サーボアンプ

サーボアンプとは

サーボアンプ

サーボアンプとは、サーボモーターをコントロールする制御装置のことを指します。サーボモーターとは、回転⾓度を検出するエンコーダが内蔵されているモーターです。エンコーダによってサーボアンプに変位をフィードバックします。

サーボアンプによる制御及びサーボモーターの⾼精度な回転動作により、各メーカーのFA機器は高度な駆動制御の実現しています。サーボアンプはメーカーによってはサーボドライバとも呼ばれます。

サーボアンプの使用用途

サーボアンプは、サーボモータを駆動させるFA機器として幅広く使用されます。輸送機器・産業機器・電子部品・樹脂部品などの幅広い製造過程において広く用いられます。

産業用途の使用例を下記します。

  • 車載用大型金型を駆動するためのプレス装置に使用されているサーボモータの制御
  • アミューズメント機器(ジェットコースター、スライダーなど)の駆動に使用されているサーボモータの制御
  • 工作機械や協働ロボットの駆動用サーボモータの制御
  • 自動倉庫の積出、積卸機械の制御

家電製品としては、ロボット掃除機などに使用される場合があります。

サーボアンプの原理

サーボアンプの基本原理は、インバータと似ています。まず、受電した交流電源を直流へ変換します。変換された直流電源をチョッパなどで制御することにより、必要な周波数の交流電源へと変化させます。PWM制御が用いられることが多いです。

インバータとの最大の違いは、対となるサーボモータの変位を受け取ることです。サーボモータは大容量のものを除き、多くは永久磁石形同期モータが使用されます。固定子コイルに流れる電流が磁界へと変化し、永久磁石が付いたロータを回転させる仕組みです。

サーボモータにはエンコーダが付属し、モータの回転角や回転速度をサーボアンプへフィードバックします。モータの位置情報を受け取ったサーボアンプは、リアルタイムにモータを制御して所定の位置で止めます。制御方式は、「オープンループ制御」と「クローズドループ制御」の2種類に大別されています。サーボアンプはクローズドループ制御を用いる機器です。

1. オープンループ制御

フィードバック・ループがない、指令値の応答に対して開放状態の制御のことを言います。代表例としてステッピングモーターは、回転子の実際の回転角度と速度信号をフィードバックしない制御が可能なモーターです。

2. クローズドループ制御

クローズドループ(閉ループ)とは、フィードバックのある制御方式の一種です。制御装置からの出力信号によって制御対象機械の移動量などのデータを制御装置にフィードバックし、入力値と出力値を常に比較し両者を一致させるように全体の操作量を調整する制御です。

サーボアンプはメーカー毎に様々なラインナップが存在しているため、使用環境や設備仕様要件に合ったタイプのサーボアンプとサーボモータをセットで選定する必要性があります。

サーボアンプのその他情報

サーボアンプの原点

サーボアンプには原点という概念があります。原点は、サーボモータの回転角が0となる変位点です。原点を基準に、サーボモータの移動距離や回転角を計算して出力します。サーボアンプは、原点を絶対位置とする場合と都度原点を決める場合があります。

絶対位置とする場合には、サーボアンプの電源を切っても内部でサーボモータの原点位置を覚えています。電源を入れなおせば元通り動作するため、原点を決めなおす手間が省けます。ただし、モータの軸に対して負荷を滑らせたり、モータを交換たりすると原点が狂うため、再度原点セットする必要があります。

都度原点を決めなおす場合は、機械の動作前に必ず原点を探してセットしなければなりません。動作前に予備動作が必要な反面、部品交換時も簡単に原点を合わせることが可能です。

参考文献
https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/drv/servo/pmerit/mr_j5/amp/feature.html
https://www.e-mechatronics.com/product/servo/

NPTねじ

NPTねじとは

NPTねじ_図0

NPTねじ (英: National Pipe Taper, American National Standard Taper Pipe Thread) とは、アメリカ規格管用ねじのテーパねじの1種で、管 (パイプ) 端部のねじや管継手などに使用されるねじ山です。

なお、NPTねじの配管接合方法には、下記の種類があります。

  • 差し込み接続
  • ねじ込み接続
  • フランジ接続
  • 溶接接続

NPTねじの使用用途

NPTねじは、他の管用テーパねじと同様に、主に密閉性が必要な場合の接合部分に使用されます。特に、製造社がアメリカやANSI/ASME規格に基づいて設計・製作されている機械や装置、プラントの配管などの接合部分に有用です。

代表的な使用例では、配管接合部のねじ込み式接合に使用する管継手が挙げられます。なお、NPTねじのねじ込み式管継手は、さまざまな種類があります。NPTねじの管継手は、図1を参照してください。

NPTねじ_図1

図1. NPTねじのねじ込み式管継手

また、バルブの配管接合部にはNPTのめねじが加工されていたり、管 (パイプ) の端部にNPTのおねじを加工したり、配管の組み立てには多くのNPTねじが使用されています。NPTねじの配管組み立てでの使用例は、図2を参照してください。

NPTねじ_図2

図2. NPTねじ 配管組み立ての使用例

NPTねじの原理

NPTねじ_図3

図3. NPTねじの締め込み深さ寸法

NPTねじのテーパは、隣接するねじ山の頂 (もしくねじ谷の底) 間を結んだ線とねじ中心軸は平行ではなく角度が付いています。この角度により、おねじは先端に向かって細く、めねじは穴端面から奥に向かって狭くなっています。

NPTねじは深く締め込むほどに、おねじとめねじの隙間は小さくなり、締め付けが強くなります。しかし、締め込みが深か過ぎると、ねじが破損する可能性があるため注意が必要です。

ANSI規格には、手作業時の締め込み深さL1寸法として、ねじサイズごとに規定されていています。ただし、この寸法はあくまでも目安で、ねじの加工精度によって異なります。

それぞれの現場によって、トルク管理や締め込み寸法管理を行っています。締め込み深さ寸法の例は、図3を参照してください。

NPTねじのその他情報

1. NPTねじの基準山形

NPTねじ_図5

図4. NPTねじとRねじの基準山形

NPTねじの基準山形のテーパ率は、ねじの軸中心に対して1/16で角度では3.576° (片側では1/32、1.789°) 、ねじ山もしくは谷の角度は60°です。NPTねじとRねじの基準山形は、テーパ角度は1/16で同じですが、ねじ山もしくは谷の角度は55°と異なっています。したがって、NPTねじとRねじでは互換性はありません。

テーパ率=1/16とは、ねじ中心軸方向の長さ16インチに対して、直径方向に1インチの勾配です。NPTねじとRねじの基準山形は、図4を参照してください。

2. テーパねじと平行ねじ

NPTねじ_図4

図5. NPTねじとNPSCねじの組み合わせ

一般的に、NPTねじの締め込み作業は、おねじ側にシールテープなどを巻き付け、密閉性を向上させます。ただし、ANSI規格ではNPTねじ以外の管用テーパねじとして、NPTFねじ (英: Dryseal USA Standard Taper Pipe Thread) があり、シール材を用いないで密閉性を確保できるねじがあります。

また、テーパねじに対して、管用平行ねじのNPSねじ (英: National Pipe Straight Pipe Thread) があり、NPTねじと同じANSI規格番号で規定されています。なお、NPTねじとNPSCねじの使用できる組み合わせは、図5を参照してください。

3. NPTねじの規格

NPTねじは、下記の規格で規定されています。

ANSI/ASME B1.20.1 Pipe Threads, General Purpose (Inch)
ANSI (American National Standards Institute) とは、「アメリカ規格協会」で米国の代表的な標準化機関です。また、ASME (The American Society of Mechanical Engineers) は、「米国機械学会」です。

NPTねじの類似ねじは、JIS規格とISO規格ではRねじになり、下記で規定されています。

JIS B0203 管用テーパねじ (英: Taper Pipe Threads)
ISO 7-1, Pipe threads where pressure-tight joints are made on the threads−Part 1:Dimensions, tolerances and designation

4. NPTねじ以外の管用テーパねじ

日本国内で使用されている管用テーパぬねじは、ほ多くの場合JIS規格のRねじですが、ANSI/ASME規格のNPTねじも一部では使用されています。ただし、NPTねじとJIS規格のRねじでは互換性はなく、同じ接合箇所に組み合わせての使用はできません。

したがって、保守やメンテナンス作業の際は、NPTねじと他のテーパねじを間違えないように注意が必要です。なお、NPTねじの判別は、NPTねじゲージを使用して確認できます。

参考文献
https://www.yamawa.com/Portals/0/resource/jp/tips/pdf/tips-088.pdf
http://www.kyoei-hyd.com/images/documents/thread_dimensions.pdf
https://www.jp.omega.com/techref/Temperature243.pdf
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/nejikisokouza_0301/

真空乾燥機

真空乾燥機とは真空乾燥機

真空乾燥機とは、密閉された空間内で真空や減圧状態を作り出し、乾燥を行う装置です。

この減圧状態にすることで、対象物から水分が蒸発する際の必要な温度が下がる原理を応用しています。通常の温風乾燥機と比べて低温でも乾燥できるため、短時間で効果的に乾燥させたいときに役立ちます。

また、乾燥対象物の表面を傷つけにくいことも特徴で、大学の理工学系研究室や食品加工業界などでよく使用されます。水分が蒸発する際に発生する気化熱によって周囲の温度が低下することから、効率的な乾燥を実現するためには、事前に予備乾燥などの工夫が必要です。

真空乾燥機の使用用途

真空乾燥機は、下記の用途で主に使用されます。

  • 水分を大量に含んでいる対象物を早く乾燥させる場合
  • 多孔質体のように、内部に水分が含まれやすい物質を乾燥させる場合
  • 表面を傷めずに乾燥させる場合

具体的な分野としては、以下が挙げられます。

1. 食品

真空乾燥機は、フリーズドライの製造で利用されています。食品を凍結させた後に真空乾燥することで、風味や鮮度を保ちつつ加工可能です。

その他、インスタントコーヒーや粉末調味料、乳製品の製造時に使用されています。

2. 成型加工

特に樹脂の加工において、吸湿性や湿度による影響を避けるために真空乾燥が適しています。低温で均一に乾燥可能で、成形品の品質維持に役立ちます。

成型加工時に余分な水分が存在すると、加熱時の樹脂の加水分解、水による熱分解の加速、蒸発によるクラックなどが発生する可能性があるため注意が必要です。また、樹脂は乾燥温度によっては熱分解を生じる可能性があり、熱分解の危険性のない温度で乾燥させることで性能を維持できます。

3. 電気電子部品

モータコイルや変圧器、通信ケーブルなどの電子部品は、絶縁不良や水分によるダメージが致命的となります。真空乾燥により内部まで効果的に乾燥できるため、品質を保つことができます。

4. 金属・機械加工部品

精密機械加工部品の形状は複雑で多数の孔があるので、温風乾燥機等では乾燥が困難です。焼結部品や金属粉末などを内部まで均質に乾燥させるために、真空乾燥が利用されます。 

多孔質体や粉末の場合は、素材の熱伝導率が低いと内部まで均一に乾燥しないケースがあります。乾燥物の温度を予め上げておくことで、乾燥の効率が上がります。

真空乾燥で乾燥物温度をより早く上げるために、高速真空乾燥機と温風循環加熱が利用されています。熱伝導率の低い対象物であっても、温風循環加熱によって迅速に昇温できるので、処理時間の短縮につながります。

真空乾燥機の原理

真空ポンプにより密閉空間内の気圧を下げることで、真空状態が生まれます。気圧が下がると沸点が下がる原理を利用すると、効率よく乾燥させることが可能です。

真空乾燥機は、電気ヒーター付きの密閉容器とガス交換バルブ、真空計が取付けられたシンプルな構造です。種類によっては、気化した水蒸気を再凝結させるための冷却トラップを設置します。

冷却トラップで水を回収することで、真空ポンプへの水の流入を防ぎます。水の流入はオイルの劣化につながるため、注意が必要です。

真空乾燥機の種類

真空ポンプには、気体輸送式と気体ため込み式の2つの主要なタイプがあります。気体輸送式は気体を外部に排出する方式で、容積移送式と運動量輸送式に分けられます。

容積移送式は定期的に一定体積の気体を排出し、運動量輸送式は気体に運動量を与えて連続的に排出します。

代表的なポンプは、容積移送式の油回転ポンプとドライポンプです。

1.  油回転ポンプ

油回転ポンプは摺動部分に潤滑油が使用されているため、可動性やシール性に優れています。ポンプの中では最も効率がいい方式です。デメリットは潤滑油の定期的な交換が必要となり、メンテナンスに手間がかかることです。

2. ドライポンプ

ポンプ内に3つ葉型のローターが入っており、ローターの高速回転によって容器内の空気を排出します。潤滑油を必要としないため、環境負荷の少ない排気が可能です。

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/qa/detail/9/

フッ素コーティング剤

フッ素コーティング剤とは

フッ素コーティング剤は、被保護物の表面に塗布することにより被膜を形成し、被保護物にフッ素による滑り性や防汚性などの様々な効果を付与するものです。

フッ素樹脂を溶解した溶液状の製品がほとんどで、刷毛や浸漬などで簡単にコーティングでき、室温で乾燥できることも特徴です。

フッ素コーティング剤の使用用途

フッ素コーティング剤は、フッ素由来の様々な効果を発揮することから、数多くの製品や分野で使用されています。例えば、撥水撥油効果を必要とするタッチパネルのディスプレイ表面や防水スプレーの原料が挙げられます。また、防水機能を必要とする基板のコーティングや防汚機能を必要とする自動車のボディーやガラスへの使用が代表的です。

フッ素コーティング剤の原理

フッ素コーティング剤の主成分であるフッ素は、C-F結合が安定しており、分子と分子が引き合う力 (分子間凝集エネルギー) が弱い特性があります。このため、フッ素コーティング剤の表面張力は低くなります。これに対し、被保護物への付着を阻止すべき水や油は分子同士が引き合い、その表面張力はフッ素コーティング剤の表面張力よりも高い値です。

このことから、表面張力の低いフッ素コーティング剤の被膜の上では、表面張力が高い水や油は液滴となり、水と油がはじかれます。また、微生物をはじめとする生物といった付着物も、フッ素コーティング剤の表面張力よりも大きな表面張力を有することから、付着しにくく、これらからの防汚も可能です。

なお、このはじく性質は、ぬれ性を示す接触角であらわされ、液体を固体表面に落としたときにできる液滴のふくらみ (液の高さ) の程度を数値化してあらわした値です。具体的には、固体表面に付着した液を横から観察して測定し、固体表面を基準として液滴の端点における液の角度を測定します。このとき、接触角が90度より大きなものが撥水性とされており、フッ素コーティング剤の接触角も90度より大きい値です。

フッ素コーティング剤の種類

フッ素コーティング剤には様々な種類があります。代表的なフッ素コーティング剤は以下の通りです。

  • 不燃性溶剤タイプ
    引火性が無く安全に使用できるタイプ。
  • 水性タイプ
    キュアリング不要で、水またはアルコールで希釈して使用できるタイプ。
  • 石油系溶剤タイプ
    コストパフォーマンスに優れているタイプ。

また、フッ素コーティング剤の中には、撥水性能が非常に高く「超撥水フッ素コーティング剤」と呼ばれるものもあります。一般的な撥水と超撥水の違いは、固体表面に液体が触れた時の接触角の差であらわされ、接触角が140度以上だと超撥水、90度以上だと撥水と呼ばれています。

フッ素コーティング剤のその他情報

フッ素コーティング剤の応用

前述したように、フッ素コーティング剤は様々な製品や分野で使用されています。下記では、フッ素コーティング剤の特性を応用した具体的な導入例について解説します。

1. 撥水撥油性
フッ素コーティング剤は、撥水性能と撥油性能が高いことから、インクを使用する製品や部品に多く利用されています。例えば、ボールペンなどのインクケース部分の内部に塗布することにより、残量の可視化やインクを無駄なく使用することが可能です。

2. 防湿性
フッ素コーティング剤は撥水性能があることから、防湿機能も果たします。このため、湿度により特性が変わってしまう、例えば基板の保護剤として使用されます。フッ素コーティング剤は塗布が可能なので、基板を痛めることなく薄膜が形成でき、基板重量を抑えた形での防湿が可能です。

3. 防汚性
フッ素コーティング剤は、先程述べたように表面張力が小さいことから、水や油分だけでなく、微生物などの付着も防止します。このため、自動車のボディーやガラスのコート剤としても好適です。なお、フッ素コーティング剤による施工は、業者に依頼しておこなうほか、スプレー状のコーティング剤などを利用して自分で行うこともできるのがメリットです。

参考文献
https://www.fluorotech.co.jp/column/fluorine_coating.html
https://cos.cosmo-oil.co.jp/blog-detail/1/1000000454/
https://www.harves.co.jp/products/water-oil_repellent.php

イオン交換樹脂

イオン交換樹脂とは

イオン交換樹脂イオン交換樹脂は水を浄化するために用いられます。

樹脂の表面はスルホ基やアンモニウムイオンなどで修飾されており、水を流すと水に含まれるイオン性の不純物と樹脂表面のイオンが交換され、不純物が除去されます。イオン交換樹脂は陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂の2つに分けられ、除去したいイオンの種類、強さに応じて使い分けます。イオン交換樹脂は純水の製造、重金属イオンの除去など様々な用途で用いられます。

イオン交換樹脂の使用用途

イオン交換樹脂は水を浄化するために用いられます。例えば海水には塩、つまり塩素イオンとナトリウムイオンなどの様々なイオンが含まれています。

その他、工場で使われた水には重金属イオンが含まれることがあります。これらのイオンを除去するために用いられるのがイオン交換樹脂です。イオン交換樹脂の具体的な用途としては純水の精製、カルシウムイオンなどが多い硬水の軟水への加工、重金属イオンの分離・回収、医薬品の精製などが挙げられます。

イオン交換樹脂の原理

イオン交換樹脂は0.5mm程度の球状の樹脂で、表面には様々な官能基が修飾されています。修飾された部分はイオンの状態で存在しており、正電荷または負電荷を有しています。この樹脂にイオンが含まれた水を流すと、イオンの電荷の強さの大小によって樹脂のイオンと水中のイオンが交換、つまり水中のイオンが樹脂によって除去されます。イオン交換樹脂は2種類に分けられます。

1. 陽イオン交換樹脂

樹脂の表面に酸性官能基を導入しており、水中の陽イオンを除去することができます。強酸であるスルホ基、または弱酸であるカルボン酸基が修飾されており、除去したいイオンの強さに応じて使い分けます。

2. 陰イオン交換樹脂

水中のイオン除去

図1. 水中のイオン除去

樹脂の表面に塩基性官能基を導入しており、水中の陰イオンを除去するために用います。アンモニウムイオンやジエチルアミノ基が修飾されており、塩素イオンなどの陰イオンの除去に用います。

イオンを除去できる能力は樹脂のイオンの強さ、水中に含まれるイオンの強さ、濃度、カラム温度など様々な条件に依存します。そのため、実際に使用するときは条件の最適化が必須です。

イオン交換樹脂のその他情報

1. イオン交換樹脂の寿命と再生法

イオン交換樹脂の再生

図2. イオン交換樹脂の再生

イオン交換樹脂は樹脂表面に修飾された官能基に含まれるイオンと水中のイオンを交換することで水を浄化させます。したがってイオン交換樹脂を使い続けると樹脂表面のイオンは水中に含まれるイオンに置き換わり続け、イオン交換能力も減少します。

ただし、イオン交換樹脂は再生、再利用することが可能です。陽イオン交換樹脂は塩酸、陰イオン交換樹脂では水酸化ナトリウムに浸漬させることでイオン交換樹脂に吸着した水中のイオンと塩酸の水素イオン、水酸化ナトリウムの水酸化物イオンの交換が起こります。これによりイオン交換樹脂を再生させ、利用することが可能です。

2. イオン交換樹脂の廃棄

イオン交換樹脂は上記の通り再生、再利用することが可能です。一方で、樹脂自体が劣化したり、修飾したイオン交換基が分解したり、樹脂表面に汚れが蓄積してイオン交換基が覆われると再生不可能となります。

性能が低下して使用できなくなったイオン交換樹脂を廃棄する場合、焼却処理するのが一般的です。ただし、スルホ基などの修飾された官能基、水中に含まれる塩化物イオンなどが焼却時に分解したり、酸化物に変化することで大気汚染の原因となる可能性もあります。イオン交換樹脂の処理は自治体の条例に従う必要があります。

3. イオン交換樹脂を用いた純水製造

イオン交換樹脂は純水製造装置に使われています。ただし、イオン交換樹脂は水中のイオン以外の不純物を除去することが出来ません。このような不純物を除去するため、純水製造装置にはイオン交換樹脂以外に砂や活性炭も含まれています。まず砂ろ過、活性炭処理、前処理フィルターによって固形分などの不純物を除去したり、簡易精製を行った後にイオン交換樹脂で処理することで純水を製造します。

参考文献
http://www.purolite.co.jp/2013-01-29-573#i-5
http://ier.organo.co.jp/ion_exchange/index.html
https://www.diaion.com/youto/
https://kcr.kurita.co.jp/wtschool/004.html
https://patents.google.com/patent/JP2005219011A/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaie1990/11/2/11_2_45/_pdf

バイオマス発電機

バイオマス発電機とは

バイオマス発電機

バイオマス発電機とは、バイオマス資源を燃料にして発電する装置です。

バイオマス資源とは、石油や石炭のような化石燃料ではなく、再利用可能な動植物由来の資源を指します。化石燃料を使用しないため、エコな発電機として注目されています。

また、バイオマス発電機では、カーボンニュートラルを実現できるだけでなく、安定的に発電できる点が大きな特徴です。理由として、自然エネルギーを利用した発電とは異なり、燃料を安定して得られることが挙げられます。

バイオマス発電機の使用用途

バイオマス発電機は、電力の発電用途に利用されています。そのサイズはさまざまで、工場内で使用される比較的小型なものから、電力会社が運用する大型のものまであります。日本国内での大規模発電所の所在地は、群馬県や新潟県、北海道などです。

小型のバイオマス発電機の中には、50kW程度の発電能力を有している製品もあります。ただし、バイオマス発電機は、大型のものほど発電効率が高くなり、小型の発電機は発電効率が低くなります。

そのため、バイオマス発電機を導入する場合には、発電効率と発電能力、ランニングコストの検討が必要です。

バイオマス発電機の原理

バイオマス発電機は発電原理の違いにより、「直接燃焼方式」「熱分解ガス化方式」「生物化学的ガス化方式」の3種類に大別されます。発電原理により特徴が異なるため、使用用途や必要な発電能力に応じて最適な方式の選択が必要です。

1. 直接燃焼方式

直接燃焼方式では、燃料に間伐材や可燃ごみ、廃油などを使用し、直接燃焼させています。燃焼時に発生する熱エネルギーで、水を沸騰させ蒸気タービンを回転させて発電する原理です。一般的に、間伐材などを細かく裁断し、燃焼効率を最適化しています。

ただし、この燃焼方式では蒸気タービンを回転させるだけの高温環境を作り出すのが難しく、小型の装置であるほど発電効率が低下します。そのため、大規模装置に向いている発電方式です。しかしながら、大規模装置となると燃料の調達が難しい点が課題となります。

2. 熱分解ガス化方式

熱分解ガス化方式は、バイオマス燃料を高温状態で熱処理してガスを発生させ、ガスタービンを回転させて発電する方式です。このバイオマス燃料としては、間伐材や木くずを木質ペレットや木質チップに加工したものを使用しています。

この発電方式の特徴として、高い燃焼温度を達成できる点が挙げられます。そのため、小型のバイオマス発電機に最適な発電方式です。

3. 生物化学的ガス化方式

生物化学的ガス化方式は、他の発電方式とは大きく異なり、家畜の糞尿や下水汚泥を原料とした方式です。これらの原料を発酵させるとバイオガスが発生します。

このバイオガスでガスタービンを回転させ、発電しています。この方式では、燃焼しにくいバイオマスを利用できるほか、高い発電効率が得られるのがメリットです。

バイオマス発電機のその他情報

1. 超小型のバイオマス発電機

超小型のバイオマス発電機の開発も進んでいます。海外メーカーのものですが、高さ約2.5×長さ約44.8×幅約1.3メートルと超小型のバイオマス発電機も開発されました。この発電機では、1基あたりの発電出力は40 kW、熱出力が100 kW、エネルギー効率は約78%で十分な効率の確保が可能です。

日本でのこのような超小型バイオマス発電機の導入例としては、秋田県の「道の駅たかのす」があります。超小型バイオマス発電機を設置して足湯の温水供給に活用する、冬季間のビニールハウスの暖房用に使用するなどしています。

2. バイオマス発電機を活用した発電所

日本では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度 (FIT) が始まって以来、バイオマス発電機を活用した発電所の認定量や稼働量は増加傾向にあります。その発電所の多くは、木質ペレットやPKS (Palm Kernel Shell:パーム椰子の種からパーム油を搾油した後の椰子殻) などのバイオマス燃料の多くを輸入に頼っている状況です。

バイオマス発電が事業として成り立つためには、比較的安価な燃料が安定的に供給される仕組みが不可欠です。しかし、その仕組みは未だ十分といえる状態ではありません。そこで、日本国内では経済産業省がバイオマスの持続可能性を議論するためのワーキンググループを開催しています。

再生可能エネルギーを推進する国際ネットワークであるREN21 (本部: フランス) から公表されている「自然エネルギー世界白書2020」から国際的な動向を見てみます。世界全体では、バイオエネルギーはゆるやかな成長を続けており、特に成長が顕著なのは中国です。中国のバイオエネルギー分野で近年の成長は著しく、REN21の統計によると、中国はバイオマスの発電量で2017年から2019年まで3年連続して世界一を達成しています。

一方欧州では、主要国の多くが脱石炭を規定路線としており、バイオマスが地域熱供給の熱源としても普及しているデンマークなどの北欧諸国を中心に、バイオマスに転換する動きがみられています。

参考文献
https://enechange.jp/articles/biomass_power_generation
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieenermix/96/6/96_802/_pdf/-char/ja
https://www.npobin.net/hakusho/2020/topix_01.html
https://www.npobin.net/hakusho/2020/trend_01.html

バイオマスプラスチック

監修:三井化学株式会社

バイオマスプラスチックとは

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックとは、再生可能なバイオマス資源を原料に、化学的もしくは生物学的に合成した高分子材料です。

必ずしも生分解性を有しているわけではありませんが、バオマスプラスチックに含まれる炭素分 (C) はもとは植物の光合成により大気中から吸収・固定化された由来のものです。そのため、最終的にプラスチックを焼却したり、分解しても、そこから発生する二酸化炭素はもともと大気中にあったもので、二酸化炭素の総量を増やすわけではないとみなすことができます。

つまり、大気中から吸収した二酸化炭素と焼却・分解時に発生する二酸化炭素の総量が同じになる、まさしくカーボンニュートラルな素材といえます。

バイオマスプラスチックの使用用途

バイオマスプラスチックは、環境対策の強化に伴って、様々な分野で使用されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 自動車
    シート用クッション材、コーティング材、内装材、自動車用部品など
  • 食品
    パッケージ、容器・トレー、包装用接着剤など
  • 日用品
    レジ袋、シャンプー容器、化粧品容器、玩具 (おもちゃ) など
  • 医療
    錠剤・カプセルの包装シート、医薬品用一次包装容器など
  • 衣料繊維
  • その他
    雑貨や土木・建築、ICT 関連製品などにも使用されています。

バイオマスプラスチックの原理

バイオマスプラスチックは、再生可能なバイオマス資源 (生物資源) を原料に、化学的もしくは生物学的に合成した高分子材料です。例えば、二酸化炭素を固定化する光合成により生育する植物を原料としたプラスチックのことです。

そのため、バイオマスプラスチックを焼却処分して二酸化炭素を排出しても、生育時の二酸化炭素の吸収量と焼却時の二酸化炭素の排出量の総量がプラスマイナスゼロとなり、高いカーボンニュートラル性を発揮できます。また、バイオマスプラスチックには生分解性のものと非生分解性のものがあります。

生分解性のものは、最終的に水と二酸化炭素に分解されますが、バイオマス由来であれば、焼却時と同様に二酸化炭素の排出はニュートラルになります。一方、石油由来の生分解性プラスチックは、分解時に二酸化炭素を増加させることになります。

このように、バイオマスプラスチックはプラスチックにカーボンニュートラル性を持たせることができる注目の素材であるのと同時に、原料は植物などの再生可能な生物資源であるため、石油由来の原料に比べて枯渇の心配が無いことも特徴の1つです。

バイオマスプラスチックの種類

バイオマスプラスチックには、大きく分けて3つの種類があります。その原料としては、サトウキビやとうもろこし、またその非可食部をなど様々なバイオマス資源が利用されています。

1. 生分解性バイオマスプラスチック

生分解性バイオマスプラスチックとは、原料がバイオマス資源かつ生分解性を有するプラスチックです。代表例は、ポリ乳酸やポリヒドロキシアルカノエート (PHA) などです。中でもポリ乳酸は、数ある生分解性プラスチックの中で最も商業化が進んでいます。ただし、成形が難しいことや価格が高い、強度が低い、耐久性が低いなどの理由から、限定的な普及に留まっています。また、どのような状況でも分解するわけではなく、コンポストなど一定条件下で分解が促進されるものです。

2. 非生分解性バイオマスプラスチック

非生分解性バイオマスプラスチックとは、原料がバイオマス資源ですが、生分解性を有していないプラスチックです。バイオポリエチレンやバイオポリアミドなどが代表例です。生分解性はありませんが、カーボンニュートラルを達成できます。生分解性プラスチックよりは扱いやすいものの、汎用プラスチックに比べ価格が高いことから限定的な利用に留まっています。

3. 部分的バイオマス原料プラスチック

部分的バイオマス原料プラスチックとは、原料の一部としてバイオマス原料を使用して製造されたプラスチックです。例えば、バイオマス由来のエチレングリコールと石油由来のテレフタル酸を重合して製造されるバイオPETなどが該当します。また、ポリ乳酸の共重合物や酢酸セルロース系もこの分類に属します。他にも古米や木粉などを混ぜ込んだ部分的バイオマスプラスチックもあります。

バイオマスプラスチックのその他情報

1. 生分解性プラスチック、バイオマスプラスチックとの関係

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いは、バイオマスプラスチックは「原料により定義されたもの」で、生分解性プラスチックは「機能により定義されたもの」であることです。

バイオマスプラスチックはこれまで述べてきたように、原料として再生可能なバイオマス資源を使用し、化学的もしくは生物学的に合成した高分子材料です。バイオマスプラスチックの中には生分解するものと生分解しないものが存在します。

これに対して生分解性プラスチックは、環境中の微生物の働きによって分解される性質を持つプラスチックで、原料が必ずしもバイオマス由来とは限りません。例えば、ポリブチレンアジペートテレフタレート (PBAT) は、化石資源由来で石油から作られるものとバイオマス由来でサトウキビから作られるものがあります。生分解性プラスチックは、レジ袋や商品包装、水切りネット、パソコン部品、土のう袋、釣り糸、農業用マルチシートなどに使用されています。

なお、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックを総称したものを「バイオプラスチック」と呼んでいます。言葉が似通っているため分かりにくいのですが、「バイオプラスチック」という言葉が使用されている場合、正確にはバイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの双方を含んでいることになります。

2. バイオマスプラスチックを取り巻く環境

環境問題とりわけ地球温暖化に対する世界的な取り組みは、1997年に制定された京都議定書に端を発します。地球温暖化は二酸化炭素を始めとする温室効果ガスによるものとされ、その排出を抑える国際的な枠組みが制定されました。京都議定書による枠組みへの対象国は先進国に限定されていましたが、2013年に制定されたパリ協定では途上国も含めた枠組みになっています。

こうした背景により、各国で二酸化炭素排出量を削減するための取り組みがなされており、バイオマスプラスチックへの転換もその1つです。しかしながら、バイオマスプラスチックへの切り替えには、品質面の課題もあることからまだ広く普及していないのが実態です。

3. 社会全体のバイオマス度を高める「マスバランス方式」

カーボンニュートラル社会の実現に向け、現在、社会全体のバイオマス度を高めるアプローチとして「マスバランス方式 (物資収支方式) 」が注目され始めています。

これは「原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料 (例: バイオマス由来原料) がそうでない原料 (例: 石油由来原料) と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法」 (環境省バイオプラスチック導入ロードマップ) を言います。

マスバランス方式によるバイマスプラスチックは、石油由来のプラスチック・化学品と物性が全く変わらないことに加え、これまで難しかった素材でもバイオマス化が可能となるなどのメリットがあります。

また、近年では、一部の化学メーカーにおいて、基礎化学品を生み出す化学プロセスの最上流部にバイオマス由来の炭化水素原料を投入することにより、根本的にプラスチックをバイオマス化させていく取り組みもスタートしており、これにより様々なプラスチックをバイオマス化することが可能になってきました。このアプローチは前述のマスバランス方式の仕組みで提供されることとなり、プラスチックの物性は従来の石油由来品と同等であるため、プラスチックのバイオマス化はこれから大きく進んでいくことが期待されています。

4. バイオマスプラスチックの問題点

通常のプラスチックと同様に、バイオマスプラスチックにもマイクロプラスチック問題があります。現在多く使用されている部分的にバイオマスを混ぜ込んだプラスチックも一部のみが生分解性であるものが多く、分解されずに残ったプラスチック片は外部環境により粉砕され小さくなりますが、短期間では分解されません。

最終的には、数μm~数十μmサイズのマイクロプラスチックとなり、有害物質を吸着しやすくなるため、これが動物の体内に蓄積され食物連鎖の過程で生態系や人体に悪影響を及ぼすのではないかと考えられています。

ただ、マイクロプラスチックの問題は、廃プラスチックをいかに街から自然に流出させないかが焦点になります。そのため、ポイ捨てや不法投棄、または集積所からのごみ漏洩を無くすことが、この問題の根本的な解決につながります。ポイ捨てや不法投棄に関しては「ごみを自然に流出させない」という意識の向上と行動変容が重要であり、集積所からのごみ漏洩に関してはハード面を含めて漏洩させない仕組みをつくっていく必要があります。

バイオマスプラスチックに限らず、プラスチックという素材を上手く使いこなしていくためには、製造・販売を行う企業から一般消費者の一人ひとりに至るまで、社会全体で環境意識を高めながら、環境負荷低減に向け必要な施策を多角的に講じていくことが重要になります。

参考文献
http://www.env.go.jp/council/03recycle/y0312-02/y031202-5r.pdf
https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20190408.html
http://www.jbpaweb.net/
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO38100800S8A121C1000000/?page=2
http://www.jbpaweb.net/gp/
https://www.mri.co.jp/knowledge/column/20190408.html

本記事はバイオマスプラスチックを製造・販売する三井化学株式会社株式会社様に監修を頂きました。

三井化学株式会社のカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー社会の実現に向けた取り組みはこちら

自動盤

自動盤とは

水検出センサーとは、水分子に吸収される長波長の光を使用して、水を検出するセンサーです。

一般的な光電センサーでは、液体を検知・検出することは可能ですが、透明な水では光が透過すると同時に光の減衰量が非常に小さく検知することが困難であり、色のついた水や色の濃度が異なる水などでも減衰量が変わるため、更に検知が困難になります。

一方、この水検出センサーは、水分子に吸収される長波長の光を使用することで、透明な水、色のついた水、色の濃度が異なる水でも検知できることが特徴です。

自動盤の使用用途

水検出センサーは、一般的な光電センサーの液体検知とは異なり、水分子に吸収される長波長の光を使用して、水を検出するセンサーであることが特徴なため、水を検出する用途で利用されています。

また、霧状の水でも安定して検出できることから、水を使用する生産現場や生産環境でのスプレーによる水洗浄の監視、貯水タンクの液面検出や液面レベルの検出、ペットボトルやガラスなどの透明容器に液が充填されているかを検出するなど、さまざまな水検出の用途で利用されています。

自動盤の原理

一般的な光電センサーは、水分子によって光を反射や拡散しながらも液体を検知・検出することは可能ですが、透明な水では光が透過すると同時に光の減衰量が非常に小さく検知することが困難であり、色のついた水や色の濃度が異なる水などでも減衰量が変わることで更に検知が困難になります。

一方、水検出センサーは、光電センサーと同様に投光側、受光側のセンサーで構成され、水分子に吸収される長波長の光には、主に1.45um(1450nm)の赤外光が用いられることが特徴です。

この水分子に吸収される長波長の光を水検出センサーに使用することで、透明な水、色のついた水、色の濃度が異なる水でも水分子に光が吸収し遮光されるため、安定して水を検知することができます。この水検出センサーの特徴から、光電センサーでは誤動作しやすい水滴や気泡、小さな気泡が蓄積した泡などの液-成分に水が使用されている場合、同様に水分子に光が吸収し遮光されるため、安定して水を検知することもできます。

参考文献
https://www.takex-elec.co.jp/bundles/takexelecpublic/pdf/library_wartersensor.pdf
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/sensor/photoelectric/ez-10/index.jsp

油圧バルブ

油圧バルブとは

油圧バルブ

油圧バルブとは、油圧システム内で流体の流れを制御するための装置です。

機械や機器で動力伝達や制御を行う際に使用されます。油圧バルブは、特定の条件に応じて流体の圧力、流量、方向を調整して、システムの動作を制御します。

自動車のブレーキシステムや建設機械、工場の生産ラインなど、さまざまな産業分野で幅広く利用されている装置です。これらのバルブは、効率的で正確な制御を提供することで、機械の動作を安定化します

油圧バルブの使用用途

油圧バルブの主な油圧バルブの使用用途は、以下の通りです。

1. 建設機械

ブルドーザーやショベル、クレーンなどの建設機械では、油圧バルブが駆動システムやブレーキ制御に使用されます。これにより、機械の動作を正確に制御し、安全性と効率を向上させます。

2. 農業機械

トラクターやコンバインなどの農業機械では、油圧バルブが操舵や昇降装置、牽引装置などの動作を制御するのに使われます。

3. 工場の機械

工場内の生産ラインや機械装置では、油圧バルブが動作の制御に使用されます。これにより、機械の動きや圧力を適切に調整し、生産プロセスを効率化します。

4. 産業機械

プレス機、射出成形機、ロボットアームなどの産業機械では、油圧バルブが精密な動作制御に利用されます。

5. 航空機および船舶

航空機や船舶では、油圧バルブが操縦系統やランディングギア、油圧ドアなどの制御に用いられます。

6. 車両

自動車やトラックのブレーキシステムには油圧バルブが組み込まれています。これにより、適切なブレーキ力が適用され、運転者が車両を安全に制御できます。

7. 圧力制御システム

油圧バルブは、圧力を制御するために使用されることがあります。例えば、自動車のサスペンションシステムやハイドロフォーミングプロセスなどが挙げられます。

油圧バルブの原理

油圧バルブは、油圧を使ってバルブを駆動するものです。油圧駆動は、油の非圧縮性を使用して機械やシステムを駆動させます。油が圧力を受けると、それによって発生する力が機械やアクチュエータに伝達され、運動や力の制御が行われる仕組みです。

油は加圧されると、その圧力は液体全体に均等に伝わり、油が受ける力がアクチュエータにも効果的に伝わります。また、油圧駆動の原理はパスカルの原理に基づいています。パスカルの原理では、液体が閉じた容器内にある場合、液体にかかる圧力は均等に分散され、液体の圧力を利用して小さな力を加えることで、大きな力を生成することができることを示しています。

つまり、油圧駆動は流体の非圧縮性を利用して大きな力とトルクを生成可能です。これにより、重い荷重を持ち上げたり、高いトルクを必要とする作業を行うことができます。そのため、油圧バルブは高い力とトルクが必要な粘性の高い流体の制御に特に向いています。

油圧バルブの種類

油圧バルブの主な種類は以下の通りです。

1. 切換弁

切換弁は、入力ポートと出力ポートの間の流体を切り替えるバルブです。異なるポートに流体を供給することで、システムの動作を切り替えられます。

2. 圧力制御バルブ

圧力制御バルブは、システム内の圧力を制御するために使用されます。特定の圧力値を設定し、システムが過負荷になるのを防ぎ、必要な動作を確保するのに役立ちます。

3. 流量制御バルブ

流量制御バルブは、流体の流れを制御するために使用されます。特定の流量を確保することが可能で、システムの速度や動作の安定性を調整します。

4. 方向制御バルブ

方向制御バルブは、流体の流れる方向を制御するために使用されます。シリンダーやアクチュエータの動作方向を変更するのに役立ちます。

5. 準安全バルブ

システムの異常な圧力上昇を防止するために使用されるバルブで、特定の圧力を超えると自動的に開くようになっています。

参考文献
https://pneumaticandhydraulic.com/the-most-common-types-of-hydraulic-valves/
https://www.ascojp.co.jp/products/rensai/hanasi05.html

振動センサー

振動センサーとは

振動センサー

振動センサーとは、機械や物体の振動の状態を計測するための検出素子です。

機械の振動状態の把握、監視には振動センサーが必要になります。なお、物体の振動を表す指標は、加速度、速度および変位の3つです。振動センサーは、これらの指標となる物理量を計測し、電圧や電流などの電気的な量に変換する機能を有します。

一般的に振動センサーの構成は、接触式と非接触式の2つがあります。測定対象の物理量 (加速度や速度、変位) や対象の状況に応じて、この2つの振動センサーを使い分けなければなりません。さらに、測定精度を高めるための詳細な振動センサーの選定には、対象物の振動の大きさや周波数範囲、および測定環境などを考慮します。

振動センサーの使用用途

振動センサーは、生産設備や研究開発の分野で使用されています。生産設備において振動センサーは、設備機器の故障や損傷を早期に検知する予防保全のために有用です。センサーを利用することで、故障や損傷による膨大な修理コストの発生や生産効率低下を未然に防ぐことができます。

近年の生産設備では、小型の振動センサーが活躍しており、その多くがIoT技術を活用した機械の診断や予知保全を目的としています。研究開発の分野での振動センサーの使用事例は、製品試験や耐久試験における振動計測です。

自動車業界を筆頭に乗員の快適性評価にも、振動センサーが活用されています。その他の産業機器の分野では、電気機器や自動車、生産ロボット向けの用途と多岐にわたります。

振動センサーの原理

前述したとおり、振動センサーの構成には接触式と非接触式の2種類があります。加速度の計測には接触式が、速度や変位の計測には、非接触式の振動センサーが用いられます。

ここでは、各種振動 (加速度、速度、変位) 計測に適した1つ1つの振動センサーの原理を紹介します。

1. 接触式: 加速度検出型の圧電式センサー

圧電式センサーは、圧電材料に生じる圧電効果を利用しています。圧電効果とは、水晶の単結晶などの圧電材料 (圧電素子) は、力を受けるとその表面に電荷が生じる現象です。圧電効果により、加速度に応じた電気信号が出力されます。

2. 非接触式: 速度検出型のレーザードップラー式センサー

レーザードップラー式センサーは、ドップラー効果を利用したセンサーです。センサーから振動物体にレーザー光を照射し、 振動物体から反射されたレーザー光の周波数変化を速度変化として電圧に変換することによって、振動の速度を検出します。

3. 非接触式: 変位検出型の静電容量式センサー

静電容量式センサーとは、センサーと測定対象物間の静電容量を測り、距離を算出する原理を有するセンサーです。センサーと測定対象物との距離が変化すると、静電容量値が変化することによって、振動の変位を計測しています。

振動センサーのその他情報

1. 振動センサーの検出要素

機械振動の検出要素は、JISの規定によると、機械系の運動または変位を表す量の大きさの時間的変化です。平均値または基準値よりも大きい状態と小さい状態を交互に繰り返す場合が多く、一般にこの振動は、振幅・周波数・位相の3つの要素から成り立っています。

特に一定時間毎に繰り返すような振動は調和振動と呼ばれ、単一周波数で構成されます。その場合の変位、速度、加速度は以下の通りです。変位を微分することで速度、速度を微分することで加速度が導くことが可能です。

  • 変位d = Dsin (ωt + Φ)
  • 速度v = Vcos (ωt + Φ)
  • 加速度a = – Asin (ωt + Φ)

ただし、D: 片振幅、ω: 各速度 ω=2πf、f: 周波数f=1/T、T: 周期 (秒)、Φ: 初期位相。

この調和振動を検出するための振動センサーの種類には、加速度センサー (圧電型)、速度センサー (動電型)、非接触変位センサー (渦電流型) があります。この中で、特に圧電型加速度センサーは広い周波数範囲をカバーできる特徴です。

2. 振動センサーの使い方

一例として、振動監視などに用いられる圧電型振動センサーの使い方について説明します。圧電型振動センサーは圧電効果を利用しており、外力を加えるとその力に比例した電荷を発生し出力します。特に電荷出力タイプの圧電型振動センサーは小型化に有利です。

センサーの固定方法は、非測定物に密着する様にスタッドボルトなどでしっかり固定することが大切です。しっかり取付けられていないと、周波数応答などに特異な減衰特性を有するフィルタ特性を示す場合があり、正確な計測ができなくなります。その他には、接着剤やマグネットを用い固定する方法もあります。

振動センサーから検出されたデータの解析に、広く用いられるのが周波数解析です。周波数解析とは測定された波形が、周波数成分と強度を調べる方法であり、対象物の振動が通常の動作状態であるかどうかを識別判断する指標を得ることができます。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/vib/vibsensor_1.htm
https://www.jemima.or.jp/tech/4-01-04.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/acceleration/applications.jsp
https://www.cct-inc.co.jp/media/iot/news/primer/iot_04/
https://www.shinkawa.co.jp/times/2011_06column_three_parameter
https://www.shinkawa.co.jp/times/2011_05column_vibration_sensor2