オイルレスベアリング

オイルレスベアリングとは

オイルレスベアリング

オイルレスベアリング (英: Oilless Bearing) とは、滑り軸受の1種で、オイルやグリースなどの潤滑材を給油せず、潤滑性のある材質を使用した軸受です。

一般の滑り軸受は、軸受と軸の間に油やグリースなどの潤滑剤を塗布し、摩擦を低減させ摺動性を維持しています。しかし、オイルレスベアリングは油やグリースなどの潤滑剤の塗布が不要、もしくは給油量や給油回数を低減できる軸受です。

オイルレスベアリングは、JIS B0162 滑り軸受-用語定義及び分類の用語において、自己潤滑軸受、無潤滑軸受、固体潤滑軸受、多孔質自己潤滑軸受、焼結含油軸受が該当します。

オイルレスベアリングの使用用途

オイルレスベアリング_図1

図1. オイルレスベアリングの使用例

オイルレスベアリングが使用されるケースは、下記のような場合の摺動部や回転部です。

  • 構造や設置場所の制約から給油や給脂ができない箇所
  • 高温、低温雰囲気環境
  • 水中や化学薬品を使用するような腐食性雰囲気環境
  • 粉塵などが混入する雰囲気環境
  • 衝撃荷重および振動の多い箇所
  • 起動、停止が頻繁でオイルなどの潤滑剤が有効ではない箇所

オイルレスベアリングは、産業用機械や自動車や鉄道車両、産業用ロボット、コピー機やプリンターなど幅広い分野で、摺動部および回転部に使用されています。高温用バルブや製鉄設備などに使用されている場合は、耐熱性に優れた特徴を活用している一例です。

また、オイルなどの潤滑剤を使用していないことを活用した使用例では、食品製造機器や医療・介護機器、水門や水車などの水中機器があります。図1は、水平 (左右) 、垂直の3軸方向のテーブル位置調整機構で、垂直方向の軸支持にオイルレスベアリングが使用されています。

オイルレスベアリングの原理

滑り軸受では、ベアリング (軸受) とシャフト (軸) が接触しているため、シャフトが回転すると摩擦が発生し、摩耗が進展します。オイレスベアリングは、摺動面にオイルなどの潤滑剤などを使用せずに、自己潤滑性を持たせ、潤滑被膜を形成し摩擦を低減させます。

オイルレスベアリングに、自己潤滑性を持たせるための方法は下記のとおりです。

  • 固体潤滑剤を摺動面に埋め込む
  • 固体潤滑剤を金属組織内に分散させる
  • 金属組織内に含油させる
  • 自己潤滑性に優れた樹脂材を使用する

オイルレスベアリングの種類

オイルレスベアリング_図2

図2. 材質による種類

1. 材質による分類

オイレスベアリングの材質別の種類は、大きく分けて「金属系」「樹脂系」「複合系」の3つがあります。

金属系
金属系のオイルレスベアリングは、銅合金などの摺動面に自己潤滑性に優れた固体潤滑剤を埋め込んだ「固体潤滑剤埋込型」、金属組織内に分散させた「固体潤滑剤分散型」と、鋳鉄などに含油させた「含油成長鋳鉄型」があります。

樹脂系
樹脂系のオイルレスベアリングは、熱可塑性樹脂の「ポリアミド樹脂 (PA) 」「ポリアセタール樹脂 (POM) 」「ポリウレタン樹脂 (PUR) 」「芳香族ポリアミド樹脂」、また熱硬化性樹脂の「フェノール樹脂 (PF) 」「四ふっ化エチレン樹脂」などがあります。

複層系
複層系のオイルレスベアリングは、自己潤滑性のある材質と強度や熱伝導性に優れた材質を組み合わせ成形したベアリングです。

2. 形状による分類

オイルレスベアリング_図3

図3. 材質による種類 (金属系)

軸受として使用する場合は、円筒形の「ブッシュ」、つば付き円筒形の「フランジブッシュ」、スラスト荷重を受ける場合は、つば付き円筒形の「フランジブッシュ」、円盤状の「スラストワッシャ」があります。また自動調心形の「球面滑り軸受」があります。

オイルレスベアリング_図4

図4. 材質による種類 (樹脂系、複層系)

オイルレスベアリングのその他情報

メンテナンス性

オイルレスベアリングは、給油装置が不要です。オイル消費がほとんどなく、無給油で使用できるものもあります。

設備費や運用費用を削減し、定期的なメンテナンスも発生しません。ただし、摩耗は進展することがあるため、その際はベアリングの取り換えが必要になります。

参考文献
https://www.oiles.co.jp/bearing/oiles_bearing/about.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です