産業用インクジェットプリンター

産業用インクジェットプリンターとは

産業用インクジェットプリンター

産業用インクジェットプリンターとは、基本的には民生用のインクジェットプリンターと同様の原理で動作し、ドット状のインクを滴下することで印刷を行う装置のことです。

産業用インクジェットプリンターと民生品との違いは、使用用途にあります。民生品では文字や写真などを紙に印刷するのに対し、産業用のプリンターではバーコード・期限などの製品情報をパッケージに印刷したり、紙以外の材質にも印刷したりすることが可能です。

その他、産業用インクジェットプリンターにはCDや瓶などの表面にデザインを施すことができる製品もあります。

産業用インクジェットプリンターの使用用途

産業用インクジェットプリンターは、ポスター、看板などを製作する印刷業や、食品、医薬品、産業用製品などを製造する製造業などで使用されています。また、衣服の製造時に印刷を行うアパレル業界などでも有用です。

民生用のインクジェットプリンターでは印刷できない材質の記録媒体に対して、印刷を行えるのが特徴です。例えば、ガラス、樹脂、ゴム、金属、厚紙、木材、布などの記録媒体に印刷を行うことが可能です。

電子部品のような小型の記録媒体から看板のような大型の記録媒体まで、様々な大きさの記録媒体に印刷を行うことができます。曲面を有する立体的な記録媒体や表面に凹凸のある記録媒体などにも使用可能です。

産業用インクジェットプリンターの原理

産業用インクジェットプリンターはドロップオンデマンド   (DOD) メソッドとコンティニュアス (CIJ) メソッドに分けられます。

1. DODメソッド

DODメソッドとは、必要なときに必要な量のインクを吐出させて印刷を行う方式のことです。複数ノズルから不揮発性インクを吐出させます。DODメソッドはピエゾメソッドとサーマルメソッド、加えて電磁バルブメソッドに分けられます。

ピエゾメソッド
ピエゾメソッドでは、ノズルに設置されたピエゾ (圧電) 素子の電歪現象を利用することでインクを滴下させます。ピエゾメソッドのメリットとして、ピエゾ素子の電圧制御によりインクの吐出量を精度良く制御できる点や、熱をかけないためヘッドの耐久性が高い点が挙げられます。

一方、デメリットはノズル毎にピエゾ素子が必要なためヘッドの構造が複雑になりやすい点や、気泡が混入するとノズルが詰りやすい点です。

サーマルメソッド
サーマルメソッドでは、インクを加熱することで気泡を発生させてインクを押し出して滴下させます。サーマルメソッドのメリットとして、構造が簡単で小型化しやすい点や、印刷解像度を上げやすい点が挙げられます。

一方、デメリットはインクの熱劣化が発生しやすい点、熱の影響でヘッド寿命が短い点、インクの乾燥によってノズルが詰りやすい点です。

電磁バルブメソッド
電磁バルブメソッドでは、ポンプなどでインクに圧力を加えた状態で電磁弁を瞬間的に開放し、インクを滴下させます。電磁バルブメソッドのメリットとして、加圧によってインクを遠くまで飛ばせる点が挙げられます。

一方、デメリットはインク粒が大きくなって印刷品質が荒くなりやすい点です。

2. CIJメソッド

CIJメソッドとは、加圧されたインクをプリンター内で循環させながら、適切なタイミングでノズルから吐出させて印刷を行う方式のことです。単一ノズルから揮発性インクを吐出させます。CIJメソッドではインクが常に循環されるため、乾燥性に優れた揮発性インクを使用できます。

産業用インクジェットプリンターの構造

1. DODメソッド

インクを吐出するヘッドとヘッドが搭載されるキャリッジ、キャリッジを主走査方向に移動させる機構、記録媒体を副走査方向に移動させる機構を備えているプリンターが主流となっています。印刷時には、主走査方向へのキャリッジの移動と副走査方向への記録媒体の移動を交互に行います。

2. CIJメソッド

記録媒体の搬送装置に固定されるヘッドを備えています。搬送装置で搬送される記録媒体に印刷を行います。

参考文献
https://www.hitachi-ies.co.jp/products/marking/ijp/zenpan/genri.html
http://www.npt-print.co.jp/product/ijp/ijp.html
https://www.edm-net.co.jp/products/ijp/

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