耐圧試験機

耐圧試験機とは

耐圧試験機とは、電気機器が高電圧状態に耐えられるか、その絶縁能力を確認するための機器です。

絶縁力が不十分だと、高電圧が適用された時、絶縁破壊が生じ、それが利用者の感電、機器の損傷、火災の発生、最悪の場合だと爆発にまで繋がる可能性があります。このような危険を回避するため、日本では電気用品安全法が制定され、各種電気機器が耐えなければならない、最低限の電圧レベルを定めています。

耐圧試験機は、その電気用品安全法で規定された電圧での検証をするために活用される機器です。

耐圧試験機の使用用途

耐圧試験機は、どのくらいの電圧まで耐えられるのかを確認する際に使用されます。絶縁破壊が起きた機器に直接触れたとき、人間の体を通じて地へと電流が流れるという経路が形成され、感電事故が生じます。

これを防ぐためには、機器から外へ電流が漏れないように全面的に絶縁することが効果的です。また、別の対策として、機器から電流が漏れた際に電流の流れを抵抗値がほぼゼロの経路に誘導する方法もあります。

通常、これらの対策は機器の設計段階で考慮されます。設計後、機器が想定通りの絶縁耐圧を持っているか確認するために耐圧試験機は有用です。

耐圧試験機の原理

耐圧試験機による検証では、通常使用される電圧の数十倍にあたる数キロボルトの交流あるいは直流電圧を機器に適用します。具体的な手法としては、電源の2つの端子間を短絡させ、この端子と機器の筐体やキャビネットなどの外部部分との間に一定時間、高電圧を印加します。

この高電圧印加後、機器の動作が試験前と同じであれば合格です。耐圧試験機による検証は、電気用品安全法などの法令に準拠して行われ、機器が規格を満たしているかの確認をするため、正確な試験が不可欠です。印加する電圧やその印加時間が正確でなければ、試験の価値は無いと言えます。

このため、耐圧試験機は定期的に校正を行う必要があります。校正用の標準機器を用意し、テスト対象の試験機の表示値が標準機器と比較してずれていないか確認し、調整を行います。適切な管理の一環として、校正された試験機には、校正日などを明記したステッカーを貼るのが一般的です。

耐圧試験機の構造

1. 電源部

電源部は、試験機自体への電源供給と高圧を生成するための電力変換を担当します。ACやDCの供給が可能なものや、特定の電圧・周波数範囲に対応したものがあります。

2. 高圧生成部

高圧生成部は特定の電圧を生成し、被試験体に供給する役割を果たします。安全な操作を保証するために、高圧生成部は通常、適切な絶縁材料で覆われています。

3. 制御部

制御部は、試験の設定と管理を担当します。通常はデジタルインターフェースを持ち、試験のパラメータ設定や結果の読み取りが可能です。

4. 測定部

測定部は試験中の電圧と電流を監視し、被試験体の耐圧性能を評価します。多くの場合、過電流または電圧異常が発生した際に試験を自動的に停止する機能を持ちます。

5. 出力部

出力部は高圧を被試験体に供給します。接続はプローブやクリップなど、さまざまな種類のコネクタを介して行われます。

それぞれの部分は、試験機の安全性、精度、信頼性に直結するため、耐圧試験機を選ぶ際は構成要素を理解しておくことが重要です。

耐圧試験機の選び方

1. 耐圧範囲

各耐圧試験機は、特定の電圧範囲に対応しています。試験したい製品の電圧範囲と試験機の耐圧範囲が一致することを確認する必要があります。

2. 絶縁抵抗計測機能の有無

絶縁抵抗を試験することも、重要な検査の一部です。この機能がある機種を選ぶと、より包括的なテストが可能になります。

3. 信頼性と安全性

メーカーの信頼性と機器の安全性も考慮するべきです。メーカーが規格を満たしていることを証明する適切な認証を持っているかどうか、事前に確認しておくと安心です。

4. 操作性と視認性

使いやすさと読み取りやすさも重要な選択基準です。大きくて明瞭なディスプレイと直感的な操作性を持つ製品だと、作業をスムーズに行えます。

5. サポートとメンテナンス

購入後のサポートとメンテナンスが確実に提供されることも重要です。サポート体制が整っているメーカーであれば、万が一のときに対応してくれます。

参考文献
https://kesoku-blog.com/?p=1730
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=35
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=safetytest

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