加工治具

加工治具とは

加工治具

加工治具とは、切断や穴あけなど部品を加工する際に使う加工用ツールをのぞく器具のことを言います。

例えば、加工する際にワークが動かないように押し付けなどで強固に固定したり、ものを切断する際の切断位置のガイドなどがあります。

加工治具の目的は、加工の品質を高めることや誰がやっても同じ加工ができるようにする、すなわち品質のばらつき抑制すること、加工作業を効率化して生産性を向上させることなどがあげられます。

加工治具の使用用途

例えば、バイスなどワークを切断したり穴あけ加工を行う際にワークを固定するのに使われます。

また、スポンジやプラスチックなどのワークを自由な形に切断する際、形状にあわせた加工治具(ガイド)にそって刃物を動かすことで形状のばらつきを減らし、誰でも簡単に短時間で加工するために使われます。

最近は、加工の自動化も進み、加工機へのワークの出し入れをする産業用ロボットなどの加工治具も増えてきました。

加工治具の原理

加工治具と一言で言っても、そのバリエーションは豊富です。

何十万円もかかる高級な加工治具から、テープを一定の長さにしてきるための治具のように100円均一で購入できるような治具まで多様です。

また、同じ保持するための加工治具でも単純にものを固定するバイスのような治具から、固定だけでなく、位置決めやワンタッチで簡単に固定ができるなど、創意工夫により生産性は大きく変わります。

最近、増えてきたロボットを使った加工治具はビジョンカメラを使ってワーク形状を確認、必要な加工作業を入力したり、加工後部品の目視検査を行ったり、単にワーク着脱だけでなくさまざまな機能が組み込まれ、生産性改善に大きく貢献しています。人が運ぶには大変な重たいワークも何度でも持って運ぶこともできます。ロボットには人の触覚に相当する力覚センサー、視覚に相当するビジョンカメラ(3Dビジョンカメラ)、頭脳に相当する人工知能の開発がすすめられ、人が行ってきた繰り返し作業を再現性高く行うことができます。

単動シリンダ

単動シリンダとは

単動シリンダとは、圧力の加えられた流体を利用して一方向の動きをするシリンダです。

一方向にのみ作動し、もう一方向にはバネまたは重力などの外部力によって戻される特徴を有します。単動シリンダは構造が比較的単純で製造コストが低く、他のタイプのシリンダに比べて経済的です。また、複動シリンダに比べてコンパクトで軽量なので、狭いスペースや軽量化が求められる用途に適しています。

また、一方向にしか動かないため、予測可能な動きを行います。制御が容易で、誤った操作による事故や機械の故障のリスクが低いです。

ただし、一方向の動きしか制御できず、動作パターンが複雑な場合には不適です。複数の位置での停止が必要な場合などには、制御装置やシステムを追加することもあります。

単動シリンダの使用用途

単動シリンダはさまざまな用途で使用されます。以下は単動シリンダの使用用途一例です。

1. 自動車

単動シリンダは、自動車のブレーキシステムに使用されます。ブレーキペダルを踏むことで、単動シリンダがブレーキに圧力を提供します。ブレーキパッドをディスクやドラムに押し付けて制動力を発生させることが可能です。

また、サスペンションにおいて単動シリンダが使用される場合も多いです。シリンダの動きによって車輪の上下動を制御し、乗り心地や車体の安定性を向上させます。

2. 製造業

自動機械や製造ラインにおいて、部品の組み立てや仕分けなどのタスクに単動シリンダが使用されます。ピストンが押し出されて部品を移動させることで、組立作業を自動化することが可能です。

また、材料や製品を押し出すために使用されます。プラスチックや金属の成形機の一部は、単動シリンダが型に圧力をかけて材料を押し出して形状を作りだす仕組みです。

3. 化学プラント

単動シリンダはバルブやゲートなどの開閉装置の制御に使用されます。シリンダの動きによって、バルブを開閉して流体の供給や停止を制御することが可能です。パイプラインや配管における流体制御に使用されます。

単動シリンダの原理

単動シリンダは、シリンダ筒と呼ばれる筒状部品とその中を往復運動するピストンから構成されます。ピストンはシリンダ筒の内部に適合するように配置された部品です。

単動シリンダは一方向にのみ動作するため、流体の供給と排出が制御されます。流体は指定された経路を通じてシリンダ内に供給されます。

流体がシリンダ内に供給されると、その流体の圧力が増加する場合が多いです。この圧力の増加によってピストンは一方向に押し出されます。ピストンの動きは、シリンダ筒の内部容積の変化によって生じます。

押し出された後、流体の供給が停止されると単動シリンダは戻るための外部力が必要です。外部力にはばねや重力が使用されますが、ばねを使う製品が一般的です。外部力がピストンをシリンダの初期位置に戻し、シリンダが再び準備状態になります。

単動シリンダの選び方

単動シリンダを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。

1. チューブの内径

チューブの内径は、シリンダの内部の直径を指します。大きなチューブ内径はより大きな圧力を生成できる反面、サイズが大きくなる場合が多いです。一方、小さなチューブ内径であればコンパクトな設計に適していますが、生成できる圧力は制限されます。使用する要件に基づいて、適切なチューブ内径を選ぶことが大切です。

2. ストローク

ストロークは、ピストンが往復する際の移動距離です。用途に応じて必要なストロークを選びます。ストロークが短すぎると必要な動作範囲をカバーできない場合があり、長すぎるとシリンダ全体が大きくなって設計に制約が生じる可能性が高いです。

3. 押込・引出特性

流体流入によって、押し込むか引き出すかを選ぶことが必要です。用途に応じて選定します。また、製品によっては押込速度と引出速度が異なる場合があります。

4. アンサースイッチ

シリンダの位置検出や制御信号の送受信に使用されるデバイスです。リードスイッチやリミットスイッチ、マイクロスイッチが使用されます。アンサースイッチを搭載した単動シリンダを選ぶことで、制御システムとの連携が容易になります。

アンサースイッチは、特定の位置にピストンが到達した際に信号を発生することが可能です。スペースの制約からリードスイッチが使用されます。したがって、リードスイッチ付きの製品は、シリンダ内部に磁石が内蔵しています。

参考文献
https://punjabisongspb.com/?p=173

シムリング

シムリングとは

シムリング (英: Shim ring) とは、部品と部品または部品と設備・設置場所の間に挟み込み、相互間の位置・レベル・間隔を調整する際に使われるシムの一種です。

リング形状をしており、均一な厚さを持ちます。その厚さを調整することで、部品の寸法公差、複数部品を組み立てた際の累積公差を吸収したり、現場で位置精度の微調整したりする役割を果たします。

シムリングの使用用途

シムリングは、一般的な機械や装置の組み立てにおいて、部品同士の間隔や位置の微調整が必要な場合に使用されます。

1. ベアリングなどの位置調整

図1.アンギュラベアリングのシムシング使用例

シムリングは、リング形状をしていることから、ベアリングの内輪、外輪に挿入し、軸方向の確実な固定や位置調整に使用されます。アンギュラベアリングやテーパローラベアリングでは、内外輪の位置調整によってベアリングの与圧 (プリロード) を調整するのに有用です。

ベアリング用のシムリングは、各種ベアリング型式の内輪、外輪に合わせた寸法の物が用意されています。他にも、歯車プーリなどの軸位置の調整用にもベアリングと同様に使用します。

2. ねじ・ボルト穴での位置調整

図2. 高さ合わせピンのシムリング使用例

通常のシムでは、ねじやボルト締結面部で部品同士の位置調整を行う際、部品に合わせた形状のシムが必要になります。シムリングをねじ穴部に配置することで、特殊形状のシムを使用しなくても締結面の位置調整が可能です。

シムリングは、高さ合わせピンなどの高さ調整などでも使用されます。

3. フランジ面での位置調整

シムリングはフランジ面で締結穴を避けて内外周に配置することで、専用のシム形状としなくてもフランジ面の位置調整が可能です。

シムリングの原理

シムリングは、部品の間隔や位置を微調整するために使用される部品です。均一な厚さと薄いリング状の形状が特徴で、部品同士の間に挿入されることで、その厚さが間隔や位置を微調整できます。

シムリングの厚みは、一般的に数十μmと極めて薄いものから数mm程度まで、バリエーションは豊富です。材質は、鉄鋼やステンレス、真鍮などが用いられます。

シムリングの種類

シムリングには、通常のリング形状以外に以下の種類があります。

1. 切り欠きタイプ

切り欠きタイプ  (または割りタイプ) は、リングの一部を切り欠いた形状です。ボルトや軸などを完全に抜かなくても横から挿入、取り出しができるため組立時の厚さの調整が簡単です。 (図2. (b)参照) 

ただし、内外径の幅が狭い場合は、固定時傾きを発生する場合があります。複数個所で使用し、かつ各シムリングの切り欠きの方向を合わせないなど注意が必要です。

2. ラミネートタイプ

図3. ラミネートタイプのシムリング

ラミネートタイプ (または積層型) は、数十μmなど非常に薄いシムリングを接着剤で貼り合わせて全体の厚みを0.5mmや1mmなどとしたシムリングです。必要に応じてカッターなどで剥離し、厚みを調整して使用します。

シムリングのその他情報

シムリングを使用する際の注意点

シムリングは必要な厚みを得るために、数種類の厚みのシムリングを重ねて使用するものです。しかし、重ねる際にゴミやほこりなどの異物の混入、折れ曲がり、傷などによる厚みの変化などがあるため、組付け時には注意が必要です。

これらを回避するため、シムリングを重ねる場合は、極力重ねる枚数を減らします。シムリングと似た形状で、ワッシャーや中空スペーサがあります。これらもシムと同じように高さを変えることができますが、数mm以上高さを変える時に使用され、微調整に使うシムリングとは目的が異なります。

シムリングは厚みの差が微妙なため、見た目では違いがわかりにくいことも多いです。厚みや図番などの情報をレーザーやスタンプでマーキングしたもの、端部を厚み毎、色分けしたものなどもあります。

薄くて小さいシムリングは、組立途中で紛失することも多いため、紛失防止として片面に粘着剤を付けた状態や反射防止として黒く染めた状態で納入してもらうことも可能です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/c-83796/
https://kikaikumitate.com/post-4771/
https://www.iwata-fa.jp/
https://mekacata.icata.net/

ボールガイド

ボールガイドとは

ボールガイドはボールの持つ転がり性能を利用して直動運動を非常に低摩擦で行うためのガイド部品です。主にシャフトに取り付けてシャフト長軸方向の直線運動に対して低摩擦の直線運動を行います。またボールガイドの他に似たものとしてローラーガイドがあります。

ボールを用いた低摩擦の代表的な部品としてボールベアリングが存在します。こちらは直動運動ではなく回転運動を支持することを役割としています。ボールの回転により低摩擦となる原理は同じです。

ボールガイドの使用用途

主に機械の直同機構の一部として利用されます。あくまでボールガイドは摩擦を抑える役割ですので、ボールガイドのみで利用されることはほとんどなく、シャフトによるブレ補正や搬送物を載せるステージやブラケットと組み合わせて使用されます。

ボールガイドの種類は様々です。シャフトにはめ込む円筒形状をしたボールブッシュやリニアブッシュ、構造の一部が平たくなっておりステージの役割も果たすことができるリニアガイドなどです。

ボールガイドの原理

ボールガイドはガイドポスト、ボールリテーナー、ブッシュの3つで構成されています。ボールに与圧がかかることでブッシュとガイドポストの間を転がることができます。安価である一方ローラーガイドに比べて耐荷重は少し弱めです。

リニアガイドはボールがレールの面で接触する構造となっています。ボールの転がる転動溝も設けられています。そのため許容耐荷重が大きくなります。つまり荷重を受けながら運動させることが可能です。ただその分構造も複雑になり高価となってしまいます。

リニアブッシュは構造がコンパクトな一方転動溝を設けられていません。そのためボールの接触面積が小さく許容荷重が小さくなってしまいます。つまり荷重を受けながら運動させることができません。リニアブッシュを使用する際にはあくまで搬送をガイドするものとして荷重は別の所にかけなければなりません。例えばベアリングに固定させたシャフトの長軸方向に直線運動するためのガイドとして利用するなどです。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/special/linearguide/about/
https://eurotechno.co.jp/info/characteristics-of-ball-roller-guide/
https://www.thk.com/?q=jp/node/6714

PFCコントローラ

PFCコントローラとは

PFCコントローラ (英: Power factor correction controller) とは、力率の改善を行う力率改善回路 (PFC回路) を制御するコントローラです。

力率とは、皮相電力に対する有効電力の割合のことです。容量性や誘導性の負荷を持った回路に交流電圧を入力すると、入力電流に位相差が生じたり、波形が正弦波から歪むことで高調波電流が発生し、力率が悪化します。

そのため、実際に負荷で消費される電力よりも大きな電力を供給しなければならなくなります。PFC回路は位相差や高調波電流を改善することで力率を1に近づける回路のことで、その制御を行うのがPFCコントローラです。

PFCコントローラの使用用途

PFCコントローラは、交流の商用電源を直流に変換するACDCコンバータには必須となる回路です。電子機器の力率が低いと、負荷で消費される電力以上の余計な電力を供給する必要があるため、電力会社などの供給側に大きな負担をかけることになります。

それ以上に問題なのが、高調波電流による送配電設備の損傷です。国際規格IEC61000-3-2によって高調波電流の規制値が定められており、電子機器はこの規制値を守らなければなりません。

そこで、規制値をクリアするように、PFCコントローラを用いて力率を改善する必要があります。

PFCコントローラの原理

ACDCコンバータに入力された交流電圧は、ダイオードブリッジで整流されたあと、コンデンサで平滑化され直流電圧に変換されます。このときコンデンサの両端電圧とコンデンサに流れる電流がずれるため、入力される電圧と電流に位相差が生じます。

また、入力される交流電圧がコンデンサの両端電圧よりも低い期間は電流が流れず、高い期間のみ充電電流が流れるので、入力される電流の波形は正弦波から歪んで高調波電流が発生します。この平滑化コンデンサに起因する位相差や高調波電流が、力率を悪化させる要因です。

力率を改善するために、ダイオードブリッジと平滑化コンデンサの間にPFC回路を入れます。PFC回路は昇圧型のDCDCコンバータと同様の回路構成になっており、入力電流が正弦波に近づくように、スイッチング素子のオン/オフを制御します。

PFCコントローラの構造

PFCコントローラ内の回路はコイル、FET、ダイオードから構成されています。FETは電界効果トランジスタを指し、名前の通りトランジスタの1種です。

FETがON/OFFすることでコイルに流れる電流は急激に変化しますが、コイルは流れる電流の変化を緩やかにする性質を持ちます。これらの動作でコイルに流れる電流は、三角波となります。繰り返しスイッチング制御を行い、コイル電流のピーク値が正弦波状になるように制御しています。

PFCコントローラのその他情報

1. PFC回路の回路方式

PFC回路の回路方式には、1組のスイッチで構成されるシングル方式、2組のスイッチで構成され位相を180度ずらして駆動させることでリップル電流を抑えることができるインタリーブ方式の2種類です。

また、動作モードには、大電力 (200~500 W程度) 用途の電流連続モード (CCM) 、中電力 (100~200 W程度) 用途の電流臨海モード (CRM) があります。これらを目的や用途に応じて適切に選択することが大切です。

2. 有効電力・皮相電力

  • 有効電力
    負荷で消費する電力のことです。 (負荷で消費しない電力を無効電力と呼びます。)
  • 皮相電力
    交流電源から出力される電力のことです。負荷に加わる電圧実効値と電流実効値の積で計算されます。前述した有効電力と無効電力は、共に皮相電力から出力されるものです。そのため、有効電力と無効電力の合計が皮相電力になります。

参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1206/18/news008.html
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/si/s-si/05-s-si/7389

板金ブラケット

板金ブラケットとは

板金ブラケット

ブラケットとは、機械装置や部品を固定するための支持具や取り付け金具のことです。

その中でも板金ブラケットとは、機械装置や部品を固定するための支持具や取り付け金具の一種で、板金加工によって製造された製品のことです。その特性として、形状や用途に応じた多彩な加工が可能であり、幅広い産業分野で使用されています。

加工内容には、形状を整えるための曲げ加工、固定用の穴加工やタップ加工、安全性を考慮したC面取りやR加工などが含まれます。また、重量物や高負荷に対応するため、リブ構造の溶接加工や三角リブ加工といった補強を施せる点も特徴です。

板金ブラケットの設計では、固定対象物の特性や用途を十分に考慮し、コストを抑えつつ高い機能性を実現することが求められます。設計段階から効率的な加工法を採用することで、全体のコスト削減が可能になります。

板金ブラケットの使用用途

板金ブラケットは、産業用機械、光学機器、計測機器、自動車、家電製品など、多様な分野で利用されています。主な用途は、比較的強度が必要とされない部品や機器の固定です。

また、単なる固定にとどまらず、長丸穴のような調整可能な取付穴を設けることで、固定部品の位置を柔軟に調整できる設計も可能です。強度が必要な箇所では機械加工品が使われることが多いものの、板金ブラケットはコストを抑えやすく、リブ構造や溶接加工を加えることで重量物の固定にも対応できます。

板金ブラケットの原理

近年では、レーザー加工機が普及し、厚い板金の切断も可能になっています。例えば、9mm厚の板金でも安価に製作できるようになり、従来の機械加工品と同等の性能を持つ板金ブラケットが製造可能です。

大量生産の場合、タレットパンチプレス (通称タレパン) や専用金型によるプレス加工を用いることで、さらに製造コストを削減できます。1mm以下の薄い板金の場合でも、バーリング加工 (絞り加工) を併用したタップ加工により、十分な強度を持つタップを作ることが可能です。

また、板金専用の溶接ナットや溶接スペーサを活用することで、簡単に付加機能を追加でき、より多機能な板金ブラケットの製造が可能になります。ただし、曲げ加工を施す場合、曲げ部周辺の穴が引き伸ばされて形状に影響することがあるため、設計段階での注意が必要です。

板金ブラケットの種類

板金ブラケットの種類としてL型ブラケット、三角型ブラケット、スクエア型ブラケット、I型ブラケット、Z型ブラケット、凸型ブラケット、A型ブラケットの7種類が挙げられます。

1. L型ブラケット

L型ブラケットは最も一般的で、「アングル」とも呼ばれます。棚の受け金具としてよく使われるほか、工作機械や電気機器の内部部品にも使用されています。

シンプルな形状のため扱いやすく、汎用品として安価で手に入るのが特徴です。ただし、強度面では他の種類に劣る場合があり、重い荷重がかかる場面では注意が必要です。棚受けや軽量部品の固定に適しています。

2. 三角型ブラケット

L型ブラケットに斜めの筋交いを追加した形状で、三角形を形成することで強度を大幅に向上させたタイプです。重い物を支えるために適しており、壁面への取り付けや産業機械の補強に利用されます。

また、デザイン性の高い筋交いを加えたり、モノを掛けるフックを追加したりするなど、用途に応じたカスタマイズが可能です。ただし、L型よりも大きなスペースが必要になるため、設置場所に注意が必要です。

3. スクエア型ブラケット

筋交いを四角形にしたタイプで、棚板を複数取り付けられる設計が可能です。内部に棚やパイプを通しやすく、整理整頓に便利な構造となっています。

ただし、三角型ブラケットと比較すると強度は劣るため、軽い荷重に適した用途で使用されることが一般的です。家具や収納設備での使用が多く、効率的な空間活用を求める場面に適しています。

4. I型ブラケット

壁面から突き出したシンプルな形状で、設置面積を最小限に抑えられるデザイン性の高いブラケットです。棚受けや装飾品の固定に使われることが多いですが、設置面が小さいため、強度が必要な場合は壁自体を補強する必要があります。

I型ブラケットは見た目がすっきりしており、デザイン重視の空間にも適している一方で、耐荷重には注意を払う必要があります。

5. Z型ブラケット

Z字型の形状を持つブラケットで、高さの異なる部分を連結する用途に適しています。センサーや小型部品の固定、自動車部品の装着、棚板の設置などに活用されることが多いです。

Z型の特徴は、厚みのある部品を固定しやすい点や、細かな調整が必要な場面に対応できる点です。一方で、強度が求められる場合は補強が必要になることがあります。

6. 凸型ブラケット

凸型は、「凸」の形をしたブラケットで、2つの面で固定できるため、Z型よりも高い強度を持っています。自動車部品や木工製品の固定に使用され、振動が少なく、重い物を保持する場面に最適です。

ただし、2面分の設置面積を必要とするため、スペースに余裕がない場所では不向きです。耐荷重を確保しながら安定した固定が可能です。

7. A型ブラケット

A型ブラケットは、洋服のポールやハンガーを固定する用途で用いられる特殊な形状です。「a」の文字のように穴が空いており、パイプや棒状の部品を支えられます。

軽量で見た目がすっきりしているのが特徴ですが、過剰な荷重をかけると壁や取り付け部分に負荷がかかるため、設置には注意が必要です。

参考文献
https://jp.meviy.misumi-ec.com/info/ja/howto/33499/

NCフライス盤

NCフライス盤とは

NCフライス盤

NCフライス盤は,金属加工を行うときに使用されるNC工作機械と呼ばれるもののうちの一つです。NC工作機械とは,金属の不要な部分を切り落として目的とする製品の形状に仕上げる金属加工機械です。NCとは,Numerically Controlled;数値制御の頭文字をとったもので,演算装置により,自動で制御が可能であるという意味です。あらかじめ機械に加工プログラムを入力し,同じものを高い精度で作ることができます。フライスというのは工具の名称で,回転させて加工物を削ります。

NCフライス盤の使用用途

NCフライス盤は,金属の切削加工を行う場面で主に使用されます。多くの金属加工メーカの生産現場で,複雑な形状をした機械部品,金型の製作,加工に使用されています。NCフライス盤に搭載されているNC制御システムは,コンピュータによる自動加工であるため,大量の部品を作業者によるばらつきが発生することなく,加工を行うことができるという特徴があります。この特徴ゆえ,機械部品や金型の製作依頼を大量に受注して生産する必要がある機械系メーカに需要があります。

NCフライス盤の原理

NCフライス盤は,機械のコントロールを担う「NC装置」と,NC装置に指令を与える「NCプログラム」で構成されています。

NC装置は,指令された加工内容に沿ってNCフライス盤の動きをコントロールするシステムです。
NC装置の構成は,作業者が機械の操作を行うパネル部,数値演算を行う中枢部,シーケンス機構,サーボ機構で成り立っています。

ここで,NC工作機械の中枢部で行われている数値演算の原理を簡単に説明します。加工プログラムには,「Gコード」と呼ばれる一種のプログラミング言語のような指示コードが使われます。このGコードを機械のパネル部で直接打ち込むか,間接的に送り込み,機械に指令を伝達させます。Gコードは非常に簡潔なコードで,簡単な命令と座標で構成されています。

シーケンス機構では,センサーや周辺機器の作動をコントロールします。

サーボ機構では,サーボモーターの制御を行うことによって指令通りの切削位置,スピードで部品の加工を行います。 

参考文献
https://www.senban.jp/target/cnc/nc_gaiyou.html

NC自動旋盤

NC自動旋盤とは

NC自動旋盤

NC自動旋盤とは、数値制御方式の自動旋盤のことです。

NCはNumerical Controlの略で、数値制御を表します。CNCはComputer Numerical Controlの略で、数値制御にコンピュータを用いたものを指します。現在ではNCもCNCも同意と捉えることができます。

自動旋盤は旋盤の一種ですが、特に長い棒材から連続して複数の部品や粗形材を加工するものを言う場合が多くあります。よってNC自動旋盤は、数値制御によって棒材から連続して複数の部品の加工ができる旋盤を指します。

NC自動旋盤は、材料交換や段取り換えの手間が省けるため長時間の無人運転が可能であり、継続的な量産が可能な機械です。例えば2メートル以上の長い材料をそのまま機械に格納して、あらかじめ作成したプログラムに従って自動的に送り出し、加工することができます。

NC自動旋盤の使用用途

NC自動旋盤は特に大量生産に用いられる工作機械です。また切削加工なので、鋳造や鍛造などの工法よりも高い寸法精度が要求される部品の加工にも用いられます。

加工される材料では、まず金属が挙げられます。鉄鋼材料はもちろんステンレス、、アルミニウム合金、チタン、といった様々な種類の金属の加工に用いることが可能です。

金属以外に樹脂部品の加工にも用いられます。樹脂は射出成形によって複雑な形状に加工できますが、寸法精度が高くはありません。NC自動旋盤による切削加工を加えることによって、射出成形では達成できない寸法精度を得ることができます。

NC自動旋盤によって作られる部品には、ボルトやナット、シャフト類の部品があり、自動車、鉄道、航空機、航空宇宙関連などの輸送機器から、時計や医療機器などの精密部品まで幅広く利用されています。

NC自動旋盤の原理

NC自動旋盤は、主軸の長手方向の動きと、刃物の径方向の動きを、サーボモーターによりプログラムを用いて動かします。特に、長手方向や径方向の動き量・速度などの制御は、数値制御方式により行います。そのため、製品ごとにNCプログラムを作成し、機械にプログラムを入力しなければなりません。

最近のNC自動旋盤では、数値制御部がコンピューター制御に代わり、主軸を回転させての丸物切削加工に加えて、主軸の回転を止めてエンドミルによる切削加工などが可能です。また付加加工のDカットや、横穴加工、横タップ加工等が可能となっています。

NC自動旋盤の種類

NC自動旋盤は、まず供給する材料の種類によって分けることができます。棒材加工機 (バーワークマシン) と粗形材 (チャックワークマシン) があります。

バーワークマシンはNC自動旋盤として多く扱われる、長い棒材から連続して複数の部品を切り出していく方式のものです。一方でチャックワークマシンは、加工前の材料や粗形材を都度1回ずつ掴んで加工し、取り外すものをいいます。

また、機械の構造によっても種類が分かれます。長手方向に主軸側が移動する主軸台移動形と、長手方向に工具側が動く主軸台固定形の2種類です。主軸台移動形にはガイドブッシュという、材料を固定する部位があります。材料が固定されている部位 (チャック) と、工具が接触する加工部位との距離が離れていると、加工時にたわみが生じて加工精度に影響する場合があります。ガイドブッシュがあれば、工具の接触による材料のたわみを抑制することが可能です。

NC自動旋盤のその他情報

NC自動旋盤の長所と短所

NC自動旋盤の長所は、1μmなどの寸法の微調整もコンピューターで動作量に補正をかけて調整するため、セッティング変更が簡単となり、職人のカンやコツを必要とする部分が少なくなったと言う点です。結果として技術の伝承が従来よりも容易になったということも利点の1つです。

短所としては、簡単な部品でも加工するためにはプログラムが必要なこと、また加工時間が比較的長いことがあげられます。このような点からも、大量生産に適した工作機械といえます。

参考文献
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1606/24/news054_6.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machining/cutting/nc-lathe.jsp
https://cmj.citizen.co.jp/special/

インフレーション成型機

インフレーション成型機とは

インフレーション成型機とは、樹脂をフィルム状に成型し、これを袋状に加工する加工機器です。

レジ袋やゴミ袋、平袋などの袋を効率的に生産可能です。加熱溶融した樹脂をリング状の金型から薄いフィルムよりなる輪環状に押出し、輪環の内側に冷たい空気を吹き込んでチューブ状のプラスチックに成型します。

さらに、チューブ状のプラスチックフィルムを所定の長さにカットしてチューブの所定の位置を熱などで接着して袋状に加工します。この成型機は樹脂を押出して加工するため、押し出し成型機の一種です。

インフレーション成型機の使用用途

インフレーション成型機は、生活用品や農業用品、工業用品の分野で使用されるフィルムや袋の製造に使用されています。

例えば、生活用品の食品用包装フィルムやポリ袋などの製造に好適です。成型機の輪環状のフィルムの内側に吹き込む空気の清浄度を高め、成型機の作業環境をクリーンな環境にすれば、チューブ状のフィルムの内側を非常にクリーンな状態にできます。よって食品の包装に使用されるラップや包装袋の製造に好適です。

この成型機では、単層のほか、複数種のプラスチックフィルムが重なっている多層のフィルムも製造可能です。多層オレフィン系フィルムの成型も可能で、農業用ハウスで使用するフィルムや米袋、肥料袋などの農業用品の製造にも使用されています。このほか、一般塗装フィルムなどの工業用品の製造にも使用されています。

インフレーション成型機の原理

インフレーション成型機の一般的な構成は、以下の通りです。

まず溶融樹脂を押し出す押し出し機があり、成型する形 (円環状) の開口部をもつ金型である丸ダイがあります。続いて、押し出されて円環状のフィルムになった樹脂の中に冷たい空気を送り込んで膨らませるとともに同時に空冷して固めるインフレーションおよび冷却部があります。

次に配されるのは締め付けロールです。締め付けロールは、固められてチューブ状に成型されたプラスチックフィルム内側の送りこんだ空気を締め出しながらひっぱる装置です。

続いて、巻き取りがあります。この装置は、チューブ状のプラスチックフィルムを巻き取り、カッターなどで必要な長さに切断して片側を熱溶着させて袋状にします。

インフレーション成型機のその他情報

1. インフレーション成型機の特徴

インフレーション成型機の特徴を、メリットとデメリットに分けて解説します。

メリット
インフレーション成型機は構造が単純で製造条件の調整やメンテナンスなどが容易です。押出し機では金型が押出製品の品質や精度を大きく左右します。そのため、金型は精巧に製作する必要があり、形状が複雑であると費用が高価になることがあります。

インフレーション成型機で使用する金型は、成型する形(円筒状)の開口部をもつ金型である丸ダイです。丸ダイは形状が比較的簡易であり、金型費用が比較的安価となります。また、この成型機では、連続で成型可能であるため、清掃単価も安価となります。

デメリット
インフレーション成型機には、チューブ状プラスチックフィルムのような薄肉成型品が製作できるメリットがある反面、厚肉製品は製造できない、小ロット生産には向かないなどのデメリットがあります。

また、インフレーション成型機で成型した商品は厚みが不均一になることがあります。さらには、魚の目のような透明の小球状の塊であるフィッシュアイや、表面の筋などの欠陥が発生する可能性があるので注意が必要です。

2. インフレーション成型機で成型可能なフィルム

インフレーション成型機では単層だけでなく、多層フィルムの成型も可能です。この場合、金型を複数のリングを重ねた形状のダイとし、リング間の複数の隙間にそれぞれ異なる樹脂を供給します。

これが押し出されると複数層のプラスチックフィルムが重なったチューブ状の多層フィルムとなります。あとは、単層フィルムと同様に冷却固化して巻き取って完成です。

また、高機能フィルムの製造も可能です。インフレーション成型でよく使用される塩化ビニル樹脂 (PVC) のほか、ポリエチレン (PE) などのポリオレフィン系の材料に顔料や帯電防止剤を添加した高機能のプラスチックフィルムも製造できます。さらに、加工や取扱いが容易となる様プラスチックフィルムと包装する製品のくっつきを防止する添加剤を加えた高機能なフィルムも製造可能です。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/plastic-molding/process/inflation.jsp

オイルレスベアリング

オイルレスベアリングとは

オイルレスベアリング

オイルレスベアリング (英: Oilless Bearing) とは、滑り軸受の1種で、オイルやグリースなどの潤滑材を給油せず、潤滑性のある材質を使用した軸受です。

一般の滑り軸受は、軸受と軸の間に油やグリースなどの潤滑剤を塗布し、摩擦を低減させ摺動性を維持しています。しかし、オイルレスベアリングは油やグリースなどの潤滑剤の塗布が不要、もしくは給油量や給油回数を低減できる軸受です。

オイルレスベアリングは、JIS B0162 滑り軸受-用語定義及び分類の用語において、自己潤滑軸受、無潤滑軸受、固体潤滑軸受、多孔質自己潤滑軸受、焼結含油軸受が該当します。

オイルレスベアリングの使用用途

オイルレスベアリング_図1

図1. オイルレスベアリングの使用例

オイルレスベアリングが使用されるケースは、下記のような場合の摺動部や回転部です。

  • 構造や設置場所の制約から給油や給脂ができない箇所
  • 高温、低温雰囲気環境
  • 水中や化学薬品を使用するような腐食性雰囲気環境
  • 粉塵などが混入する雰囲気環境
  • 衝撃荷重および振動の多い箇所
  • 起動、停止が頻繁でオイルなどの潤滑剤が有効ではない箇所

オイルレスベアリングは、産業用機械や自動車や鉄道車両、産業用ロボット、コピー機やプリンターなど幅広い分野で、摺動部および回転部に使用されています。高温用バルブや製鉄設備などに使用されている場合は、耐熱性に優れた特徴を活用している一例です。

また、オイルなどの潤滑剤を使用していないことを活用した使用例では、食品製造機器や医療・介護機器、水門や水車などの水中機器があります。図1は、水平 (左右) 、垂直の3軸方向のテーブル位置調整機構で、垂直方向の軸支持にオイルレスベアリングが使用されています。

オイルレスベアリングの原理

滑り軸受では、ベアリング (軸受) とシャフト (軸) が接触しているため、シャフトが回転すると摩擦が発生し、摩耗が進展します。オイレスベアリングは、摺動面にオイルなどの潤滑剤などを使用せずに、自己潤滑性を持たせ、潤滑被膜を形成し摩擦を低減させます。

オイルレスベアリングに、自己潤滑性を持たせるための方法は下記のとおりです。

  • 固体潤滑剤を摺動面に埋め込む
  • 固体潤滑剤を金属組織内に分散させる
  • 金属組織内に含油させる
  • 自己潤滑性に優れた樹脂材を使用する

オイルレスベアリングの種類

オイルレスベアリング_図2

図2. 材質による種類

1. 材質による分類

オイレスベアリングの材質別の種類は、大きく分けて「金属系」「樹脂系」「複合系」の3つがあります。

金属系
金属系のオイルレスベアリングは、銅合金などの摺動面に自己潤滑性に優れた固体潤滑剤を埋め込んだ「固体潤滑剤埋込型」、金属組織内に分散させた「固体潤滑剤分散型」と、鋳鉄などに含油させた「含油成長鋳鉄型」があります。

樹脂系
樹脂系のオイルレスベアリングは、熱可塑性樹脂の「ポリアミド樹脂 (PA) 」「ポリアセタール樹脂 (POM) 」「ポリウレタン樹脂 (PUR) 」「芳香族ポリアミド樹脂」、また熱硬化性樹脂の「フェノール樹脂 (PF) 」「四ふっ化エチレン樹脂」などがあります。

複層系
複層系のオイルレスベアリングは、自己潤滑性のある材質と強度や熱伝導性に優れた材質を組み合わせ成形したベアリングです。

2. 形状による分類

オイルレスベアリング_図3

図3. 材質による種類 (金属系)

軸受として使用する場合は、円筒形の「ブッシュ」、つば付き円筒形の「フランジブッシュ」、スラスト荷重を受ける場合は、つば付き円筒形の「フランジブッシュ」、円盤状の「スラストワッシャ」があります。また自動調心形の「球面滑り軸受」があります。

オイルレスベアリング_図4

図4. 材質による種類 (樹脂系、複層系)

オイルレスベアリングのその他情報

メンテナンス性

オイルレスベアリングは、給油装置が不要です。オイル消費がほとんどなく、無給油で使用できるものもあります。

設備費や運用費用を削減し、定期的なメンテナンスも発生しません。ただし、摩耗は進展することがあるため、その際はベアリングの取り換えが必要になります。

参考文献
https://www.oiles.co.jp/bearing/oiles_bearing/about.html