リークテスター

リークテスターとは

リークテスタ

リークテスターは、工業製品や各種配管等の漏れを確認するために用いられる検査機器・ケミカル用品です。

検査機器として呼称する場合は「漏れを電気的に感知するもの」を指し、ケミカル用品として呼称する場合には「漏れを視覚的に感知するもの」を指します。

一般的に、前者は「製品全体・配管全体に漏れがあるかどうか」を検査するため。後者は「製品・配管のどこに漏れがあるのか」を点検するためにに使用されています。

リークテスターの使用用途

製造ラインでの検査やエアコンの冷媒漏れ検査、ガス配管の漏れ検査等に使用されています。

製造ラインでの検査では、製品内部を加圧する「内圧方式」チャンバー内に製品を置き、製品内部もしくはチャンバー内を加圧する「内圧チャンバー式」「外圧式」が多く用いられます。

もうすでに使用過程にあるものの漏れ検査には、「赤外線吸収式」や「半導体式」もしくは液状のリークテスターが用いられていますが、可燃性ガスや冷媒ガスの漏れに対しては「赤外線吸収式」が主流となっています。

リークテスターの原理

「内圧式」の場合、製品内部を加圧し、保圧状態からの圧力変動の有無を利用して漏れを検出します。

「外圧式」の場合はチャンバーと呼ばれる圧力容器内に製品を置き、チャンバー内を加圧してチャンバーから製品内部に圧力が逃げていないかを検知します。

「内圧チャンバー式」はチャンバー内に置かれた製品内部を加圧し、チャンバー内の圧力変動により検出します。

「赤外線吸収式」「半導体方式」はいずれも、吸入した空気に混入したガスを検出し漏れを発見するものですが、「赤外線吸収式」は反応時間が短い「半導体方式」は感度が高く、長寿命であるというメリットがあります。

なお、これらの検査機器を使用して行うのは「漏れ有無」の確認であり、「漏れの箇所」の点検に関しては液状のリークテスター、もしくは製品を水中に沈める「水没目視検査」によって行う必要があります。この場合、製品によっては内部の腐食や、検査官の技量による見落としが発生する可能性があります。

参考文献
https://www.leaktester.co.jp/about/

ロータリーストッカー

ロータリーストッカーとはロータリーストッカー

ロータリーストッカーとは、天井空間を利用して大量の部品や製品などを収納できる循環式の回転棚のことです。

高さ方向を有効活用できることから省スペース化に役立ち、倉庫内を整理整頓、掃除がしやすくなります。

取り出し口は1か所~4か所、片面取り出しや両面取り出しなど、様々なタイプから選ぶことができます。設置を検討する際は、設置する設備の環境や収納物の量などを考慮したうえで、用途に合ったものを選定することが重要となります。

ロータリーストッカーの使用用途

ここでは、ロータリーストッカーの使用用途について解説していきます。

ロータリーストッカーは、製造現場での組み立て部品や加工用治具、各種ツーリングの保管・管理などのために利用されています。

製造現場ではあらゆる部品をはじめ、治具や工具なども倉庫に保管しておく必要があるため、どうしても大量の物が乱雑に置かれやすい環境になります。そこで、ロータリーストッカーを導入することで、ものを取り出す際の移動や積み替えの手間が減り、作業効率を高めることができます。

ロータリーストッカーの原理

ここでは、ロータリーストッカーの原理について解説していきます。

ロータリーストッカーの内部には縦に棚が積み上げられており、それぞれがサークル状に繋がっています。

取り出し口から操作盤で呼び出したい棚番号を入力すると棚が回転し、呼び出した棚が取り出し口までくる仕組みになっています。

ロータリーストッカーは種類によって機械高さや積載重量の上限などが異なります。棚のタイプも標準的なものから仕切り付きのもの、多段式のものなどが選択可能です。

また、LAN接続を利用すると複数のストッカーをパソコン1台で一括管理することもできます。

このような機能を利用して、倉庫内の物品を整理整頓することは、在庫管理の面でも非常に重要です。

様々な製造現場では、倉庫内に乱雑に置かれているせいでどこに何があるか分からなくなり、結果的に損失となっている在庫品が大量に存在します。つまり、在庫品を適切に保管・管理すれば損失額を減らせて利益率アップが期待できるということです。ロータリーストッカーは倉庫内の整理整頓だけでなく、在庫管理にも役立つ装置といえるでしょう。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0556.html
https://www.makishinko.co.jp/page/products_rs.html

金属ベース基板

金属ベース基板とは金属ベース基板

金属ベース基板 (英: metal-based printed circuit board) とは、ベースに金属を使用したプリント基板です。

放熱が必要なLED照明が近年普及したため、アルミプリントや銅プリントなど金属ベース基板の需要が増えています。通常のプリント基板は、熱を逃がす効率が悪く高温になるため部品の寿命が短くなります。

パワーエレクトロニクス分野でも、放熱技術が必須です。炭化ケイ素SiC基板、窒化ガリウムGaN基板、アンプの基板などは、金属ベース基板が必要になっています。

金属ベース基板の使用用途

金属ベース基板は、LEDを搭載した照明の基板、電子部品の熱によるダメージ防止、電力用半導体素子の冷却、高温環境下での基板使用などを目的に使用されています。

LED以外の用途では、電力用半導体素子の発熱を金属ベース基板を使用して、性能を引き出します。また、ハイブリットIC 車載電装、 高密度実装パッケージ、太陽光発電、家電製品などの熱による損傷を防ぐために有用です。

金属ベース基板の原理

金属ベース基板は、アルミ、、ステンレスなどの金属板の上に絶縁層を積層し、さらにその上に導体である銅箔の回路を重ねるのが標準的な構成です。アルミや銅などは、樹脂やセラミックなどに比べ、熱伝導が良い金属です。基板に金属を使うことにより、LEDなどから発生した熱を効率よく放熱させます。

絶縁層の厚さは放熱性に影響します。放熱性は絶縁層を薄くすると良くなりますが、耐電圧は逆に悪くなります。また、絶縁層のフィラーの量も放熱性に影響します。

金属基板ではない一般の基板が耐熱性グレードFR-4の場合、熱伝導率は0.38W/m・K程度に対し、金属ベース基板は、1.1~2.5W/m・K程度に上昇します。熱伝導率が大きいほど熱を速く伝え、絶縁層が薄いほど熱抵抗が小さくなり、放熱特性が良くなります。

金属ベース基板の種類

金属ベース基板には、主に2種類が使用されます。

1. アルミ基板

アルミ基板は軽く、放熱性が良いので多く使われています。主にLED照明に使用され、表面から銅箔、絶縁層、ベースアルミで構成されます。

アルミ基板には、両面アルミベース基板と両面アルミコア基板があります。両面アルミベース基板は、両面基板、絶縁層、ベースアルミをプレスして製造する片面実装タイプです。

両面アルミコア基板は、ベースアルミの両面に、絶縁層、銅箔をプレスしたものです。銅箔の厚さを厚くする場合、厚い銅箔、絶縁層、ベースアルミをプレスすることで製造します。銅箔の厚さは400µm程度まで可能です。

2. 銅基板

銅基板はアルミより約1.7倍放熱性が優れ、発熱量が大きい部品に使用されます。表面から銅箔、絶縁層、銅板で構成され、アルミ基板に比べ重いです。また、高価のため小ロットの使用は難しいですが、放熱性が優れている特徴があります。

放熱性は、絶縁層の厚みが薄い方が放熱しやすく、厚い方が高電圧に耐えます。両面銅コア基板は、銅板の両側に絶縁層、銅箔を設け、スルーホールで接続します。

金属ベース基板のその他情報

金属ベース基板のメリット    

1. 優れた放熱性
一般に多く使われるガラス布基材エポキシ樹脂のFR-4や複合基材エポキシ樹脂のCEM-3と比較すると、金属ベース基板は放熱性が数倍以上優れています。熱伝導率が大きい金属をベースに使用しているので、放熱能力が優れています。    

2. 優れた寸法安定性
アルミ基板と銅基板は、一般の基板に較べ熱膨張係数CTEが小さい特性があります。CTEが小さいと、温度による伸縮が小さくなります。通常のFR-4基板に比べ、金属基板は温度変化に対し、寸法が安定しています。    

3. ひずみが少ない伝送
金属ベース基板は、放熱性に優れているので、温度上昇が小さいのが特徴です。したがって、信号伝送のひずみが少なくなります。

そのため、パワーコンバータ、照明、太陽光発電、背面照明、自動車用LEDアプリケーション、家電製品などに金属ベース基板が使用されます。

参考文献
http://www.k2p.jp/manufacturing/special_mtl.html
https://www.pcbgogo.jp/knowledge-center/aluminum_printed_circuit_board.html

光コネクタ

光コネクタとは

光コネクタ

光コネクタとは、光ファイバー回線を接続するためのコネクタです。

光信号伝送のために、光ファイバーケーブルの完全な接続を可能にします。光コネクタは光回線ケーブルを容易に接続可能なため、導入や保守作業が容易です。光ファイバーの素早く確実な接続を実現します。

また、精密な設計と製造技術により、光ファイバーとの間で最小限の光損失を実現します。これによって信号の伝送効率が向上し、より遠くまで信号を送ることが可能です。

ただし、光コネクタは非常に精密な部品であり、光ファイバーとの接触部分がきれいでなければなりません。コネクタが汚れや指紋などで汚れていると、信号の品質や伝送効率が低下する可能性があります。光コネクタを扱う際には清潔な環境で作業し、コネクタの保護キャップを使用することが重要です。

光コネクタの使用用途

光コネクタはさまざまな産業において活躍する部品です。代表的な使用例として、通信業界が挙げられます。

具体的には、光ファイバーケーブルの接続や光分配器など、長距離通信や高速データ伝送における光ファイバーネットワークの構築に使用されます。また、データセンターでは大量のデータの高速伝送と低遅延が要求されます。

光コネクタを使用した光ファイバーネットワークは高い帯域幅と信号品質を提供することが可能です。これによって、データセンター内のサーバーやストレージシステムを結びつけます。

そのほか、テレビ放送や医療機器・産業機器も用途の1つです。航空産業・防衛産業においても重宝されます。高速かつ安定したデータ通信が重要な場合に使用されることが多いです。

光コネクタの原理

一般的な光コネクタはハウジングと、光ファイバーの先端を固定するフェルールから構成されます。光ファイバー回線においては、この先端部同士を直接突き合わせるのがコネクタ接続の原理となっています。接続が少しでもずれてしまうと接続損失が増加するため、高精度に接続できる構造が必要です。

光コネクタを接続する相手方の機器を光アダプタといいます。光アダプタの内部にはコネクタの形状に合った割スリーブが内蔵されているため、高精度の接続が実現可能です。

接続面 (端面) はPC研磨処理されることが多く、別名球面研磨です。球状になった端面はコネクタ内のスプリングによって頂点が凹む形で突き合わされます。これによって光ファイバー同士に空気の層ができにくくなり、ロスを最小限に抑えた接続が可能です。

光コネクタの種類

光コネクタにはさまざまな種類が存在しています。よく使用される光コネクタの種類を以下に列挙します。

1. SC (サブスクライバ・コネクタ)

SCコネクタは、精密な円筒形のフェルールを持つ一般的な光コネクタです。このコネクタは、押引によって脱着する機械的ラッチ機構を備えており、簡単かつ確実な接続を提供します。一般的に、単一モード光ファイバーケーブルに使用されます。

2. LC (ルシフェラーコネクタ)

LCコネクタは小型のフォームファクタを持つ光コネクタです。全体的に小型なコネクタであり、高密度配線環境に適しています。一般的に、単一モードおよびマルチモード光ファイバーケーブルのどちらにも使用されます。

3. ST (ストレート・チューブ)

STコネクタは、バヨネットカップリング機構を持つ光コネクタです。このタイプのコネクタは比較的大きく頑丈であり、一般的にマルチモード光ファイバーケーブルに使用されます。ネットワーク機器やデータ通信用途で利用されることが多いです。

4. FC (ファイバ・コネクタ)

FCコネクタは、ネジ式カップリング機構を持つ光コネクタです。このコネクタは、高い耐久性と信号品質を提供するため、工業環境や防衛分野で使用されることがあります。一般的に、単一モード光ファイバーケーブルに使用されます。

参考文献
https://www.fiberlabs.co.jp/tech-explan/about-optical-connector/

精密水準器

精密水準器とは

精密水準器は、高度な水平の基準が要求される精密機器などの製造工程などで、水平を確認するために使用されます。液体の内部にある気泡の位置を測定することによって、精密水準器の位置がどの程度の傾斜があるかを測定します。JIS規格によって、水準器の精度が厳密に定められています。基本的には、目視によって水平を確認しますが、気泡の位置をセンサで測定することによって、デジタル信号として傾斜度合いを入手できる精密水準器も発売されています。

精密水準器の使用用途

精密水準器は、精密機器や半導体、ディスプレイなどの製造工程など、高い精度が要求される製造現場で使用されます。工作機械や製造装置の動作前や設置時に使用します。作業ごとに高度な水平が要求される機器に搭載されている場合もあります。精密水準器の選定の際には、測定精度や振動への強さ、デジタル式かアナログ式か、使用する環境に適しているかどうか、測定のしやすさ、サイズなどを考慮する必要があります。

精密水準器の原理

精密水準器の測定原理を説明します。精密水準器は、精密に目盛り付けされ、水平などが担保されている容器、容器が取り付けられている精密な筐体で構成されています。容器はわずかに湾曲しており、その容器の内部には、規定量の液体と気体が入っています。デジタル式の場合は、気泡を観測する部分にイメージセンサが内蔵されています。

目視での測定時は、気泡が容器にある目盛りのどの位置にあるかを目視で確認することにより、精密水準器が位置している場所の傾斜を測定します。デジタル式の場合は、センサから取得した画像を処理することによって、どの程度の傾斜があるかを内蔵されている制御基板で計算し、表示部に表示します。また、傾斜の度合いを電気信号としてその他の接続可能な機器に伝達し、フィードバック制御などを行い、水平を保つためのセンサとして機能することも可能です。仕組み上、振動が多い環境や高温の環境下では、正常に機能しない場合があるため、注意が必要です。

精密水準器の種類

精密水準器は日本工業規格であるJISによって、その構造や精度が決められています。

精密水準器は感度によって種類が三つに分けられています。水平器の感度は、一種(0.02mm/m、約4秒)、二種(0.05mm/m、約10秒)、三種(0.1mm/m、約20秒)の三種類にJIS規格で定められています。感度とは、気泡を1目盛移動させるのに必要な傾斜角のことで、感度表示は底辺1メートルに対する高さが基準になります。

例えば1種の場合、底辺1メートルに対し0.02mmの高さを1目盛で検出します。300mmのサイズの水準器(1種:感度0.02mm/m)を用いて気泡が1目盛移動している場合、水準器の端から端まで6μmの高さの違いがあります。

また感度は、傾斜角度(秒)でも表されます。角度1秒とは、1mにつき4.85μmです。

  • 1種 0.02mm/m = 角度4秒 = 0.00111°
  • 2種 0.05mm/m = 角度10秒 = 0.00277°
  • 3種 0.1mm/m = 角度20秒 = 0.0055°

精密水準器の等級

精密水準器は性能(精度)によって、JISではA級とB級に等級が分かれています。各性能の交差は以下の通りです。精度とは、計測器が表す値又は測定結果の正確さと精密さ(ばらつきの小さい程度)を含めた総合的な良さで、測定のばらつきのことです。測定を行った際に、測定値±精度となり、±精度の中に測定目的の真の値が含まれる形になります。

JISでは精度は以下の通りとなっています。

  • 全範囲精度 (1種) :A級±0.5目盛、B級±0.7目盛
  • 全範囲精度 (2種及び3種) :A級±0.3目盛、B級±0.5目盛
  • 隣接精度 (1種,2種及び3種) :A級0.2目盛、B級0.5目盛

A級とB級で精度が異なっており、さらに1種と2種及び3種、全範囲精度と隣接精度でそれぞれ精度の値が分けられています。1種、2種、3種とは、精密水準器の種類で説明の通り、精密水準器の感度による差です。全範囲精度とは、精密水準器の全目盛範囲での精度についての規定です。そして隣接精度とは、隣接する目盛に対しての精度の規定です。

参考文献
https://www.fsk-level.com/
https://satosokuteiki.com/item/detail/3113?pid=6332
https://www.kikakurui.com/b7/B7510-1993-01.html

双腕ロボット

双腕ロボットとは

双腕ロボット

双腕ロボットとは、ロボットの胴体と胴体から伸びる2本の腕 (アーム) を有するロボットのことです。

それぞれのアームに役割を持たせて、それぞれのアームを個別に動作させることができます。そのため、2本のアームによって複雑な作業を実施できる点が双腕ロボットの利点です。

双腕ロボットに似たロボットとして、1本だけのアームを持つ単腕ロボットがあります。双腕ロボットは、単腕ロボットよりも人間らしい動作が可能で、物を浮かせた状態でも作業ができます。

双腕ロボットの使用用途

双腕ロボットは、製造業や物流業、飲食業などで使用されています。病院・介護施設などの医療福祉現場や大学などの研究現場で使用されることも多いです。

なお、双腕ロボットは関節部分の構造から2種類に分類できます。1つは垂直多関節型ロボットで、もう1つは水平多関節型ロボットです。水平多関節型ロボットはスカラロボットと呼ばれたりします。

1. 垂直多関節型ロボット

垂直多関節型ロボットは、立体的な作業に向いています。垂直多関節型ロボットが実際に行う作業は、加工や研磨、検査、塗装、溶接、組立、ピッキング、ハンドリングなどです。

2. 水平多関節型ロボット

水平多関節型ロボットは、平面上での作業に向いています。水平多関節型ロボットが実際に行う作業は、検査や組立、ハンドリングなどです。

双腕ロボットの原理

双腕ロボットは、一般的なロボットの仕組みと変わりません。先端のハンド部分とアーム部分、関節 (リンク) 部分で構成されています。垂直多関節型ロボットは、基本的に6軸以上で構成されています。

それぞれの軸を回転させることで、3次元空間上を自由に移動できるような動作が可能です。垂直多関節型の双腕ロボットの中には、片腕が7軸で構成され、腰1軸を持つ人型ロボットもあります。水平多関節型ロボットは、基本的に4軸で構成され、水平方向に動作する3軸と垂直方向に動作する1軸を持っています。

双腕ロボットのハンドおよびアームを動かす際には、モーターを使用しています。主として使用されるモーターは、サーボモーターです。同様の機能を有するモータとしてステッピングモーターもありますが、ステッピングモーターでは、エンコーダを使用していないことから、自身の位置を把握できません。そのため、ステッピングモーターはハンドやアームの駆動源に不向きです。

双腕ロボットでは、複数のカメラや力覚センサーなどによるセンシング機能によって自律能力を持たせることが可能です。胴体、アーム、ハンド、関節、カメラ、力覚センサー、画像処理、物体認識、力覚制御、これらを組み合わせることで人間に近い双腕ロボットを作り出しています。このおかげで複数の単腕ロボットが必要な作業でも双腕ロボット1台で賄うことができます。

双腕ロボットのその他情報

1. 双腕ロボットの価格について

かつての双腕ロボットの相場は500万円以上のものが大半で、双腕ロボットの購入が難しいと考えている企業が多いのが実情でした。しかし近年では、双腕ロボットが活躍できる食品工場や介護施設などで需要が見込まれるとみて、200万円~300万円台の双腕ロボットが開発されています。

双腕ロボットの低価格化だけではなく、ロボット自体の軽量化や安全性の向上に成功しています。今後の需要に合わせて、低価格で安全な双腕ロボットが増えていくことが期待されます。

2. 双腕ロボットのメリット

複雑な作業が行える
冒頭で紹介したように双腕ロボットは2本のアームを活用するので、他のロボットよりも複雑な作業を行えます。例えば、一方のアームで部品を取り外し、もう一方のアームで部品を取り付けることができます。 こうした複雑な作業を行うことで、作業の効率化を図れるのが大きな利点です。

安全性が高い
厚生労働省の労働安全衛生規則によると、80W以上のロボットの場合、安全柵で囲って、ロボットの作業半径への作業者の立ち入りを禁止する必要があります。しかし、双腕ロボットでは80W未満のモーターが使用されていることが多いので、作業者と共同で作業ができます。

また、作業者の安全も守ることができる点も双腕ロボットの利点です。なお、規制緩和によって一定の条件を満たせば、80W以上のロボットと人間が同じ作業スペースで働くことが可能になりました。

導入コストを抑えることができる
先ほども述べたように、双腕ロボットの低価格化が進んでいます。双腕ロボット自体もそこまで大きくなく、導入のコストを抑えることも可能です。また、作業の効率化を図れるので、人件費の削減にもつながります。

参考文献
https://www.epson.jp/products/robots/souwan/w01/
https://newswitch.jp/p/20537
https://www.robot-befriend.com/blog/dual-arm-robot/

卓上ロボット

卓上ロボットとは

卓上ロボット

卓上ロボット (英: Desktop robot) とは、机の上に載せて使えるサイズのロボットです。

例えば、作業者が行っている作業をロボットに行わせるためにFA (ファクトリーオートメーション) 用途で使用されたり、販売員をサポートするために販売用途で使用されたりします。

取り扱うワークに合わせて独自に開発されるケースもあれば、ロボットメーカーの汎用品を組み合わせて使用するケースもあります。卓上ロボットのエンドエフェクタを置換すれば、さまざまな用途への展開が可能です。

卓上ロボットの使用用途

卓上ロボットは、主にFA分野の自動化を促進するために使用されています。例えば、自動車や電気機器などの製造業です。

また、ワークに樹脂などを塗布する塗布工程やネジ締めなどの組立工程、基板の切断工程、検査工程などでも使用されます。使用目的や使用環境などに合ったタイプの卓上ロボットの選定が必要です。

卓上ロボットの原理

卓上ロボットは、一般的に仕事を行うためのエンドエフェクタとそれを動かすアームなどの可動部、全体を制御するための制御部で構成されています。エンドエフェクタは、各種用途で必要となる動きを具現化するために、溶接・切断・組立などの作業を行います。

一例として、車載用の駆動モータの生産ラインで使用される卓上ロボットの動作は以下の通りです。

  1. 直材が加工ステーションに到着
  2. 識別センサで加工物を確認
  3. 識別センサでの検知結果に基づいて、卓上ロボットに指示が入り、組立作業を開始
  4. エンドエフェクタの治具を入れ替え、組立作業を実施

卓上ロボットは塗布・組立・検査など汎用性に優れているため、 多品種少量生産を行うセル生産現場に最適です。

卓上ロボットの種類

卓上ロボットには、垂直多関節ロボットや直交ロボット、水平多関節ロボット (スカラーロボット) などがあります。

1. 垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、人間の腕に近い構造を持つロボットです。一般的に4軸、5軸または6軸で構成されています。それぞれの軸を回転させることで、3次元空間上で自由な動作が可能です。

2. 直交ロボット

直交ロボットは、単軸の直動ユニットを組み合わせたシンプルな構造のロボットです。例えば、XYZの3軸で構成されています。

3. 水平多関節ロボット

水平多関節ロボットは、水平方向に動作するハンド (エンドエフェクタ) を持つロボットです。例えば、4軸で構成され、水平方向に動作する3軸と垂直方向に動作する1軸を持っています。

 

その他、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボットには2個のアームを持った双腕型のロボットもあります。卓上ロボットは、溶接や切断などの単工程を1個のアームで行うものと、組立などの複数工程を2個のアームで行うものに分けることも可能です。

卓上ロボットのその他情報

1. 卓上ロボットの安全対策

垂直多関節ロボットのように、ある程度大きいロボット (出力が80W以上のロボット) の場合、作業者の作業エリアとロボットの動作エリアが重ならないように、安全対策としてロボット周辺に柵を設置する必要があります。これは法律で定められていますが、近年法規制が緩和され、人に危害を加えないように人が近づいたときに減速・停止を行うなどの安全対策が取られている場合には柵を設けなくても良くなりました。

しかし、その普及はまだまだ拡がっていません。これは規制緩和後、企業の産業用ロボットに対する設備投資が進んでいないことが一因として挙げられます。一方、卓上ロボットは人と協働作業を行うことを想定して開発されているため、出力80W以下の製品が多く存在します。

この場合、ロボットの周囲に柵を設置する必要がないため、人と一緒に作業を行うことが可能です。しかし、例えば卓上ロボットに塗布作業を行わせるときなどは、卓上ロボットアームにニードルが取り付けられており危険です。距離センサーやカメラなどでロボットの周囲を常に測定して、人に危害を加えないようにする安全対策をシステム側で行うことが好ましいです。

2. 卓上ロボットの活用事例 (ペンプロッター)

ペンプロッターとは、パソコンから出力された文字をペンで紙に書き写す機械のことです。従来は機械工学分野で図面を紙に書き出す際などに用いられていました。

スカラロボットなどのNC機器で構成されることの多いペンプロッターですが、垂直多関節型の卓上ロボットでも実現できます。垂直多関節ロボットは動作の自由度が高く、XYZそれぞれの並進動作はもちろん、各軸の回転動作も可能です。

人間の手書き動作は、並進動作に加えて回転動作も含まれています。垂直多関節ロボットでペンプロッターを実現すれば、従来よりもより手書き文字に近い質感を実現できます。

参考文献
https://www.janome.co.jp/industrial/jpn/products/desktop_robot/index.html
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet_140115.pdf

単軸ロボット

単軸ロボットとは

単軸ロボットとは、xyzの3方向のうちのいずれか1方向のみの位置決めが行えるロボットのことです。

さまざまな自動機器に組み込まれており、自動機械には欠かせない存在となっています。単軸ロボットは、スライダーとモーター、ボールネジによって構成される簡単な構造です。

直線的なワークの搬送に用いられますが、単体ではなく何かと組み合わせて使用される場合が多いです。

単軸ロボットの使用用途

単軸ロボットは直線的な動作をするため、主にワークの搬送で使用されます。具体的には、加工装置や組立装置、搬送装置、包装装置、検査装置など幅広いです。単軸ロボットに似た機器として、ロボシリンダがあります。

ロボシリンダは単軸ロボットよりも小型で軽量なものの、搬送に適しているのが特徴です。単軸ロボットは1方向のみで水平移動しかできませんが、複数台組み合わせることでさまざまな用途で利用できるようになります。

例えば、ワークに樹脂などを塗布する塗布作業や円形のワークの外周面にテープを貼り付けるテープ貼付作業、ワークを押し当てて切断する押当て・切断作業、治工具を位置決めする治工具位置決め作業などです。

単軸ロボットの原理

単軸ロボットは主として、モーターとボールネジ、スライダーで構成されています。

1. モーター

モーターは単軸ロボットの駆動源です。モーターにはステッピングモーターサーボモーターのように回転量の制御が可能なモーターが使用されます。

2. ボールネジ

ボールネジは、モーターの回転運動を直線運動に変換する機能を果たしています。モーターが回転するとボールネジが回転し、ボールネジの回転量に応じて単軸ロボットの動作量が決まります。

3. スライダー

ボールネジは1方向に直線動作を行いますが、その他の2方向に対する耐性は強くありません。そのため、単軸ロボットにはスライダーが内蔵されています。スライダーによってボールネジの直線動作が担保されています。

4. コントローラー

単軸ロボットは、コントローラーを介して操作されます。上位制御装置と通信用コネクタが付いており、上位制御装置はハンディターミナルやPLC (Programmable Logic Controller) などです。

コントローラーには直接電源が供給され、主にPLCを介してデータのやり取りが行われます。タッチパネルなどからの操作も可能です。

単軸ロボットのその他情報

1. 単軸ロボットとロボシリンダの違い

単軸ロボットとロボシリンダは、いずれもモーター、ボールネジ、スライダーを搭載した高精度の電動アクチュエータです。すなわち、どちらも同じ構造になっています。しかし、単軸ロボットの価格よりもロボシリンダの価格の方が圧倒的に安いことがほとんどです。この価格差は使用目的の相違によって生じています。

単軸ロボットは、「重量物を高速に高精度で長距離搬送する」動作を行わせることを前提に設計されています。そのため、「剛性が高い」「ストロークが長い」「搬送重量の上限や位置決め精度が高い」「最高動作速度が速い」などが、ロボシリンダと比較した単軸ロボットの特徴です。

一方で、ロボシリンダは「軽量物をある程度の速度・精度で短距離搬送する」動作を行わせることを前提に設計されています。単軸ロボットに比べて小型な点も特徴であり、エアシリンダの置き換えとして使用できます。

このように、単軸ロボットとロボシリンダは同じような構造になっています。しかし、ワークに対してどのような動作をさせるか、品質はどのくらい必要なのかを考慮して、単軸ロボットとロボシリンダを適切に使い分けることで、装置全体のコストを下げたり小型化できます。

2. 2軸ロボット

2軸ロボットとは、2つの動作軸を持っているロボットのことです。直交ロボットと呼ばれることもあります。単軸ロボットにもう1軸を追加すれば2軸ロボット化できるため、市販品を購入せずに手持ちの単軸ロボットにもう1軸を付加すれば自作の2軸ロボットの作製が可能です。

例えば、搬送専用の単軸ロボットのスライダ部に支柱を立てて、その先にエアシリンダやロボシリンダを取り付けます。これを同一の制御装置で制御し、任意のタイミングでスライドさせてシリンダでワークを押し出すような動作を行います。

参考文献
https://www.yamaha-motor.co.jp/robot/lineup/application/
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/special/actuator_portal/rs/
https://www.iai-robot.co.jp/download/catalog/

電圧調整器

電圧調整器とは

電圧調整器

電圧調整器(英語:Voltage regulator)とは任意値へ出力電圧を可変出来るもので電圧を高精度で変動させ用途に応じて、出力するためのものである。

良く使われる用途としては、工場や建屋内の設備毎に電圧仕様に合わせて可変した電圧供給を行うために使用されます。

電源機器メーカーから様々な種類の電圧調整器が販売されており、使用環境や使用用途・目的に応じて適切なものを選定する必要性があります。

特に5G(ファイブジー)対応の関係で通信機器業界における取引需要が近年伸びている。

電圧調整器の使用用途

電圧調整器はトロイダル変圧器と摺動ブラシ及び摺動機構によって構成された出力電圧を可変出来る製品で任意の電圧を取り出すことを目的に利用されます。

電圧調整器は、昨今の状況では2つのタイプに大別でき、使用目的、使用環境などに合ったタイプの電圧調整器を選ぶ必要があります。

電圧調整器の区分を以下に記載します。

  • 摺動型電圧調整器:トロイダル変圧器と摺動ブラシ及び摺動機構によって構成
  • 半導体型電圧調整器:半導体基板内の素子による変圧機構を有することが特徴。

摺動型に比べコンパクトであるもののノイズなどによる破損のリスクが存在する。

電圧調整器の原理

ここでは電圧調整器の原理について説明します。

電圧発生器は、機器の中に搭載されているトロイダル変圧器と摺動ブラシ及び摺動機構によって出力電圧を可変する。

タッチパネルや付帯スイッチでの操作後に、即座に入力電圧を任意の値へ可変し出力することができる。

電圧調整器は主に単相100V、単相200V、三相200V、三相400Vの4種類に分類され、それぞれの用途に応じて使い分けされる。

以下に主な特徴を記載する。

  1. 入力電圧 100Vから440Vまで可変の上、出力可能。
  2. 半導体を使用した電源装置と異なり、瞬時な過電流に強い。

また電圧調整器を使用する上では、直流用途で使用するか、交流用途で使用するかを決めた上で使用目的、使用環境などに合ったタイプの電力変換器を選ぶ必要があります。

メーカー毎に様々な特徴が存在するため、使用用途に合わせて使い分けを行った上で適切な電圧へ調整し、電圧供給することが重要になります。

参考文献
http://www.tokyo-seiden.co.jp/seihinn/dc0157/
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NCGJ058559/

電圧発生器

電圧発生器とは

電圧発生器

電圧発生器(英語:Voltage generator)とは任意の電圧を高精度で発生させ用途に応じて、出力するための発電機(ジェネレータ)である。

良く使われる用途としては、研究開発段階における試験時に任意の電圧を取り出すために使用されます。

計測機器メーカーから様々な種類の電圧発生器が販売されており、使用環境や使用用途・目的に応じて適切なものを選定する必要性があります。

特にCASE対応の関係で車載部品開発分野における試験用途での電圧発生器の需要が伸びている。

電圧発生器の使用用途

電圧発生器はCASE対応におけるxEV向け電子機器部品開発における試験の中で任意の電圧を取り出すことを目的に利用されます。

電圧発生器は、昨今の状況では4つのタイプに大別でき、使用目的、使用環境などに合ったタイプの電力変換器を選ぶ必要があります。

電圧発生器の区分を以下に記載します。

  • バイポーラ出力:
    切替なしで正極性に渡り出力

4象限出力(ソース、シンク動作)

  • リニアバイポーラ出力:交流直流変換

切替ありで正負両極性に渡り出力

2象限出力(ソース、シンク動作)

電圧発生器の原理

ここでは電圧発生器の原理について説明します。

電圧発生器は、発生ファンクション指定により、任氏の電圧発生が可能なようにコイル、共振機構、制御基板、を複雑に組み合わせた構成で成り立っています。

電圧発生器は正負極のソース/シンク、4象限動作が可能なバイポーラ出力の元、高速ダイナミック特性を持ち合わせた、高出力/高電圧アナログ波形制御が可能です。

電圧発生器はCASE対応におけるxEV向け電子機器部品開発における試験の中で重要な役割を担っており、任意の電圧を取り出すために活用されます。

増幅回路の単純化、小型化のために希少金属を組み合わせた材料による昇圧・降圧技術の開発も行われており、今後より幅広い用途での利用が期待されている。

メリットとデメリットは以下となります。

メリット:高精度で高品質な任意の電圧取り出しが可能。

デメリット:特別高圧レベルの電圧発生を行う場合、かなり大掛かりな設備が必要となる。

参考文献
https://www.adcmt.com/products/vig/6240