フローティングジョイントとは
フローティングジョイントとは部材間の偏心と偏角を許容するジョイント(継手)です。内部の球状構造と球を覆うホルダーが摺動することによって、偏心・偏角を吸収することができます。
主に直動アクチュエータであるシリンダとガイドレールなどの直動部品との接続に使用されます。
ボールジョイントと基本的な構造は同じですが、フローティングジョイントは回転や揺動用の継手では無いため回転運動や揺動運動の伝達には使用できません。
フローティングジョイントの使用用途
フローティングジョイントは主に圧縮エアや電力で駆動するシリンダなどの直動アクチュエータとガイドレールなどの直動部品との接続に使用されます。
直動部品に対して直動アクチュエータを使用することで動力方向を変更することなく動力を伝達することができますが、両者の組付け精度高いレベルでないと、偏心・偏角により大きな抵抗力が生じる場合やシリンダが破損する場合があります。
これに対してフローティングジョイントを使用することにより偏心・偏角を許容することができ、平行度合わせや芯合わせをする必要が無くなり、簡単に直動システムを構築することができます。
フローティングジョイントの原理
フローティングジョイントは、球体および球体を保持するホルダーと部材と接続するためのネジやナット部により構成されています。物理的な制約上、球体を保持するためには球体の表面の半分以上をホルダーによって覆う必要があるため、許容可能な偏角度にも限界があります。
一般的なフローティングジョイントは許容偏角度が5°程度に設定されており、これ以上の偏角が乗じる場合には抵抗が大きくなるかジョイントが破損してしまいます。以上のように、偏心・偏角の許容量はあくまで組み付け時の平行度合わせや芯合わせなどの作業を簡略化する程度であり、ボールジョイントやユニバーサルジョイントのように大きく芯方向が異なる部材間の伝達はできません。
また、大きな衝撃力を作用させると球体やホルダーの破損による故障が発生するため、シリンダはエアクッションやラバークッションが付属している製品を使用する、あるいは外部にショックアブソーバなどの衝撃吸収機構を設ける必要があります。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md02/c1236.html
http://ca01.smcworld.com/catalog/ja/actuator/J/6-2-1-p1137-1159-jt-j/data/6-2-1-p1137-1159-jt-j.pdf