温度指示計

温度指示計とは

温度指示計

温度指示計とは、測定された物体・環境の温度を表示する装置です。

温度指示計を使用することで、物体や環境の温度を正確に測定することができます。温度監視は、製造プロセスや実験などのさまざまな分野で重要です。温度が所定の範囲を逸脱すると、機械の故障や安全上のリスクなどが発生する可能性があります。

また、温度指示計はリアルタイムで温度の変化を表示する製品がほとんどです。これにより温度以上の発生を迅速に察知し、必要な措置を講じることが可能となります。

ただし、温度指示計用の温度センサーにはさまざまな種類が存在します。温度指示計の仕様と合致したセンサーを選択しなければ、正確な結果が得られない場合があります。

温度指示計の使用用途

温度指示計はさまざまな分野で使用される機器です。以下は温度指示計の使用用途一例です。

1. 工業プロセス

工場や製造プロセスにおいて、温度監視と制御は非常に重要な要素です。温度指示計を使用することで温度のモニタリングが可能なため、幅広い製造現場で用いられます。

セラミックスや陶器などの焼成プロセスでは、オーブンや窯内の温度を監視し、所定の温度範囲を維持するのに使用されます。また、金属やプラスチックなどの材料溶解プロセスでは、正確な温度制御のために使用されることも多いです。圧延プロセスや熱処理プロセスにおいても、温度指示計が広く使用されます。

適切に選定することで、-200℃から1,800℃までさまざまな温度帯を測定することが可能です。したがって、有機高分子から無機材料の製造まで広く使用することが可能です。

2. 食品産業

食品の品質と安全性は、温度管理に大きく依存しています。温度指示計は食品加工業者やレストランで使用され、食品の適切な温度管理をサポートします。食中毒の予防や品質管理の面から重要な機器です。

また、食品や飲料の製造において、発酵プロセスでは適切な温度制御が必要です。温度指示計は発酵槽や発酵装置に取り付けられます。発酵プロセス中の温度を監視し、酵母や微生物の活動に最適な温度環境を作り出すために使用されます。

3. 医療

温度の正確な測定は、医療診断や治療において重要です。病院や医療施設では、体温計や手術中の組織温度モニタリングなど、患者や医療器具の温度管理に温度指示計が使用されます。

温度指示計の原理

温度指示計は、さまざまな原理に基づいて温度を測定します。気温計などでは、物体膨張の原理を利用して温度を表示します。ガラス管内に封入された膨張性液体が温度の変化に応じて膨張・収縮します。

液体の膨張・収縮によって液面が変化し、それに基づいて温度を表示することが可能です。測温抵抗体などでは、抵抗の温度依存性を利用して温度を表示します。抵抗体の抵抗値は温度に応じて変化し、抵抗信号を電気回路で処理して温度を表示する製品が多いです。

熱電対などでは、熱起電力の原理を利用しています。熱電対は異なる金属線2本で構成され、一端に温度が加えられると温度差によって熱起電力が生じます。この熱起電力を測定し、それを温度と関連付けることで温度表示していることが多いです。

温度指示計の種類

温度指示計はさまざまな種類が存在します。以下は温度指示計の種類一例です。

1. ガラス管温度計

ガラス管温度計は、膨張性の液体を用いて温度を測定し、液体の膨張・収縮によって温度を表示します。一般的には直接目盛りがついたガラス管で温度を読み取ります。古くから使用される温度指示計です。

構造が簡単で安価な点が特徴です。ただし、温度指示の確認は目視となるため、人によってばらつきが発生します。過去は膨張性液体に水銀を使用した製品もありましたが、現在では極めて稀となりました。

2. デジタル指示計

数値表示やデジタルディスプレイを使用して温度を表示する温度指示計です。センサーによって温度を検知し、デジタル回路によって測定結果を数値化して表示します。高い精度と読み取りの簡便さが特徴です。

1つの製品でさまざまなセンサーに対応している場合もあります。測温抵抗体や熱電対などの温度センサーを配線接続して使用することが多いです。

測温抵抗体は温度によって抵抗が変化する温度計で、指示計で抵抗を測定して温度を表示します。現在はPt100Ωの規格が主流となっています。0~200℃までの比較的低温で使用できます。

熱電対は温度によって電圧が発生する温度計で、指示計で電圧を測定して温度を表示します。主に高温で使用される場合が多いです。熱電対は材料によって種類と測定範囲があり、1,000℃前後の高温では熱電対Kが使用され、さらに高温の測定ではRやBが使用されます。

3. 放射温度指示計

赤外線放射を検出して温度を測定する温度指示計です。非接触で温度を計測できるため、高温の物体や電気的に感受性のある物体の測定に適しています。熱画像として温度分布を表示することも可能です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/589/
https://www.rkcinst.co.jp/products_category/indicator/

深さ測定器

深さ測定器とは

深さ測定器とは、深さを測る測長器の1種です。

デジタルインジケータに代表されるような長さ測定器では、表面に当たる部分を基準に、測定端子がどのくらい戻ったかで長さを算出するのが一般的です。一方、深さ測定器では測定器のベース基準面をゼロ点とし、測定端子がどのくらい伸びたかで長さを算出します。

深さ測定器は深さを英語読みして、デプスゲージまたはディップスゲージとも言われることもあります。精度や用途により、アナログ式とデジタル式を選択します。

深さ測定器の使用用途

深さ測定器は主に、工業製品の製造工程、品質管理などで使用されます。ノギスやマイクロメータ、ハイトゲージといった精密測定器の1つとして、工業製品の定盤作業による測定作業で使用される計測器です。多くの工場の精密測定室、製品管理室などに備えられています。

深さ測定器の原理

深さ測定器では深さの基準となる面と、測定対象となる部位との距離を直接測定します。そのために、深さ測定器には基準となる面と接する面と対象部位に接触させる測定子を有していることが一般的です。

深さ測定器の種類に応じて、両者の距離をノギスと同様のバーニアによる目盛りやダイヤルゲージ、デジタル表示などで読み取ります。特にダイヤルゲージを用いた深さ測定器には、幅広い深さの測定に対応できるよう、測定子の長さをアタッチメントによって変更できるタイプもあります。

深さ測定器の種類

深さ測定器は大きくノギス型、マイクロメーター型、デジタルインジケータ型に分類されているところにあります。

1. ノギス型

ノギス型の深さ測定器は、一般的なノギスと同様にメモリによって測定結果を読み取る測定器です。ノギスにはデプスバーというパーツがあるため深さの測定ができますが、対象となる部分にまっすぐバーを当てることが難しいため精度が低く、読み取った値は参考値にしかなりません。

ノギス型では、目盛りは本尺目盛りと副尺目盛りで読み取る同じスケールレンジですが、基準面がとれる形のためノギスで測定できない形の溝や穴を正確に測定することができます。

2. マイクロメーター型

マイクロメーター式の深さ測定器の原理は、マイクロメーターと同じで、中央の回転軸の送り量で長さを算出します。マイクロメーター式の深さ測定器は、測定端子と測定器具の目盛りが同一線上になるので、アッベの法則より高精度な測定が可能です。

アッべの法則とは、測定器は測定子と目盛りが同一直線上に並んでいることが、精度の高い測定の条件であることを示した原理です。

3. デジタル型

デジタル式のものはデジタルインジケータと同様、光学式のモアレ干渉縞を用いたリニアスケールを使用しています。デジタルの利点を活かして平均値を求めることも可能です。また、継足 (つなぎあし) と呼ばれる補助具を取り付けることで測定範囲を変えることができます。

深さ測定器のその他情報

1. 光学機器による深さ測定

微小な深さ測定なら、光学機器による深さ測定も可能です。オートフォーカス機構を備えた顕微鏡で、深さの基準面と深さの対象部位にピントを合わせることによって、2点間の距離を知ることができます。精密な測定に対応していますが、深さ方向を顕微鏡のピント方向と合わせることが大切です。

2. 焼入硬化層深さ測定器

焼入硬化層深さ測定器は、鉄鋼材料の表面硬化処理において、硬化層深さを測定する装置です。鉄鋼材料における表面硬化処理には高周波焼入れ、浸炭焼入れなどがあります。従来の表面硬化処理深さ測定は、処理品の断面においてマイクロビッカース硬さ試験を行い、硬さ推移を確認して行なっていました。

しかし、非破壊検査ではなく処理品を切断、研磨処理しなければならず、検査には多くの時間と労力が必要です。焼入硬化層深さ測定器なら、非破壊かつ短時間で焼入硬化層深さ測定が可能です。焼入硬化層深さ測定器では試料表面から超音波を照射し、製品内部の金属組織の違いよる超音波の散乱の違いから、硬化層深さを知ることができます。

油圧ダンパー

油圧ダンパーとは

油圧ダンパー

油圧ダンパーとは、油圧によって振動や衝撃を吸収する装置です。

一般的に車両や建築構造物などで使用されます。ショックアブソーバとも呼ばれることがあります。油圧ダンパーは油圧の制御を通じて柔軟な調整が可能です。ダンパーの油の流量や圧力を変化させることで、振動や衝撃の制御特性を調整できます。

これにより、さまざまな状況や要求に対応することが可能です。一般的に耐久性が高く、長期間にわたって安定したパフォーマンスを提供します。適切なメンテナンスが行われれば長い寿命な装置です。

ただし、油圧ダンパーには、それぞれの商品に一定の使用範囲や制約があります。推奨される最大負荷や最大圧力を超えないように注意が必要です。過度の負荷や使用範囲外の条件下での使用は、ダンパーの故障や効果の低下を引き起こす可能性があります。

油圧ダンパーの使用用途

油圧ダンパーは、さまざまな使用用途で広く利用されています。以下は代表的な使用用途一例です。

1. 自動車

自動車のサスペンションには、油圧ダンパーが使用されることも多いです。車体の振動や衝撃を吸収し、乗り心地を向上させる役割を果たします。さまざまな路面状況に対応して、適切なダンピング力に調整することが可能です。

2. 制振装置

建築構造物や橋などの制振装置として使用されることも多いです。地震や風などの外部からの力を吸収し、構造物の振動を制御し安定性を確保する役割を果たします。これにより、構造物の耐震性や安全性が向上させることが可能です。

3. 工業機械・産業装置

工業機械や産業装置において、振動や衝撃を制御するために使用されることも多いです。コンベアベルトの振動を抑制したり、大型機械動作時の衝撃を吸収したりする目的で活用されます。

油圧ダンパーの原理

油圧ダンパーの基本原理は、流体の乱流抵抗を利用しています。乱流抵抗とは、流体速度に比例して抵抗値が増加する原理です。

油圧ダンパーは、シリンダとピストン、作動油で構成されています。シリンダー内部には作動油が満たされている場合がほとんどです。ピストンロッドに圧力が加わった際に、ロッドがシリンダ内に充填された作動油を押します。

シリンダとピストンの間にはわずかな空間があり、その空隙に作動油が流れ込みます。この作動油の流動が抵抗を生み出し、衝撃を緩衝する原理です。振動・衝撃は作動油の熱エネルギーとして吸収される場合が多いです。

空隙の幅や数を調節することで、油圧ダンパーの緩衝特性を対象物に合わせて変えることが可能です。建築物の免震・制震機構に取り入れる場合は、十分な機能を発揮させるために数量が必要です。

油圧ダンパーの種類

油圧ダンパーには、モノチューブとツインチューブが存在します。

1. モノチューブ

モノチューブ式ダンパーは、内筒と外筒が一本のチューブで構成された油圧ダンパーです。内筒はダンパーシリンダーとして機能し、ピストンが内部に存在します。外筒はピストンロッドを収納し、ダンパーシリンダーを覆う役割を果たします。

内筒内のピストンによりオイルの流れを制御できるため、より高度なダンピング特性を実現することが可能です。応答性と制御精度が向上します。また、外筒がオイルの熱を効果的に放散するため、長時間の運転中においてもダンパーの性能が安定しやすくなります。

高い制御性能と熱放散能力から、スポーツカーや高性能車のサスペンションで使用されることが多いです。

2. ツインチューブ

ツインチューブ式ダンパーは、内筒と外筒の2つのチューブで構成された油圧ダンパーです。内筒は主なダンパー室として機能し、ピストンが内部に存在します。外筒はオイルを収容するリザーバーチューブとして機能します。

ツインチューブ式ダンパーは、モノチューブ式ダンパーよりも製造コストが低い点が特徴です。また、比較的軽量なため、車両の重量を抑えることが可能です。これらの特徴から、大衆車や一般車に広く使用される油圧ダンパーです。

参考文献
https://motor-fan.jp/tech/10009556
https://kotobank.jp/word/%E6%B2%B9%E5%9C%A7%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%91-144523

微細加工機

微細加工機とは

微細加工機とは、ミクロン単位の微細精密加工を行う加工機器のことです。

微細加工の対象となる素材は金属に限らず、樹脂やポリマー、無機材料に及び、近年では10nm単位のプログラム制御を可能とする切削加工機などあり、微細化スケールは日々進歩しています。

広義の微細加工機では放電加工機、ワイヤー放電加工機、ジグボーラー、レーザー加工機も含まれ、これら全般の加工機を用いて微細加工を行います。これらの微細加工機を取り扱う上では、室温等の温度管理、オペレータの熟練度も非常に重要です。

微細加工機の使用用途

微細加工技術は近年あらゆる産業分野で必要とされ、幅広い用途に活用されています。

半導体や電子部品業界ではデバイスの微細化に伴い、パッケージ金型の加工や、各種部品、医療機器業界ではバイオチップの様なマイクロ流路を備える部品、微細な電極構造をもつ部品などで必要不可欠な加工技術です。

従来では加工できなかった極微小ピッチの放熱フィンや、穴ピッチがミクロンオーダーの穴加工、サブミクロンオーダーの突起配列構造など、通常のエンドミルなどで加工できない微細構造を実現できます。

微細加工機の原理

広義の微細加工機には複数の加工機を包含しますが、代表的な加工機に微細NC加工機、放電加工機、ワイヤー放電加工機の3種類があり、それぞれ原理が異なります。

1. 微細NC加工機

基本的な構造や原理は従来のNCマシニングセンタと大きく変わりませんが、各軸の駆動方法やクーラントの温度管理、回転数制御など、すべてに於いて高精度な制御が施されています。

各軸の駆動にはリニアモータが用いられ、プログラム上の分解能は0.1nmに及ぶ製品もあります。また往復運動を司るガイド部は油静圧案内が採用され、限りなく小さな摩擦抵抗と運動精度が実現可能です。

加工時に生じる発熱を管理するクーラントについては1/100℃レベルの温度制御が行われ、屋外から伝達する各種振動を遮る為に建屋基礎構造から防振対策を施したり、除震システム上に設置したりします。更に、機器の熱膨張を防ぐ為に恒温室へ設置します。

2. 放電加工機

導電性材料の微細加工の場合には、材料側に陽極を繋ぎ、可動電極に陰極を持った放電加工機で加工します。この直流電流で加工する技術は、切削や研磨では加工ひずみ等の影響を受けやすい素材、形状の際に用いられ、繰り返し加工でより高精度、高い表面粗度を得る事が可能です。

放電加工機について詳しくみる

3. ワイヤー放電加工機

基本的な原理は放電加工機と同じですが、0.05~0.3mm程度の極細ワイヤーに陰極を接続し、ワイヤーと素材間に直流電流を印加する事で素材を切断する事ができます。 加工は導電率が管理された水中で行われ、加工中は常にワイヤーが送り出されます。 非接触で一筆書き状にカットするため、加工応力は一切生じません。切り代はワイヤー太さ+20~30ミクロンで切断することが可能です。

ワイヤー放電加工機について詳しくみる

微細加工機のその他の情報

微細加工機と併用される機械

微細加工機と併用される機械には、高度な精度と安定性が求められます。微細な加工に対応するためには、機械自体の精度が高く、加工条件も適切に設定する必要があります。それぞれの機械の特徴を理解し、最適な機械選定が必要です。
ここでは、微細加工機と併用される代表的な機械についてレーザー加工機、電子ビーム加工機、イオンビーム加工機の3種類を紹介します。

1. レーザー加工機
レーザー加工機は、高エネルギーのレーザー光線を照射することで、素材を切削・加工する機械です。微細加工にも適しており、金属や非金属を問わず様々な素材に対応可能です。また、精度が高く、微細な加工にも対応できます。

2. 電子ビーム加工機
電子ビーム加工機は、高速で加熱した電子ビームを照射することで、素材を切削・加工する機械です。微細な加工にも適しており、高い加工精度が求められる分野で使用されます。

3. イオンビーム加工機
イオンビーム加工機は、イオンビームを照射することで、素材表面の微細な加工や表面改質を行えます。特に、セラミックやガラスなどの硬質素材に対して有効です。

耐圧試験機

耐圧試験機とは

耐圧試験機とは、電気機器が高電圧状態に耐えられるか、その絶縁能力を確認するための機器です。

絶縁力が不十分だと、高電圧が適用された時、絶縁破壊が生じ、それが利用者の感電、機器の損傷、火災の発生、最悪の場合だと爆発にまで繋がる可能性があります。このような危険を回避するため、日本では電気用品安全法が制定され、各種電気機器が耐えなければならない、最低限の電圧レベルを定めています。

耐圧試験機は、その電気用品安全法で規定された電圧での検証をするために活用される機器です。

耐圧試験機の使用用途

耐圧試験機は、どのくらいの電圧まで耐えられるのかを確認する際に使用されます。絶縁破壊が起きた機器に直接触れたとき、人間の体を通じて地へと電流が流れるという経路が形成され、感電事故が生じます。

これを防ぐためには、機器から外へ電流が漏れないように全面的に絶縁することが効果的です。また、別の対策として、機器から電流が漏れた際に電流の流れを抵抗値がほぼゼロの経路に誘導する方法もあります。

通常、これらの対策は機器の設計段階で考慮されます。設計後、機器が想定通りの絶縁耐圧を持っているか確認するために耐圧試験機は有用です。

耐圧試験機の原理

耐圧試験機による検証では、通常使用される電圧の数十倍にあたる数キロボルトの交流あるいは直流電圧を機器に適用します。具体的な手法としては、電源の2つの端子間を短絡させ、この端子と機器の筐体やキャビネットなどの外部部分との間に一定時間、高電圧を印加します。

この高電圧印加後、機器の動作が試験前と同じであれば合格です。耐圧試験機による検証は、電気用品安全法などの法令に準拠して行われ、機器が規格を満たしているかの確認をするため、正確な試験が不可欠です。印加する電圧やその印加時間が正確でなければ、試験の価値は無いと言えます。

このため、耐圧試験機は定期的に校正を行う必要があります。校正用の標準機器を用意し、テスト対象の試験機の表示値が標準機器と比較してずれていないか確認し、調整を行います。適切な管理の一環として、校正された試験機には、校正日などを明記したステッカーを貼るのが一般的です。

耐圧試験機の構造

1. 電源部

電源部は、試験機自体への電源供給と高圧を生成するための電力変換を担当します。ACやDCの供給が可能なものや、特定の電圧・周波数範囲に対応したものがあります。

2. 高圧生成部

高圧生成部は特定の電圧を生成し、被試験体に供給する役割を果たします。安全な操作を保証するために、高圧生成部は通常、適切な絶縁材料で覆われています。

3. 制御部

制御部は、試験の設定と管理を担当します。通常はデジタルインターフェースを持ち、試験のパラメータ設定や結果の読み取りが可能です。

4. 測定部

測定部は試験中の電圧と電流を監視し、被試験体の耐圧性能を評価します。多くの場合、過電流または電圧異常が発生した際に試験を自動的に停止する機能を持ちます。

5. 出力部

出力部は高圧を被試験体に供給します。接続はプローブやクリップなど、さまざまな種類のコネクタを介して行われます。

それぞれの部分は、試験機の安全性、精度、信頼性に直結するため、耐圧試験機を選ぶ際は構成要素を理解しておくことが重要です。

耐圧試験機の選び方

1. 耐圧範囲

各耐圧試験機は、特定の電圧範囲に対応しています。試験したい製品の電圧範囲と試験機の耐圧範囲が一致することを確認する必要があります。

2. 絶縁抵抗計測機能の有無

絶縁抵抗を試験することも、重要な検査の一部です。この機能がある機種を選ぶと、より包括的なテストが可能になります。

3. 信頼性と安全性

メーカーの信頼性と機器の安全性も考慮するべきです。メーカーが規格を満たしていることを証明する適切な認証を持っているかどうか、事前に確認しておくと安心です。

4. 操作性と視認性

使いやすさと読み取りやすさも重要な選択基準です。大きくて明瞭なディスプレイと直感的な操作性を持つ製品だと、作業をスムーズに行えます。

5. サポートとメンテナンス

購入後のサポートとメンテナンスが確実に提供されることも重要です。サポート体制が整っているメーカーであれば、万が一のときに対応してくれます。

参考文献
https://kesoku-blog.com/?p=1730
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=35
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=safetytest

精密ステージ

精密ステージとは

精密ステージ

精密ステージとは、X軸方向およびY方向、あるいは回転方向に精密に動かすことができるステージです。

機種によって移動可能な軸が異なり、1軸~4軸以上まで様々な種類の精密ステージがあります。

ステージの移動はピッチが小さい送りねじが使用されており、マイクロメーターや減速機付きモーターを使用してマイクロメートルオーダーでテーブルを動かすことができるため、極小サイズのサンプルの観察などに使用されます。

精密にステージを動かせる反面、ステージを動かすことのできる可動域は数センチメートル程度と小さいため、ステージを大きく移動させたい用途には不向きとなります。

精密ステージの使用用途

精密ステージは、X軸、Y軸、Z軸、その他3軸の回転方向など各軸方向を精密に独立して動かすことができるため、サンプルに位置を正確に制御したい場合に使用されます。

半導体素子を始めとした微小物体を観察するための顕微鏡のステージとして使用する場合や加工機械を用いて精密な加工を行うためのワーク固定用ステージとする場合、光学レンズ検査時の光軸合わせなどの検査用ステージなどとして使用する場合、高精度の位置決めで部品を接合するためのステージとして使用される場合があります。

精密ステージの原理

精密ステージは高精度のリニアガイドと送りねじ、送りねじを回転させるためのマイクロメータまたは減速機付きモータによって構成されており、可動軸の数だけこれらの機構が組み込まれています。送りねじを1回展させるとねじのピッチ分(コンマ数ミリメートル程度)ステージが移動します。

マイクロメータを使用する場合には、マイクロメータに刻まれた特殊な目盛りを読み取ることで移動量を把握することができます。

モータを使用する場合には、モータ内部にロータリーエンコーダが内蔵されており回転数を検知できるため、ステージの移動量を制御することができます。

精密ステージは使用用途によってX軸のみの1軸ステージからX軸とY軸の2軸ステージ、Z軸や回転を加えた3軸から6軸のステージと様々な製品が展開されています。6軸精密ステージで1軸のみを使用するようないわゆる大は小を兼ねる使い方をすることは可能ですが、精密ステージは可動軸数が多いほど価格も大きく上がるため必要最小限のスペックのものを選定することをおすすめします。

参考文献
https://www.orimvexta.co.jp/product/detail/?id=007001
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0015.html

空気抜き弁

空気抜き弁とは

空気抜き弁

空気抜き弁とは、水や油などの液体配管に混合する空気を排出するためのバルブです。

エアベントと呼ばれる場合もあります。

空気抜き弁は流体中に一定量以上の空気が混合していると自動的に空気の排出動作を行うため、配管中に接続しておくだけで特別な操作を必要とせずに機能します。

空気抜き弁を用いて液体配管から空気を抜くことで配管の輸送効率を向上させるとともに、配管や継手の振動や異音、ポンプの故障などを防ぐことができます。

空気抜き弁の使用用途

空気抜き弁は空気や油などの流体が流れる経路において空気を排出するために使用され、流体経路内において空気の混合が予想される箇所や空気が混合していると不都合な箇所に設置されています。

空気が混合しやすい箇所としては、加熱により内部の空気が膨張する温水ボイラやソーラーシステム、空気が溜まりやすい配管やタンクの頂部が挙げられます。また、空気が混合していると不都合な箇所としては、ポンプの入り口部などが挙げられます。

空気抜き弁の原理

空気抜き弁は排出口の開閉を行う弁体と弁座、弁体に接続されたフロートによって構成されています。流体内の混合空気量が少量の場合には、フロート位置は十分に高く弁体と弁座が接触することで閉じられています。流体内の空気量が増加すると水位の低下に伴ってフロートの位置も下がり、弁体と弁座が離れることによって排出口が開き、流体の圧力によって空気が排出されます。一定量の空気を排出した後に再度フロートが浮き上がり弁も閉じられます。以上のプロセスによって、空気抜き弁は手動操作や動力を必要とせずに自動で空気の排出動作を実行することができます。

また、空気抜き弁に吸気機能を加えることで流体経路内の負圧を解消できる機能を有したものを吸排気弁と呼びます。吸排気弁は一時的な断水時などに流体経路内が負圧になった場合に急速に空気を流入させ負圧を解消することで、経路内の逆流を防ぐことができます。

空気抜き弁は種類によって適用可能な流体と最低比重が規定されており、最低比重未満の比重の流体に対しては機能が保証されていません。ほとんどの空気抜き弁が水に対応していますが、油やその他の流体を扱う場合には、事前に空気抜き弁の選定作業が必要となります。

磁選機

磁選機とは

磁選機 (磁力選別機) とは、磁石によって対象物の中に含まれる金属類を取り除くための機器です。

磁石などを使用し、磁性物質を取り除きます。磁選機によって除去できる金属はスチール、ステンレスさらにはアルミニウムなど軽金属も含まれます。

数10ミリメートルから数マイクロメートル程度の微少な金属も除去可能です。

磁選機の使用用途

磁選機は、さまざまな産業分野において利用されます。代表的な使用用途は、鉄鋼業や鉱業における原料の選別です。

1. 鉄鋼業

鉄鋼業では、鉄鉱石やスクラップから鉄を分離するために使用されます。鉄鋼の製造プロセスでは純粋な鉄が必要なので、他の不純物を取り除く磁選機が重要な役割を果たします。

廃棄物やリサイクル素材中の磁性物質を取り除くためにも使用され、リサイクルプロセスの効率化や材料回収に寄与します。

2. 鉱業

鉱業では、鉱石や鉱砂中の磁性物質を分離するために使用されます。具体的には、鉄鉱石中の鉄分を取り除くときです。銅などの精錬業ではステンレスやアルミが有害な不純物となる場合があるため、磁選機によって排除します。

3. 食品・製菓・製紙・パルプ産業

食品・製菓・製紙・パルプ産業などでは、原材料内に混入した金属類を除去するために使用します。製造工程で微少金属が混入することもあるため、それらを除去して安全に製造するために必要不可欠な機器です。

4. セメント・飼料・肥料業

セメント・飼料・肥料業などでも、金属部品の除去を目的に使用されます。

磁選機の原理

磁選機の原理は比較的簡単で、磁性物質を引き寄せる磁力の作用を利用して非磁性物質との分離を行います。磁選機には、磁力を発生する磁石などが使用されます。

磁石は強力な磁場を生成し、磁性物質が引き寄せられます。磁性物質は磁力線に従って磁石に引き寄せられるため、磁選機の近くにある磁性物質は磁石に吸着します。

磁石の近くにある非磁性物質は、磁力に引き寄せられません。したがって、非磁性物質は磁選機内を通過することが可能です。このようにして、磁性物質と非磁性物質を分離することができます。

磁選機において磁力で引き寄せられた磁性物質は、回収や取り除くのための機構が用意されます。磁選機の回転ドラムやベルト上に付着した磁性物質は、圧縮空気などで取り除かれます。

磁選機の種類

磁選機には大きく分けてベルトコンベア式・吊り下げ式・ドラム式・湿式などの種類があります。

1. ベルトコンベア式

ベルトコンベア上に磁力体を配置し、物質を運搬しながら磁性物質を分離する装置です。ベルトコンベアは磁力体の上を通過するため、磁性物質は磁力体に付着して非磁性物質はベルトコンベア上を通過します。

ベルトコンベア式は、大量の物質を処理することができます。そのため、リサイクル産業や鉄鋼業などの高い生産性が要求される場面に適しています。

2. 吊り下げ式

吊り下げられた磁力体を使用して磁性物質を分離する装置です。磁力体はフレームや支持構造に取り付けられ、物質が通過する通路の近くに配置されます。磁性物質は磁力体に引き寄せられ、非磁性物質は通過します。

吊り下げ式はコンベアやパイプラインに組み込むことが可能です。そのため、既存のシステムに簡単に組み込んで利用することができます。

3. ドラム式

回転するドラム状の磁力体を使用して磁性物質を分離する装置です。物質はドラムに沿って通過し、磁性物質はドラムの表面に吸着します。一方、非磁性物質はドラムを通過して分離されます。ドラムの回転によって磁性物質は別の領域に移動し、回収または分離が行われます。

ドラムの表面に磁性物質が吸着するため、分離効果と効率が高い点が特徴です。

4. 湿式

液体環境中で使用される磁選機です。液体中に浮遊する磁性物質を分離するため、湿式の環境で運転されます。一般的には液体中に浮遊する磁性粒子をドラム状磁力体によって引き寄せて回収・分離します。

湿式環境では磁性物質が液体に沈降しやすく、回収率が高い場合があります。

参考文献
https://kenki-corporation.jp/2018/06/15/hanging-type-magnetic-separator/

磁気ビーズ

磁気ビーズとは

磁気ビーズとは磁性を持ったナノサイズの粒子のことです。食品やバイオ研究、医療分野で活躍しています。この磁力を用いて様々な物質の分離や精製を簡単に行うことができるのです。また、磁石を用いて磁気ビーズを動かすため、機械的な運動が必要かったり洗浄が簡単だったりするメリットもあります。また、多くの会社が磁気ビーズの開発を手がけており、その種類は様々です。均一な形状や強力な磁力、分散性や吸着性が求められます。

磁気ビーズの使用用途

磁気ビーズは様々な分野で活躍しています。例えば医療分野です。磁気ビーズを用いることで細胞や微少な細菌、たんぱくや核酸などの分離・精製ができます。代表的な応用技術は免疫沈降です。抗原の含まれる溶液に一次抗体を入れます。次にタンパク質や二次抗体を付着させた磁気ビーズを溶液に加えます。最後に外側から磁石を当てることで、磁気ビーズのみ壁面に吸着させることができます。これにより効率よく迅速に分離させることができるのです。

磁気ビーズの原理

磁気ビーズはその特性を活かして様々な分野で用いられます。ここでは、その代表的な特徴についてご紹介していきます。

  • 分離・精製に役立つ点
    磁気ビーズの最大の特徴はタンパク質や核酸などの分離・精製が簡単にできる点です。特定の官能基を持たせることが可能で、迅速に結合させたり取り除いたりすることができます。また、磁力を使うことで磁気ビーズのみ取り出すことができるので、高濃度の試料を精製することが可能です。
  • 効率よく洗浄できる点
    外部から磁石を当てることで磁気ビーズのみ取り出すことができます。洗浄作業においては、精製した物質も洗浄してしまったり不純物が残ってしまったりします。しかし磁気ビーズを使用することで高濃度の状態で生成物を取り出すことが可能で、サンプルロスを減らすことができます。さらに、強力な磁力を用いて磁気ビーズを取り除くので効率よく洗浄が可能です。一般的な洗浄よりも少ない時間で十分な洗浄ができます。

参考文献
https://www.cytivalifesciences.co.jp/technologies/immuno_precipitant/mag_sepharose.html
https://www.veritastk.co.jp/sciencelibrary/special/dynabeads-portal.html
https://ruo.mbl.co.jp/bio/support/method/immunoprecipitation.html

帯鋸盤

帯鋸盤とは

帯鋸盤

帯鋸盤とは、木材や金属などの板状あるいは円筒状の部材を切断するための機械のことです。

帯状の刃を高速回転させ、切断作業を行います。また、バンドソーとも呼ばれています。帯鋸盤の特徴は、刃が帯状で輪になっていることです。

内部で高速回転する刃が部分的に露出しており、部材に当てながら刃あるいは部材を動かすことで、効率的に切断可能です。一方、往復運動を行う糸のこ盤と比較して、帯鋸盤は切り屑の排出性能が高い点が魅力と言えます。

帯鋸盤は、厚みがある部材の切断や高速で切断したい場合に特に適しています。また、直線状の刃を持つ糸のこ盤とは異なり、帯鋸盤は切断速度が速く、作業効率が向上することが期待できます。

帯鋸盤の使用用途

帯鋸盤の使用用途、主に木材やプラスチックなどの板材、棒材、パイプの切断です。また、機種によっては金属部材や食品を切断することもできます。

板材を切断する際には、縦型の帯鋸盤が一般的に使用されます。板材側を動かすことで切断を行うため、効率的な作業が可能です。一方、棒材やパイプの切断には横型の帯鋸盤が適しており、水平に配置された刃を固定した部材に押し当てることで切断を行います。

また、作業場所で電源が確保できない場合や部材を固定して切断したい場面には、充電可能なポータブルタイプの帯鋸盤が最適です。さまざまな場所での切断作業が可能となり、作業の幅が広がります。

多様な使用用途から、帯鋸盤は製造業や建築業などの現場で幅広く活用されています。適切な機種やタイプを選ぶことで、効率的かつ正確な切断作業が実現できます。

帯鋸盤の原理

帯鋸盤は、木材や金属、プラスチックなどの部材を切断するための工具です。帯状の刃を高速回転させることにより、部材を効率的に切断可能です。

帯鋸盤の刃は、幅広の帯状の金属に歯が切られた形状で、輪のようになっています。輪状の刃は、機械内部の2つの車輪にかけられ、モーターによって高速回転します。切断作業を行う際には、部材をテーブルの上に置き、切断したい箇所を露出した刃に押し当てます。刃が回転することで、部材に摩擦が生じ、切断が可能です。

帯鋸盤の原理により、糸のこ盤と比較して、切り屑の排出性能が高く、切断速度が速いという利点があります。また、帯状の刃は糸のこ盤のように往復運動を行わないため、振動が少なく、より安定した切断が可能です。さらに、曲線や直線を含む複雑な形状の切断にも対応できるという点がメリットです。

帯鋸盤の種類

帯鋸盤には、主に縦型帯鋸盤、横型帯鋸盤、ポータブル帯鋸盤の3種類が存在します。帯鋸盤の種類を理解し、用途に応じて適切な機種を選ぶことで、効率的かつ正確な切断作業が可能となります。

1. 縦型帯鋸盤

縦型帯鋸盤は、一般的に木材やプラスチックの板材を切断する際に使用されます。縦型帯鋸盤は、立てられた刃を高速回転させ、切断部材をテーブル上で移動させることで切断が可能です。曲線や直線の切断が容易に行えるため、家具製作や木工などの分野でよく利用されています。

2. 横型帯鋸盤

横型帯鋸盤は、主に金属やプラスチックの棒材やパイプを切断する際に適しています。切断対象の部材を固定し、水平に配置された刃を押し当てることで切断を行います。金属加工や機械加工などの現場で重宝されるタイプです。

3. ポータブル帯鋸盤

ポータブル帯鋸盤は、電源が確保できない場所や移動が必要な場面で活躍する、充電式の帯鋸盤です。小型で軽量なため、持ち運びが容易で、現場での作業に大変便利です。建築現場や屋外での作業など、さまざまな場面で使用できます。

参考文献
https://www.kousakukikai.tech/bandsaw/
https://www.yasui-k.com/contents/archives/category/toriatsukai-item/used_woodworking_machine/used_setudan/