マーキングプリンター

マーキングプリンターとは

マーキングプリンター (英: marking printer) とは、主に産業用で利用される印字やマーキング用のプリンターです。

ラベルプリンター、チューブプリンター、チューブマーカーなどとも呼ばれます。マーキングプリンターは、端子台、電線、電子機器などの識別のため、小さな文字を印刷するプリンタです。

電線にはチューブやラベルに、端子台や機器には記名板に、名称、番号、記号などの情報を印刷して識別できるようにします。なお、マーキングプリンターは、接触式や非接触式、インク式やレーザー式の印字方法に大別されます。

マーキングプリンターの使用用途

マーキングプリンターは、産業機器、電子機器などへの印字方法として、多様な用途で利用されます。

  • 配線やチューブのマーキングや印字
  • 賞味期限、ロット番号、製造所記号、バーコードなどの印字
  • 金属、樹脂、ゴム製品などへの印字

マーキングプリンターの原理

マーキングプリンターは、主に以下の原理が利用されます。印字や描画方法には、主に接触式や非接触式、インク式やレーザー式で構成されます。

1. インク式マーキング

インク式は、熱転写インクリボンのインクを用いた接触式の印字方法と、液状インクを用いたコンティニュアス型、オンデマンド型の非接触式印字方法に大別されます。インクジェット方式です。

2. コンティニュアス型マーキング

ノズルから連続的に吐出したインク粒を印字のドット位置情報に対応した電圧に帯電させ、偏向電極で印字物に吹き付ける非接触式の印字方法が用いられます。主に食品パッケージに使用されます。

3. オンデマンド型マーキング

印字に必要な量のインクに圧力を加え、吐出する非接触式の印字方法が用いられます。圧電式や瞬時加熱方式で1滴ずつインクを飛ばして印字します。高速で距離を離して印字できるので、主に製造ラインなどで使われます。

4. レーザー式マーキング

レーザー式は、レーザー光を照射して対象物表面の溶化、剥離、酸化、変色、焦がす、削る方法により、消えない印字方法を選ぶことができます。

マーキングプリンターの種類

1. マーキングによる分類

マーキングの種類は、大きく分けると、接触式と非接触式があります。

接触式
接触式マーキングは、手書き、スタンプ、ラベル、刻印などです。手書きはペンなどで人が直接書きます。安価な方法で、少量生産に向いています。

スタンプはインクの量を最適に保たないと、インクだれや反対に文字のかすれになります。手押しと機械押しがあり、曲面や凹凸面は困難です。

ラベルはきれいな文字の印刷が可能ですが、工数がかかります。製品に貼り付けますが、はがれが問題になります。刻印は製品にくぼみをつけるため、消えないのが特徴です。

非接触式
非接触式マーキングは、インクジェット、レーザーなどの方法があります。インクジェット法は、インクを非接触で飛ばして印字します。曲面、柔らかい面、繊維質の面などにも対応しています。高速で移動する物体に印字できるので、搬送中の製品に印字が可能です。

レーザー法は、レーザーをXY方向のミラーでスキャンすることにより、文字を書きます。インクなどの消耗品が不要なこと、メンテナンスが楽なことなどの大きなメリットがあります。また、文字の変更や日付の変更が容易に可能です。

2. マーキングプリンターによる分類

マーキングプリンターは、多くの種類が使われています。

産業用インクジェットプリンター
非接触式プリンターの代表です。粒状のインクを吹き付けて、賞味期限、ロット番号、製造所の記号などをドット文字で印字します。紙、ガラス、プラスチック、金属、あらゆる物質に印字が可能です。

産業用サーマル式プリンター
熱電式のプリンターです。紙箱や段ボール箱、プラスチック製包装材などに、賞味期限、ロット番号、バーコードなどを印字します。

ピエゾ式プリンター
浸透性がある紙箱や段ボール箱に、品名、日付、ロゴ、バーコードなどを大きな文字で印字します。

レーザープリンター
レーザーを使用して印字するプリンターです。PETへの印字、包装フィルムへの印字、プリント基板への印字、DVDへの印字、金属キャップへの印字などの事例があります。

接触回転式プリンター
ゴム印と段ボールとの摩擦で駆動するプリンターです。安価であり、半永久印字が可能です。

熱転写プリンター
カード形状またはロール形状の製品に対応する熱転写プリンターです。

ケーブルIDプリンター
チューブの表面や記名板にIDを印字する熱転写プリンターです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsaem/22/4/22_469/_pdf
https://library.hitachi-ies.co.jp/assets/pdf/AA-505.pdf

電動アクチュエータ

電動アクチュエータとは電動アクチュエータ

電動アクチュエータとは、モータによってシリンダやスライダーを駆動する駆動装置です。

駆動源にモーターが用いるため、空圧式や油圧式に比べて高い応答性や効率性が得られます。

電動アクチュエータの使用用途

電動アクチュエータは主に産業機器に使用されます。用途は動作プラットフォームの精密な位置決めなど多様です。以下に使用用途を列挙します。

  • ワークの移動や搬送など、載せて運ぶ用途。
  • ワークの取り出しや収納など、押して運ぶ用途。
  • テーブルの位置決めやアーム駆動など、載せて回す用途。

生産工場自動化の際などに使用されます。内蔵するサーボモーターで精密動作するため、小型部品の加工に使用される場合が多いです。

近年は電動自動車の拡販に伴い、車載用の電動アクチュエータが拡販しつつあります。

電動アクチュエータの原理

電動アクチュエータを構成する主要部品はモーター、ボールネジ、ガイドです。

モーターとボールネジはギヤやベルトで連結され、モーターの回転運動をボールネジで直線運動に変換します。モーターの回転数を制御して、直線運動の位置制御ができます。

駆動源のモーターにはサーボモーターステッピングモーターが使用される場合が多く、精密な位置決めが可能です。

電動アクチュエータのその他情報

1. 自動車分野での利用

近年、自動車分野において自動運転化や脱炭素・クリーンエネルギー化が求められています。そのため、多くの企業で汎用性の高い電動アクチュエータを開発中です。

電動アクチュエータは、クラッチやシフト、ブレーキ、レバー、電動ポンプ、エンジン用の電動バルブや電動スロットルに使用されます。

モーターの軸配置 (同軸直列タイプや平行軸タイプなど) や大きさを選定できます。これにより、車種ごとのカスタム開発費用を削減することが可能です。

2. 電動アクチュエータのシェア

世界の電動アクチュエータの市場規模は、2020年から2024年の間に8億4,386万$の成長が見込まれます。以下が市場規模拡大の背景です。

  • ロボットの普及における電動アクチュエータの使用の増加
  • スマートアクチュエータの需要拡大
  • 民間用・防衛用航空機の需要拡大
  • 発展途上国での自動化需要拡大
  • ロボットを活用した柔軟な生産システムのニーズの拡大

AIなどの新しい技術が開発されていくことで、市場は拡大していくとみられています。

3. 電動アクチュエータの制御

電動アクチュエータは産業用ロボットなどに組み込まれています。

産業用ロボットに組み込まれる電動アクチュエータは、一般的にロボットに付随したティーチングボックスから簡単に操作が可能です。

ティーチングボックスから任意の指示を送り、ロボットを制御することができます。これによってタクトタイムの短縮が期待できます。

ティーチングボックスでは、ロボット用のプログラミング言語で電動アクチュエータを制御します。
プログラムによってロボット本体と電動アクチュエータを同時に制御できるため、機器間の制御誤差を無くし、制御精度を向上させることが可能です。

 参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/77/778/77_778_2412/_pdf
http://www.comp.tmu.ac.jp/prost/insider/mechatro/mechatronics7.pdf
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00386754?isReadConfirmed=true
http://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/robot/l-09072/l09072a.pdf
https://engineer.fabcross.jp/archeive/160524_ntn.html

回転計

回転計とは

回転計(英語:revolution indicator,tachometer)とは、回転運動をする物体の回転数や回転速度を測定する計測器です。回転の速さは本来、角速度として表現される量ですが、工業的には一定時間内の回転数、たとえば毎分回転数(rpm)などで表されることが多いため、回転の速さを測定する計器を一般的に回転計と呼んでいます。

回転計には、回転体に接触して測るタイプと非接触で測るタイプがあります。接触式は回転物に接触子を直接押し当てるため、手早く計測できます。非接触式は反射マークを回転物に貼るか、センサー類をを取り付けることで測定します。高速回転体や高温物体でも計測可能です。

回転計は、主に回転機器のメインテナンス、エンジン、電動機、発電機、タービンなどの回転速度の測定に使用されます。

回転計の使用用途

回転計は、回転物の回転数や回転速度を接触式或は非接触式の方法で測定する場合に使われます。具体的には、エンジンなどの内燃機関・モーター・タービン発電機・冷凍機など、広範囲の産業用製品です。身近な例では、自動車の計器盤にエンジン回転数が表示されています。

回転計の原理

回転計は機械式と電子式に大別されます。機械式は古くから使われており、回転の数を数えるための十進歯車機構と、それを一定時間作動させるための計時機構とを組み合わせたもので、ハスラー型回転計が代表的です。一定時間に回転した数を測定します。

接触式の回転計は、主に永久磁石、検出コイル、磁気回路で構成されます。回転による磁束変化に比例した誘起電圧をコイルで検出します。この電圧を変換して、回転の出力信号に用います。回転の速さの瞬時値すなわち角速度を連続的に測定・指示する計器には、角速度をこれに比例した他の扱いやすい物理量、たとえば遠心力、流体の粘性力、電磁誘導による起電力などに変換して測定します。

非接触の回転計は、多くの方式があります。反射マーク方式は回転体の反射テープからの反射光をカウントし、磁力方式は回転体の磁石からの磁界の変化を検出します。そして、センサー方式は、回転体に取り付けたセンサーからの信号をカウントします。センサーには、光学式・磁気式・電磁誘導式などの種類があります。

回転計の種類と測定法

回転計は、接触式・非接触式・両用タイプ・センサー式などに分類されます。

1.  接触式回転計

機械式は、回転軸の中心に押し付けて使用します。歯車を使って、ある特定の時間に回転した数をカウントします。押し釦を押すと通常3秒間で、回転数がrpm表示されます。電子式には、各種のタイプがあります。ハンディタイプの回転計を回転軸の中心に押し付けると、rpmが直読できます。

周速リングを回転計に取り付けて、回転軸の円周方向表面に押し付けると、周速度が測定できます。接触式回転計で高速回転する機器を測定するのは、危険を伴います。低速用として使う方が安心です。

2. 非接触式回転計

非接触式回転計には、反射マーク方式、磁力方式、センサー方式など多種の方式があります。表示方式はアナログ式とデジタル式があります。通常はアナログ出力とデジタル出力が両方装備されます。いずれの方式も、検出した回転信号は、増幅後直流電圧に変換して回転の出力信号に使います。

反射マーク方式は、回転軸の外周面に反射テープを貼り、回転計から赤色可視光やLEDを出して反射マークで反射する光をカウントします。そして回転数に換算・表示します。反射テープの数により、測定レンジが変わります。検出距離は20~300mm程度です。磁力方式は、回転軸を着磁して、磁束変化を検出する回転計です。

3. 接触・非接触両用式回転計

ハンディタイプの非接触回転計の頭部に、接触アダプターと回転接触子を取り付けると、接触式回転計になるタイプです。

4. センサー方式回転計

回転軸にセンサー類を取り付けてカウントする方式です。光学式・磁気式・電磁誘導式などがあります。ほとんどが非接触式です。

光学式
スリット入り円盤を回転体に装備し、光を入射してスリットを通過する数をカウントする方式です。応答が速い特性があります。

磁気式
モーターに磁石を装着し、回転による磁界の変化を検出する方式です。磁気式は水や油など汚れに強い特徴があります。工業用ミシンや工作機械など、汚れやすい環境下でも使用できます。

電磁誘導式
センサーのコイルが、回転体に設けた突起などが通過するときの磁界の変化を検出する方法です。高速回転の測定に適しています。自動車のABSシステムなどに使われます。回転センサーなどを特別に装着しないで、振動や騒音を検知することにより、回転数を推定計測するFFT演算式の回転計が出現しています。

参考文献

https://www.jemima.or.jp/tech/4-01-01.html

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/16/4/16_4_363/_pdf

UV照射器

UV照射器とは

UV照射器

UV照射器とは、光源にUV光源を利用し、紫外線を照射するための機器です。

UVの照射範囲により「スポット型」「ライン型」「エリア型」の3種類があります。また、UV光源の種類によりランプ光源とLED光源に分けられます。UV照射時には、装置の周りの温度が高温となるため、機器の冷却が必要です。そのため、UV照射器は、水冷型や空冷型の冷却装置とセットとなっています。

また、UV照射光を利用しやすくするため、レンズやミラー、フィルターなどの光学機器とセットになっているものもあります。UV照射時には、UVは有機物を分解できるほどエネルギーが高いため、直接目で見てはいけません。また、オゾンが発生するため、換気をするなどの取り扱いに注意が必要です。

UV照射器の使用用途

UV照射器は、紫外線の持つ高いフォトンエネルギーを利用して、さまざまな分野で使用されています。具体的には、レジンなどの硬化・乾燥、微生物の殺菌、有機物の除去、オゾン脱臭などです。

UV照射器にはさまざまなタイプがあり、利用用途により使い分けられます。スポット型のUV照射器は狭い範囲の照射に適し、ライン型・エリア型のUV光源は木版やプラスチック版などの広い面積を持つ物質の照射に適しています。

UV照射器の原理

UV照射器は、UV光源によって発生した紫外線を照射する機器です。UV光源は電極に挟まれたガラス管の中に水銀と希ガスが気体として閉じ込められた構造をしています。放電時に発生する紫外線を利用する仕組みです。

電極に通電することでガラス管内に熱が発生します。エミッタ (電子放射物質) が熱の作用で抱えていた電子を放ち、電子はガラス管に沿って移動します。水銀分子と電子がぶつかることで紫外線を発光させることが可能です。

ガラスと蛍光塗料の作用によりUVが特定の波長を持ちます。石英ガラスと合成石英ガラスがガラスの材料として用いられますが、高圧水銀ランプメタルハライドランプでは前者、低圧水銀ランプでは後者を用います。

UV照射器のその他情報

1. UV照射器の波長について

UV照射器は、紫外線波長を利用した製品であり、紫外線波長とは電波や太陽光線と同様の電磁波の1種であるXの波長 (1pmから10pm) と人間の目で認識できる電磁波の1種である可視光 (380nmから770nm) までの中間にある電磁波の1種のことを表します。

紫外線の波長は、おおよその波長の長さによって大きく3つに分けられています。UV-Aは波長の長さが315nmから400nmの範囲で、UV-Bは波長の長さが280nmから315nm、UV-Cは100nmから280nmの範囲です。UV-Cでの波長をV-UV (200nm以下) と呼ばれている真空紫外線と区別する場合もあります。

UV照射器は、照射をおこなう用途や目的によって照射する波長を選択できるため、波長の長さによって使用する手段を選択することが重要になってきます。

2. UV照射器での殺菌について

UV照射器での殺菌は、紫外線に含まれているUV-Cの波長の範囲を使用します。殺菌照射に使用する照射器にもよりますが、具体的な作用は自然に存在するUV-Cの電磁波にはオゾンを生成したり、殺菌や脱臭、空気を清浄したりすることです。

殺菌で使用される波長を菌やウイルスに対して照射すると細胞のデオキシリボ核酸 (DNA) が光化学反応を起こし、遺伝子情報が分解され死滅すると考えられています。そして、この効果は多くの菌やウイルスに対して有効的です。この紫外線によるDNA分解反応は、人体でも起きていますが、ある程度であればその分解したDNAを修復する機構があるため、問題になりません。

これらのことから、UV照射器による殺菌は、薬液での殺菌ができない箇所や医療現場などに使用可能です。通常は、光殺菌での光源として低圧水銀ランプや高圧水銀ランプが導入されています。近年では、製薬工程や食品分野でも応用されパルスドキセノン殺菌という方法が用いられています。これは殺菌能力の高いキセノンランプをパルス発光させることで、従来の水銀ランプなどの殺菌方法よりも格段に効果を発揮するため、昨今では注目されている技術です。

参考文献
https://www.uv-asumi.com/uv-irradiation/
https://www.klv.co.jp/technology/uv-irradiation-device.html
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/uv/index.jsp
https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html
http://www.jatec.jp/uvlamp.html

産業用インクジェットプリンター

産業用インクジェットプリンターとは

産業用インクジェットプリンター

産業用インクジェットプリンターとは、基本的には民生用のインクジェットプリンターと同様の原理で動作し、ドット状のインクを滴下することで印刷を行う装置のことです。

産業用インクジェットプリンターと民生品との違いは、使用用途にあります。民生品では文字や写真などを紙に印刷するのに対し、産業用のプリンターではバーコード・期限などの製品情報をパッケージに印刷したり、紙以外の材質にも印刷したりすることが可能です。

その他、産業用インクジェットプリンターにはCDや瓶などの表面にデザインを施すことができる製品もあります。

産業用インクジェットプリンターの使用用途

産業用インクジェットプリンターは、ポスター、看板などを製作する印刷業や、食品、医薬品、産業用製品などを製造する製造業などで使用されています。また、衣服の製造時に印刷を行うアパレル業界などでも有用です。

民生用のインクジェットプリンターでは印刷できない材質の記録媒体に対して、印刷を行えるのが特徴です。例えば、ガラス、樹脂、ゴム、金属、厚紙、木材、布などの記録媒体に印刷を行うことが可能です。

電子部品のような小型の記録媒体から看板のような大型の記録媒体まで、様々な大きさの記録媒体に印刷を行うことができます。曲面を有する立体的な記録媒体や表面に凹凸のある記録媒体などにも使用可能です。

産業用インクジェットプリンターの原理

産業用インクジェットプリンターはドロップオンデマンド   (DOD) メソッドとコンティニュアス (CIJ) メソッドに分けられます。

1. DODメソッド

DODメソッドとは、必要なときに必要な量のインクを吐出させて印刷を行う方式のことです。複数ノズルから不揮発性インクを吐出させます。DODメソッドはピエゾメソッドとサーマルメソッド、加えて電磁バルブメソッドに分けられます。

ピエゾメソッド
ピエゾメソッドでは、ノズルに設置されたピエゾ (圧電) 素子の電歪現象を利用することでインクを滴下させます。ピエゾメソッドのメリットとして、ピエゾ素子の電圧制御によりインクの吐出量を精度良く制御できる点や、熱をかけないためヘッドの耐久性が高い点が挙げられます。

一方、デメリットはノズル毎にピエゾ素子が必要なためヘッドの構造が複雑になりやすい点や、気泡が混入するとノズルが詰りやすい点です。

サーマルメソッド
サーマルメソッドでは、インクを加熱することで気泡を発生させてインクを押し出して滴下させます。サーマルメソッドのメリットとして、構造が簡単で小型化しやすい点や、印刷解像度を上げやすい点が挙げられます。

一方、デメリットはインクの熱劣化が発生しやすい点、熱の影響でヘッド寿命が短い点、インクの乾燥によってノズルが詰りやすい点です。

電磁バルブメソッド
電磁バルブメソッドでは、ポンプなどでインクに圧力を加えた状態で電磁弁を瞬間的に開放し、インクを滴下させます。電磁バルブメソッドのメリットとして、加圧によってインクを遠くまで飛ばせる点が挙げられます。

一方、デメリットはインク粒が大きくなって印刷品質が荒くなりやすい点です。

2. CIJメソッド

CIJメソッドとは、加圧されたインクをプリンター内で循環させながら、適切なタイミングでノズルから吐出させて印刷を行う方式のことです。単一ノズルから揮発性インクを吐出させます。CIJメソッドではインクが常に循環されるため、乾燥性に優れた揮発性インクを使用できます。

産業用インクジェットプリンターの構造

1. DODメソッド

インクを吐出するヘッドとヘッドが搭載されるキャリッジ、キャリッジを主走査方向に移動させる機構、記録媒体を副走査方向に移動させる機構を備えているプリンターが主流となっています。印刷時には、主走査方向へのキャリッジの移動と副走査方向への記録媒体の移動を交互に行います。

2. CIJメソッド

記録媒体の搬送装置に固定されるヘッドを備えています。搬送装置で搬送される記録媒体に印刷を行います。

参考文献
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/zenpan/genri.html
http://www.npt-print.co.jp/product/ijp/ijp.html
https://www.edm-net.co.jp/products/ijp/

電界強度計

電界強度計とは電界強度計

電界強度計 (英:field intensity meter) とは、電界の強さを測定する計器です。

主にラジオやテレビなどが受信する電波強度の測定や、電子機器が発生する電波の測定に使用されます。近年、電波を発する電子機器が多く利用されるようになっています。

電子機器同士の電波干渉や、電波の人体に対する影響のリスクが増加しているため、正確に電界強度を測定可能な電界強度計の必要性も高いです。

電界強度計の使用用途

電界強度計は電波の強度を測定することが可能なため、電波を受信する機器の設置場所の調査や、電波を出力する機器の安全性の検査などの場合に使用されています。

電波を受信する機器の設置場所の調査では、テレビ放送を受信するためのアンテナを設置するための調査、及びテレビ放送の受信障害が発生している場合の調査に有用です。最近は、WiFi電波の強度の測定が増加しています。

電波を出力する機器の安全性の検査では、電波を発生する機器の電波干渉や、電磁界の生体安全性に対する防御指針・電波の人体に対する影響のリスクを軽減するための検査に利用されます。

電界強度計の原理

電波の強さを測定する方法は、利得が分かっているアンテナに誘起された電圧を、電界強度計で測定することが一般的です。測定した値は、アンテナの実効長が1mのアンテナに換算し、単位を[dBμV/m]で表します。

1. 空間の電波強度

電界強度計では用途によって測定方法に差があります。単に空間内の電波強度を測定するには、被測定機器に電界プローブを向け測定します。電界プローブは、EO変調素子 (電気光学変調素子) を使用して電波の強度を検出するのが一般的です。

電界が存在しない状態では、電界プローブに設けられた光源から入力された光は、光ファーバーを通過し、EO結晶で反射されます。そして、他の光ファイバーを通過し出力されます。

電荷が存在する場合、EO結晶は光の屈折率を変化させるので、出力される光は、入力された光とは異なる屈折率です。変調された光を、光検出器により強度情報に変換することで、電界強度計は電界の強さを測定します。

2. 人体の電波吸収

人体の電波吸収効率などを調べるには、被測定機器と電界プローブの間にファントムと呼ばれる装置を挟みこむ必要があります。

ファントムは、人体と等しい電気特性を持ちます。電界強度計の電界プローブは、光ファイバーとEO結晶、それを覆うガラス管から構成されます。EO結晶は、存在する電界により光の屈折率が変化するEO効果を有し、変調信号を検出するのは、光検出器です。

電界強度計のその他情報

1. 電界強度計キット

市販の安価な組み立てキットによる電界強度計と、メーカから販売されているものとの大きな違いは、性能や利便性、汎用性の大きな差です。例えば、廉価なキットの場合、表示はアナログの指針計です。

一方、メーカー品の電界強度計は、表示がカラー液晶であったり、得られたデータをメモリー保存出来たり、他の機器と通信接続が可能だったりします。したがって、どちらかと言えば電界強度計キットは、教育用や一時的に使用するものであると言えます。

2. 電界強度計アプリ

最近ではWiFi信号の強度が、電界強度計アプリによって測定が可能になっています。ただし、その設定には少々注意が必要です。ワイヤレスネットワークを設定すると、殆ど網羅率は変わりません。

しかし、例えば家具や壁などを信号が通過する際に信号は弱められます。そのため、近場の他のワイヤレスネットによって引き起こされる干渉も同様です。WiFiはソースになるルータから遠ざかるにつれて徐々に弱くなります。

ユーザーが強力な信号を得られれば、速いページ読み込みが可能となり、瞬速ダウンロードが出来ます。必要な所でルータが強い信号を発信するには、ルータの適所を選んで、ベストな結果となる設定が大切です。

最近はルーター無線範囲の視覚地図を表示し、他のWiFiネットワークに関する情報やWiFi信号の電界強度を示すアプリがあります。無線ネットワークの信号強度を便利なヒートマップとして視覚化して、ルータ設置場所の決定を支援するものです。

参考文献
https://www.ntt.co.jp/journal/0606/files/jn200606021.pdf
https://www.leader.co.jp/recruit/company/product/
https://www.netspotapp.com/jp/best-apps-to-measure-wifi-signal-strength-windows.html
http://www10.plala.or.jp/suzulan/field_intensity_meter.htm</a

産業用コネクタ

産業用コネクタとは産業用コネクタ

産業用コネクタとは産業用機器において電気を繋ぐためのコネクタです。電源を供給するために使用されるだけではなく、データのやり取りをはじめ電気的な情報を交換するために使用されています。
産業用コネクタは電気のやり取りにおいて優れた拡充性と利便性を誇ります。例えば、パソコンに記録媒体を設置したい場合、電気回路にハンダで回路を新設する方法もありますが、コネクタを介して記録媒体を接続した方が取り回しの良さがあります。

産業用コネクタの使用用途

産業用コネクタは様々な産業用機器で使用されています。パソコンではメモリソケット・プリント基板用コネクタ・インターフェイス用コネクタなどが利用されています。メモリソケットはパソコンの基盤とRAMメモリなどのパソコンに搭載されているメモリを繋げるためのコネクタです。インターフェイス用コネクタがパソコン自身と外付けハードディスクなどのパソコン外のメモリを繋げることと比較されます。プリント基板用コネクタは異なった役割を持つプリント基盤を繋げるために利用されています。産業用コネクタは産業用ロボットや工作機器、建築車両・鉄道、発電所や石油プラントなどでも利用されています。

産業用コネクタの原理

コネクタはコンタクト・ハウジング・シェル・アイレットなどで構築されています。コンタクトは接触子であり、コネクタ同士が通電した際の電気の流路になります。ハウジングは絶縁体で形成されており、コンタクトを保持するための部品です。シェルはコンタクトとハウジングを外力から保護するための仕組みであり、両部品を覆うように設置されます。アイレットはコネクタ同士を外側から留めるための部品です。不意の脱落を防ぎます。
またコレクタにはプラグとソケットの二種類に分かれており、用途が違います。プラグは突出したコンタクトを持ち、ソケットは陥没したコンタクトを持ちます。プラグのコンタクトがソケットのコンタクトに組合さることで通電します。プラグとソケットは違う規格のコネクタが間違って接続されないため、また確実な通電を行うために使用されています。

産業用コネクタ

1. 防水コネクタ

防水コネクタは、通常のコネクタと異なり、水の侵入を防ぐことが出来る特殊用途のコネクタです。この防水コネクタを必要とする用途は、雨が降り注ぐ車載用や噴霧器などによる水分が付着する恐れがある農機具や工場の産業用や屋外設置型の電気機械などにおいて、水の侵入を防いで、コネクタ端子部における水分侵入による回路ショートを防止することが、防水コネクタの主な要求仕様事項になります。

通常のコネクタは、単純にメス側端子とオス側端子があり、各々を接続することで、電気的な接続が出来る回路接続用コネクタになります。屋内で使用されて、水の侵入を考慮していない家電や事務機器や情報機器やゲーム機器などで汎用されています。しかし、水の侵入の可能性がある電気機器においては、通常のコネクタ機能に加えて、更に、水の侵入を防止する機能や構造を備え付けた防水コネクタが必要になります。

この防水機能の主な構造は、通常のコネクタに対して、更に防水用カバーを追加した仕様が最も一般的です。良くあるのが、コネクタ端子部に水分の侵入を遮断するためのキャップやカバーを追加したコネクタやストレーナ付きコネクタ等とも呼ばれる外部から侵入するゴミを除去する機構を持ったコネクタであったりします。いずれにせよ、その構造は通常のコネクタよりも複雑になるため、いわゆる産業用や高信頼性製品に採用されています。

2. 流体コネクタ

流体コネクタは、産業用コネクタの中でもかなり特殊なコネクタです。
その機能の特長は、先ず空気等のエアや不活性ガス等の気体及び液体窒素や液化天然ガスの様な液体と言った流体全般の通過を最優先に設計されています。
流体コネクタの通過を考慮した設計では、2種類のタイプがあり、1個目が気体もしくは液体のいずれかを通す樹脂製の単チューブ型です。
さらに2個目が液体もガスも制御信号も同じコネクタで通すことが出来る複合型があり、開閉バルブも付いています。
全てのタイプにおいても、その脱着機構は押して嵌め込み、引いて抜き取るプッシュプル機構が採用されています。
そのため、簡単に外れることはなく、逆に抜き差しが必要な際は作業が容易で、技術の進化と共に小型化も図られています。
さらに、流体コネクタは振動やネジレや衝撃にも強く、引張強度も十分に有り、過酷な環境にも耐え得るものであり、その信頼性は非常に高くなっています。
以上の事から、流体コネクタは、高信頼性を求める環境下にて流体制御を行う機器、特殊箇所で短時間の接続作業が必要な装置の他、各種医療機器や産業用機器にて採用されています。

参考文献
Anphenol  https://www.amphenol.co.jp/military/catalog/Industrial-Connector-Guide.pdf
JAE  https://www.jae.com/about-connectors/
オムロン  https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-connectors/part1-connector-from-the-beginning/basics/structure-and-principle
https://kurashi-no.jp/I0020106
https://www.harting.com/JP

パルス発生器

パルス発生器とは

パルス発生器

パルス発生器 (ジェネレータ) とは急速に発生・収束するパルスと呼ばれる電気信号を発生させる機器です。

パルス発生器ではパルスの周波数やパルス幅、電圧レベルの高低、発生タイミングのディレイを調節できます。パルス発生器にはパルスディレイ発生器、バースト発生器、ゲート発生器などがあり、用途によって使い分けます。

パルス発生器の使用用途

パルス発生器は産業用から民生品まで幅広く使用されます。
身近な製品としては、医療用ペースメーカーや自動車のエンジンなどです。これらの使用用途にはパルス発生器の高速で電気信号のパルスを入力できる特性が活かされています。
その他では、ストロボ制御や高速移動体の観察などに利用されます。

また、半導体レーザー(LD)の電源としての利用も一般的です。半導体レーザーは閾値を超えた電気が入力されることで発光します。レーザー光をパルス発光させる場合に、パルス発生器は必要になります。パルス発光したレーザー (パルスレーザー) は、主にレーザー加工や信号伝達に使用されます。

パルス発生器の原理

パルス発生器でパルスを発生させるには、商用の交流電流をトランジスタなどによって直流電流に変換することが必要です。さらに、直流電流はコンデンサなどの蓄電素子により高圧化されます。

高圧電流からパルス電流を発生させる方法は、集中定数回路を利用した方法が一般的です。集中定数回路ではギャップスイッチを利用します。ギャップスイッチでは閾値までコンデンサに電荷を蓄積させ、閾値になると放出させます。その繰り返しでパルスが発生します。

パルス発生器の種類

パルス発生器には用途や機能に応じて複数の種類があります。したがって、用途に応じて適切なものを選定することが必要です。主に使用されるパルス発生器はパルスディレイ発生器、バースト発生器、ゲート発生器の3種類です。

1. パルスディレイ発生器
時間的なディレイをパルスの発振に掛ける事ができます。また、受光側機器のタイミングをレーザー発振に合わせることができます。

2. バースト発生器
ゲートの有効/無効の判定基準はバーストトリガになります。したがって、リファレンスシグナルの入力有無とは関係なく、バーストトリガが発生器に入力されないとパルス出力しません。無線端末の評価などに用いられることが多いです。

3.ゲート発生器
ゲートトリガで出力パルスを制御できるパルス発生器です。ゲートトリガの入力中にリファレンスシグナルが入力されるとパルスを出力します。バーストトリガの場合は1回入力された以降のリファレンスシグナルをすべて受信しますが、ゲートジェネレーターはゲートトリガが無効であればリファレンスシグナルを受け入れません。

パルス発生器のその他情報

パルス発生器の価格

パルス発生器は高価なため、購入すると固定資産となります。その上、加工機用に内部に組み込まれている場合などを除き、使用用途は一時的なことが多いです。
そのため、レンタル・リースで調達されることが多くあります。
価格は性能により幅が大きく40,000~800,000円(月額)程度になります。英国の大手メーカー製の高性能パルス発生器は購入すると1,000,000円~5,000,000円になるものもあります。

参考文献
AKM https://www.akm.com/jp/ja/technology/technical-tutorial/basic-knowledge-magnetic-sensor/magnetic-sensor/
アルプスアルパイン https://go.alps.jp/l/506151/2018-09-03/sx9dz
https://www.klv.co.jp/technology/type-of-pulse-generator.html
https://tm.yrl.com/rental/measuring-device/search/?categoryId=53

交流電圧計

交流電圧計とは交流電圧計

交流電圧計は交流電源から供給される交流電圧を計測するために使用される装置です。
可搬式の場合、以前は交流電圧計としての機能のみを有した製品も多く販売されていましたが、近年はテスターとして多機能が製品が主流です。多機能製品にはアナログテスタとデジタルテスタの二種類が存在します。

アナログテスタは比較的内部抵抗が低いため、電力ロスを最小限にとどめることができます。また高精度かつ測定誤差が少ないというのが利点です。
デジタルテスタは内部抵抗が高抵抗なため高インピーダンスの回路を測定できます。

交流電圧計の使用用途

交流電圧計は交流電流が使用される製品検査や保守・保全分野で広く使用されます。以下が使用例です。

  • オーディオ機器の故障原因特定
  • キュービクルの受電電圧・送電電圧確認
  • 新幹線のコックピット内における各所電圧の確認
  • 排水用水中ポンプの状態確認
  • 非常用発電機の出力電圧確認
  • 発電所における発電電圧確認
  • 変電所における送電・受電電圧確認

交流電圧計を利用することで、電子回路間の固有電圧を明らかにすることが可能です。
また上記の通り、交流電圧計は機器電圧状態のモニタリングにも利用されます。

交流電圧計の原理

交流電圧計はアナログ電圧計とデジタル電圧計に大別されます。

アナログ電圧計では主に可動鉄片方式が用いられます。
可動鉄片式では、固定したコイルに入力電圧を印可し、そのコイルに発生する磁力によって鉄片を動かすことで指針を振らします。構造が簡単で安価なのが特徴です。

デジタル電圧計の原理は、まず入力された交流電圧をAC/DC変換器を介して直流電源に変換します。その後、倍率器によって電気抵抗を決定し、バイアス電流の電圧と交流電圧計固有抵抗の電圧により交流電圧計に流れる電流の量が決定されます。電気抵抗および電流が決定されることでオームの法則を利用し電圧を求めることが可能です。

交流電圧計の種類

交流電圧計には先述の通り種類があり、アナログ式とデジタル式の製品があります。また、電圧をロギングするデータロガーも販売中です。

アナログ交流電圧計

「交流電圧計」と聞くと、アナログの方を思い浮かべる人も多いと思います。前面に透明のアクリルカバーで覆われた電圧版と針があるタイプが一般的です。構造がシンプルな為、デジタルの交流電圧計に比べると故障も少なく信頼性が高いです。
比較的安価に入手することができ、通販サイトでも1,000円に満たない価格で販売しているものもあります。

デジタル交流電圧計

前面がデジタル表示で電圧を示すようになっているタイプです。内部にFPGAなどの制御基板を搭載しており、アナログーデジタル変換回路などの機能を持っています。
デジタル表示で見やすく、基盤を制御するプログラムによって様々な機能を実現できるため高機能なものがあります。
価格は1,000円台で購入できるものから高性能な数十万円もするタイプまで価格帯にはばらつきがあります。
アナログに比べると構造が複雑なので、故障率も高くなる傾向です。

データロガー

交流電圧計の機能を持ちながら、その電圧計測結果をロギングしたり拡張ユニットを接続して温度などの様々な測定を
同時に実行できるタイプの機器です。

参考文献
marutsu  https://www.marutsu.co.jp/pc/static/large_order/mame/189
HIOKI  https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=42
モノタロウ  https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/testerkiso_0105/
Jstage J.IEEJapan Vol.121,No9 持永芳文  https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal1994/121/9/121_9_629/_pdf
https://www.amazon.co.jp
https://www.keyence.co.jp/products/recorder/

レーザー光源

レーザー光源とは

レーザー光源とは、レーザー光を発する光源です。

レーザーは通常光と比較して、高い単一波長性、指向性に加え、優れたエネルギー密度を持ちます。レーザー光源は、プロジェクターの光源に適した半導体レーザーから物体の切断、加工に適したYAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザーなど、種類はさまざまです。

レーザーはその動作物質の形状から固体レーザー (YAG) 、半導体レーザー、気体レーザー (CO2レーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー、HeNeレーザー) に分けられます。HeNeレーザーは、632.8nmの波長の赤色のレーザーで、目的に照射する以外に、可視光波長領域外のレーザーのガイド光にも利用可能です。レーザーは単一波長性が高いのですが、原理上それ以外の波長の光も混在している場合があります。例えば、HeNeレーザーの場合、632.8nm付近の周りに別の波長の弱い光のサテライト構造があります。

レーザー光の純度を高めるため、レーザー波長だけを通す光学フィルタやその波長だけの光を反射するダイクロイックミラーなどの光学素子を利用できます。市販の光学素子の波長設計の多くは上記のレーザーに合わせているものが多いです。

レーザー光源の使用用途

レーザー光源は多様な手段に利用されています。種類によって使用用途は異なります。

1. 半導体レーザー

その長寿で取り回しのよい特性からプロジェクターの投影用光源として利用できます。

2. YAGレーザー

一般的な固体レーザーであるYAGレーザーは、金属やさまざまな物質の切断や穴あけに代表されるレーザー加工に利用されています。YAGレーザーは光という特性のため、透明な物質の加工には不向きです。

3. CO2レーザー

最も長波長なレーザー光を投影できます。YAGレーザーと対照的に透明な物質の加工に適していますが、金属の加工には適していません。

レーザー光源の原理

レーザー光源は、レーザー媒質の分子にエネルギーを与えることで励起される光を光源として使用します。レーザー光源に強力なエネルギーを与えると、レーザー媒質の原子の一定数が励起状態になります。

  • ポンピング
    励起状態の原子が増加すること。
  • 反転分布状態
    ポンピングにより励起状態の原子数が他の状態の原子数を超えた状態のこと。
  • 光増幅

    反転分布状態で励起光と同一波長の光を原子に照射すると、光を受けた原子はその光と同じ方向に同一波長の光を放出し、他の原子を励起させること。

レーザー光源は、光増幅を引き起こすための光源が設置されている側面にミラーを、レーザー光を放出する側に部分反射ミラーを設置した構造になっています。光増幅で励起された光は部分反射ミラーで反射され、レーザー光源の中を何度も光増幅を繰り返しながら反射し続け、最終的に部分反射ミラーの透過部を高エネルギーのレーザー光として通過します。

レーザー光源の特徴

レーザー光源には、指向性、単色性、エネルギー密度のほかに、位相 (光の波形) が揃っているため、物体に当たると干渉を起こしやすい性質があります。この特徴を利用したものがレーザー干渉計など、距離を測定する機器です。一般光はいろいろな光が混じっているため、位相もバラバラになっており、基本的に干渉が起きづらくなっています。

レーザー光源のその他情報

レーザー光源の波長

レーザー光源にはいろいろなものがありますが、それぞれ波長で分類することができます。エキシマレーザーは150~308nm、アルゴンレーザーは488nm、ルビーレーザーは694.3nm、YAGレーザーは1,064nm、CO2レーザーは10,600nmとそれぞれ異なる波長です。波長の違いは、対象物に照射した際の吸収率の違いになります。吸収率が異なると、温度が変わります。

上記のレーザーの基本波に対して、非線形光学結晶を用いることで、波長変換が可能です。例えば、YAGレーザーの基本波長は1,064nmで、非線形光学結晶を通すと第2高調波の532nm、第3高調波の355nm、第4高調波の266nmの波長の光を取り出すこともできます。また、波長可変のパラメトリック発振器を作成することも可能です。

参考文献
https://www.jpu.or.jp/useful/laser/
https://www.trust-ele.com/
https://www.laserfront.jp/learning/basic.html