チェック端子

チェック端子とは

チェック端子とは、配線を仮接続しやすいように加工された端子部品です。

回路設計で電子部品の動作を確認する場合や、製造工程で電気特性を確認する場合に使用されます。オシロスコープなどの測定器に使用される端子はプローブ型が一般的です。

常に手にプローブを持って検査などを実施することは困難なため、チェック端子につないで測定します。チェック端子はプローブが当てやすい形状の製品も多く販売されており、人の抑える力による誤差を減らすことが可能です。

チェッカーチップ、テスト端子などと呼ばれる場合もあります。また、近年RoHS対応の製品も多く販売されています。

チェック端子の使用用途

チェック端子は基板動作の確認や電気特性の確認に使用されます。以下チェック端子の使用箇所一例です。

  • 評価基板内への実装
  • ロジック回路の信号取り出し

基板に直接接続するためのくわえ台となり、完成品に実装する場合が多いです。

チェック端子の原理

チェック端子は回路に配置することで、導通部分を拡大して測定を容易にする部品です。材質がはステンレスや真鍮が使用され、外側はニッケルの上に金や黄銅でめっきされます。使用温度は-40℃~150℃程度です。

また、多くの場合は色別できるように着色されたビーズが取り付けられています。ビーズの材質はガラスや樹脂などが使用されます。

チェック端子の種類

チェック端子には用途に応じて幅広い種類があります。形状としては、プローブを押し付けるタイプや輪に引っ掛けるタイプ、ワニ口クリップで止めるタイプなどがあります。

ロジック回路に適したロジック回路用チェック端子では、上下導通用スルーホールランドに取り付けが可能です。また、パネル用や信号チェック用のチェック端子もあります。

チェック端子の選び方

チェック端子は、マックエイトなどの基板動作確認時に必要な周辺アクセサリー専門メーカーが販売しています。チェック端子には基板取り付け用や表面実装用があり、用途に応じて選定することが大切です。

また、サイズや形状のラインナップが幅広いため、基板のスペースやプローブの形状によってチェック端子を選択します。内側がめっきされていない製品はフローはんだにも対応可能で、ビーズの色を分けて信号ラインごとに区別することができます。

チェック端子のその他情報

1. チェック端子台

チェック端子台とは、基板上のチェック端子を端子台とした製品です。接地端子や電源端子などの共通部分をショートバーに置き換えるため、省スペースとコストダウンが可能です。

チェック端子台を使用しない場合、チェック端子を複数個並べるなどの手間がかかります。テスター端子やワニ口クリップなども複数個使用する必要があります。チェック端子台を使用することで、導通試験や耐電圧試験などの検査時の作業を削減可能です。

故障やメンテナンス時にも、チェック端子台を使用することで時間削減が可能です。電気系検査治具の製作に費やす工数や検査作業工数を大幅に削減します。

2. チェック端子の使い方

テスターやオシロスコープで電圧等を確認したい箇所にチェック端子を使用します。回路にチェック端子をはんだで接続し、その上から直接プローブで測定します。

測定したいポイントから最短かつ、他の回路からの影響を受けない位置に取り付けるのが一般的です。回路設計時にチェック端子の場所を決めておきましょう。プローブを当てたりすることを考慮して、チェック端子の周辺には背の高い電子部品を配置しないようにすると良いです。

チェック端子の選定や配置を間違えると配線容量が増加したり、配線長や配線面積の拡大による配線インピーダンスの影響を受けたりするなどの悪影響が考えられます。不要な輻射ノイズによる反射ノイズが発生するなど、いわゆる配線のインピーダンスマッチングや遮蔽ラインのアンバランスによる誤測定を生じます。

参考文献
https://www.marutsu.co.jp/GoodsListNavi.jsp?path=1500260010
https://www.togi.co.jp/information/products/post-19.php

落下試験機

落下試験機とは

落下試験機とは、対象物を落下させた時の衝撃や影響を知るために、決められた高さ等の条件を繰り返し維持しながら、試験品を自然落下させることができる装置です。

特に持ち運びが容易で小型なスマートフォンやモバイル機器は、使用環境下での落下による衝撃への対策が求められています。使用環境において比較的発生しやすい落下による機器の耐衝撃性を高めるためには、再現性の高い落下試験の実施が大変重要です。

他にも重量のある貨物や包装資材の耐衝撃性を調べる際にも、落下試験機が使用されています。

落下試験機の使用用途

落下試験機は、さまざまな製品開発において用いられます。主な用途は、工業製品です。また、落下試験は大きく2つの状況を想定して行われており、物流過程を想定したものと製品の利用環境を想定したものです。

1. 物流過程を想定した落下試験

主に特定の場所に据え置いて使われる製品の開発に使用されます。例えば、テレビや冷蔵庫といった大型家電です。このような製品は私たちが日常生活で使う際に落下を伴う可能性は非常に少ないと考えられます。

大型家電では製品の出荷から流通、店舗や購入者の設置場所への移動の際に、誤って落下してしまうことが考えられます。

2. 製品の利用環境を想定した落下試験

使用環境によって落下する可能性がある製品として、モバイル機器などが挙げられます。スマートフォンやデジタルカメラといった小型電子機器は持ち運んで使われるため、落下を経験する可能性が少なくありません。このような落下による製品の耐久信頼性を確認するために、落下試験機が用いられています。

落下試験機の原理

落下試験機の原理は、主に保持落下型、回転ドラム型、回転アーム型、電磁フック型に分かれます。

1. 保持落下型

保持落下型はシンプルな構造で、対象物を空圧のペンシリンダを用いて水平方向から挟み込み固定します。設定した高さから自然落下させると、落下の途中でシリンダが対象物から離れ、対象物のみを落下させることができます。同じ角度で落下させたい場合に有効な方法です。

2. 回転ドラム型

回転ドラム型は、ドラムの中に対象物を入れ、ドラムを一定の速度で回転させます。繰り返しドラムの中でランダムに落下させることができます。

3. 回転アーム型

回転アーム型はエア駆動のシリンダとばねを用いた落下試験機構を持ちます。エアシリンダによる対象物を載せたテーブルを高速で移動させた後、テーブルを強力なばねの張力で回転させて対象物を垂直方向に自然落下させます。

4. 電磁フック型

電磁フック型は、電磁フックで吊るされた貨物が、フックが外れることで自然落下する装置です。

 

いずれも落下させる高さを自由に設定することができます。また、落下動作の設定はリモコンで行う場合と、制御盤で行う場合があります。さらに、ハイスピードカメラを搭載して、落下の様子を解析できるものもあります。

落下試験機のその他情報

1. 落下試験の規格

落下試験に適用されるJIS規格には、製品衝撃強さ試験方法であるJIS Z 0119や、包装貨物の性能試験であるJIS Z 0200などがあります。落下試験の種類は様々であり、対象となる製品に必要に応じて、適用される規格で評価しなければなりません。

そのほか、落下試験で適用される規格は、包装貨物の落下試験方法であるJIS Z 0202、衝撃試験方法であるJIS C 60068-2-31 Ea、落下試験及び転倒試験方法であるJIS C 60068-2-31 Ecなどがあります。

2. 落下試験の応用

落下衝撃試験では、実際に落下が生じる状況を想定した試験が行われます。利用する製品が中型や大型家電製品である場合には、据置での利用が想定されますが、携帯電話などでは背丈の半分程度の位置からの落下を想定した試験が望まれます。

据置での利用が想定される場合には、物流工程での落下を検討するため貨物を積む際のトラックの高さからの落下試験が行われます。また、試験は単純な高さだけでなく、人力での積載方法やフォークリフトを使用しての積載、重量物などで特殊な条件でないと積み込めない場合には、クレーンなどを利用して玉掛けを行ない積み込むことも想定した試験が必要です。

例えば、旋回しながらの落下なども必要です。携帯電話などではただ落下するだけではなく、物体に加速度がつくことも想定できるため、物理的に速度を与える衝撃試験も行われています。

3. 落下試験機の活用事例

東京都立産業技術研究センターに落下衝撃試験機の紹介動画があります。落下試験のイメージをつかみやすいかと思いますので是非御覧ください。

参考文献
https://www.shinyei-tm.co.jp/shocktesting/info/infodrop/
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show
https://www.jsa.or.jp/whats_jis/whats_jis_index/
https://www.oeg.co.jp/Rel/drop.html

基板検査装置

基板検査装置とは

基板検査装置

基板検査装置とは、表面実装された電子基板の製造工程における不良を検査する装置です。

基板検査装置としては、外観検査をおこなうもののほか、クリームはんだ印刷に対応したはんだ印刷検査装置もあります。さらには、はんだ内部の情報まで得ることができる3D-CT検査装置などもあります。

基板検査装置の使用用途

基板検査装置は、表面実装される電子基板のほとんどの検査に利用されています。これまでは、作業者が全体の中から一定数を抜き取って目視で検査していました。

しかし、この方法では全製品の検査はおこなえず、また検査結果に作業者によるばらつきが生じる問題点がありました。基板検査装置を導入することで、全製品の検査が可能となるとともに、検査結果のばらつきが抑えられるメリットがあります。

基板検査装置の原理

基板検査装置では、基板検査のうち各電子部品が正しい位置に欠陥なく装着されているかを検査する外観検査を主に行います。具体的には、部品の位置ずれおよび欠損とはんだ付けの不良の検査です。

これらの検査は光学的な手法で行われており、装置の構成としては高性能カメラと画像処理システムが必要です。「部品の欠損は高性能カメラで撮影された画像を処理して部品の位置がずれていないか」「欠損があるが」を判断する仕組みとなっています。はんだ付けの不良は、高性能カメラで撮影した画像のはんだ部分の長さや太さおよび厚みが、しきい値を超えているかどうかで検査しています。

すなわち、はんだ部分がしきい値を下回ると、はんだが接続している部品間の接続が十分でないと判断し、不良として判定する仕組みです。

基板検査装置の種類

1. AOI (光学式自動外観検査装置)

基板検査装置のほとんどが、AOI (光学式自動外観検査装置) です。AOIには二次元 (以下、2Dと称する) タイプと三次元 (以下、3Dと称する) タイプがあります。2DタイプのAOIでは、ラインセンサカメラを使用したラインスキャン方式を用いた検査方法などが主流です。

ラインスキャン方式では、照明を高速に切り替えながら、基板全体を撮像し、高速な検査を可能にしています。また、AOIでは光源としてUV照明を使用してコーティング剤の未塗布や飛散の検査や、想定していない基板内での余剰部品、ゴミなどの不良を自動検出することもできます。

3DタイプのAOIでは、三次元で撮影することから、基板内の部品の定量的な高さ情報を検出して部品の基板に対する高さ位置の検査が可能です。なお、画像処理システムにより3Dで可視化することによって、2Dタイプでは難しかった部品の傾きや浮きを検査可能で、はんだ付け部分の検査の精度を向上できます。

2. 3D-CT検査装置

近年では、基板検査装置として、X線を使用した3D-CT検査装置などが登場しています。3D-CT検査装置では、基板を縦方向または横方向にスライスした画像を所得して3D画像を構築しています。このため、単層だけでなく多層基板 (多層プリント基板) の内部について検査が可能です。例えば、多層基板の層ズレや穴あけの確認や下面電極部品や積層部品、挿入部品などの立体的な部材に検査ができます。

基板検査装置のその他情報

1. 基板検査装置としての異物検査用装置

基板検査装置として、異物検査装置が使用されるケースもあります。異物検査装置を使用すれば、基板上の異物の検査が可能です。近年、高密度化が進む半導体製品やプリント基板実装製品で導電性の異物が混入した場合、製品の機能を低下させる原因となってしまいます。このため、異物検査装置の導入がなされています。

異物検査装置としては、レーザ散乱方式と結像検出光学系を組み合わせた方式などがあり、基板の加工前や最終出荷前に異物検査を行なっています。

2. ハイブリッド方式基板検査装置

基板検査装置において、はんだ付け部分の接合状態の検査にはカラーハイライト方式が用いられています。これは赤青緑の光をはんだ付け部分の傾斜のトップ部と傾斜部及びボトム部に照射した反射光を使用して、はんだ付け部分表面の三次元形状を二次元の色情報として表す方式です。

一方の位相シフト方式は、パターン光を物体表面に投影し、反射光のパターンの歪みからはんだつけ部表面の三次元形状を復元する方法です。ハイブリッド方式基板検査装置では、この2つの方式を組み合わせて検査精度をより高いものとしています。

3. はんだ印刷検査装置について

電子基板においては、多様化や高密度実装及びはんだの鉛フリー化が求められており、近年ではクリームはんだ印刷の需要が高まっています。このクリームはんだ印刷の不良を検査するのがはんだ印刷検査装置です。この装置では、クリームはんだ印刷パターンの画像を解析して印刷部分の位置や形状の欠損を検査しており、形状については長さや幅がしきい値を超えているかどうかで検査します。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/products/family/3675/
https://www.orbotech.com/ja/pcb/categories/aoi
https://www.sakicorp.com/company/technology/2daoi_tec/
https://www.toray-eng.co.jp/products/measuring/mea_010.html
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/pcb-inspection-system/
https://www.sakicorp.com/company/technology/3daoi_tec/

マウンター

マウンターとはマウンター

マウンターとは、プリント基板の表面に電子部品を実装する装置です。

表面実装機やチップマウンターとも呼ばれ、様々な形や大きさの部品を高速で高精度に装着します。マウンターはロータリーマウンターとモジュラーマウンターの2種類あり、近年ではコンパクトで搭載速度が高速化されたモジュラーマウンターが主流です。

表面実装はSMT (英: Surface Mount Technology) とも呼ばれる基板実装工法の一つです。プリント基板の表面にICチップやコンデンサなどの電子部品を搭載し、ペースト状に加工したはんだで電極を接着してリフロー炉で固定させます。

穴に部品リードを差し込む挿入実装と比較して省スペースのため、近年では主流の実装方法です。板枚数や部品点数が少ない小ロット生産の場合は、人の手による手付けはんだ実装も可能です。

マウンターの使用用途

マウンターを利用して表面実装されている基板は数多く、電気回路の基板を必要とする箇所のほとんどに見られます。表面実装されている基板の使用例は以下の通りです。

  • 携帯電話
  • スマートフォン
  • ゲーム機
  • 家電製品
  • 自動車用基板
  • 飛行機
  • ロケット

電気回路の基板を必要とする身近な物に多く使用されています。表面実装は、印刷工程、実装工程、リフロー工程から成り立ちます。印刷工程でプリント基板にクリームはんだ印刷やディスペンサーで接着剤を塗布し、その上に電子部品を搭載するためにマウンターが必要です。その後リフロー炉で熱を加え、はんだや接着剤を部品と馴染ませて部品を固着させます。

近年、電子部品のサイズが数mm以下となり、人の手で実装することが困難となりました。部品を正確に高速に実装が実現できるマウンターは、基板実装で欠かせない装置です。多種の電子部品に対応するため、異形のもの、大型のもの等も可能なマウンターがあります。

マウンターの原理

マウンターは、前工程ではんだ印刷や接着剤が塗布されたプリント基板に部品を搭載する装置です。供給装置にセットした部品を装置内の吸着ノズルでピックアップし、基板上の所定位置へ実装します。マウンター装置の構造は以下の通りです。

  • ヘッド部
    電子部品をノズルで吸着してピックアップする
  • 駆動部
    ヘッド部分をXY軸上で移動させる
  • 供給部
    実装する電子部品を供給する
  • 認識部
    基板や電子部品の位置をカメラで認識する
  • 搬送部
    プリント基板を搬送させる

マウンターは表面実装による電子部品の実装に使用されるので、マウンターを使用して部品を配置した後ははんだ付けの工程になります。はんだ工程の違いにより、マウンター使用前の前処理が異なります。前処理としてクリームはんだ印刷機を使用してはんだが塗布されるか、ディスペンサを使用して接着剤が塗布される場合が多いです。

基板に前処理が施された後は、配置するチップのような電子部品をまとめて、マウンターの供給装置にセットします。供給装置から自動的に電子部品が送られ、装置のノズルが負圧で電子部品を吸着します。吸着したノズルがそのまま基板の上まで動き、設定した基板上の場所で電子部品を置き、配置することができます。

マウンターはロータリーマウンターとモジュラーマウンターに分けられます。主流は近年小型化が進み便利になったモジュラーマウンターです。ロータリーマウンターは、ロータリーヘッドで電子部品の吸着と搭載を行います。モジュラーマウンターはXYロボット軸でヘッドを動かして吸着、搭載を行います。

近年のマウンターは、高速かつ正確に電子部品を所定の位置へ実装が可能となりました。部品認識カメラの性能向上により、基板の位置や部品の搭載位置を測定して補正し、高精度な搭載が実現できます。

マウンターの種類

マウンターにはモジュラータイプと、ロータリータイプの2種類があります。

1. モジュラータイプ

モジュラータイプは現在主流となっているマウンターです。XYロボットの先に吸着ヘッダーが付いていて、実装する部品をピックアップし、基板の搭載位置へ運びます。

装置をコンパクトにできる一方で、部品のピックアップのたびにXY方向へ吸着ヘッドを動かす必要があり、ロータリータイプよりもタクトが長いことがデメリットです。

2. ロータリータイプ

ロータリータイプは回転するロータリー部に吸着ヘッドが複数用意されており、一度のピックアップ動作で複数の部品を吸い上げることができます。高速に実装できるというメリットがある反面、装置が大型になり高いメンテナンスコストがデメリットです。

また、一度に大量の部品をセットしておく必要があり、少量多品種生産が求められる現代においては適さなくなりました。そのため、現在ではほとんどのマウンターメーカはロータリータイプの生産を終了しています。

マウンターの選び方

マウンターを選ぶ際に気を付けることは以下の通りです。

1. スピード

1部品の搭載速度は0.1秒程度~1秒程度まで、機種によってタクトの差があります。

2. 搭載精度

スマホ用基板のような部品の微細化、高密化の要求される実装技術では、0.1mm程度の誤差が要求されます。高密実装が要求されない回路基板であれば、0.2mm程度の搭載精度で十分です。

3.部品種類

テープに巻かれたチップ部品だけでなく、トレー供給されるような大型の面実装部品も混載される場合は、特殊なパーツフィーダをセットできる大型のマウンターが必要です。

項目 搭載スピード 搭載精度 使用する部品の種類
目安 0.1s〜1.0s/1部品
※機種よりタクトに差がある
0.2mm程度
※高密実装の場合0.1mm程度必要(スマホ基板の用の部品など)
大型の部品を使用する場合は、特殊なパーツフィーダをセットできる大型のマウンターが必要

マウンターのその他の情報

マウンターフィーダー

マウンターフィーダは、電子部品を装置内に送り出す自動部品供給装置です。電子部品はリールやトレーの梱包状態で納入され、フィーダにセットして使用します。

フィーダを通して部品が装置内に送り出され、一定方向に傾きなく部品を搭載させるため重要な装置と言えます。またフィーダ一括交換台車を使用すれば、フィーダ類を一括して本体から脱着でき、台車ごとに最適化が図れるため段取り工数の削減が可能となります。

フィーダは、以下の部品の梱包形態に適したサイズを選択する必要があります。

  • リールテープ共有用
  • スティック供給用
  • バラ部品用
  • トレー供給

納入形態で多いリール状のテープ共用品は、紙テープやプラスチックエンボステープに電子部品が貼り付けられており、カバーテープと呼ばれる薄いプラスチックフィルムテープで覆われています。フィーダ内でカバーテープを剥がしながら部品を装置内へ供給する機構です。

注目のマウンター

PR プレミアム高効率モジュラー YRM20

マウンター

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「1ヘッドソリューション」を極め、圧倒的な生産性と汎用性を実現した万能型表面実装機

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高速汎用ロータリー型RMヘッドと高速性と高い汎用性を兼ね備えたインライン型HMヘッド、異型対応インライン型FMヘッドの3種類のヘッドを採用し、「1ヘッドソリューション」の生産対応力をさらに強化し、圧倒的な生産性と汎用性を実現。

RMヘッド、HMヘッドは±25μm(Cpk≧1.0)の高い搭載精度により0201(0.25×0.125mm)サイズの超小型チップ部品実装に対応しています。

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マウンター

高水準の実装品質を維持できる機能を標準装備

■低衝撃ノズル
超小型部品の狭隣接実装に必要な、高速低衝撃実装に対応するための軽量ノズルを標準装備。ノズルIDも完備し、メンテナンス性を向上。

■ビジョンシステム
サイドビューカメラを装備し、小型部品の搭載品質を向上。オプションでコプラナリティチェッカーを搭載可能。All Image Tracer(オプション)ではすべての部品認識画像を保存し、実装品質の分析を強力にサポート。

■ノズルヘルスケア/フィーダーメンテナンス警告
自己診断、自己復旧機能により、ノズルやフィーダーの清浄な状態を継続させ、高品質な生産を継続。

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参考文献
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/4926.html

スライドボリューム

スライドボリュームとはスライドボリューム

スライドボリュームとは、つまみを水平方向にスライドさせて接触子を移動する構造をしたものです。

接触子を物理的に移動させることで抵抗値を変化させる可変抵抗器の1つです。可変抵抗器には、ロータリーボリュームやポテンションメータと呼ばれる回転式のものもあります。これらが接触子を回転方向に移動するのに対して、スライドボリュームは一方向に水平移動する点が大きな違いです。

また、スライドボリュームは回転式のものよりも、構造的に大きな電力を扱えるように設計を変えられます。

スライドボリュームの使用用途

スライドボリュームの代表的な使用例は、PA (PublicAddress) 機器などにあるオーディオミキサーやグラフィックイコライザー、部屋の照明を調整する調光器などです。スライドボリュームでも回転式のものでも、可変抵抗器としての機能は同じですが、見た目や使用者の操作の感覚は大きく異なります。

そのため、装置や製品を開発を行ううえで想定する使い方や衣装 (デザイン) に応じて選定されています。特にスライド摘みの横にメモリを添えることで、視覚的に設定量が把握できるので、音量や光量を調整する用途などで活用される場合が多いです。

スライドボリュームの原理

スライドボリュームの摘みの位置を移動すると抵抗体の片端に接続された端子、接触子で接続された導体に接続された端子間の抵抗値は、抵抗体の端から接触子までの距離に応じて変化します。これにより、摘みの位置によって抵抗値と変えられるようになります。

スライドボリュームの構造

スライドボリュームにはある長さを持った抵抗体があり、これを本体ケースが覆い、抵抗体の両端には接続用の端子が備わっています。本体ケースには摘みが摺動できるスリットがあり、そこに接触子を付帯した摘みが配置されています。

また、抵抗体と平行に通電用の導体が本体ケース内に備わり、接触子は抵抗体と導体の両方に接触しています。導体にも端子が備わっていて、抵抗の両端の端子と合わせて3つの端子が出ているような構造をしています。

スライドボリューム その他情報

1. スライドボリュームの特性

スライドボリュームは摘みの位置によって抵抗値を変化させますが、その距離に対して抵抗値の変化の度合いを表すとABCの3種類のカーブの内の何れかの変化を示します。抵抗体の両端に電圧を印可した状態で、接触子の位置を変動させると抵抗体の片側の端子と接触子で接続された導体に接続された端子間に電圧が現れます。

  • Aカーブの場合
    上記の電圧が摘みの距離に対して対数的に変化します。
  • Bカーブの場合
    上記の電圧が摘みの距離に対して比例的に変化します。
  • Cカーブの場合
    上記の電圧が摘みの距離に対して逆対数的に変化します。

そのため、どの特性のものを使用するかを設計段階で予め決めておくことが大切です。

2. スライドボリュームの抵抗

スライドボリュームのうち、小信号に用いるものは抵抗体がカーボン被膜や金属皮膜である場合が多く、大電力用途には向いていません。特に回転式の抵抗は、抵抗体の長さが直径で制限されるため、大きな抵抗体を使うには構造的に不利です。

しかし、スライドボリュームの場合は、抵抗体の長さにおいて制限を受けにくいです。一部の商品群の中には、抵抗体にホーロー抵抗を使ったものや抵抗線を棒状に巻いた巻線抵抗を使用したものなどもあり、これらは数十W~数百Wの電力に耐える物が用意されています。

パーマロイ

パーマロイとは

パーマロイはニッケル-鉄合金の一種で、特にニッケルの含有量が35-80%のものです。

パーマロイという名前は通称で、日本工業規格JIS C 2531が定める正式名称では鉄ニッケル軟質磁性材料と言います。パーマロイは、保磁率が低くて高い透磁率を有しており、磁気シールド効果が高く、集磁作用が高いという特性があります。

また、微細な磁場の印加によって高い磁化を発揮できることや、交流回路におけるインピーダンスを高めることも特性の一つです

パーマロイの使用用途

パーマロイは、テレビやパソコン、ビデオテープ、ハードディスクなどの磁気記録装置に設置されている磁気ヘッドの磁気漏れを防ぐために使用されています。パーマロイは、前述したような特性を持つため、磁気シールド材料に好適です。

また、近年注目されている次世代の診断法である生体磁気計測では、極めて微弱な磁気の計測を行う必要があり、環境磁場の影響を遮断しなければなりません。そこで、パーマロイで磁気シールドを施した磁気シールドルームを設け、環境磁場の影響を受けないように工夫されています。

パーマロイの原理

パーマロイは、ニッケル-鉄合金の一種で特にニッケルの含有量が35-80%のものを言いますが、未加工のパーマロイはさほど高い透磁率を持っているわけではありません。パーマロイは「磁性焼鈍」と「歪取り燃焼」という処理を行います。

1. 磁性焼鈍

磁性焼鈍とは、パーマロイ中の原子の磁気モーメントが揃っている磁区の動きを妨げる酸化被膜などを除去する熱処理です。1000℃以上の高温下で水素を用いた還元的環境の熱処理を行うと、パーマロイ中に含まれ、磁区の動きを妨げる酸化皮膜や酸化物微粒子の酸素分子を除去できます。

この不純物の除去により、外部磁界磁場を印加したときの磁壁の移動や磁区の回転が促され、軟磁性が向上します。なお、磁性焼鈍処理後のパーマロイの透磁率は、磁性焼鈍処理前のパーマロイの約100倍です。

2. 歪取り燃焼

歪取り燃焼とは、磁性焼鈍より低温で行われ、再結晶させることで残留応力を取り除くための処理です。加工しやすくすることを目的としています。なお、モリブデンクロムなどの添加によって、更に高い透磁率を達成することも可能です。

パーマロイのその他情報

1. パーマロイの主な種類と磁気特性

パーマロイには、複数種あり用途により使い分けられます。中でもよく使用されるのは、パーマロイB (PB) とパーマロイC (PC) の2種類です。PBは鉄とニッケルの二元合金からなり、PCは鉄とニッケル、モリブデン (Mo) 、Cu (銅) の多元合金からなります。

磁性材料においては、磁気力の絶対値を示す飽和磁化Bsが大きいほど、強磁界対応の磁気シールド向きです。一方、透磁率μが大きい (飽和磁化Bs付近の最大透磁率が大きい)ほど、弱い磁界の変化にも対応するため、弱磁界での磁気シールドに適しています。

このとき、上述のPBとPCそれぞれの最大透磁率はPBで50,000、PCで180,000、飽和磁化BsはPBで1.55T、PCで1.72Tです。すなわち、飽和磁化が大きいPBが、強磁界のシールドに適しており、透磁率が大きいPCは、微弱磁界のシールドに適しています。

2. パーマロイのコア実用例

パーマロイには、これまで述べた様な磁気シールドとしての機能のほかに、微弱な磁界を検知し磁束を増大させて出力するコアとしての機能もあり、電流センサートランスのコアとして使用されています。電流センサーとは電流を測定するためのセンサーのことです。導体に電流が流れると磁束がコアに誘導され、その磁場の大きさから電流値を計測します。

トランスとは電圧の変換や回路間の絶縁を行う装置のことです。1つのコアに入力側のコイルと出力側のコイルをそれぞれ独立させて巻いた構成で、入力側のコイルに電流が流れると電磁誘導の性質で出力側のコイルに電圧を出力されます。透磁率が高いパーマロイを使用することで、トランスの小型化が可能です。

3. パーマロイの加工性

パーマロイは、柔軟に変形し、加工性に優れています。他の金属と同様に、曲げや切削、プレス、打ち抜きといった加工が可能です。ただし、パーマロイも含まれるニッケル合金は一般的に切削加工が難しいと言われる素材の代表です。このため、パーマロイの切削加工には、高い技術力が必要となります。

パーマロイは、磁気シールドや計測器、磁気ヘッド、音響機器、通信ケーブルなど幅広く使用されており、その用途に合わせて、円筒状や板状、リング状、線状、箔状など、多彩な形状に加工されて使用されています。

参考文献
https://www.ohtama.co.jp/whats.html
https://www.ohtama.co.jp/products/shield_room.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/26/10/26_767/_pdf/-char/en
https://www.ohtama.co.jp/products/sensor.html
https://www.kitagawa-denki.co.jp/products/about/theory/

抵抗溶接機

抵抗溶接機とは

抵抗溶接機

抵抗溶接機とは、金属を溶接する際に利用される機械のことです。

溶接する箇所を電極で挟み、金属に電気を流しながら圧力を加えることで、金属を溶接します。溶接対象の金属の抵抗によって発生するジュール熱を利用するため、電流の流し方によってインバータ式、トランジスタ式、コンデンサ式など多種多様です。また、通電の方法によってはダイレクトスポット式、インダイレクトスポット式、シリーズスポット式、ツインスポット式に分けられます。

抵抗溶接機は、その構造から、主に金属の板やパイプなど、平面的な物体を溶接する際に使用されます。自動車のボディパネルや建築物の鉄骨など、広い範囲で使用可能です。抵抗溶接機の溶接は、瞬時に行われるため、高い溶接速度と高い強度を持ちます。しかし、抵抗溶接機は、溶接する材料によって使用できない場合があります。

例えば、アルミニウムやステンレス鋼などは、抵抗値が低いため、効率的な溶接が困難です。また、溶接の際に生じる熱により、歪みが生じることがあります。そのため、正確な加熱制御が必要であるという点にも留意が必要です。

抵抗溶接機の使用用途

抵抗溶接機は、主に工場の生産ラインにおいて、溶接が必要とされる箇所で使用されます。例えば、自動車の車体のパーツを溶接する際や、家電製品の筐体をつなぎ合わせる際などに使用されます。また、建設現場において、建設用の鉄骨を溶接する際にも使用され、使用用途は多種多様です。

抵抗溶接機の特徴は、溶接速度が速く、消耗部品が少ないことです。そのため、大量生産では自動化が容易になり、大量生産ラインで頻繁に使用されています。近年では、自動化に対応した抵抗溶接機も開発され、自動車や家電製品の製造工程で活躍している状況です。

抵抗溶接機を選定する際は、電気消費量や電気代、装置費用などのコスト面、他の電気設備への影響、溶接対象の金属の種類や厚さ、溶接の品質などを考慮することが必要です。また、設置方法によって、溶接の精度やスピード、溶接できる範囲が異なるため、用途に適した抵抗溶接機を選ばなければなりません。

抵抗溶接機の原理

抵抗溶接機は、電源、トランス、加圧制御装置、電極の4つの要素で構成されています。電源から供給された電流は、トランスによって大電流に変換され、電極に流れます。電極は加圧制御装置によって金属に押し当てられ、金属に電流が流れることで、ジュール熱が発生し、金属同士の溶接が可能です。

抵抗溶接機の種類は、単相交流式、インバータ式、コンデンサ式の3つです。単相交流式は装置が簡単で安価なため一般用途として広く普及しています。一方、インバータ式は交流電源をインバータで直流に変換して溶接するため、品質のよい溶接が可能で、アルミニウムやメッキ鋼板の溶接に使用されます。コンデンサ式は、電気をコンデンサに蓄えて一度に放出することで、大電流を流します。短時間の溶接に適していますが、蓄電させるのに時間がかかるため、連続での溶接には不向きです。

抵抗溶接機のその他情報

抵抗溶接機の使い方

陽極と陰極の間に溶接したい金属を挟み、フットスイッチプッシュスイッチで電極間に圧力を印加しながら放電し、一瞬で加熱、溶接します。放電する時間は、溶接する金属の種類や厚みによってあらかじめ調整が必要です。

試し打ちをしながら、溶着強度が十分かつ焦げすぎない適切な電流と時間に合わせこみます。一般に、電流を流しやすいやアルミニウムは溶接しにくいため、電流は多めに、時間は長めに設定します。

ニクロム線や鋼板は抵抗が大きいため溶接しやすく、短い時間で溶接が可能です。

参考文献
http://www.chuo-seisakusho.co.jp/product_int/welding/exp.html
https://www.avio.co.jp/products/assem/principle/welding/configuration.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/69/7/69_7_582/_pdf https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/77/5/77_443/_pdf

モバイルロボット

モバイルロボットとは

モバイルロボットとは、単純な搬送作業ができるロボットです。

近年では非常に多く現場で導入されているモバイルロボットですが、以前の製造ラインの移動といった搬送作業は主に人が行うことが主流でした。しかし、技術の発達によって自動化のニーズが高まり、人手不足や生産性の向上に役立つモバイルロボットが普及し、多くの生産現場で活躍するようになりました。

その結果、ただ搬送するだけの重労働且つ単純作業から解放され、安全や品質面でも取り入れるメリットが大きくなりました。最近ではAI機能を搭載するロボットが増え、ロボット自身が最適なルートを判断して所定の場所まで荷物を搬送するようになっています。AI機能を持つロボットは、飲食店等でも少しづつ導入されています。

モバイルロボットの使用用途

モバイルロボットは工場で多く導入されており、その用途は運搬だけでなく、従来人が行っていた作業の代わりを担うこともあります。

1. 自動車部品の製造工場

重量のある部品を搬送したり、人間が行うとミスや抜けが発生してしまいがちな単純作業を行います。また、自動制御機器を組み合わせることによって動作の開始や停止、移動などのプログラムを組むことができます。

2. 半導体工場

半導体工場では狭い場所でも混雑や障害物を避けて効率よく搬送することが可能です。これにより工場の人手不足解消や時間短縮に役立ちます。

3. 食品工場

食品工場の生産ラインでは、季節や新商品の発売によって生産ラインを変更することが多くあります。モバイルロボットを導入することで、本来時間のかかる生産ラインの変更にも人手や時間を割くことなく柔軟に対応ができます。また、袋詰めや箱詰め、ラベル貼りも可能なため、無人化されている工場も存在しています。

4. 物流倉庫

荷物が多く行き交う物流工場では、ロボットコントローラが最適です。ロボットの現在位置や稼働状況を確認できるので、効率よく搬送し、ミスを防ぐことができます。

モバイルロボットの原理

モバイルロボットは個々に性能が異なります。今回は、磁気テープ等を必要としない搬送専用のモバイルロボットが持つ4つの機能とその原理について記載します。

1. 安全走行

内蔵されているレーザースキャナによって、360度の視界が得られ、自分の進む道を判断し、ぶつからないよう障害を避けて通ることができます。さらに両サイド、バック、ローフロントにセンサがついていて衝突を防止しています。

2. 堅牢性

頑丈な金属カバー等を取り付けることで、重量のある荷物を搬送することができます。最大級のモバイルロボットでは1.5tもの重量物を搬送できる製品もあります。

3. モニタリング機能

複数台使用する場合にはリアルタイムで動きをモニタリングし、コントロールします。地図情報をロボットに入力し、通信機器を利用して一括して複数のロボットに指示を与えることができます。

4. セーフティ機能

電源のオン、オフボタンはもちろん非常停止ボタンがついており、緊急停止に対応しています。台車やタッチスクリーンつきのロボットもあります。

モバイルロボットのその他情報

モバイルロボットの市場

モバイルロボットの市場は年々活性化しています。その背景として、日本などの先進国が抱えている労働力不足の問題や、昨今世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスによるソーシャルディスタンスの必要性から、省人化への移行を積極的に取り組み始めている企業が世界中で増え続けていることがあります。

ロボットが持つ柔軟性や仕様が幅広くなったため参入する企業は年々増えており、今後は食品や半導体、自動車備品工場以外の生産現場においても導入が期待されています。

プロダクションプリンター

プロダクションプリンターとはプロダクションプリンター

プロダクションプリンターは、商業用の印刷物や企業内で使用する印刷物を高速で高精度に印刷する大型のプリンターになります。

様々なサイズの印刷物に対応しているほか、様々な紙厚や素材に対応していることが特徴です。プロダクションプリンターを採用することによって、鮮やかで多くの色彩を表現することができる印刷物を自社で作成することができ、名刺や封筒、クリアファイル、営業用の用紙を多く消費するような場合では、コストを削減することができます。

プロダクションプリンターの使用用途

プロダクションプリンターの用途としては、大量のプレゼンテーション資料の印刷や、カラー写真の高速印刷、名刺やパンフレット、招待状、デザイン入りの封筒、商品のパッケージの印刷、広告用のポスター、デザイン入りのクリアファイルなどがあります。

様々な印刷対象物に対して、鮮やかな印刷を高速で行うことができます。プロダクションプリンターの選定の際には、1台数千万円程度と非常に高価な製品ですので、必要な機能などを十分に考慮する必要があります。

プロダクションプリンターの原理

プロダクションプリンターは、主に、給紙装置、感光体ドラム、定着プロセス装置、製本システム、それぞれの機構に印刷対象物を輸送する装置で構成されています。プロダクションプリンターの給紙装置では、様々な印刷対象物を定着プロセス装置などに給紙します。

様々な印刷対象物に対応するため、エアーを使用して、印刷対象物を振動させ巻き上げて、高速にスムーズに給紙できるような工夫が各社されています。

感光体ドラムでは、光を電荷に変換して、印刷対象物に静電気を与えでトナーを吸着させます。定着プロセス装置では、感光体ドラムで転写したトナーを、熱処理をして定着させます。ここでも、様々な印刷対象物に対応するために、熱処理時の定着度合いを変更するなどの工夫があります。

製本システムでは、印刷対象物がパンフレットなど閉じる必要があるときに、熱処理や、パンチ穴をあけるなどして製本します。

プロダクションプリンターの市場

近年では、これまでプロダクションプリンターが対象としてきた市場が変化しつつあります。

例えば、顧客へのアプローチ手段としての印刷対象物(パンフレット、招待状、ダイレクトメール)は、スマートフォンの普及に伴い、ポータルサイトや検索エンジンに表示されるオンライン広告に置き換りつつあります。また一方では、企業の商取引にかかわる帳簿書類の紙データ出力業務を、オフィス向け複合機を用いた分散処理などに置き換えたり、ペーパーレス化の流れによりそもそも不要になったりしています。このようにプロダクションプリンターの市場は一時期縮小傾向にありました。

一方、2010年ごろより継続的に投入され始めた産業用高速インクジェットプリンターが、プロダクションプリンターの市場において成長し、現在では3分の1を占めるまでになっています(数値は矢野経済研究所調べ)。インクジェットは紙などの対象物に直接接触しないため、これまで印刷できなかった布や段ボールなどへの印刷が可能となったことが成長の理由として挙げられます。産業用高速インクジェットプリンターの登場により、服飾品や、小ロットのお菓子のパッケージ印刷など、これまでプロダクションプリンターが対象としていなかった新たな市場が開発され、市場の縮小傾向は、緩やかになっています。

プロダクションプリンターとPOD

必要な時に必要な部数を印刷する技術の事を、POD(プリントオンデマンド、オンデマンド印刷)と呼びます。

これまでプロダクションプリントとは、アナログ的な手段(例えば、新聞印刷に使用されたような活版印刷。画質に優れる)を用いて、同じ内容のプリントを大量に印刷することを指していました。近年では、デジタル技術とMEMS技術(微小電気機械システム)の進歩により、ポスターのような印刷物より画質で上回る表現力を持つ、PODに対応したプロダクションプリンターも市場に投入されています。

PODでは、パンフレットやダイレクトメールに顧客名を直接印刷したり、顧客の嗜好に合わせた広告画像を一枚ずつ印刷したりする事ができるため、今後の市場の拡大に寄与することも期待されています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst1964/67/1/67_1_44/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isj/44/1/44_1_29/_pdf
https://www.konicaminolta.jp/about/research/publishing/index.html

クーリングタワー

クーリングタワーとは

クーリングタワー

クーリングタワーとは、水の温度を下げて冷却水を作り出す機械です。

冷却塔とも呼ばれ、水の蒸発による気化熱を利用しています。風を当てるのは蒸発を促進するためで、冷たくなるのは液体が蒸発するときに熱を奪うという性質があるためです。近年では打ち水やミストシャワーなどの効果が見直されていますが、原理は同じです。自然界の滝でも同様の冷却効果があります。

利用する水はコンプレッサや冷凍機で熱交換されて温まった冷却水です。それらを捨てるのではなく再度使用するために、クーリングタワーで冷却してから冷凍機へ送ることで効率的な運用をすることができます。

クーリングタワーの使用用途

クーリングタワーは、ビルやショッピングモール、病院の空調で用いられます。空調の他の用途として、工場や発電所などの機械、エンジン発電機、電気炉、スキー場の人工降雪機が散布する水の冷却、様々な分野でクーリングタワーが使用されています。

クーリングタワーには開放式と密閉式があります。開放式は外気と冷却水を直接触れさせるため効率が良く、空調用として一般的に用いられています。一方で密閉式は冷却水を熱交換器の管に通し、その管へ向かって散水することで冷却しています。冷却水を汚したくない場合に用いられます。

クーリングタワーの原理

クーリングタワーは水の気化熱を利用します。常温では水の蒸発の潜熱は約2,500kJ/kgで、比熱は4.2kJ/ (kg・K) です。1%の水が蒸発することで、残りの水の温度は約6℃ほど下がります。

一般的にクーリングタワーは外部に設置されます。外気の温度や湿度は季節や時間によって常に変化しており、クーリングタワーはその熱交換の原理から自然現象の影響を受けます。一般的に、最も不利な外気の条件を想定して設計・選定されることから,クーリングタワーの性能は余裕を持ったものとなります。その結果、より低い温度の冷却水が供給され、冷凍機など対象機器側で機器効率の向上につながります。

1. 開放式のクーリングタワー

開放式のクーリングタワー内部にはファンが付いており、それが回転することで外気を吸引します。冷却対象の液を上から落とすことで外気と効率的に接触させることができます。さらに水を滴状にして表面積の大きな充填材に流すことで、より外気との接触面積を大きくすることができます。

2. 密閉式のクーリングタワー

密閉式のクーリングタワーの外気の引き込み方法は、開放式のクーリングタワーと同じです。ただし充填材等もなく、タワー内へ管が通っているのみで冷却対象の液は管の中を通っています。管の上から散布水をかけることで散布水が気化して間接的に冷却することができます。

開放式、密閉式どちらも衛生面の注意は必要です。レジオネラ菌の繁殖を防ぐために法律でも定期的な清掃が義務付けられています。

クーリングタワーの種類

クーリングタワーには,用途の違いからの分類のみならず,塔の形状や冷却方式による分類もあります。クーリングタワーは、自然の外気と循環水を接触させ熱交換を行います。この外気と循環水の流れ方向と、外気と循環水の接触の有無による分け方があり、主にこの2つの組み合わせにより区別されます。

1. 外気と循環水の流れによる違い

塔体内の熱交換器部分の外気 (空気) と循環水の流れが直交するクロスフロー型と、対向する場合はカウンターフロー型に分類されます。

2. 外気と循環水の接触方法による違い

循環水と空気が直接接触して熱交換を行う方法を、開放式と呼びます。循環水が密閉配管内を通過し外気と直接接触せず、外気と直接接触する水 (散布水) を別系統から供給し、密閉配管に接触させて循環水の熱交換をする場合を密閉式と呼びます。

密閉式のクーリングタワーでは、循環水が銅管内を通り散布水によって間接冷却されるため、被冷却機器側に水質の影響がありません。しかし、散布水は外気と接触するので、散布水側の水質への対策が必要となります。さらに、間接冷却となるため開放式と比べてタワーの容積やモータの動力性能が大きくなります。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kuchosetsubikisokouza_0307/
https://www.kuken.com/kuken-voice/about-product/whats-coolingtower/
https://www.ebara.co.jp/jihou/no/list/detail/254-5.html