スライドボリューム

スライドボリュームとはスライドボリューム

スライドボリュームとは、つまみを水平方向にスライドさせて接触子を移動する構造をしたものです。

接触子を物理的に移動させることで抵抗値を変化させる可変抵抗器の1つです。可変抵抗器には、ロータリーボリュームやポテンションメータと呼ばれる回転式のものもあります。これらが接触子を回転方向に移動するのに対して、スライドボリュームは一方向に水平移動する点が大きな違いです。

また、スライドボリュームは回転式のものよりも、構造的に大きな電力を扱えるように設計を変えられます。

スライドボリュームの使用用途

スライドボリュームの代表的な使用例は、PA (PublicAddress) 機器などにあるオーディオミキサーやグラフィックイコライザー、部屋の照明を調整する調光器などです。スライドボリュームでも回転式のものでも、可変抵抗器としての機能は同じですが、見た目や使用者の操作の感覚は大きく異なります。

そのため、装置や製品を開発を行ううえで想定する使い方や衣装 (デザイン) に応じて選定されています。特にスライド摘みの横にメモリを添えることで、視覚的に設定量が把握できるので、音量や光量を調整する用途などで活用される場合が多いです。

スライドボリュームの原理

スライドボリュームの摘みの位置を移動すると抵抗体の片端に接続された端子、接触子で接続された導体に接続された端子間の抵抗値は、抵抗体の端から接触子までの距離に応じて変化します。これにより、摘みの位置によって抵抗値と変えられるようになります。

スライドボリュームの構造

スライドボリュームにはある長さを持った抵抗体があり、これを本体ケースが覆い、抵抗体の両端には接続用の端子が備わっています。本体ケースには摘みが摺動できるスリットがあり、そこに接触子を付帯した摘みが配置されています。

また、抵抗体と平行に通電用の導体が本体ケース内に備わり、接触子は抵抗体と導体の両方に接触しています。導体にも端子が備わっていて、抵抗の両端の端子と合わせて3つの端子が出ているような構造をしています。

スライドボリューム その他情報

1. スライドボリュームの特性

スライドボリュームは摘みの位置によって抵抗値を変化させますが、その距離に対して抵抗値の変化の度合いを表すとABCの3種類のカーブの内の何れかの変化を示します。抵抗体の両端に電圧を印可した状態で、接触子の位置を変動させると抵抗体の片側の端子と接触子で接続された導体に接続された端子間に電圧が現れます。

  • Aカーブの場合
    上記の電圧が摘みの距離に対して対数的に変化します。
  • Bカーブの場合
    上記の電圧が摘みの距離に対して比例的に変化します。
  • Cカーブの場合
    上記の電圧が摘みの距離に対して逆対数的に変化します。

そのため、どの特性のものを使用するかを設計段階で予め決めておくことが大切です。

2. スライドボリュームの抵抗

スライドボリュームのうち、小信号に用いるものは抵抗体がカーボン被膜や金属皮膜である場合が多く、大電力用途には向いていません。特に回転式の抵抗は、抵抗体の長さが直径で制限されるため、大きな抵抗体を使うには構造的に不利です。

しかし、スライドボリュームの場合は、抵抗体の長さにおいて制限を受けにくいです。一部の商品群の中には、抵抗体にホーロー抵抗を使ったものや抵抗線を棒状に巻いた巻線抵抗を使用したものなどもあり、これらは数十W~数百Wの電力に耐える物が用意されています。

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