PFCコントローラ

PFCコントローラとは

PFCコントローラ (英: Power factor correction controller) とは、力率の改善を行う力率改善回路 (PFC回路) を制御するコントローラです。

力率とは、皮相電力に対する有効電力の割合のことです。容量性や誘導性の負荷を持った回路に交流電圧を入力すると、入力電流に位相差が生じたり、波形が正弦波から歪むことで高調波電流が発生し、力率が悪化します。

そのため、実際に負荷で消費される電力よりも大きな電力を供給しなければならなくなります。PFC回路は位相差や高調波電流を改善することで力率を1に近づける回路のことで、その制御を行うのがPFCコントローラです。

PFCコントローラの使用用途

PFCコントローラは、交流の商用電源を直流に変換するACDCコンバータには必須となる回路です。電子機器の力率が低いと、負荷で消費される電力以上の余計な電力を供給する必要があるため、電力会社などの供給側に大きな負担をかけることになります。

それ以上に問題なのが、高調波電流による送配電設備の損傷です。国際規格IEC61000-3-2によって高調波電流の規制値が定められており、電子機器はこの規制値を守らなければなりません。

そこで、規制値をクリアするように、PFCコントローラを用いて力率を改善する必要があります。

PFCコントローラの原理

ACDCコンバータに入力された交流電圧は、ダイオードブリッジで整流されたあと、コンデンサで平滑化され直流電圧に変換されます。このときコンデンサの両端電圧とコンデンサに流れる電流がずれるため、入力される電圧と電流に位相差が生じます。

また、入力される交流電圧がコンデンサの両端電圧よりも低い期間は電流が流れず、高い期間のみ充電電流が流れるので、入力される電流の波形は正弦波から歪んで高調波電流が発生します。この平滑化コンデンサに起因する位相差や高調波電流が、力率を悪化させる要因です。

力率を改善するために、ダイオードブリッジと平滑化コンデンサの間にPFC回路を入れます。PFC回路は昇圧型のDCDCコンバータと同様の回路構成になっており、入力電流が正弦波に近づくように、スイッチング素子のオン/オフを制御します。

PFCコントローラの構造

PFCコントローラ内の回路はコイル、FET、ダイオードから構成されています。FETは電界効果トランジスタを指し、名前の通りトランジスタの1種です。

FETがON/OFFすることでコイルに流れる電流は急激に変化しますが、コイルは流れる電流の変化を緩やかにする性質を持ちます。これらの動作でコイルに流れる電流は、三角波となります。繰り返しスイッチング制御を行い、コイル電流のピーク値が正弦波状になるように制御しています。

PFCコントローラのその他情報

1. PFC回路の回路方式

PFC回路の回路方式には、1組のスイッチで構成されるシングル方式、2組のスイッチで構成され位相を180度ずらして駆動させることでリップル電流を抑えることができるインタリーブ方式の2種類です。

また、動作モードには、大電力 (200~500 W程度) 用途の電流連続モード (CCM) 、中電力 (100~200 W程度) 用途の電流臨海モード (CRM) があります。これらを目的や用途に応じて適切に選択することが大切です。

2. 有効電力・皮相電力

  • 有効電力
    負荷で消費する電力のことです。 (負荷で消費しない電力を無効電力と呼びます。)
  • 皮相電力
    交流電源から出力される電力のことです。負荷に加わる電圧実効値と電流実効値の積で計算されます。前述した有効電力と無効電力は、共に皮相電力から出力されるものです。そのため、有効電力と無効電力の合計が皮相電力になります。

参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1206/18/news008.html
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/si/s-si/05-s-si/7389

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