シムリング

シムリングとは

シムリング (英: Shim ring) とは、部品と部品または部品と設備・設置場所の間に挟み込み、相互間の位置・レベル・間隔を調整する際に使われるシムの一種です。

リング形状をしており、均一な厚さを持ちます。その厚さを調整することで、部品の寸法公差、複数部品を組み立てた際の累積公差を吸収したり、現場で位置精度の微調整したりする役割を果たします。

シムリングの使用用途

シムリングは、一般的な機械や装置の組み立てにおいて、部品同士の間隔や位置の微調整が必要な場合に使用されます。

1. ベアリングなどの位置調整

図1.アンギュラベアリングのシムシング使用例

シムリングは、リング形状をしていることから、ベアリングの内輪、外輪に挿入し、軸方向の確実な固定や位置調整に使用されます。アンギュラベアリングやテーパローラベアリングでは、内外輪の位置調整によってベアリングの与圧 (プリロード) を調整するのに有用です。

ベアリング用のシムリングは、各種ベアリング型式の内輪、外輪に合わせた寸法の物が用意されています。他にも、歯車プーリなどの軸位置の調整用にもベアリングと同様に使用します。

2. ねじ・ボルト穴での位置調整

図2. 高さ合わせピンのシムリング使用例

通常のシムでは、ねじやボルト締結面部で部品同士の位置調整を行う際、部品に合わせた形状のシムが必要になります。シムリングをねじ穴部に配置することで、特殊形状のシムを使用しなくても締結面の位置調整が可能です。

シムリングは、高さ合わせピンなどの高さ調整などでも使用されます。

3. フランジ面での位置調整

シムリングはフランジ面で締結穴を避けて内外周に配置することで、専用のシム形状としなくてもフランジ面の位置調整が可能です。

シムリングの原理

シムリングは、部品の間隔や位置を微調整するために使用される部品です。均一な厚さと薄いリング状の形状が特徴で、部品同士の間に挿入されることで、その厚さが間隔や位置を微調整できます。

シムリングの厚みは、一般的に数十μmと極めて薄いものから数mm程度まで、バリエーションは豊富です。材質は、鉄鋼やステンレス、真鍮などが用いられます。

シムリングの種類

シムリングには、通常のリング形状以外に以下の種類があります。

1. 切り欠きタイプ

切り欠きタイプ  (または割りタイプ) は、リングの一部を切り欠いた形状です。ボルトや軸などを完全に抜かなくても横から挿入、取り出しができるため組立時の厚さの調整が簡単です。 (図2. (b)参照) 

ただし、内外径の幅が狭い場合は、固定時傾きを発生する場合があります。複数個所で使用し、かつ各シムリングの切り欠きの方向を合わせないなど注意が必要です。

2. ラミネートタイプ

図3. ラミネートタイプのシムリング

ラミネートタイプ (または積層型) は、数十μmなど非常に薄いシムリングを接着剤で貼り合わせて全体の厚みを0.5mmや1mmなどとしたシムリングです。必要に応じてカッターなどで剥離し、厚みを調整して使用します。

シムリングのその他情報

シムリングを使用する際の注意点

シムリングは必要な厚みを得るために、数種類の厚みのシムリングを重ねて使用するものです。しかし、重ねる際にゴミやほこりなどの異物の混入、折れ曲がり、傷などによる厚みの変化などがあるため、組付け時には注意が必要です。

これらを回避するため、シムリングを重ねる場合は、極力重ねる枚数を減らします。シムリングと似た形状で、ワッシャーや中空スペーサがあります。これらもシムと同じように高さを変えることができますが、数mm以上高さを変える時に使用され、微調整に使うシムリングとは目的が異なります。

シムリングは厚みの差が微妙なため、見た目では違いがわかりにくいことも多いです。厚みや図番などの情報をレーザーやスタンプでマーキングしたもの、端部を厚み毎、色分けしたものなどもあります。

薄くて小さいシムリングは、組立途中で紛失することも多いため、紛失防止として片面に粘着剤を付けた状態や反射防止として黒く染めた状態で納入してもらうことも可能です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/c-83796/
https://kikaikumitate.com/post-4771/
https://www.iwata-fa.jp/
https://mekacata.icata.net/

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