深さ測定器

深さ測定器とは

深さ測定器とは、深さを測る測長器の1種です。

デジタルインジケータに代表されるような長さ測定器では、表面に当たる部分を基準に、測定端子がどのくらい戻ったかで長さを算出するのが一般的です。一方、深さ測定器では測定器のベース基準面をゼロ点とし、測定端子がどのくらい伸びたかで長さを算出します。

深さ測定器は深さを英語読みして、デプスゲージまたはディップスゲージとも言われることもあります。精度や用途により、アナログ式とデジタル式を選択します。

深さ測定器の使用用途

深さ測定器は主に、工業製品の製造工程、品質管理などで使用されます。ノギスやマイクロメータ、ハイトゲージといった精密測定器の1つとして、工業製品の定盤作業による測定作業で使用される計測器です。多くの工場の精密測定室、製品管理室などに備えられています。

深さ測定器の原理

深さ測定器では深さの基準となる面と、測定対象となる部位との距離を直接測定します。そのために、深さ測定器には基準となる面と接する面と対象部位に接触させる測定子を有していることが一般的です。

深さ測定器の種類に応じて、両者の距離をノギスと同様のバーニアによる目盛りやダイヤルゲージ、デジタル表示などで読み取ります。特にダイヤルゲージを用いた深さ測定器には、幅広い深さの測定に対応できるよう、測定子の長さをアタッチメントによって変更できるタイプもあります。

深さ測定器の種類

深さ測定器は大きくノギス型、マイクロメーター型、デジタルインジケータ型に分類されているところにあります。

1. ノギス型

ノギス型の深さ測定器は、一般的なノギスと同様にメモリによって測定結果を読み取る測定器です。ノギスにはデプスバーというパーツがあるため深さの測定ができますが、対象となる部分にまっすぐバーを当てることが難しいため精度が低く、読み取った値は参考値にしかなりません。

ノギス型では、目盛りは本尺目盛りと副尺目盛りで読み取る同じスケールレンジですが、基準面がとれる形のためノギスで測定できない形の溝や穴を正確に測定することができます。

2. マイクロメーター型

マイクロメーター式の深さ測定器の原理は、マイクロメーターと同じで、中央の回転軸の送り量で長さを算出します。マイクロメーター式の深さ測定器は、測定端子と測定器具の目盛りが同一線上になるので、アッベの法則より高精度な測定が可能です。

アッべの法則とは、測定器は測定子と目盛りが同一直線上に並んでいることが、精度の高い測定の条件であることを示した原理です。

3. デジタル型

デジタル式のものはデジタルインジケータと同様、光学式のモアレ干渉縞を用いたリニアスケールを使用しています。デジタルの利点を活かして平均値を求めることも可能です。また、継足 (つなぎあし) と呼ばれる補助具を取り付けることで測定範囲を変えることができます。

深さ測定器のその他情報

1. 光学機器による深さ測定

微小な深さ測定なら、光学機器による深さ測定も可能です。オートフォーカス機構を備えた顕微鏡で、深さの基準面と深さの対象部位にピントを合わせることによって、2点間の距離を知ることができます。精密な測定に対応していますが、深さ方向を顕微鏡のピント方向と合わせることが大切です。

2. 焼入硬化層深さ測定器

焼入硬化層深さ測定器は、鉄鋼材料の表面硬化処理において、硬化層深さを測定する装置です。鉄鋼材料における表面硬化処理には高周波焼入れ、浸炭焼入れなどがあります。従来の表面硬化処理深さ測定は、処理品の断面においてマイクロビッカース硬さ試験を行い、硬さ推移を確認して行なっていました。

しかし、非破壊検査ではなく処理品を切断、研磨処理しなければならず、検査には多くの時間と労力が必要です。焼入硬化層深さ測定器なら、非破壊かつ短時間で焼入硬化層深さ測定が可能です。焼入硬化層深さ測定器では試料表面から超音波を照射し、製品内部の金属組織の違いよる超音波の散乱の違いから、硬化層深さを知ることができます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です