バイオマス発電機

バイオマス発電機とは

バイオマス発電機

バイオマス発電機とは、バイオマス資源を燃料にして発電する装置です。

バイオマス資源とは、石油や石炭のような化石燃料ではなく、再利用可能な動植物由来の資源を指します。化石燃料を使用しないため、エコな発電機として注目されています。

また、バイオマス発電機では、カーボンニュートラルを実現できるだけでなく、安定的に発電できる点が大きな特徴です。理由として、自然エネルギーを利用した発電とは異なり、燃料を安定して得られることが挙げられます。

バイオマス発電機の使用用途

バイオマス発電機は、電力の発電用途に利用されています。そのサイズはさまざまで、工場内で使用される比較的小型なものから、電力会社が運用する大型のものまであります。日本国内での大規模発電所の所在地は、群馬県や新潟県、北海道などです。

小型のバイオマス発電機の中には、50kW程度の発電能力を有している製品もあります。ただし、バイオマス発電機は、大型のものほど発電効率が高くなり、小型の発電機は発電効率が低くなります。

そのため、バイオマス発電機を導入する場合には、発電効率と発電能力、ランニングコストの検討が必要です。

バイオマス発電機の原理

バイオマス発電機は発電原理の違いにより、「直接燃焼方式」「熱分解ガス化方式」「生物化学的ガス化方式」の3種類に大別されます。発電原理により特徴が異なるため、使用用途や必要な発電能力に応じて最適な方式の選択が必要です。

1. 直接燃焼方式

直接燃焼方式では、燃料に間伐材や可燃ごみ、廃油などを使用し、直接燃焼させています。燃焼時に発生する熱エネルギーで、水を沸騰させ蒸気タービンを回転させて発電する原理です。一般的に、間伐材などを細かく裁断し、燃焼効率を最適化しています。

ただし、この燃焼方式では蒸気タービンを回転させるだけの高温環境を作り出すのが難しく、小型の装置であるほど発電効率が低下します。そのため、大規模装置に向いている発電方式です。しかしながら、大規模装置となると燃料の調達が難しい点が課題となります。

2. 熱分解ガス化方式

熱分解ガス化方式は、バイオマス燃料を高温状態で熱処理してガスを発生させ、ガスタービンを回転させて発電する方式です。このバイオマス燃料としては、間伐材や木くずを木質ペレットや木質チップに加工したものを使用しています。

この発電方式の特徴として、高い燃焼温度を達成できる点が挙げられます。そのため、小型のバイオマス発電機に最適な発電方式です。

3. 生物化学的ガス化方式

生物化学的ガス化方式は、他の発電方式とは大きく異なり、家畜の糞尿や下水汚泥を原料とした方式です。これらの原料を発酵させるとバイオガスが発生します。

このバイオガスでガスタービンを回転させ、発電しています。この方式では、燃焼しにくいバイオマスを利用できるほか、高い発電効率が得られるのがメリットです。

バイオマス発電機のその他情報

1. 超小型のバイオマス発電機

超小型のバイオマス発電機の開発も進んでいます。海外メーカーのものですが、高さ約2.5×長さ約44.8×幅約1.3メートルと超小型のバイオマス発電機も開発されました。この発電機では、1基あたりの発電出力は40 kW、熱出力が100 kW、エネルギー効率は約78%で十分な効率の確保が可能です。

日本でのこのような超小型バイオマス発電機の導入例としては、秋田県の「道の駅たかのす」があります。超小型バイオマス発電機を設置して足湯の温水供給に活用する、冬季間のビニールハウスの暖房用に使用するなどしています。

2. バイオマス発電機を活用した発電所

日本では、再生可能エネルギーの固定価格買取制度 (FIT) が始まって以来、バイオマス発電機を活用した発電所の認定量や稼働量は増加傾向にあります。その発電所の多くは、木質ペレットやPKS (Palm Kernel Shell:パーム椰子の種からパーム油を搾油した後の椰子殻) などのバイオマス燃料の多くを輸入に頼っている状況です。

バイオマス発電が事業として成り立つためには、比較的安価な燃料が安定的に供給される仕組みが不可欠です。しかし、その仕組みは未だ十分といえる状態ではありません。そこで、日本国内では経済産業省がバイオマスの持続可能性を議論するためのワーキンググループを開催しています。

再生可能エネルギーを推進する国際ネットワークであるREN21 (本部: フランス) から公表されている「自然エネルギー世界白書2020」から国際的な動向を見てみます。世界全体では、バイオエネルギーはゆるやかな成長を続けており、特に成長が顕著なのは中国です。中国のバイオエネルギー分野で近年の成長は著しく、REN21の統計によると、中国はバイオマスの発電量で2017年から2019年まで3年連続して世界一を達成しています。

一方欧州では、主要国の多くが脱石炭を規定路線としており、バイオマスが地域熱供給の熱源としても普及しているデンマークなどの北欧諸国を中心に、バイオマスに転換する動きがみられています。

参考文献
https://enechange.jp/articles/biomass_power_generation
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieenermix/96/6/96_802/_pdf/-char/ja
https://www.npobin.net/hakusho/2020/topix_01.html
https://www.npobin.net/hakusho/2020/trend_01.html

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