回転計とは
回転計(英語:revolution indicator,tachometer)とは、回転運動をする物体の回転数や回転速度を測定する計測器です。回転の速さは本来、角速度として表現される量ですが、工業的には一定時間内の回転数、たとえば毎分回転数(rpm)などで表されることが多いため、回転の速さを測定する計器を一般的に回転計と呼んでいます。
回転計には、回転体に接触して測るタイプと非接触で測るタイプがあります。接触式は回転物に接触子を直接押し当てるため、手早く計測できます。非接触式は反射マークを回転物に貼るか、センサー類をを取り付けることで測定します。高速回転体や高温物体でも計測可能です。
回転計は、主に回転機器のメインテナンス、エンジン、電動機、発電機、タービンなどの回転速度の測定に使用されます。
回転計の使用用途
回転計は、回転物の回転数や回転速度を接触式或は非接触式の方法で測定する場合に使われます。具体的には、エンジンなどの内燃機関・モーター・タービン発電機・冷凍機など、広範囲の産業用製品です。身近な例では、自動車の計器盤にエンジン回転数が表示されています。
回転計の原理
回転計は機械式と電子式に大別されます。機械式は古くから使われており、回転の数を数えるための十進歯車機構と、それを一定時間作動させるための計時機構とを組み合わせたもので、ハスラー型回転計が代表的です。一定時間に回転した数を測定します。
接触式の回転計は、主に永久磁石、検出コイル、磁気回路で構成されます。回転による磁束変化に比例した誘起電圧をコイルで検出します。この電圧を変換して、回転の出力信号に用います。回転の速さの瞬時値すなわち角速度を連続的に測定・指示する計器には、角速度をこれに比例した他の扱いやすい物理量、たとえば遠心力、流体の粘性力、電磁誘導による起電力などに変換して測定します。
非接触の回転計は、多くの方式があります。反射マーク方式は回転体の反射テープからの反射光をカウントし、磁力方式は回転体の磁石からの磁界の変化を検出します。そして、センサー方式は、回転体に取り付けたセンサーからの信号をカウントします。センサーには、光学式・磁気式・電磁誘導式などの種類があります。
回転計の種類と測定法
回転計は、接触式・非接触式・両用タイプ・センサー式などに分類されます。
1. 接触式回転計
機械式は、回転軸の中心に押し付けて使用します。歯車を使って、ある特定の時間に回転した数をカウントします。押し釦を押すと通常3秒間で、回転数がrpm表示されます。電子式には、各種のタイプがあります。ハンディタイプの回転計を回転軸の中心に押し付けると、rpmが直読できます。
周速リングを回転計に取り付けて、回転軸の円周方向表面に押し付けると、周速度が測定できます。接触式回転計で高速回転する機器を測定するのは、危険を伴います。低速用として使う方が安心です。
2. 非接触式回転計
非接触式回転計には、反射マーク方式、磁力方式、センサー方式など多種の方式があります。表示方式はアナログ式とデジタル式があります。通常はアナログ出力とデジタル出力が両方装備されます。いずれの方式も、検出した回転信号は、増幅後直流電圧に変換して回転の出力信号に使います。
反射マーク方式は、回転軸の外周面に反射テープを貼り、回転計から赤色可視光やLEDを出して反射マークで反射する光をカウントします。そして回転数に換算・表示します。反射テープの数により、測定レンジが変わります。検出距離は20~300mm程度です。磁力方式は、回転軸を着磁して、磁束変化を検出する回転計です。
3. 接触・非接触両用式回転計
ハンディタイプの非接触回転計の頭部に、接触アダプターと回転接触子を取り付けると、接触式回転計になるタイプです。
4. センサー方式回転計
回転軸にセンサー類を取り付けてカウントする方式です。光学式・磁気式・電磁誘導式などがあります。ほとんどが非接触式です。
光学式
スリット入り円盤を回転体に装備し、光を入射してスリットを通過する数をカウントする方式です。応答が速い特性があります。
磁気式
モーターに磁石を装着し、回転による磁界の変化を検出する方式です。磁気式は水や油など汚れに強い特徴があります。工業用ミシンや工作機械など、汚れやすい環境下でも使用できます。
電磁誘導式
センサーのコイルが、回転体に設けた突起などが通過するときの磁界の変化を検出する方法です。高速回転の測定に適しています。自動車のABSシステムなどに使われます。回転センサーなどを特別に装着しないで、振動や騒音を検知することにより、回転数を推定計測するFFT演算式の回転計が出現しています。
参考文献
https://www.jemima.or.jp/tech/4-01-01.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/16/4/16_4_363/_pdf