振動センサー

振動センサーとは

振動センサー

振動センサーとは、機械や物体の振動の状態を計測するための検出素子です。

機械の振動状態の把握、監視には振動センサーが必要になります。なお、物体の振動を表す指標は、加速度、速度および変位の3つです。振動センサーは、これらの指標となる物理量を計測し、電圧や電流などの電気的な量に変換する機能を有します。

一般的に振動センサーの構成は、接触式と非接触式の2つがあります。測定対象の物理量 (加速度や速度、変位) や対象の状況に応じて、この2つの振動センサーを使い分けなければなりません。さらに、測定精度を高めるための詳細な振動センサーの選定には、対象物の振動の大きさや周波数範囲、および測定環境などを考慮します。

振動センサーの使用用途

振動センサーは、生産設備や研究開発の分野で使用されています。生産設備において振動センサーは、設備機器の故障や損傷を早期に検知する予防保全のために有用です。センサーを利用することで、故障や損傷による膨大な修理コストの発生や生産効率低下を未然に防ぐことができます。

近年の生産設備では、小型の振動センサーが活躍しており、その多くがIoT技術を活用した機械の診断や予知保全を目的としています。研究開発の分野での振動センサーの使用事例は、製品試験や耐久試験における振動計測です。

自動車業界を筆頭に乗員の快適性評価にも、振動センサーが活用されています。その他の産業機器の分野では、電気機器や自動車、生産ロボット向けの用途と多岐にわたります。

振動センサーの原理

前述したとおり、振動センサーの構成には接触式と非接触式の2種類があります。加速度の計測には接触式が、速度や変位の計測には、非接触式の振動センサーが用いられます。

ここでは、各種振動 (加速度、速度、変位) 計測に適した1つ1つの振動センサーの原理を紹介します。

1. 接触式: 加速度検出型の圧電式センサー

圧電式センサーは、圧電材料に生じる圧電効果を利用しています。圧電効果とは、水晶の単結晶などの圧電材料 (圧電素子) は、力を受けるとその表面に電荷が生じる現象です。圧電効果により、加速度に応じた電気信号が出力されます。

2. 非接触式: 速度検出型のレーザードップラー式センサー

レーザードップラー式センサーは、ドップラー効果を利用したセンサーです。センサーから振動物体にレーザー光を照射し、 振動物体から反射されたレーザー光の周波数変化を速度変化として電圧に変換することによって、振動の速度を検出します。

3. 非接触式: 変位検出型の静電容量式センサー

静電容量式センサーとは、センサーと測定対象物間の静電容量を測り、距離を算出する原理を有するセンサーです。センサーと測定対象物との距離が変化すると、静電容量値が変化することによって、振動の変位を計測しています。

振動センサーのその他情報

1. 振動センサーの検出要素

機械振動の検出要素は、JISの規定によると、機械系の運動または変位を表す量の大きさの時間的変化です。平均値または基準値よりも大きい状態と小さい状態を交互に繰り返す場合が多く、一般にこの振動は、振幅・周波数・位相の3つの要素から成り立っています。

特に一定時間毎に繰り返すような振動は調和振動と呼ばれ、単一周波数で構成されます。その場合の変位、速度、加速度は以下の通りです。変位を微分することで速度、速度を微分することで加速度が導くことが可能です。

  • 変位d = Dsin (ωt + Φ)
  • 速度v = Vcos (ωt + Φ)
  • 加速度a = – Asin (ωt + Φ)

ただし、D: 片振幅、ω: 各速度 ω=2πf、f: 周波数f=1/T、T: 周期 (秒)、Φ: 初期位相。

この調和振動を検出するための振動センサーの種類には、加速度センサー (圧電型)、速度センサー (動電型)、非接触変位センサー (渦電流型) があります。この中で、特に圧電型加速度センサーは広い周波数範囲をカバーできる特徴です。

2. 振動センサーの使い方

一例として、振動監視などに用いられる圧電型振動センサーの使い方について説明します。圧電型振動センサーは圧電効果を利用しており、外力を加えるとその力に比例した電荷を発生し出力します。特に電荷出力タイプの圧電型振動センサーは小型化に有利です。

センサーの固定方法は、非測定物に密着する様にスタッドボルトなどでしっかり固定することが大切です。しっかり取付けられていないと、周波数応答などに特異な減衰特性を有するフィルタ特性を示す場合があり、正確な計測ができなくなります。その他には、接着剤やマグネットを用い固定する方法もあります。

振動センサーから検出されたデータの解析に、広く用いられるのが周波数解析です。周波数解析とは測定された波形が、周波数成分と強度を調べる方法であり、対象物の振動が通常の動作状態であるかどうかを識別判断する指標を得ることができます。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/newreport/vib/vibsensor_1.htm
https://www.jemima.or.jp/tech/4-01-04.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/acceleration/applications.jsp
https://www.cct-inc.co.jp/media/iot/news/primer/iot_04/
https://www.shinkawa.co.jp/times/2011_06column_three_parameter
https://www.shinkawa.co.jp/times/2011_05column_vibration_sensor2

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