UV照射器とは
UV照射器とは、光源にUV光源を利用し、紫外線を照射するための機器です。
UVの照射範囲により「スポット型」「ライン型」「エリア型」の3種類があります。また、UV光源の種類によりランプ光源とLED光源に分けられます。UV照射時には、装置の周りの温度が高温となるため、機器の冷却が必要です。そのため、UV照射器は、水冷型や空冷型の冷却装置とセットとなっています。
また、UV照射光を利用しやすくするため、レンズやミラー、フィルターなどの光学機器とセットになっているものもあります。UV照射時には、UVは有機物を分解できるほどエネルギーが高いため、直接目で見てはいけません。また、オゾンが発生するため、換気をするなどの取り扱いに注意が必要です。
UV照射器の使用用途
UV照射器は、紫外線の持つ高いフォトンエネルギーを利用して、さまざまな分野で使用されています。具体的には、レジンなどの硬化・乾燥、微生物の殺菌、有機物の除去、オゾン脱臭などです。
UV照射器にはさまざまなタイプがあり、利用用途により使い分けられます。スポット型のUV照射器は狭い範囲の照射に適し、ライン型・エリア型のUV光源は木版やプラスチック版などの広い面積を持つ物質の照射に適しています。
UV照射器の原理
UV照射器は、UV光源によって発生した紫外線を照射する機器です。UV光源は電極に挟まれたガラス管の中に水銀と希ガスが気体として閉じ込められた構造をしています。放電時に発生する紫外線を利用する仕組みです。
電極に通電することでガラス管内に熱が発生します。エミッタ (電子放射物質) が熱の作用で抱えていた電子を放ち、電子はガラス管に沿って移動します。水銀分子と電子がぶつかることで紫外線を発光させることが可能です。
ガラスと蛍光塗料の作用によりUVが特定の波長を持ちます。石英ガラスと合成石英ガラスがガラスの材料として用いられますが、高圧水銀ランプとメタルハライドランプでは前者、低圧水銀ランプでは後者を用います。
UV照射器のその他情報
1. UV照射器の波長について
UV照射器は、紫外線波長を利用した製品であり、紫外線波長とは電波や太陽光線と同様の電磁波の1種であるXの波長 (1pmから10pm) と人間の目で認識できる電磁波の1種である可視光 (380nmから770nm) までの中間にある電磁波の1種のことを表します。
紫外線の波長は、おおよその波長の長さによって大きく3つに分けられています。UV-Aは波長の長さが315nmから400nmの範囲で、UV-Bは波長の長さが280nmから315nm、UV-Cは100nmから280nmの範囲です。UV-Cでの波長をV-UV (200nm以下) と呼ばれている真空紫外線と区別する場合もあります。
UV照射器は、照射をおこなう用途や目的によって照射する波長を選択できるため、波長の長さによって使用する手段を選択することが重要になってきます。
2. UV照射器での殺菌について
UV照射器での殺菌は、紫外線に含まれているUV-Cの波長の範囲を使用します。殺菌照射に使用する照射器にもよりますが、具体的な作用は自然に存在するUV-Cの電磁波にはオゾンを生成したり、殺菌や脱臭、空気を清浄したりすることです。
殺菌で使用される波長を菌やウイルスに対して照射すると細胞のデオキシリボ核酸 (DNA) が光化学反応を起こし、遺伝子情報が分解され死滅すると考えられています。そして、この効果は多くの菌やウイルスに対して有効的です。この紫外線によるDNA分解反応は、人体でも起きていますが、ある程度であればその分解したDNAを修復する機構があるため、問題になりません。
これらのことから、UV照射器による殺菌は、薬液での殺菌ができない箇所や医療現場などに使用可能です。通常は、光殺菌での光源として低圧水銀ランプや高圧水銀ランプが導入されています。近年では、製薬工程や食品分野でも応用されパルスドキセノン殺菌という方法が用いられています。これは殺菌能力の高いキセノンランプをパルス発光させることで、従来の水銀ランプなどの殺菌方法よりも格段に効果を発揮するため、昨今では注目されている技術です。
参考文献
https://www.uv-asumi.com/uv-irradiation/
https://www.klv.co.jp/technology/uv-irradiation-device.html
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/uv/index.jsp
https://www.m-n-w.com/uv-hachou.html
http://www.jatec.jp/uvlamp.html