単軸ロボットとは
単軸ロボットとは、xyzの3方向のうちのいずれか1方向のみの位置決めが行えるロボットのことです。
さまざまな自動機器に組み込まれており、自動機械には欠かせない存在となっています。単軸ロボットは、スライダーとモーター、ボールネジによって構成される簡単な構造です。
直線的なワークの搬送に用いられますが、単体ではなく何かと組み合わせて使用される場合が多いです。
単軸ロボットの使用用途
単軸ロボットは直線的な動作をするため、主にワークの搬送で使用されます。具体的には、加工装置や組立装置、搬送装置、包装装置、検査装置など幅広いです。単軸ロボットに似た機器として、ロボシリンダがあります。
ロボシリンダは単軸ロボットよりも小型で軽量なものの、搬送に適しているのが特徴です。単軸ロボットは1方向のみで水平移動しかできませんが、複数台組み合わせることでさまざまな用途で利用できるようになります。
例えば、ワークに樹脂などを塗布する塗布作業や円形のワークの外周面にテープを貼り付けるテープ貼付作業、ワークを押し当てて切断する押当て・切断作業、治工具を位置決めする治工具位置決め作業などです。
単軸ロボットの原理
単軸ロボットは主として、モーターとボールネジ、スライダーで構成されています。
1. モーター
モーターは単軸ロボットの駆動源です。モーターにはステッピングモーターやサーボモーターのように回転量の制御が可能なモーターが使用されます。
2. ボールネジ
ボールネジは、モーターの回転運動を直線運動に変換する機能を果たしています。モーターが回転するとボールネジが回転し、ボールネジの回転量に応じて単軸ロボットの動作量が決まります。
3. スライダー
ボールネジは1方向に直線動作を行いますが、その他の2方向に対する耐性は強くありません。そのため、単軸ロボットにはスライダーが内蔵されています。スライダーによってボールネジの直線動作が担保されています。
4. コントローラー
単軸ロボットは、コントローラーを介して操作されます。上位制御装置と通信用コネクタが付いており、上位制御装置はハンディターミナルやPLC (Programmable Logic Controller) などです。
コントローラーには直接電源が供給され、主にPLCを介してデータのやり取りが行われます。タッチパネルなどからの操作も可能です。
単軸ロボットのその他情報
1. 単軸ロボットとロボシリンダの違い
単軸ロボットとロボシリンダは、いずれもモーター、ボールネジ、スライダーを搭載した高精度の電動アクチュエータです。すなわち、どちらも同じ構造になっています。しかし、単軸ロボットの価格よりもロボシリンダの価格の方が圧倒的に安いことがほとんどです。この価格差は使用目的の相違によって生じています。
単軸ロボットは、「重量物を高速に高精度で長距離搬送する」動作を行わせることを前提に設計されています。そのため、「剛性が高い」「ストロークが長い」「搬送重量の上限や位置決め精度が高い」「最高動作速度が速い」などが、ロボシリンダと比較した単軸ロボットの特徴です。
一方で、ロボシリンダは「軽量物をある程度の速度・精度で短距離搬送する」動作を行わせることを前提に設計されています。単軸ロボットに比べて小型な点も特徴であり、エアシリンダの置き換えとして使用できます。
このように、単軸ロボットとロボシリンダは同じような構造になっています。しかし、ワークに対してどのような動作をさせるか、品質はどのくらい必要なのかを考慮して、単軸ロボットとロボシリンダを適切に使い分けることで、装置全体のコストを下げたり小型化できます。
2. 2軸ロボット
2軸ロボットとは、2つの動作軸を持っているロボットのことです。直交ロボットと呼ばれることもあります。単軸ロボットにもう1軸を追加すれば2軸ロボット化できるため、市販品を購入せずに手持ちの単軸ロボットにもう1軸を付加すれば自作の2軸ロボットの作製が可能です。
例えば、搬送専用の単軸ロボットのスライダ部に支柱を立てて、その先にエアシリンダやロボシリンダを取り付けます。これを同一の制御装置で制御し、任意のタイミングでスライドさせてシリンダでワークを押し出すような動作を行います。
参考文献
https://www.yamaha-motor.co.jp/robot/lineup/application/
https://jp.misumi-ec.com/maker/misumi/mech/special/actuator_portal/rs/
https://www.iai-robot.co.jp/download/catalog/