抵抗溶接機とは
抵抗溶接機とは、金属を溶接する際に利用される機械のことです。
溶接する箇所を電極で挟み、金属に電気を流しながら圧力を加えることで、金属を溶接します。溶接対象の金属の抵抗によって発生するジュール熱を利用するため、電流の流し方によってインバータ式、トランジスタ式、コンデンサ式など多種多様です。また、通電の方法によってはダイレクトスポット式、インダイレクトスポット式、シリーズスポット式、ツインスポット式に分けられます。
抵抗溶接機は、その構造から、主に金属の板やパイプなど、平面的な物体を溶接する際に使用されます。自動車のボディパネルや建築物の鉄骨など、広い範囲で使用可能です。抵抗溶接機の溶接は、瞬時に行われるため、高い溶接速度と高い強度を持ちます。しかし、抵抗溶接機は、溶接する材料によって使用できない場合があります。
例えば、アルミニウムやステンレス鋼などは、抵抗値が低いため、効率的な溶接が困難です。また、溶接の際に生じる熱により、歪みが生じることがあります。そのため、正確な加熱制御が必要であるという点にも留意が必要です。
抵抗溶接機の使用用途
抵抗溶接機は、主に工場の生産ラインにおいて、溶接が必要とされる箇所で使用されます。例えば、自動車の車体のパーツを溶接する際や、家電製品の筐体をつなぎ合わせる際などに使用されます。また、建設現場において、建設用の鉄骨を溶接する際にも使用され、使用用途は多種多様です。
抵抗溶接機の特徴は、溶接速度が速く、消耗部品が少ないことです。そのため、大量生産では自動化が容易になり、大量生産ラインで頻繁に使用されています。近年では、自動化に対応した抵抗溶接機も開発され、自動車や家電製品の製造工程で活躍している状況です。
抵抗溶接機を選定する際は、電気消費量や電気代、装置費用などのコスト面、他の電気設備への影響、溶接対象の金属の種類や厚さ、溶接の品質などを考慮することが必要です。また、設置方法によって、溶接の精度やスピード、溶接できる範囲が異なるため、用途に適した抵抗溶接機を選ばなければなりません。
抵抗溶接機の原理
抵抗溶接機は、電源、トランス、加圧制御装置、電極の4つの要素で構成されています。電源から供給された電流は、トランスによって大電流に変換され、電極に流れます。電極は加圧制御装置によって金属に押し当てられ、金属に電流が流れることで、ジュール熱が発生し、金属同士の溶接が可能です。
抵抗溶接機の種類は、単相交流式、インバータ式、コンデンサ式の3つです。単相交流式は装置が簡単で安価なため一般用途として広く普及しています。一方、インバータ式は交流電源をインバータで直流に変換して溶接するため、品質のよい溶接が可能で、アルミニウムやメッキ鋼板の溶接に使用されます。コンデンサ式は、電気をコンデンサに蓄えて一度に放出することで、大電流を流します。短時間の溶接に適していますが、蓄電させるのに時間がかかるため、連続での溶接には不向きです。
抵抗溶接機のその他情報
抵抗溶接機の使い方
陽極と陰極の間に溶接したい金属を挟み、フットスイッチやプッシュスイッチで電極間に圧力を印加しながら放電し、一瞬で加熱、溶接します。放電する時間は、溶接する金属の種類や厚みによってあらかじめ調整が必要です。
試し打ちをしながら、溶着強度が十分かつ焦げすぎない適切な電流と時間に合わせこみます。一般に、電流を流しやすい銅やアルミニウムは溶接しにくいため、電流は多めに、時間は長めに設定します。
ニクロム線や鋼板は抵抗が大きいため溶接しやすく、短い時間で溶接が可能です。
参考文献
http://www.chuo-seisakusho.co.jp/product_int/welding/exp.html
https://www.avio.co.jp/products/assem/principle/welding/configuration.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/qjjws1943/69/7/69_7_582/_pdf https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjws/77/5/77_443/_pdf