ネジポンプのメーカー5社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
ネジポンプとは、回転ポンプの1種で、別名スクリューポンプとも呼ばれます。
筒の中でネジを回転させることで、内部に流れる流体をネジの軸方向に移送するタイプの回転ポンプです。
ネジの数の違いによって、1軸ネジポンプ、2軸ネジポンプ、3軸ネジポンプがあります。
モーノポンプもネジポンプの1種で、1条ネジの金属製のローターが、2条ネジの切られたステーターの中で回転するネジポンプです。
ネジポンプは、食品や化粧品、原油、汚泥、スラッジ、廃油、廃液などの、低粘度から高粘度の液体や、固形物が含まれている液体、粉体の輸送にも使用することができます。
これは、構造が比較的簡単なため、清掃やメンテナンスが容易なためです。
使用業界としては、都市衛生、船舶、食品工業、製紙・パルプ、鉱山、土木建築、化学工業、化粧品、塗料、製鐵など幅広い業界で、様々な流体の輸送に用いられています。
ネジポンプの1種であるモーノポンプは、無脈動・定量輸送が可能です。
心臓部は、雄ネジあたるローターと、雌ネジにあたるステーターから成り立っています。
ステーターの中に、ローターが差し込まれると、ステーターとローターの隙間に、キャビティーという独立した密閉空間ができます。
ローターがステーター内で回転すると、高粘度や固形物も含む流体でも吸引するほどの力を発生しながら、新たに次のキャビティーが生み出され、吐出側へ移動します。
キャビティー内に吸い込まれた流体は、キャビティーごと吐出方向へ次々と移送されていきます。
キャビティーの断面積は、ローターの位置にかかわらず常に一定を保つため、吐出量も常に一定を保てますし、ポンプ内の流速はローターの回転速度に比例します。
また、ローターの回転方向を反転すると、吸引・吐出の方向を逆にできます。
一軸偏心ネジポンプに分類されるモーノポンプは、一定の体積を連続して送り出すことのできるパワーを持つポンプですが、決して効率が高くはないという欠点があります。ただしこれはモーノポンプだけに限らず、ネジポンプ自体が持つ吐出機構の性質に起因するものです。
ポンプには、その構造の違いにより、遠心渦巻型と体積移動型に大別されます。遠心渦巻型のポンプは、ケーシング内部で高速回転する羽根車から発生した遠心力で高い圧力を発生させる仕組みなのに対し、体積移動型のポンプは、ネジポンプや歯車ポンプのようにギアや螺旋軸の隙間の体積移動を利用して連続的に移送する仕組みです。
つまり、体積移動型に属するモーノポンプは、低水位プールからの吸上げ作業のような、多量の流体を高速で吐出させる用途には向いていないことが分かります。
モーノポンプの欠点はもう一つあります。ローターとステーターの一部分が常に接触した状態であるため、ドライ運転を行うと摺動面が損傷するリスクがあることです。移送液そのものが潤滑液の役割も果たすことで、スムーズな稼働を実現しているのです。
ネジポンプの一種であるモーノポンプは、特にローターとステーターが汚れやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。しかし、構造がシンプルなため、分解整備は比較的容易です。
以下に、モーノポンプのステーター交換時の参考となる分解方法の一例を紹介します。
なお、モーノポンプには、消耗の速いステーターの交換やメンテナンスを楽にするツール類が備わっています。
参考文献
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/a1b.html
https://www.ipros.jp/monosiri/term/%E3%81%AD%E3%81%98%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%97
http://www.mohno-pump.co.jp/about/construction.html
http://www.kosakalab.co.jp/product/fluid/
http://www.kosakalab.co.jp/product/fluid/1_axis/
https://kikai-syuuri.com/technica/post_2912/
https://www.youtube.com/watch?v=b2SGkVi5N8A
http://www.mohno-pump.co.jp/support/
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
株式会社小坂研究所の一軸スクリューポンプは自吸能力に非常に優れたねじポンプです。
一般的なねじポンプでは大体水柱で5m程度の自吸能力ですが、このポンプは8.5mまで可能です。そのため深いタンクからの吸い出しなどでも使用することができます。
また、200000cpsの高粘度で含水率が50%と非常にスラッジなどが多い流体でも搬送可能なポンプです。そのため幅広い分野で使用可能です。
ただし、仕様が330m3/h、吐出圧が2.4MPaのものしかないので注意が必要です。
株式会社小坂研究所の三軸スクリューポンプは超高圧での搬送が可能なポンプです。1軸ねじポンプでは高くても2〜3MPaの間ですが、このポンプは最大で15MPaでの流体の搬送が可能です。
そのため超高粘度流体を高圧で搬送したい場合などに活躍できるポンプです。
そのような高圧で搬送が可能なポンプでありながら、脈動が極めて少なく定量供給が可能なので、安定した流体の供給が可能です。
超高圧で供給できるポンプは限られますので、そのような用途に最適なポンプです。
株式会社エイチツーのINPS-100超高粘度流体の搬送が可能なネジポンプです。
このねじポンプは固形物を含んでいるスラリー状の流体も問題なく搬送できるポンプなので多くの業界で使用することができます。
排水汚泥のような多量のスラッジを含んだような液体や、接着剤のような超高粘度、さらには食品まで安定して搬送できるポンプです。
また、サニタリー仕様のポンプもありますので食品業界や医薬品業界でも安心して使用することができます。
株式会社イワキのE01ねじポンプは英国Mono社製のねじポンプです。
ねじポンプはローターが偏芯するのでモーターとの接続が非常に重要でロータリージョイントなどを使用することが多かったのですが、破損することが多いのも問題でした。
しかしこのポンプは特徴的なフレキシャフトを使用しているので、可動部がないのでメンテナンスも必要ない構造となっています。
シールもメカニカルシールを選定することができるので外部漏れをほぼ0にすることが可能です。
流量と吐出圧力も幅広い範囲から選定できるので、多くの業界で使用することができます。
大晃機械工業株式会社のHNP-201は一般的な1軸ねじポンプです。
ねじポンプは内部のステーターとローターを変更することにより、圧力を変化させることができますが、このポンプは最大0.40MPaとそれほど高圧ではないので、固形物を含む流体の搬送が必要だが圧力はそれほど必要ない箇所に使えます。
またメカニカルシール仕様ではないので、保守が楽でシール部の調整も楽という利点があります。
最高使用温度も80℃なので高温の流体を取り扱う場合は注意が必要です。