ベアリングホルダとは
ベアリングホルダとは、さまざまな機械で使われる回転軸の荷重と回転を受けるベアリングを正しい位置で支えるためのものです。
ベアリングホルダは機械の本体に取り付けられ、ベアリングをはめ込んで保持します。ベアリングを保持するベアリングホルダは、ベアリングが受ける荷重の大きさに合わせて設計しなければなりません。
通常、ベアリングはその大きさによって受け持つことができる荷重の大きさが決まります。ベアリングホルダも保持できるベアリングのサイズによって、十分な剛性を確保できるように設計されています。
ベアリングホルダの使用用途
ベアリングホルダは、主に産業用機械などで使用されています。ベアリングを保持する部位には、回転軸が受ける荷重に対して、十分な剛性が求められます。さらに、穴の内径の表面粗さや隅Rの大きさなど、細かな点も考慮しなければなりません。
ベアリングホルダを使えば、ベアリングを固定するハウジング部分の設計と製造を簡略化することができます。通常、ベアリングホルダは固定するベアリングが深溝玉軸受けの場合は、シングルもしくはダブルで取付けます。
固定するベアリングがアンギュラベアリングの場合は、背面取付けのダブルで取付けて使用するか、さらに深溝玉軸受けを追加して、ベアリングホルダに組み込んで使用します。
ベアリングホルダの原理
ベアリングホルダには、以下のような機能があります。
1. 剛性
回転軸が荷重を受けても回転軸の位置がずれず、滑らかな回転の維持が求められます。回転軸に歯車がある場合、回転軸の位置がずれてしまうと、正しい歯車の噛み合いが維持できなくなります。回転軸が正しく保持されなければ、大きな異音の原因になったり、最悪の場合、歯車の損傷につながったりする可能性が高いです。
2. 位置精度
ベアリングホルダは、機械の本体部分にねじで固定される場合が大半です。ベアリングホルダのねじ穴とベアリング保持穴の位置精度が悪いと、回転軸を正しい位置で保持することができません。
また、ベアリングを保持する部分であるハウジング穴の大きさも大切です。ベアリングの外輪の外径に対してハウジング穴内径が大き過ぎれば、ベアリングとの間にガタが生じてしまいます。ベアリングのハウジング穴の内径は、隙間ばめであれば、H7程度の公差等級で仕上げる必要があります。
3. 放熱性
特に回転軸が高荷重を受けながら高速回転するような場合は、放熱特性も大切です。ベアリングは高い荷重と高速回転によって、大きな発熱を伴う場合があります。ベアリングが発生した熱を外部へと逃すのも、ベアリングホルダの重要な役割です。
ベアリングホルダのその他情報
ベアリングホルダの使い方
ベアリングホルダは、通常ベアリングの性能を損なわないように設計されていますが、正しい使用方法をしなければその機能は果たせません。大切な要素の一つに、ベアリングの取付方法があります。ベアリングの取り付けには、フランジ押え、止め輪、自在等、方法が何通りかあるため用途に応じた選定が必要です。
- フランジ押え
ベアリングホルダに付属しているフランジでベアリングを押え、軸方向を固定します。軸方向に動いてほしくない用途では、フランジ押えを使用します。 - 止め輪
ハウジングに溝を作り、そこに止め輪と呼ばれるリングを取付け、ベアリングが抜けないようにします。軸方向に力がかからず、多少の軸方向ガタツキが問題無い場合に使用します。 - 自在
軸方向への規制を設けず、ベアリングが自由に移動できるようにしています。これはボールネジの自由端支持に用いられる方法です。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M0800000000/M0806000000/
https://koyo.jtekt.co.jp/support/bearing-knowledge/14-0000.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/c1228.html
https://www.ntn.co.jp/jimtof2004/pdf/PrecisionBrgs-j/PrecisionBrgs-j-005.pdf