ヒューム管

ヒューム管とは

ヒューム管

ヒューム管 (英: Hume pipe) とは、鉄筋コンクリートを用いた管のことです。

遠心力鉄筋コンクリート管とも呼ばれます。ヒュームは発明した兄弟の名字が語源です。オーストラリアのヒューム兄弟が、1910年にヒューム管を遠心力を利用して製造する方法を発明し、1925年に日本に伝わりました。

鉄筋を配した型枠にコンクリートを入れて軸回転させ、遠心力を使って、締め固めて製造するので、強度が大きく外圧にも内圧にも強い管です。ヒューム管は、主に下水管などの導水管として使用されます。

ヒューム管の使用用途

ヒューム管は、主に3つの事業用途に使われています。内径500mm以下の開削工法に使用する場合は、重量と作業性などの面から、塩ビ管が主流になりつつあります。

しかし、管自体に高強度が必要な推進工法や内径が1,000mmを超える大径幹線水路では、ヒューム管が現在でも主流です。

1. 下水道事業

日常生活で発生する生活排水はこのヒューム管を流れ、下水処理場に集められます。下水処理場で浄化された水は、再利用や河川に放水されます。

2. 灌漑事業

灌漑は農業を行うにあたり、必要不可欠なものです。この灌漑を行う際の水路にヒューム管が使われます。灌漑は、水田灌漑と畑地灌漑とに区別されます。

水は自然に降る雨水だけでは足りない場合が多いので、河川や池などから人工的に水路を作り、水田や畑地に灌漑用の水をヒューム管を使って取り入れます。

3. 雨水対策事業

近年、都市集中降雨時に大量の雨水が、短時間に河川に流入し、大きな浸水被害をもたらしています。都市化が進んで農地や山林が減少し、遊水機能や保水機能が低下している要因が大きいです。

調整池の整備及び雨水の貯留施設の設置などの際、雨水管や貯留管にヒューム管が使われます。

ヒューム管の製造

ヒューム管は鉄筋コンクリートを原材料とし、遠心力を利用して製造するのが一般的です。まず、鉄筋を組み立てます。ヒューム管の長手方向の鉄筋と円周方向の鉄筋とを組み合わせます。それをヒューム管の外周となる円筒型の外枠に入れます。

次に、コンクリートの充填を行います。外枠を回転させながら、中心部からコンクリートを数回に分けて、コンクリートを流します。コンクリートは、遠心力を受けて、外枠に押し付けられて、円筒状のパイプ状に成形されて完成です。

なお、コンクリートの締固め時の遠心力は、重力の25倍から40倍程度であり、コンクリート中の水分が分離します。水-セメント比は30%以下となり、高密度の堅固なコンクリート管が得られます。

ヒューム管の特徴

1. 高品質・高強度

ヒューム管は、管理された工場で製造され、品質チェックされています。寸法精度、強度、材料などJISや業界規格を満足するように製造されています。ヒューム管の性能は、JIS A 5372に規格化され、曲げひび割れ耐力と終局曲げ耐力について、試験方法と規格値が定められています。

2. 見かけ比重が大きい

ヒューム管は、見かけ比重が大きく、液状化などの災害時に、浮力が小さく有利です。

3. 漏水が少ない

締固めが良いので、漏水面で優れています。

4. 軽量・低コスト

同一目的での使用では、ヒューム管は薄く作れるので、軽量で、コスト面でも有利です。

5. 特殊工法に対応可能

腐食抑制性能を簡易に付加する工法が可能です。腐食対策としてポリウレタンエラストマーを内部被覆したり、抗菌剤を添加した抗菌コンクリートのヒューム管などです。

また、推進管に可とう性を与える工法もあります。可とう管を使用して曲線推進に対応できます。

ヒューム管のその他情報

ヒューム管の利点

元々、日本でもヒューム管の代わりとなる手詰め管と呼ばれる管が使われていました。しかし、ヒューム管に比べると大量生産できず強度も劣っていました。そのため、連続回転式の多軸機械で大量生産できるヒューム管は画期的な発明です。

ヒューム管の主な利点は、高品質で高強度であること、他の管に比べて安価であること、原材料が国内で供給できることなどです。日本全国で供給体制が整っているため、万が一の下水道管トラブル時にも早急に対応できます。

ヒューム管の強度は、同一配合の振動締めコンクリート管に比べ、約30%強くなっています。

参考文献
http://hume-pipe.jp/about_hume/
https://www.hume-pipe.org/about/
http://www.h-nac-hp.co.jp/?page_id=500

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