放射線検出器についての概要、用途、原理などをご説明します。また、放射線検出器のメーカー9社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。放射線検出器関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:鎌長製衡株式会社、2位:株式会社堀場製作所、3位:株式会社日立製作所となっています。
1993年~2019年に日本化薬株式会社医薬研究所にて医薬品の研究開発、各種生体試料の分析に従事。危険物取扱者、放射線取扱主任者として施設管理業務も担当。2019年に同業他社に転職、現在まで同様の業務を担当。専門書執筆・翻訳・校閲活動も行っている。
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丹羽誠のプロフィール
放射線検出器とは、放射線と物質の相互作用によって起こる物理的・化学的な反応を利用して、間接的に放射線を検出・測定する装置です。
人間は放射線を五感で直接感じることができません。そのため、放射線によって生じる電離や励起を利用し、検出・計測を行います。例えば、イオンや自由電子を発生させたり、蛍光のような電磁波を発生させたりすることによって電流信号に変換します。この電流信号をもとに、放射線量をメーターに表示したり、音にして聞こえるようにしたりします。
そのほかにも、電子放射を応用したもの、発熱を利用するもの、中性子物質の放射化を実用化したものやチェレンコフ光の検出に基づく検出器など、 応用品は数多いです。
放射線検出器は、放射能の除染現場やヤード・工場などで多く使用されています。放射線にはアルファ線・ガンマ線・ベータ線・エックス線といった種類があり、発する線量が高いものから低いものまであるため、状況によって検出器自体を慎重に選ぶ必要があります。
空間線量率を測定することで、その空間にどれだけ放射線が飛び交っているかの状況把握が可能です。また、物体表面から発する放射線を検知することで、物体が汚染されているのかという状況把握や汚染源の特定ができます。その応用で、人がどの程度放射線に被爆しているのかといった被ばく量測定にも用いられます。
放射線を検出する方法として、大きく放射線が気体分子を電離させる作用を利用するものと、主に固体や液体である物質の電子を励起する作用を利用するものの2種類が挙げられます。
前者は気体検出器と呼ばれ、後者はシンチレーション検出器と呼ばれます。
気体検出器では検出器に不活性ガスや空気などの気体を充填しておき、このなかを放射線が通過すると分子が電離して陽イオンと電子を生成するようにします。この気体分子の電離を利用して放射線の量を測定します。期待検出器には、電離箱、GM計数管、比例計数管などの種類があります。
電離箱
電離箱では、陽イオンと電子をそれぞれ電極に引き寄せ、電気信号に変換して測定します。放射線のエネルギーで電離した陽イオンと電子の数がそのまま電気信号になるため、放射線のエネルギーにほぼ比例した信号強度が得られます。すなわち、放射線のエネルギーを把握することが可能です。ただし、電離を直接観測するため感度が低いことがデメリットとして挙げられます。
GM計数管
GM計数管では、電離箱と同様に気体を充てんしますが、電極間に高電圧を印加することで、電離で生じた電子が高速で移動し、さらに他の気体分子を電離させるようにします。これにより、強い信号が得られるようにします。
結果として、1回の電離によって電極間に1回のパルスが走ります。強い信号が得られますが、信号がパルスとなるため、放射線のエネルギーについての情報が得られないことがデメリットです。
比例計数管
気体を充てんした検出器において、電極間に印加する電圧を適度に調整すると、放射線による電離に続いて他の気体分子の電離が起こり強い信号が得られ、かつ最初に電離した分子数に比例した信号を得ることもできます。この条件下で測定を行うタイプが比例計数管です。
放射線が原子核の周回軌道にある電子にエネルギーを与え、その電子が外側の軌道に移る「励起」と呼ばれる作用を利用したのがシンチレーション検出器です。装置の例としてはシンチレーション式サーベイメータがあります。
放射線により励起を経て発光する性質がある物質をシンチレータと呼びます。固体結晶のシンチレータとして用いられる物質がヨウ化ナトリウム (NaI) 結晶です。放射線がシンチレータで吸収されると、電子励起により原子が不安定な状態になり、その後もとの安定状態に戻ります。この際に、原子がエネルギーを光として放出します。
この微弱な光 (光子) を光電子増倍管によって増幅し、電流に変換することで測定します。放出される光子数は放射線のエネルギーに比例するため、シンチレーション検出器では放射線のエネルギーを知ることが可能です。
NaI結晶は吸湿性があるため、空気に触れさせないように密封されます。一方、放射線が入射する場所として入射窓が設けられています。入射窓には、100μm程度の非常に薄いベリリウムやアルミニウム等の原子番号の若い金属が使われています。
放射線検出器を選ぶ際は、下記の項目を確認することが大切です。
放射線には、アルファ線、ベータ線、中性子線、ガンマ線、エックス線などと種類があります。放射線検出器は構造や原理によって検出できる放射線の種類と期待される感度が定まるため、これらを理解しながら検出器を選ぶことが重要です。
表示される値 (単なるカウント数か、1cm線量当量であるかなど) が使用目的に適するかを考慮して選定します。
放射線を検出するには放射線が電離を起こす部位 (ガスや固体シンチレータ) に到達する必要があるため、放射線の透過性を理解することで、自信をもって運用することができます。例えば、NaIシンチレーション式サーベイメータは、ガンマ線とエックス線測定用です。吸湿性があるシンチレータを囲んで密封する必要があるため、金属の薄膜窓を透過できない放射線 (アルファ線やベータ線) を検出することができないためです。
GM計数管は、ベータ線測定ができるものとできないものがあります。ベータ線測定ができるのは、窓が大きく、窓にごく薄い雲母を用いるタイプです。ベータ線はこの雲母窓は透過することができます。ベータ線とガンマ線の両方を測定できるGM計数管には金属キャップがついていますが、ベータ線測定では金属キャップを外す必要があります。ベータ線は金属キャップを透過しないためです。
放射線計測には大きく分けて、2種類の目的があります。
なお、放射線の安全管理は後者の延長線上にあります。放射線が人体に与える影響を評価するには、後者の吸収線量をもとに、放射線の種類ごとの生物学的影響と、放射線を受ける身体部位の感受性の評価を加え、実効線量を算出します。
固体シンチレータ結晶を用いたシンチレーション検出器は、高いエネルギーのエックス線や、それよりも更に高いエネルギーのガンマ線を測定することに用いられます。エックス線検出器としての特長は、シンチレータが効率よくエックス線を受け止め検出するため、エックス線のエネルギーに比例した検出が可能であることです。
これは高エネルギーエックス線を受け止めきれない気体検出器とは異なる特徴です。また、検出器に入ってから、電気信号に変換されて出力されるまでの時間がとても短いため、入射したエックス線光子が多数ある場合の測定に向いています。研究分野においては、シンチレーション式の長所を活かしてエックス線の二次元像を取得する、位置検出型の高エネルギーエックス線検出器も開発されています。
参考文献
https://www.daitoku-scale.co.jp/magazine/9901281
http://rcwww.kek.jp/kurasi/page-36.pdf
http://www.rada.or.jp/database/home4/normal/ht-docs/member/synopsis/049002.html
http://www.u.phys.nagoya-u.ac.jp/uxge/r_e/r_e6_3.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年11月の注目ランキングベスト6
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 鎌長製衡株式会社 |
28.6%
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2 | 株式会社堀場製作所 |
23.8%
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3 | 株式会社日立製作所 |
19.0%
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4 | 浜松ホトニクス株式会社 |
14.3%
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5 | キヤノン電子管デバイス株式会社 |
9.5%
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6 | 株式会社豊伸電子 |
4.8%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年11月の放射線検出器ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
本放射線測定器KRM1000シリーズには、積み荷の搬入時に放射性物質かどうかをモニタリングできかつ車両速度も確認できる放射線検出器のDPタイプ、検出した放射線量を表示かつ放射線警報レベルの設定も可能なLDタイプがあります。
また、測定データをグラフ化し放射物質の分布を視覚的に確認することができるタッチパネル操作可能なLCタイプ、測定データとトラックの外観情報を一緒に管理できるVMSタイプなど、沢山の機能も搭載されているシリーズになります。
本放射線測定器は、トラックの大きさに合わせた大型タイプになっており、設置した検出器の間をトラックが通過することで積み荷の中の放射性物質を検出することが可能となります。
X線モニタ用検出器やX線モニタ用とX線非破壊検査及び一般工業計測などで使用される2タイプのSiフォトダイオードがあります。
X線モニタ用検出器は、低価格Cslシンチレータ付Siフォトダイオードと高感度・高信頼性のセラミックシンチレータ付きフォトダイオードの2種類あり、前者はX線エネルギー100keV以下の検出に適しており、後者はX線か感度がCWOの1.8倍ありCslより残光が少なく潮解性を持たない特性を持ちX線分析・検出に向いている製品になります。
一方、X線非破壊検査用検出器は、感度波長範囲が400~1100nm、裏面入射型フォトダイオードのため受光部にワイヤがなく、シンチレータをフォトダイオードに直接実装することが可能になっております。
なお、このX線非破壊検査用検出器も2種類あり受講面サイズが9.5nm×9.5nmと6.0nm×6.0nmの2タイプになります。
ケース寸法はφ54×63mm、ケース測定面はアルミ0.5mm、結晶材質はCsI(Tl)、結晶サイズは25×25×25mm、センサーは受講面は28×28mmの仕様になっています。
y線~100keV以上を検出でき、y線の検出に向いている検出器になります。
波高分析インターフェースにダイレクトで接続できるチャージアンプ内蔵の製品になります。
検出器においては、電源が±12V、バイアスは+24V、極性は正極性出力、時定数は10μsまで、出力インピーダンスは50Ωとなっております。
こちらの導体検出器は、ガンマ線スペクトル測定に用いた場合に高いエネルギー分解能を示すことができます。
相対効率は10%~150%まで、特注でさらに高い効率に対応可能になっています。
温度サイクル可能な高純度Ge検出器で、イオン注入法による電極構造のため安定した性能を保持することができます。
優れたピーク対称性を持ち、更にストリームライン、PopTopどちらでも供給でき、高いカウントレートインジケータが付いている製品になります。
GMXシリーズの検出器は、イオン注入による非常に薄いボロンの入射窓をもち、測定可能なエネルギー範囲が3keV~10MeVと非常に広く、ベリリウム窓・アルミ窓・カーボンファイバー窓での供給、またストリームライン、PopTopどちらでも供給ができる製品になります。
結晶構造はスィン・ウィンド同軸型(N型)の同軸型検出器になります。
温度サイクルは可能、中性子損傷に対する高い抵抗力を持ち、標準エネルギー分解能は1.8~2.5keVといった仕様です。
結晶構造はプレナ型、結晶材料はP型の高純度Ge、標準結晶サイズはφ6~36mm、小さい面積での低エネルギー光子の測定に向いている検出器になります。
測定可能なエネルギー範囲は3keV~300keV、標準エネルギー分解能は165~385eV(5.9keV)/480~595eV(122keV)と低~中間のエネルギー領域に対して非常に高い分解能を有しています。
PIXE、セーフガード、原子核構造研究における低いエネルギー光子の測定には非常に向いており、優れたタイミング特性を持っている製品になります。
結晶構造はウェル型、結晶材料はP型の高純度Ge、標準結晶サイズは~450cc有感体積、放射能の低い小型の試料において効率的に測定できるよう設計された検出器になります(測定方法は検出器中心部の穴に試料を入れて測定)。
イオン注入法により不感層が非常に薄く形成されるため、測定可能なエネルギー範囲は10keV~10MeVと広いエネルギー範囲で測定が可能となっています。
また、測定試料の真下は5mmの結晶に覆われるため、この4Πに近い幾何学形状の結晶により最大絶対計算数効率での測定も可能となっています。
こちらの比例計数管は、X線を入射して内部のガスと電離作用を起こすことを利用した検出器になります。
内部の中心電極に高い電圧を加えることでX線により発生するイオン対の数が増加し、それによって大きい信号を抽出することができるようになります。
また、あわせて入射したX線のエネルギーに比例したパルス高を持った信号を得ることができます。
これらより、X線比例計数管はメッキの厚み測定などに向いている製品になります。