酸化バリウムとは
酸化バリウムとは、化学式がBaOのバリウムが酸化した無機化合物です。
酸化バリウムの結晶構造は立方晶系で、塩化ナトリウム型の構造でをとっています。酸化バリウムは白色~うすい灰褐色の粉末または塊です。吸湿性を持っているほか、希塩酸に溶けます。分子量は153.33、CAS登録番号は1304-28-5です。
毒劇法で「劇物・包装等級3」、安衛法では「名称等を通知すべき危険物および有害物」「名称等を表示すべき危険物および有害物」、危規則で「毒物類・毒物」、航空法で「毒物類・毒物」に指定されています。
なお、酸化バリウムの関連物質として、バリウム (英: Barium) 、水酸化バリウム (英: Barium hydroxide) 、過酸化バリウム (英: Barium peroxide) などが挙げられます。
酸化バリウムの使用用途
酸化バリウムはガラス原料を代表として、バリウム塩 (塩化バリウム・硫酸バリウム・硝酸バリウムなど) やセラミックスの原料として利用されています。化学的安定性から塗料だけでなく、インキ・プラスチック・化粧品といった分野で活用されている硫酸バリウムの原料でもあります。硫酸バリウムは、X線検査の造影剤の一つです。
また、今日のIT分野で幅広く応用されている炭酸バリウムの原料としても知られています。さらに、合成化学において酸化バリウムは、塩基や乾燥剤として用いられています。
酸化バリウムの性質
酸化バリウムの融点は1,920℃、沸点は2,000℃です。酸化バリウムと水が反応して水酸化バリウムが生成します。この反応は酸化カルシウムよりも激しく、発熱量も大きいです。
他の水溶性のバリウム化合物と同じく、水溶液には毒性があります。塩基性による腐食性も有しています。空気中や酸素中では加熱によって、酸化バリウムから過酸化バリウムを得ることが可能です。ただし、800℃以上の高温になると分解して、再び酸化バリウムに戻ります。
酸化バリウムのその他情報
1. 酸化バリウムの合成
酸素存在下で金属バリウムを燃焼すると、酸化バリウムが生成します。水酸化バリウムや炭酸バリウムなどの熱分解によっても、酸化バリウムを得ることが可能です。
ただし、この分解反応は、アルカリ土類金属の水酸化物や炭酸塩としては、最も高温を必要とします。具体的には、二酸化炭素の分圧が1気圧のときの炭酸バリウムの分解温度は1,450℃、水蒸気圧が1気圧のときの水酸化バリウムの分解温度は998℃です。
2. バリウムの特徴
空気中でバリウムは徐々に酸化され、白色の酸化バリウムを生じます。バリウムはアルカリ土類金属の一つです。バリウムの原子番号は56、元素記号はBaです。
3. 水酸化バリウムの特徴
酸化バリウムを水に溶解させると、水酸化バリウムが生成します。ただし、この水和反応は、生石灰の消和よりも激しいため危険です。得られたものを再結晶することで、水酸化バリウムの8水和物が生成します。これを空気中で加熱すると水酸化バリウムの1水和物になり、減圧下で100℃に加熱すると水酸化バリウムの無水物が得られます。
水酸化バリウムはバリウムの水酸化物です。化学式はBa(OH)2で表されます。水酸化物イオンとバリウムイオンから形成されるイオン結晶で、塩基性の無機化合物です。分析化学において水酸化バリウムは、弱酸や有機酸の滴定に用いられています。
4. 過酸化バリウムの特徴
酸化バリウムに酸素を吸収させると、過酸化バリウムを生成することが可能です。これは可逆反応なので、加熱によって酸化バリウムと酸素に分解します。
また、過酸化バリウムは硫酸と反応して、硫酸バリウムと過酸化水素を生じます。過酸化バリウムはバリウムの過酸化物であり、化学式がBaO2で表される無機化合物です。過酸化バリウムの構造は炭化カルシウムに似ています。
過酸化バリウムは酸化剤や漂白剤として用いられているほか、炎色反応で緑色に発色するため、花火にも添加されています。
参考文献
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/dt/html/GI_10_001/GI_10_001_1304-28-5.html