単動シリンダとは
単動シリンダとは、圧力の加えられた流体を利用して一方向の動きをするシリンダです。
一方向にのみ作動し、もう一方向にはバネまたは重力などの外部力によって戻される特徴を有します。単動シリンダは構造が比較的単純で製造コストが低く、他のタイプのシリンダに比べて経済的です。また、複動シリンダに比べてコンパクトで軽量なので、狭いスペースや軽量化が求められる用途に適しています。
また、一方向にしか動かないため、予測可能な動きを行います。制御が容易で、誤った操作による事故や機械の故障のリスクが低いです。
ただし、一方向の動きしか制御できず、動作パターンが複雑な場合には不適です。複数の位置での停止が必要な場合などには、制御装置やシステムを追加することもあります。
単動シリンダの使用用途
単動シリンダはさまざまな用途で使用されます。以下は単動シリンダの使用用途一例です。
1. 自動車
単動シリンダは、自動車のブレーキシステムに使用されます。ブレーキペダルを踏むことで、単動シリンダがブレーキに圧力を提供します。ブレーキパッドをディスクやドラムに押し付けて制動力を発生させることが可能です。
また、サスペンションにおいて単動シリンダが使用される場合も多いです。シリンダの動きによって車輪の上下動を制御し、乗り心地や車体の安定性を向上させます。
2. 製造業
自動機械や製造ラインにおいて、部品の組み立てや仕分けなどのタスクに単動シリンダが使用されます。ピストンが押し出されて部品を移動させることで、組立作業を自動化することが可能です。
また、材料や製品を押し出すために使用されます。プラスチックや金属の成形機の一部は、単動シリンダが型に圧力をかけて材料を押し出して形状を作りだす仕組みです。
3. 化学プラント
単動シリンダはバルブやゲートなどの開閉装置の制御に使用されます。シリンダの動きによって、バルブを開閉して流体の供給や停止を制御することが可能です。パイプラインや配管における流体制御に使用されます。
単動シリンダの原理
単動シリンダは、シリンダ筒と呼ばれる筒状部品とその中を往復運動するピストンから構成されます。ピストンはシリンダ筒の内部に適合するように配置された部品です。
単動シリンダは一方向にのみ動作するため、流体の供給と排出が制御されます。流体は指定された経路を通じてシリンダ内に供給されます。
流体がシリンダ内に供給されると、その流体の圧力が増加する場合が多いです。この圧力の増加によってピストンは一方向に押し出されます。ピストンの動きは、シリンダ筒の内部容積の変化によって生じます。
押し出された後、流体の供給が停止されると単動シリンダは戻るための外部力が必要です。外部力にはばねや重力が使用されますが、ばねを使う製品が一般的です。外部力がピストンをシリンダの初期位置に戻し、シリンダが再び準備状態になります。
単動シリンダの選び方
単動シリンダを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。
1. チューブの内径
チューブの内径は、シリンダの内部の直径を指します。大きなチューブ内径はより大きな圧力を生成できる反面、サイズが大きくなる場合が多いです。一方、小さなチューブ内径であればコンパクトな設計に適していますが、生成できる圧力は制限されます。使用する要件に基づいて、適切なチューブ内径を選ぶことが大切です。
2. ストローク
ストロークは、ピストンが往復する際の移動距離です。用途に応じて必要なストロークを選びます。ストロークが短すぎると必要な動作範囲をカバーできない場合があり、長すぎるとシリンダ全体が大きくなって設計に制約が生じる可能性が高いです。
3. 押込・引出特性
流体流入によって、押し込むか引き出すかを選ぶことが必要です。用途に応じて選定します。また、製品によっては押込速度と引出速度が異なる場合があります。
4. アンサースイッチ
シリンダの位置検出や制御信号の送受信に使用されるデバイスです。リードスイッチやリミットスイッチ、マイクロスイッチが使用されます。アンサースイッチを搭載した単動シリンダを選ぶことで、制御システムとの連携が容易になります。
アンサースイッチは、特定の位置にピストンが到達した際に信号を発生することが可能です。スペースの制約からリードスイッチが使用されます。したがって、リードスイッチ付きの製品は、シリンダ内部に磁石が内蔵しています。
参考文献
https://punjabisongspb.com/?p=173