
さらに、世界最大級の「加圧蒸気封孔装置」も設置しているため、大型チャンバーにも応用可能な高品質なアルマイト処理が可能です。