メカニカルバルブ

メカニカルバルブとは

メカニカルバルブとは、人力や物体接触によって操作する空気の流れを変える制御弁です。

空気圧シリンダ等のアクチュエータを仕事させるためには、圧縮空気の流れを自在に切り替える必要があります。単動シリンダの場合、前進させるときは前進方向に圧縮空気を供給し、後退方向は反対に圧縮空気を大気に開放させます。

このように、エアの流れ方向の制御をおこなうバルブを方向制御弁と言います。方向制御弁は、電気、空気圧、人力・機械的接触の3種類の方法で制御することが可能です。電気信号によって弁の開閉を操作をおこなうものが電磁弁で、空気圧によって操作するものを (エア) パイロット操作弁と言います。

人力により操作する方式で、手や足で踏んで操作したり、リミットスイッチのように物体が機械的に接触することによって操作したりするものは機械制御弁です。このような人力や機械的接触によって操作する制御弁を、機械的な動作で動作させることからメカニカルバルブと呼びます。

メカニカルバルブの使用用途

メカニカルバルブの操作法による分類

図1. メカニカルバルブの操作法による分類

メカニカルバルブは、火気厳禁で防爆仕様が必要な場所などで重宝します。電気信号を使用せず、空気圧機器のみで空気圧シリンダ等のアクチュエータを操作することができるため、漏電・感電などの心配がありません。

人間の手足によって操作するものに、押しボタンやレバー、ペダルタイプがあります。装置の入り口に設置する供給遮断弁として使用するほか、主に半自動化装置に使用される場合が多いです。また、エアシーケンス制御の起動スイッチとして使用される場合もあります。

機械操作によるものは、プランジャやローラータイプなどです。シリンダの動作やワーク位置確認のスイッチとして使用することで、エアシーケンス制御の信号を発生させます。

例えば、扉を開けたら自動的にシリンダの動きが止まる、扉を開けたときにしか動作しないなどの制御をすることが可能です。

メカニカルバルブの原理

メカニカルバルブは人間の手足によってボタンが押されたり、扉やワークによってプランジャが押されたりすることで、流路を解放したり、弁によって塞いだりしています。これが圧空の流れを変化させる原理です。

弁の構造はポペット式とスプール式、すべり弁式の3種類あります。ポペット式は、構造が単純ですが操作には大きな力が必要です。その分、弁の封止性は高くなるため、高純度のガスラインなどに適しています。

スプール式やすべり弁式は、比較的小さい力で操作が可能である一方で、ストロークが必要になります。

メカニカルバルブの選び方

1. メカニカルバルブのポート数

図2. 2位置メカニカルバルブのポート別流れ方の違い (JIS記号)

メカニカルバルブも電磁弁の場合と同様、ポート弁数を選択する必要があります。

2ポート弁
2ポート弁は、単にエアの流れを止めたリ流したりする機能を持ちます。上記の図はJIS記号を簡略化したものです。2ポートを見ると左側の四角形に↑がありますが、これは押しボタンが押されたら空気が流れることを意味します。右側ではAポートとPポートがつながっていないため空気は流れません。

3ポート弁
3ポート弁は、排気ポートを持ち、エアを供給したり排気したりする機能をもちます。単動シリンダを動かす際やエアパイロットラインの信号用などに多用することが多いです。ボタンを押すとPからAへ空気が流れ、離すとAにあった空気はRポートから外へ排気されます。

4・5ポート弁
4および5ポート弁は、Pポートより吸気を行い、A、B2ヵ所の出力ポートより交互に供給・排気をおこなう機能を持ちます。排気ポートは、1ヵ所もしくは2ヵ所です。

複動エアシリンダに接続すると、両方向に摺動させる機能を持たせることができます。

2. メカニカルバルブの位置

方向制御弁の持っている切り替え位置の数によって、2位置と3位置があります。例えば、スイッチを”押す”か”押さないか”でバルブが状態1と状態2の2つを切り替える構造である場合には2位置、レバー式の手動切り替えバルブだと3つ目の状態3があるものが3位置です。メカニカルバルブの場合、基本的に状態3は3位置クローズドセンタというAとBのポートのどちらも封止するという構造になります。

3. ボタンが押された後の動作方式

ボタンを押した後、手を離した際にばねの力などで元の状態に戻るものをスプリングリターン方式、押した状態を保持するものを保持方式と呼びます。スイッチが押された後の動作を考えて選択することも大切です。

4. その他

メカニカルバルブ選定のポイントまとめ

図3. メカニカルバルブの操作法による分類

その他にも、ポートの配管口の大きさや使用圧力など様々な選定ポイントがあります。このようにさまざまな種類があるため、空圧回路をあらかじめ設計し、どの部品が必要になるかを見極めてから購入することが重要です。

メカニカルバルブのその他情報

メカニカルバルブの使用上の注意点

圧縮空気によって圧力がかかっている中、弁を動かさなければならないため、特にポペット式の弁のバルブでは大きな力が必要になります。例えばプランジャを押そうと思っていた物体が逆に押し返されてしまうということがあります。カタログ値にどれくらいの荷重をかければよいか記載されているため、確認するようにしましょう。

すべての方向制御弁への圧縮空気の供給回路には必ずフィルタを使用し、ごみやドレンを確実に取り除くことが重要です。フィルタのろ過度は、5μm以下を選定します。

ドレンを多量に含んだ空気圧は、他の空気圧機器に対しても作動不良の原因となりますので、アフタークーラー、エアドライヤなどを設置することで対策します。

参考文献
https://www.smcworld.com/products/ja/s.do?ca_id=262
https://www.ckd.co.jp/kiki/jp/product/list?cid=46&sid=0

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