プロダクションプリンター

プロダクションプリンターとはプロダクションプリンター

プロダクションプリンターは、商業用の印刷物や企業内で使用する印刷物を高速で高精度に印刷する大型のプリンターになります。

様々なサイズの印刷物に対応しているほか、様々な紙厚や素材に対応していることが特徴です。プロダクションプリンターを採用することによって、鮮やかで多くの色彩を表現することができる印刷物を自社で作成することができ、名刺や封筒、クリアファイル、営業用の用紙を多く消費するような場合では、コストを削減することができます。

プロダクションプリンターの使用用途

プロダクションプリンターの用途としては、大量のプレゼンテーション資料の印刷や、カラー写真の高速印刷、名刺やパンフレット、招待状、デザイン入りの封筒、商品のパッケージの印刷、広告用のポスター、デザイン入りのクリアファイルなどがあります。

様々な印刷対象物に対して、鮮やかな印刷を高速で行うことができます。プロダクションプリンターの選定の際には、1台数千万円程度と非常に高価な製品ですので、必要な機能などを十分に考慮する必要があります。

プロダクションプリンターの原理

プロダクションプリンターは、主に、給紙装置、感光体ドラム、定着プロセス装置、製本システム、それぞれの機構に印刷対象物を輸送する装置で構成されています。プロダクションプリンターの給紙装置では、様々な印刷対象物を定着プロセス装置などに給紙します。

様々な印刷対象物に対応するため、エアーを使用して、印刷対象物を振動させ巻き上げて、高速にスムーズに給紙できるような工夫が各社されています。

感光体ドラムでは、光を電荷に変換して、印刷対象物に静電気を与えでトナーを吸着させます。定着プロセス装置では、感光体ドラムで転写したトナーを、熱処理をして定着させます。ここでも、様々な印刷対象物に対応するために、熱処理時の定着度合いを変更するなどの工夫があります。

製本システムでは、印刷対象物がパンフレットなど閉じる必要があるときに、熱処理や、パンチ穴をあけるなどして製本します。

プロダクションプリンターの市場

近年では、これまでプロダクションプリンターが対象としてきた市場が変化しつつあります。

例えば、顧客へのアプローチ手段としての印刷対象物(パンフレット、招待状、ダイレクトメール)は、スマートフォンの普及に伴い、ポータルサイトや検索エンジンに表示されるオンライン広告に置き換りつつあります。また一方では、企業の商取引にかかわる帳簿書類の紙データ出力業務を、オフィス向け複合機を用いた分散処理などに置き換えたり、ペーパーレス化の流れによりそもそも不要になったりしています。このようにプロダクションプリンターの市場は一時期縮小傾向にありました。

一方、2010年ごろより継続的に投入され始めた産業用高速インクジェットプリンターが、プロダクションプリンターの市場において成長し、現在では3分の1を占めるまでになっています(数値は矢野経済研究所調べ)。インクジェットは紙などの対象物に直接接触しないため、これまで印刷できなかった布や段ボールなどへの印刷が可能となったことが成長の理由として挙げられます。産業用高速インクジェットプリンターの登場により、服飾品や、小ロットのお菓子のパッケージ印刷など、これまでプロダクションプリンターが対象としていなかった新たな市場が開発され、市場の縮小傾向は、緩やかになっています。

プロダクションプリンターとPOD

必要な時に必要な部数を印刷する技術の事を、POD(プリントオンデマンド、オンデマンド印刷)と呼びます。

これまでプロダクションプリントとは、アナログ的な手段(例えば、新聞印刷に使用されたような活版印刷。画質に優れる)を用いて、同じ内容のプリントを大量に印刷することを指していました。近年では、デジタル技術とMEMS技術(微小電気機械システム)の進歩により、ポスターのような印刷物より画質で上回る表現力を持つ、PODに対応したプロダクションプリンターも市場に投入されています。

PODでは、パンフレットやダイレクトメールに顧客名を直接印刷したり、顧客の嗜好に合わせた広告画像を一枚ずつ印刷したりする事ができるため、今後の市場の拡大に寄与することも期待されています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst1964/67/1/67_1_44/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/isj/44/1/44_1_29/_pdf
https://www.konicaminolta.jp/about/research/publishing/index.html

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