電動アクチュエータとは
電動アクチュエータとは、モータによってシリンダやスライダーを駆動する駆動装置です。
駆動源にモーターが用いるため、空圧式や油圧式に比べて高い応答性や効率性が得られます。
電動アクチュエータの使用用途
電動アクチュエータは主に産業機器に使用されます。用途は動作プラットフォームの精密な位置決めなど多様です。以下に使用用途を列挙します。
- ワークの移動や搬送など、載せて運ぶ用途。
 - ワークの取り出しや収納など、押して運ぶ用途。
 - テーブルの位置決めやアーム駆動など、載せて回す用途。
 
生産工場自動化の際などに使用されます。内蔵するサーボモーターで精密動作するため、小型部品の加工に使用される場合が多いです。
近年は電動自動車の拡販に伴い、車載用の電動アクチュエータが拡販しつつあります。
電動アクチュエータの原理
電動アクチュエータを構成する主要部品はモーター、ボールネジ、ガイドです。
モーターとボールネジはギヤやベルトで連結され、モーターの回転運動をボールネジで直線運動に変換します。モーターの回転数を制御して、直線運動の位置制御ができます。
駆動源のモーターにはサーボモーターやステッピングモーターが使用される場合が多く、精密な位置決めが可能です。
電動アクチュエータの選び方
1. 用途
電動アクチュエータには多様な用途があり、使用目的に応じた適切な種類を選定する必要があります。
・搬送・組み立て:物品の移動や昇降作業を行う
・回転:バルブやシャッターの開閉に使用する
・押付・引張り:プレス機や締め付け作業に適用する
・流量制御:バルブやダンパーの開閉を制御する
・ストッパ:機械の位置決めや制止に使用する
用途を明確にすることで、適したアクチュエータの種類(直線型・回転型など)を決めることができます。
2. 最大推力
電動アクチュエータが発生できる推力を確認することが重要です。推力が不足すると、適切に作動しない可能性があります。
・0 – 200 kg:小型機器の駆動や軽量物の搬送
・200 – 500 kg:中型の装置や機械部品の移動
・500 – 1,000 kg:重いバルブやシャッターの駆動、重量物の押し引き
適切な推力を選定することで、安全かつ確実に動作させることができます。
3. ストローク
ストロークとは、アクチュエータが移動できる距離を指します。用途に応じて適切な範囲を選ぶことが重要です。
・0 – 100 mm:細かい位置調整
・100 – 500 mm:一般的な機械装置に適用
・500 – 1,000 mm:比較的大きな移動を伴う用途
・1,000 – 5,000 mm:長距離のスライドや搬送装置向け
必要な移動距離を考慮し、余裕を持ったストロークを選定することで、安定した動作が可能になります。
4. IP保護等級
電動アクチュエータの保護等級(IPコード)は、設置環境や使用条件に応じて選定が必要です。
・IP20~IP40:粉塵や水の影響が少ない屋内用途向け。
・IP55:防塵・防水性能が中程度で、粉塵や水しぶきのある環境向け。
・IP65:完全防塵で耐水性があり、屋外や水がかかる場所に適する。
・IP67:短時間の水没に耐え、屋外や湿度の高い場所に適する。
・IP69K:高温・高圧水での洗浄が可能で、食品・医療機器向け。
電動アクチュエータのその他情報
1. 自動車分野での利用
近年、自動車分野において自動運転化や脱炭素・クリーンエネルギー化が求められています。そのため、多くの企業で汎用性の高い電動アクチュエータを開発中です。
電動アクチュエータは、クラッチやシフト、ブレーキ、レバー、電動ポンプ、エンジン用の電動バルブや電動スロットルに使用されます。
モーターの軸配置 (同軸直列タイプや平行軸タイプなど) や大きさを選定できます。これにより、車種ごとのカスタム開発費用を削減することが可能です。
2. 電動アクチュエータのシェア
世界の電動アクチュエータの市場規模は、2020年から2024年の間に8億4,386万$の成長が見込まれます。以下が市場規模拡大の背景です。
- ロボットの普及における電動アクチュエータの使用の増加
 - スマートアクチュエータの需要拡大
 - 民間用・防衛用航空機の需要拡大
 - 発展途上国での自動化需要拡大
 - ロボットを活用した柔軟な生産システムのニーズの拡大
 
AIなどの新しい技術が開発されていくことで、市場は拡大していくとみられています。
3. 電動アクチュエータの制御
電動アクチュエータは産業用ロボットなどに組み込まれています。
産業用ロボットに組み込まれる電動アクチュエータは、一般的にロボットに付随したティーチングボックスから簡単に操作が可能です。
ティーチングボックスから任意の指示を送り、ロボットを制御することができます。これによってタクトタイムの短縮が期待できます。
ティーチングボックスでは、ロボット用のプログラミング言語で電動アクチュエータを制御します。
プログラムによってロボット本体と電動アクチュエータを同時に制御できるため、機器間の制御誤差を無くし、制御精度を向上させることが可能です。
 参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic/77/778/77_778_2412/_pdf
http://www.comp.tmu.ac.jp/prost/insider/mechatro/mechatronics7.pdf
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00386754?isReadConfirmed=true
http://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/robot/l-09072/l09072a.pdf
https://engineer.fabcross.jp/archeive/160524_ntn.html
