NPTねじとは
NPTねじ (英: National Pipe Taper, American National Standard Taper Pipe Thread) とは、アメリカ規格管用ねじのテーパねじの1種で、管 (パイプ) 端部のねじや管継手などに使用されるねじ山です。
なお、NPTねじの配管接合方法には、下記の種類があります。
- 差し込み接続
- ねじ込み接続
- フランジ接続
- 溶接接続
NPTねじの使用用途
NPTねじは、他の管用テーパねじと同様に、主に密閉性が必要な場合の接合部分に使用されます。特に、製造社がアメリカやANSI/ASME規格に基づいて設計・製作されている機械や装置、プラントの配管などの接合部分に有用です。
代表的な使用例では、配管接合部のねじ込み式接合に使用する管継手が挙げられます。なお、NPTねじのねじ込み式管継手は、さまざまな種類があります。NPTねじの管継手は、図1を参照してください。
図1. NPTねじのねじ込み式管継手
また、バルブの配管接合部にはNPTのめねじが加工されていたり、管 (パイプ) の端部にNPTのおねじを加工したり、配管の組み立てには多くのNPTねじが使用されています。NPTねじの配管組み立てでの使用例は、図2を参照してください。
図2. NPTねじ 配管組み立ての使用例
NPTねじの原理
図3. NPTねじの締め込み深さ寸法
NPTねじのテーパは、隣接するねじ山の頂 (もしくねじ谷の底) 間を結んだ線とねじ中心軸は平行ではなく角度が付いています。この角度により、おねじは先端に向かって細く、めねじは穴端面から奥に向かって狭くなっています。
NPTねじは深く締め込むほどに、おねじとめねじの隙間は小さくなり、締め付けが強くなります。しかし、締め込みが深か過ぎると、ねじが破損する可能性があるため注意が必要です。
ANSI規格には、手作業時の締め込み深さL1寸法として、ねじサイズごとに規定されていています。ただし、この寸法はあくまでも目安で、ねじの加工精度によって異なります。
それぞれの現場によって、トルク管理や締め込み寸法管理を行っています。締め込み深さ寸法の例は、図3を参照してください。
NPTねじのその他情報
1. NPTねじの基準山形
図4. NPTねじとRねじの基準山形
NPTねじの基準山形のテーパ率は、ねじの軸中心に対して1/16で角度では3.576° (片側では1/32、1.789°) 、ねじ山もしくは谷の角度は60°です。NPTねじとRねじの基準山形は、テーパ角度は1/16で同じですが、ねじ山もしくは谷の角度は55°と異なっています。したがって、NPTねじとRねじでは互換性はありません。
テーパ率=1/16とは、ねじ中心軸方向の長さ16インチに対して、直径方向に1インチの勾配です。NPTねじとRねじの基準山形は、図4を参照してください。
2. テーパねじと平行ねじ
図5. NPTねじとNPSCねじの組み合わせ
一般的に、NPTねじの締め込み作業は、おねじ側にシールテープなどを巻き付け、密閉性を向上させます。ただし、ANSI規格ではNPTねじ以外の管用テーパねじとして、NPTFねじ (英: Dryseal USA Standard Taper Pipe Thread) があり、シール材を用いないで密閉性を確保できるねじがあります。
また、テーパねじに対して、管用平行ねじのNPSねじ (英: National Pipe Straight Pipe Thread) があり、NPTねじと同じANSI規格番号で規定されています。なお、NPTねじとNPSCねじの使用できる組み合わせは、図5を参照してください。
3. NPTねじの規格
NPTねじは、下記の規格で規定されています。
ANSI/ASME B1.20.1 Pipe Threads, General Purpose (Inch)
ANSI (American National Standards Institute) とは、「アメリカ規格協会」で米国の代表的な標準化機関です。また、ASME (The American Society of Mechanical Engineers) は、「米国機械学会」です。
NPTねじの類似ねじは、JIS規格とISO規格ではRねじになり、下記で規定されています。
JIS B0203 管用テーパねじ (英: Taper Pipe Threads)
ISO 7-1, Pipe threads where pressure-tight joints are made on the threads−Part 1:Dimensions, tolerances and designation
4. NPTねじ以外の管用テーパねじ
日本国内で使用されている管用テーパぬねじは、ほ多くの場合JIS規格のRねじですが、ANSI/ASME規格のNPTねじも一部では使用されています。ただし、NPTねじとJIS規格のRねじでは互換性はなく、同じ接合箇所に組み合わせての使用はできません。
したがって、保守やメンテナンス作業の際は、NPTねじと他のテーパねじを間違えないように注意が必要です。なお、NPTねじの判別は、NPTねじゲージを使用して確認できます。
参考文献
https://www.yamawa.com/Portals/0/resource/jp/tips/pdf/tips-088.pdf
http://www.kyoei-hyd.com/images/documents/thread_dimensions.pdf
https://www.jp.omega.com/techref/Temperature243.pdf
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/nejikisokouza_0301/