ぜんまいばね

ぜんまいばねとは

ぜんまいばね

ぜんまいばねは、ねじれた形状の巻き線を持つばねの1種です。

ぜんまいばねはコイルが渦状に巻かれており、力が加わると、そのエネルギーが蓄積・解放されます。 そして、押しや引っ張りなどの力に対して反発することで運動が生まれ、これを取り出して機構の制御に利用します。

また、 適切な材料と設計がされていれば、強度と耐久性に優れた特性を持ちます。長期間にわたって安定した弾性特性を維持することが可能です。

比較的コンパクトなばねで、機構の設計上組み込むスペースが少ない場合によく検討されます。

ぜんまいばねの使用用途

1. 車両のサスペンション

ぜんまいばねは、自動車のサスペンションシステムに使用される場合があります。車の振動を吸収し、乗り心地を向上させるために、サスペンションに組み込まれます。車輪と車体の間で力の吸収と放出を行い、走行中の衝撃を緩和します。

2. 産業機械

産業機械には、振動の吸収や制御、部品の位置合わせ、クッションなどの目的で使用されます。機械の運転中に生じる振動を抑制し、正確な動作を維持するのに役立ちます。

3. 消費者製品

ぜんまいばねは消費者製品にも使用されています。例えば、ドアクローザーやショックアブソーバー、キーボードのキータッチなどが挙げられます。目的はクッションや振動吸収です。また、コード式掃除機のコードの巻取り機構には昔からよく使われています。

4. 時計

腕時計などでも使用されます。ぜんまいばねが巻かれた状態から力が解放されることで、時計の動力となります。ぜんまいばねは、コンパクトにばねをまとめることができるので、スペースの少ない時計などにはよく使われます。

5. 家庭用品

身近な家庭用品にも多く、ぜんまいばねが使われています。具体的には、家具のクッション、ドアを自動で閉じる装置や、玩具などです。また、コンベックスやメジャーの巻き取り機構にもほとんど使用されています。

ぜんまいばねの原理

1. フックの法則

フックの法則は、ばねが受ける力とその伸びや圧縮との間に比例関係があることを示しています。ばねが受ける力は、ばね定数と変位に比例します。この原理は、ばね一般に適用されます。なお、「フック」とは、この法則を発見した人の名前です。

2. 弾性エネルギーの蓄積と放出

ぜんまいばねが力を受けて変形すると、その内部にエネルギーが蓄積されます。この蓄積されたエネルギーは、ばねが解放された際に放出されます。ぜんまいばねはこのエネルギーを使って、元の形状に戻ろうとします。この時のばねの動きを取り出して、機構を制御しようするのがばね一般の原理です。

3. 周期性と振動

ぜんまいばねに周期的な力が加わると、ばねがその都度エネルギーを蓄積・解放します。その応答の結果、周期的な運動が生まれ、振動が生じます。このため、特定の周波数や振幅での振動を実現可能です。

ぜんまいばねは、このばね一般の原理を使って、コンパクトにばねを構成することができるので、身近なところから産業用まで様々なところで使われています。

ぜんまいばねの選び方

 まず、適切な荷重範囲を考慮してばねの荷重要件を選ぶ必要があります。また、ぜんまいばねの伸びや圧縮の必要範囲も重要な要素です。

そして、設計条件に合った適切なばね定数を決定します。ばね定数は、ぜんまいばねの変形の度合いを示す指標です。ばね定数が大きいほど、同じ力に対して伸びや圧縮が小さくなります。

材質は耐久性、強度、耐腐食性などに影響を与えます。用途や環境に合った適切な材料を選定し、これらを総合的に踏まえたうえで、コストに見合うかどうかを検討します。

 参考文献
https://www.fusehatsu.co.jp/product/product-06/zenmaibane.html
https://www.kagaspring.com/keyword/basic/item_1808.html

LCDモジュール

LCDモジュールとは

LCDモジュール

LCDモジュールとは、液晶ディスプレイを構成する液晶パネルと、画像を表示させるためのドライバ・コントローラが組み込まれたものです。

比較的安価で薄型、低消費電力であるため、様々な電子機器に組み込まれています。組み込み機器の他、電子工作の部品としてもよく使われます。

なお、文字を表示するのに特化したキャラクタLCDモジュールと、図形やイラストなども表示できるグラフィックLCDモジュールに大別可能です。

LCDモジュールの使用用途

LCDモジュールがどのように活用されているか、具体的な使用例をいくつか紹介します。LCDモジュールの活用範囲は日々広がりを見せており、その用途は限りないと言えます。

1. ポータブルデバイス

スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのポータブルデバイスでは、LCDモジュールはユーザーインターフェイスの中心をなす部品です。ユーザーのタッチ入力を受け取り、情報を明瞭に表示して、これらのデバイスの使いやすさを大幅に向上させています。

2. 家電製品

テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの家電製品で、LCDモジュールは情報表示と操作ガイダンスのために使われます。例えば、テレビでは映像を表示し、冷蔵庫やエアコンでは温度や設定モードを表示するために使用されます。

3. 産業機器

工場の製造ラインや農業機械、建設機械など、産業機器の操作パネルにもLCDモジュールが使われます。操作者に必要な情報を提供し、より安全で効率的な機器操作を可能にします。

4. 医療機器

医療分野でもLCDモジュールは重要な役割を果たしています。患者のビタルサインをモニタリングする装置や、超音波検査機器、MRIスキャナなどに搭載され、医療従事者に必要な情報を視覚的に提供します。

5. 自動車

最新の自動車では、従来のアナログメーターがデジタル化され、車速やエンジンの状態、ナビゲーション情報などを表示するためにLCDモジュールが使われています。

LCDモジュールの原理

液晶ディスプレイ (LCD) モジュールの仕組みを理解するためには、まず液晶の特性を知ることから始まります。液晶は固体と液体の間の状態を持つ物質で、温度や電場によって配向 (向き) を変えることができます。この特性が、LCDの核心的な原理となっています。

1. 液晶

液晶の中には、光の偏光状態を変える能力を持つものがあり、これを利用してLCDは画像を作り出します。具体的には、液晶セル (液晶層とその両側の電極からなる構造) に電圧を印加して液晶の配向を変え、その結果光の透過率が変わります。

2. LCDモジュール

LCDモジュールは、この液晶セルを基にしたディスプレイ部分と、それを制御する電子回路から構成されます。電子回路は、入力信号に応じて各液晶セルに電圧を印加し、それぞれのセルの光透過率を制御します。これにより、ディスプレイ全体で見ると複雑な画像が形成されます。

3. 色表示

色の表示については、通常、赤・緑・青の三原色のバックライトと色フィルターを組み合わせて実現されます。各ピクセルは3つの液晶セル (赤・緑・青それぞれに対応) からなり、それぞれのセルの透過率を制御して任意の色を作り出すことができます。

LCDモジュールの種類

LCDモジュールは、その構造や組み立て方法によって大きく3つのタイプに分類されます。それぞれCOB型、COG型、COF型と呼ばれ、特性や適用分野が異なります。

3つのタイプは、それぞれ製品の特性や応用分野、製造コスト等の要素によって選択されます。

1. COB型  (英: Chip-On-Board)

COB型は、液晶ディスプレイパネルとICチップが同一のプリント基板上に実装されているタイプのことを指します。一体型ですべての機能を搭載できますがサイズが大きくなりやすい欠点があります。

2. COG型  (英: Chip-On-Glass)

COG型は、ICチップが直接ガラス基板 (液晶パネル) に実装されているタイプのことを指します。これにより、モジュール全体の薄型化や小型化を実現できます。ただし受動部品は外付けとなります。

3. COF型 (英: Chip-On-Film)

COF型は、ICチップがフレキシブルなフィルム基板に実装されているタイプのことを指します。COF型はCOG型と同様に薄型化・小型化が可能であり、さらに曲面への適用も可能となります。

LCDモジュールのその他情報

1. LCDの構造詳細

液晶ディスプレイ (LCD) の主な構成要素には、偏光フィルター、ガラス基板、透明電極、配向膜、カラーフィルターなどがあります。

  • 偏光フィルター
    LCDの最外層に配置されているのが偏光フィルターです。このフィルターは、特定の方向の光だけを通過させる役割を果たします。液晶セルには2枚の偏光フィルターが使われており、その間に液晶層が挟まれています。
  • ガラス基板
    液晶セルを構成するための透明なガラス基板が2枚あります。これらの基板の間に液晶が封入されています。
  • 透明電極
    ガラス基板の一面には透明電極が蒸着されています。これは、液晶層に電圧を印加する役割を果たします。
  • 配向膜
    透明電極の上には配向膜が塗布されています。この膜は、液晶の配向 (向き) を一定の方向に整える役割を果たします。
  • カラーフィルター
    カラーLCDでは、ガラス基板の一面にカラーフィルターが配置されています。これは赤、緑、青の3原色に対応するフィルターで、各ピクセルの色を決定します。

2. LCDモジュールの表示方式

LCDモジュールの表示方法には、下記3つの方式があります。

  • セグメント方式
    細長い表示単位を数字の「8の字」に配置し、数字を表示する方式。
  • ドットマトリックス式 (文字表示)
    表示単位を縦横の行列状態に配置し、文字を構成する方式。
  • ドットマトリックス方式原理 (グラフィック表示)
    表示単位を縦横の行列状態に配置し、図形等を描く方式。

カラー表示は、1つ1つの表示単位の上にRGBのカラーフィルタをかけ、その組み合わせによって多様なカラーを表現します。

参考文献
https://www.mtasia.co.jp/product/lcd/
https://jp.sharp/products/lcd/tech/s2_2.html

水晶発振器

水晶発振器とは

水晶発振器

水晶発振器は、水晶の持つ圧電現象を利用した水晶振動子 (クォーツ) による機械的共振に発振回路を内蔵し、一定の周波数を生み出すデバイスのことです。

水晶以外の発振回路には、LC発振、CR発振、セラミック素子を使った発振などがあります。水晶発振の場合はppmオーダ (100万個に1個の不良も許さない厳しい品質管理が可能) の高い精度が得られますが、そのほかは%の精度が許容できる回路に限られる点で水晶発振は優れています。

水晶が電子回路素子として使用できる理由は、水晶に圧電効果があるためです。トランジスタやICの発明よりもはるか昔の19世紀から、水晶は素子として使われていたという歴史があります。

水晶発振器の使用用途

水晶の振動をもとにした水晶発振器は、通信機器などの周波数信号源、時計 (クオーツ) のタイミング源、テレビのカラーバースト信号源として使われてきました。近年では、デジタル回路の固定周波数のクロック源として膨大な数が使われています。

ICやLSI (ICに比べてより集積度の高い複雑な回路をおさめた集積回路) にはクロック基準信号が不可欠であり、水晶発振器はクロック生成に必要な高い周波数安定性と無調整化、小型化を実現しています。

そのため、従来の通信機器やテレビ、時計などにとどまらず、衛星通信や自動車、パソコン、DVD機器などの情報家電分野にまで水晶発振器の使用用途は幅広いです。

水晶発振器の原理

水晶発振器は、水晶振動子(クォーツ)と呼ばれる共振子を基準共振に用いて、発振回路により、基準周波数となる信号を生成するデバイスです。水晶振動子では水晶の持つ圧電現象を利用しますが、水晶振動子だけでは共振周波数の必要な振幅を維持し続けることはできません。

そこで水晶発振器においては、内部に発振させる回路を追加で付加し、共振子の共振周波数を活用して、基準周波数信号の強度と周波数を制御しています。これが水晶発振器の動作原理です。水晶は、石英 (Sio2:二酸化ケイ素) から成り立っていますが、水晶発振器に使うのは人口水晶です。その人口水晶はラスカという天然の水晶が原料としています。

アルカリ溶液を満たした炉 (オートクレーブ) の中にラスカを入れ、高温かつ高圧にかけて溶かし、温度を制御することによって自然対流を発生させ、高い純度で再結晶した大きな人工結晶をつくります。それを薄く切り出し、水晶発振器にします。

水晶発振器のその他情報

1. 水晶振動子の振動モード

結晶軸に対して切り出す角度によって、周波数の温度特性、振動モードなどが変わります。MHz帯の水晶が最も多く、なかでも「ATカット」と呼ばれるものは、広い温度範囲であり、かつ偏差が小さいのが特性です。

たとえば、腕時計などに使われる場合には、体温や室温に近い温度で、温度係数が0になるような角度で切り出すといった具合に、使用目的によって切り出し方も変わります。

振動モードは、水晶が持っている機械的な振動の形態を言います。ATカット「厚み滑り振動」とも言い、イメージとしてはまな板の上に豆腐を置いて揺らしたような振動です。このように、発振周波数は、切り出し方の厚みがどの程度かによって決定されます。

2. 水晶発振器の精度

通常の水晶発振器の精度は1/10,000~1/100,000程度の誤差です。この精度を他の発振器と比較すると、シリコン発振器の約1,000倍、セラミック発振器の約100倍であり、シリコン発振器やセラミック発振器より高い精度を有しますが、原子時計に使われるセシウム発振器には精度面で及びません。

水晶発振器にはより精度を高めた製品もあり、温度保証水晶発振器 (TCXO) というタイプの製品です。このタイプの製品には温度保証回路と呼ばれる回路が組み込まれています。温度保証回路は水晶振動子の持つ温度特性を打ち消すような回路で、この回路を内蔵することにより、より広い温度範囲で安定した性能を発揮できるようになります。

3. 水晶発振器式時計の仕組み

水晶発振器式時計、すなわちクオーツ式時計は、水晶発振器が作り出す高精度な振動からICが分周を行い1秒間隔の周波数へ変換し時計として機能します。アナログ式 (針のあるタイプ) の時計は、この1秒間隔の周波数でステップモータを駆動して、秒針、分針、そして時針を動かします。一方、デジタル時計は同様に水晶発振器から作り出された1秒間隔の周波数で液晶パネルを駆動し、数字を表示していきます。

クオーツ式時計の機械式時計と比較した場合のメリットは、時間の精度が優れているだけではありません。電池で駆動できることから、長い時間メンテナンス無しで動き続ける点が挙げられます。また、たとえ電池が切れてしまっても、電池を交換すれば以前と同様の精度で動き続けることが可能です。

電池交換を不要としたクオーツ式時計として、太陽電池の搭載や発電機を搭載した腕時計等も発売されており、これらの時計はより長い期間に渡って時計を動かし続けられます。

4. MEMS発振器との比較

水晶発振器の歴史は1950年代に日本の時計メーカーがクオーツ式時計を生み出した後に急速に広がりを見せ、現在は、通信機器やテレビ、情報家電の分野で幅広く用いられています。しかし、昨今、小型化、価格面、性能面でMEMS (微小電子機械システム) 発振器と呼ばれる発振器が着目されています。

MEMS発振器は、半導体の製造過程を応用した製造工法を用いるため、電子回路への組み込みがしやすく、小型化向きです。特性面でも周波数調整のしやすさや消費電力の面で有利な商品も出回っており、今後改良により水晶発振器の市場シェアを凌駕する可能性もあります。

5. 高周波数化への取り組み

昨今の情報通信用デバイスは、その情報通信量の拡大に伴い、通信用の変調帯域を広く確保し、扱うクロック周波数を速くしたいというニーズから、通信の世代とともに扱う周波数が高くなってきています。よって基準周波数生成用の水晶発振器も当然ながら高周波数対応への要求があります。

PLLなどのアナログ回路技術の進展で、ある程度は周波数を回路面から上げることは可能です。しかし、その場合は位相ノイズや温度特性などの課題が発生するため、基準となる水晶発振器の発振周波数を上げるべく、現在は水晶振動子自体の改良と発振回路の高周波数対応で、100MHzの高周波数対応の製品もリリースされています。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/crystal-oscillators-guide
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2010/12/p147.pdf
https://www.jcwa.or.jp/time/tech/tech09.html

自動研磨機

自動研磨機とは自動研磨機

 自動研磨機とは、ラップ、ポリッシュといった精度が高い平面加工を、自動的に行う装置のことです。

自動研磨機の基本は砥石や砥粒を含んだ研磨液が含まれたバフ盤を高速で回転させ、削りたい部品を回転させながら押し当てて研磨します。 研磨と同じく、高速で回転させている部品に刃を押し当てて削る「旋盤」がありますが、研磨機は砥石を回転させているため、刃物で削る方式の旋盤よりも少しづつ削ることができます。

近年では工業製品のNC化がされており、研磨機もコンピューター制御による「NC研磨盤」で自動的に研磨をすることが可能になりました。

自動研磨機の使用用途

自動研磨機は、用途によって大きく2つに分けられます。

1. 工業製品の加工

機械の部品において、例えば相手部品との滑らかな摺動が求められる平面が必要な場合に、自動研磨機による加工が行われます。

2. 金属試料の作製

金属部品の検査の1つに、金属組織観察があります。金属組織は、例えば鉄鋼材料の熱処理の品質確認として、日常的に広く行われています。

金属組織は金属顕微鏡という専用の顕微鏡を使って観察しますが、試料は鏡面研磨されていなければなりません。高周波熱処理や浸炭焼き入れなどを行った鉄鋼材料は非常に硬く、手作業による研磨は多くの時間と手間、技術を要します。

自動研磨機を使えば比較的短時間で、金属組織観察用の試料を作製することが可能です。また、ビッカース硬さ試験を行う際にも、試料の研磨仕上げが必要なため自動研磨機が用いられます。

自動研磨機の原理

自動研磨機は加圧、相対運動、潤滑剤の塗布を自動的に行うものです。研磨は砥石などの研磨する部材に対して、研磨加工する部品に圧力と相対運動を与えて少しずつ削り落としていきます。また、研磨の際には潤滑剤が塗布されることによって、研磨が促進されます。

金属試料作製用の自動研磨機の場合、研磨する研磨盤は円盤状です。設定された回転数で回転し、試料ホルダーは円形で、同時に複数個の試料が取り付け可能です。試料フォルダーは研磨盤の回転中心からズレた位置に回転中心をもち、上から研磨盤に試料を押し付けながら回転します。

加圧力や回転数は、試料に合わせて設定可能です。さらに装置によっては、潤滑液を自動的に噴射できるものもあります。

自動研磨機の特徴

自動研磨機の最大の特徴は、経験と技術を要する研磨作業を多くの人が行えるようになることです。研磨は粗い砥石から細かい砥石に変えながら、砥石の傷を順次小さくしながら鏡面になるまで仕上げるため、経験と技術の習得が欠かせません。

自動研磨機を使って適切な研磨条件を見つけられれば、同じ製品に対しては、効率的に研磨作業を行うことができます。金属組織観察用の試料作成では、複数の試料を同時に作製できるのも、自動研磨機を使うメリットの1つです。

自動研磨機のその他情報

自動研磨機の応用

研磨作業は人の手で行うと、非常に労力がい作業なので、現在はほとんどの製品では自動化がされています。 研磨作業には砥石側の粒子の大きさや削るスピード、力の大きさなど繊細な工程が必要です。 従来の研磨盤でもかなり正確な部品を作ることができましたが、その汎用の研磨盤にNC装置を取り付けて、プログラミングが自動的に行う方式が最近の主流です。

中国などで多く存在する、部品の大量性を行う工場などでは、「ロボットを使用した自動研磨機」が活用され始めています。ロボットを使うことで研磨盤よりもラインでの活用範囲が広がり、人員削減にもつながるので注目されています。

しかし、研磨作業は前記した通り、かなり繊細な部分かつ製品の完成度に影響してくる工程なので、現状のロボットの制度では品質が落ちて使えていない場面も少なくありません。 そのため、現在多くのロボットメーカーや産業機械メーカーなどが、研磨工程のロボット化のために技術開発を進めている段階です。

参考文献
https://robot-mujinka.com/tech/column07/
https://www.kousakukikai.tech/grinder/#NC
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62798870Z10C20A8FFE000/

パラレルロボット

パラレルロボットとは

パラレルリンクロボットとは、並列につながれたアームを用いて1点に対して高速・精密な動作をする産業用ロボットです。

アームはリンクやジョイントと呼ばれる部品で構成され、3本アームの製品が主流です。パラレルリンクロボットはシンプルな構成のため、メンテナンス性に優れます。複数のモーター出力がアーム先端部の1点に集中する機構であり、高出力で高精度な動作を実現可能です。

自動化設備のピックアップ作業などで活用されています。また、パラレルリンクロボットのアームにはカーボンパイプ/ CFRPパイプが使用されます。

パラレルロボットの使用用途

パラレルロボットは産業において広く使用される機械です。以下はパラレルロボットの使用用途一例です。

  • 食品のパレット積みや整列
  • 化粧品などのラベル貼り付け作業
  • 軽量な半導体部品などのピックアップ作業

高速かつ精密な動作が可能なため、ワークの仕分けや移動を含めたピックアップなどの比較的軽作業で利用されます。スカラロボット以外の産業用ロボットは、一般的に高性能であるが故に導入コストが高く、複雑なメンテナンス作業を必要とすることが多いです。

また、専門的なティーチング作業が必要な場合も多いため、多額のコスト負担を考慮しなければなりません。一方、パラレルリンクロボットはスカラロボット以外の産業用ロボットと比較して簡易的な構造です。

したがって、導入コストが安価かつメンテナンスや管理も容易な点がメリットです。

パラレルロボットの原理

パラレルリンクロボットは、主にモーターやベアリング、リンクアームなどによってシンプルに構成されます。一般的に3本からなるリンクアームが並列に繋がれ、個々のリンクアームにそれぞれモーターが備わっています。

本体ベース部分は天井に固定され、リンクアームなどによってアーム先端部が吊り下げられた状態です。パラレルロボットは、パラレルリンク機構を有する点が最大の特徴です。パラレルリンクは、複数のモーター出力がアーム先端部の1点に集中して動作させる機構です。一般的に多関節ロボットはロボットアームの先端部を動かすために、各関節を順番に動作させる必要があります。これがシリアルリンク機構です。

一方、パラレルリンク機構は複数の関節が同じ最終出力先に接続されているため、それぞれを並列に動作させることで最終出力先を動かします。これをパラレルリンク機構と呼び、シリアルリンク機構で動作するロボットよりも高速に動作させることが可能です。パラレルリンク機構は、アームやモーター、軸受で構成されます。そのため、構造が簡単で安価に導入可能です。

各メーカーから販売されているパラレルリンクロボットも、他の多関節ロボットに比べると安価です。安価に導入可能なため、製造現場の担当者が手を出しやすい製品です。高速動作が可能な点を活かせば、ピックアンドプレースのような作業を自動化することが可能です。適切な場面で複数台導入すれば、工場の複数工程を自動化することが期待できます。

パラレルロボットのその他情報

スカラロボットとの違い

スカラロボットとは、水平方向に動作する回転軸を3軸備え、上下方向に動作する1軸を備えた水平多関節型の産業用ロボットです。パラレルリンクロボットとスカラロボットは、ベルトコンベア上のワークを運搬する作業で、同様に適用されています。こらら2つの違いは水平作業と高速性です。

スカラロボットは別名水平多関節ロボットと呼ばれる、シリアルリンク機構のロボットです。これは地面に対して水平方向の動きに強みを持つロボットであり、水平方向のネジ締めやワーク吸着のような作業を行うことが可能です。

一方、パラレルロボットは基本的に地面に対して垂直方向の仕事を得意とします。つまり、スカラロボットで行えるようなネジ締め作業などを行うことは困難です。しかしながら、パラレルロボットはスカラロボットよりも高速で仕事を行うことが可能なため、垂直方向の仕事に関してはスカラロボットよりも効率的です。

参考文献
https://global.yamaha-motor.com/jp/profile/technical/publish/pdf/browse/48ss_08.pdf
https://www.robot-befriend.com/blog/parallellink-robot

セーフティコントローラ

セーフティコントローラとは

セーフティコントローラとは、安全入力機器から受け取った信号から、機械が安全に動作するかを判断し、制御する機器のことです。

危険な場合には機械を起動させない、または機械を強制停止制御する機能があります。機能安全規格に基づいた電子部品やソフトウェアにより、安全が立証できた製品とされています。

セーフティコントローラの使用用途

セーフティコントローラは入力機器、出力機器、セーフティコントローラ自身に何かしらの異常が無いかを監視します。

機械の稼働中に入力機器から信号を受け取ります。入力機器の例には非常停止押ボタンスイッチやライトカーテンがあります。入力機器がオン/オフの二値信号を出力し、この信号の状態に応じて出力機器に対して強制停止制御信号を出したり入出力機器の状態を監視したりします。

機械の故障が起きた場合は自己診断をすることで故障の検出をし、出力を停止することで機械の動力を遮断します。異常があった場合に作業者が危険な状態であっても安全に出力機器を停止させることが可能です。

セーフティコントローラの原理

安全性の観点からハードワイヤ構成による機器が主流でしたが、安全回路の構成が可能になったことで電子式の機器でもハードワイヤ構成と同等の品質が確証されています。

セーフティコントローラの内部構造は機能安全の考えに基づいて設計・製造されています。入力端子から出力端子の間の内部で入力回路、CPU、出力回路を設けています。CPUが入力回路と出力回路に対して相互チェックとバックチェックを行い、機器の内部でCPU同士が診断と監視をします。これらのチェックを通して正常時にのみ機械が動作する仕組みです。

セーフティコントローラの種類

セーフティコントローラは、プログラミングの有無によって以下のように分類することができます。

1. プログラミングができるタイプ

プログラマブルセーフティコントローラとも呼ばれ、機械に応じた安全制御プログラムの作成が可能です。そのため、複雑な論理の構築が必要な場合にも柔軟に対応することができます。

2. プログラミングができないタイプ

一般的にセーフティリレーユニットと呼ばれるものです。1対ずつ入力と出力に対応しているものから、複数の入力と出力を持ち、簡易な安全制御回路を構築できるものまであります。

製品によってはプログラムがなくても容易に安全制御回路を構築することができ、全体停止と部分停止を実現できます。

セーフティコントローラのその他情報

1. セーフティコントローラの安全性

セーフティコントローラが安全であることを立証するためには機能安全規格に基づくことが必要です。

機能安全規格は物はいつか壊れ、人は必ず失敗するという考え方がベースとなっています。故障やミスによって発生する被害の規模に対して、許容リスクが低減する対策を決定します。

被害規模に応じた対策のレベルを安全度水準 (英: Safety Integrity Level) といいます。安全度は4つのレベルに分けられ、安全水準度4が最も高いレベルの対策を求められ、安全水準度1が最も低いレベルの対策を求められることになります。

「機能安全規格に基づく」とは、被害の大きさに応じて対策のレベルを決め、設計根拠や製造過程などの記録を用いて、対策が正しく反映されていることを第三者に説明できるようにすることと定義されています。

2. セーフティコントローラで使用するプログラム

セーフティコントローラのプログラムにはラダー方式、フローチャート方式、ステップラダー方式、SFC (英: Sequential Function Chart) 方式の4つがあります。4つの中で最も使われているのは、リレーシーケンスように記述出来るラダー方式になります。記述形式がはしご (英: ladder) に似ていることからラダー図やラダープログラムと呼ばれています。

リレーとは、外部からの電気信号でスイッチのオン/オフを切り替える電子部品です。リレーシーケンスでは、センサなどの外部入力によって制御される入力リレーと、モーターなどの外部出力を制御する出力リレーの状態に応じて、タイマーやカウンタの条件に一致した時に出力リレーのオン/オフを行います。

ラダープログラムのデメリットは、セーフティーコントローラーのメーカー毎にプログラム作成ソフトウェアが異なるため、システムを変更しにくいことです。

3. セーフティコントローラに求められる機能

セーフティコントローラは機能安全規格を満たすことが最低限求められますが、そのほかに下記のような点が求められます。

機械を強制停止した場合の原因究明
実際には危険な状態ではないにもかかわらず、入力機器やセーフティコントローラが危険だと判断して機械を強制停止する場合があります。その原因が何か、本当に危険だったのか、誤作動に基づくものだったのかなどの原因究明を短期間できることが求められます。

操作性が良いこと
セーフティコントローラを購入すると配線やプログラムの実装などが必要になります。生産ラインの立ち上げや組み換えの際にこれらに多大な工数がかかると生産効率が落ちてしまうため、すぐに立ち上げができて操作しやすいという点は重要なポイントです。

参考文献
https://www.azbil.com/jp/corporate/pr/library/review/pdf/2015_04_5.pdf
www.keyence.co.jp/ss/products/safety/knowledge/caution/controller.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/safetynavi/feature/safety_controller/
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000117706.pdf
https://elec-tech.info/plc-seqe1/
https://plckouza.com/st1/st1_6.html
https://www.omron.co.jp/ecb/product-info/basic-knowledge-series/basic-knowledge-of-relays/part1/basics
https://e-sysnet.com/plc-6/

フォトMOSリレー

フォトMOSリレーとは

フォトMOSリレーとは、内部にLEDと受光素子とMOSFEを備えており、これらを組み合わせた素子で従前のリレー部品と同様の動作をするものです。

従前のメカニカルリレーが内蔵するコイルに電流を流し、その磁力によって電気的な接点を動作させてON/OFFの制御をしていました。それに対してフォトMOSリレーは、内蔵するLEDに電流を流して発光させ、その光を使って受光素子を起電させます。その起電電圧でMOSFETを動作させて、従前のリレーと同様の制御ができるようにした電子部品です。

フォトMOSリレーの類似品として、フォトカプラ、フォトトランジスタ、フォトトライアック、SSR (Solid State Relay) などが挙げられます。これらはまとめて無接点リレーや半導体リレーなどと呼称され、使用用途などにより使い分けられています。

フォトMOSリレーの使用用途

フォトMOSリレーは、フォトカプラやフォトトランジスタ等の用途よりも、大きな電流を必要とする回路あるいはフォトトライアックやSSRが交流のON/OFFを得意としているため、その用途として使用される場合が多いです。

フォトMOSリレーは、一次側から二次側への信号伝達に光を使っており、一次側と二次側は電気的には完全に絶縁されているため、マイコン回路などの小信号で商用電源や高い電圧の電源で駆動します。そのため、数A程度の比較的大きな電力の負荷をON/OFFする回路やモータードライバーなどのブリッヂ回路などに使用されています。

フォトMOSリレーの原理

入力端子に信号電流を流すとLEDが発光し、受光素子が受光して起電電圧が発生します。この電圧によって、MOSFETのゲート電圧が上昇して2つのMOSFETのソース・ドレイン間がON状態になります。

そして、出力端子間の電圧の向の電圧が高い側のMOSFETのソース・ドレインを通過し、次段のMOSFETの寄生ダイオードを通過するルートで電流を流せるようになります。そのため、結果的に出力端子間の電気的な極性に関係なく、出力端子間に電流を流すことが可能です。

フォトMOSリレーの構造

フォトMOSリレーは、LED・フォトダイオードなどの受光素子・MOSFETの3つの要素から構成されています。

MOSFET互い違いの方向で2回路を配置し、それぞれ寄生ダイオードが接続しているような構造をしているのが特徴です。

フォトMOSリレーのその他情報

1. フルブリッヂ回路への応用

例えば、モータードライバーを作ろうとした場合、フルブリッヂ回路などにより回路を構成するのが一般的です。しかし、この回路の最大の懸念は、負荷の両端に電源電圧がそのまま印可されている状態になった時に、上下あるFETのうちの上段のFETのソース電圧が電源電圧と等しくなってしまうことです。この状態から上段のFETをON動作させるためには、電源電圧よりも高い電圧を別に用意して、その電圧を使って上段のFETのゲート電圧を制御する必要があります。

しかし、フォトMOSリレーは内蔵するLEDさえ点灯できれば動作するので、それこそCPUから出力される数V程度の信号でも直接駆動することも可能です。また、モーター駆動用の電源と制御用の電源を完全に絶縁することもできます。

2. MOSFETの種類

MOSFETには、常時OFFになっているタイプと常時ONになっているタイプの2種類があります。前者はメイクコンタクト型のリレー、後者はブレークコンタクト型のリレーとして使うことが可能です。

また、フォトMOSリレーは、2つのMOSFETのソース同士を向かい合わせて接続することで交流電流のスイッチとしても利用できます。光MOSFETの導通特性は、入力電流量に依存しないため、微小な入力電流でも電流のON/OFF制御をできるのが特徴です。

参考文献
https://www.renesas.com/jp/ja/products/optoelectronics/technology/difference.html
https://www.renesas.com/us/en/products/optoelectronics/technology/architecture.html

MMIC

MMICとは

MMICとは、主にマイクロ波の増幅・スイッチング・ミキシングなどを行うための機能を一つの半導体基板上に集約した集積回路 (IC) のことです。

「Monolithic Microwave Integrated Circuit」の略称であり、モノリシックマイクロ波集積回路を指します。集積回路にはハイブリッド集積回路とモノリシック集積回路の2種類があり、必要な素子を一つの基板に集約することで機能をもたせたものをモノリシック集積回路といいます。

一方で、ハイブリッド集積回路は、モノリシック集積回路などを高密度に集約し、マザーボードやモジュール基板などの上で一つの集積回路にしたものです。

MMICの使用用途

MMICは、スマートフォンに代表される携帯端末や、センサーを活用したRFIDなどの通信、基地局向け送受信IC、衛星放送の受信機など、主にマイクロ波を通信に用いる用途に活用されています。従来のディスクリート部品を組み合わせて作るMIC (マイクロ波集積回路) と比べて、はんだ付け部分などが無いため故障発生の頻度が低いことが特徴です。

また、部品点数が少ないため、MMICを活用することで、小型化、軽量化、低コスト化に貢献します。

MMICの原理

MMICの原理は、マイクロ波の集積回路を構成する上で適した材料であるGaAsやSOIなどの半絶縁性半導体基板上に、受動素子であるインダクタやキャパシタを形成し、高周波損失を抑制した状態で、動作速度に優れる能動素子であるバイポーラトランジスタなどを用いてアナログ集積回路を作成する点にあります。

MMICにおいて、よく用いられる能動素子としては、MESFET,HEMT,HBT,MOSFETなどがあ挙げられます。GaAsやGaN、SOIといった、化合物半導体材料や絶縁性に優れた半導体基板より作成される場合が多いです。

半導体材料が異なれば電子の移動度やバンドギャップエネルギーが異なるため、動作周波数や耐圧などの要求される仕様に適した物性の半導体を選択すると、高出力や高周波に対応させることができます。受動素子を使用する目的は、主にインダクタキャパシタ、抵抗がマイクロ波の回路のインピーダンス整合をとることです。

インダクタは、高インピーダンス線路やスパイラルインダクタが多く使用されています。キャパシタは、誘電体・対向電極がサンドイッチのような構造をとったMIM構造や、櫛形電極を並べた構造を持つものなどがあります。

MMICのその他情報

1. マイクロ波用途向けMMICの事例

マイクロ波用途向けMMICの代表的な事例としては、GaAs基板上のMMIC、SOI-CMOSやSiGe基板でのMMIC等があげられます。スマートフォン上に用いられるセルラー向けの高周波パワーアンプやローノイズアンプ、WiFi通信用の高周波パワーアンプやアンテナ周辺の送受信の経路の切り替え用スイッチは、一般にGaAs基板上のMMICやSOI-CMOSのMMICが良く用いられています。

その理由は、基地局への数GHz帯のマイクロ波の電波の送信向けに数Wクラスの電力を増幅して、出力しなければならないために、高い増幅率と高い効率を兼ね備えたトランジスタが形成可能であることと、高周波向けの整合 (マッチング) 回路に用いられる容量やスパイラルインダクタもそれなりに高いQ値が確保できるGaAs基板やSOI基板上のMMICが適切であるためです。

また、トランジスタは、この分野ではHBT (Heterojunction Bipolar Transistor) がよく使われます。これはMOCVD成膜技術の活用により、比較的ばらつき制御がしやすく、かつHEMTデバイスのように負電源バイアスが必要でないためです。

2. ミリ波用途向けMMICの事例

MMICでないと構成が厳しいアプリケーションには、5Gの特にミリ波通信用途向けの事例や、衝突防止車載レーダー向けのミリ波用途などが分野として挙げられます。この場合のアクティブ素子は、周波数特性に優れたGaAsのHEMTデバイスやInP系のHBT、Si系の微細SOI-CMOSやSiGe HBTを用いるのが一般的です。

デバイスの特性を図る性能指標としてカットオフ周波数 (fT) や最大発振周波数 (fmax) がよく利用されますが、次世代通信規格であるBeyond5Gや6G向けのサブTHz領域などの場合は、この周波数を増幅可能な半導体デバイスは非常に限られます。例えば、D-band 140GHzを扱う半導体デバイスとしては fTは少なくとも倍以上の300GHz程度は必要です。

パッシブ素子も、ミリ波帯の場合、伝送損失が非常に大きくなるため、ディスクリート構成というよりはMMIC化で集積を図ることで、各々の回路ブロック間の伝送損失を可能な限り抑制する技術が欠かせません。ミリ波帯のアプリケーションでは、その電力を稼ぐために、ビームフォーミングというアンテナアレイ技術もMMICと組合せて用いられており、Beyond5Gや6G通信向けに研究開発が活性化している状況です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1985/2/3/2_3_10/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1993/13/3/13_3_22/_pdf/-char/ja
https://sei.co.jp/technology/tr/bn173/pdf/sei10546.pdf
http://www.ieice-hbkb.org/files/10/10gun_07hen_01.pdf

薬注ポンプ

薬注ポンプとは

薬注ポンプ

薬注ポンプとは、薬液の定量注入に用いられるポンプです。

医療分野や研究分野などで、微量の薬品を正確に投与するために使用されます。高精度かつ正確な薬品投与が必要な場合に最適です。

病院や医療機関での使用が多く、種類豊富に展開されています。研究分野や工業分野でも、微量の液体を正確に注入する必要がある場合に使用されます。

薬注ポンプの使用用途

薬注ポンプは、医療や研究分野で広く使用されるポンプです。以下は薬注ポンプの使用用途一例です。

1. 医療用途

点滴や静脈内投与の際に使用されます。高精度で正確な薬品投与が必要な場合に最適であり、急性期医療から慢性期医療まで幅広い場面で使用される機器です。

また、自宅療養でも薬注ポンプが使用される場合があります。自宅での治療に必要な薬品を注入する場合や、糖尿病などの自己注射がその一例です。

2. 研究用途

微量な試薬の注入や薬剤の分注に使用されます。生化学的な実験や分子生物学研究などで重要な役割を果たしています。

3. 工業用途

工業においても薬注ポンプは多用されます。循環水を利用する冷却塔などは雑菌が繁殖してしまうため、薬注ポンプで塩素を用いた殺菌剤を定期注入したりします。製品への塗料の定期注入や樹脂原料の管理などにも使用されます。

食品工業や化粧品工業などでも重宝され、幅広い分野で利用されています。

薬注ポンプの原理

薬注ポンプは注射器のような動作をする機器で、流体を一定量ずつ確実に送り出します。内部のシリンジに薬剤を充填し、ポンプ部分が薬剤を押し出すことによって流体を定量排出します。

薬注ポンプを用いることで、薬剤の投与に必要な流量や時間などを正確に制御することが可能です。薬剤の投与が人力によって行われる場合は誤差が生じる可能性があり、投与される薬剤の量が増減します。

薬剤の定量測定は、ステッピングモーター・サーボモーターやコントローラによる制御で実現します。ダイアフラムなどの機械的な容積と動作回数で、コントロールする場合もあります。

薬注ポンプの種類

薬注ポンプは、主に手動式と電動式の2種類があります。手動式はバルブやプランジャーを操作して薬品を注入し、電動式はモーターを使用して薬品を注入します。産業用途では、電動式が広く普及しています。

また、構造から可変容量式と固定容量式の2種類があります。可変容量式は、薬品の注入量を調節することができます。一方、固定容量式は一定の量の薬品を定期的に投与するために使用されます。

薬注ポンプの選び方

薬注ポンプは、正確さと安全性が求められるため、選定には注意が必要です。まずは、必要な薬剤量に応じて薬注ポンプの容量を選びます。

また、薬剤に応じた適切なポンプ種類も選定する必要があります。薬剤の腐食性や粘度、安全性も考慮することが大切です。

薬剤が漏れた場合、作業者などの健康に重大な影響を及ぼす可能性があります。したがって、過剰投与防止機能や異常発生時の停止機能などのセーフティ機能がある製品を検討します。

さらに、ポンプの使いやすさやメンテナンス性も選定のポイントです。作業員が簡単に操作できるように設計されているポンプや、分解・洗浄が容易なポンプが選ばれることが多いです。

薬注ポンプのその他情報

薬注ポンプの使い方

薬注ポンプは、気温の高い夏などにエアーが噛み込んで送液不可能となることがあるため、ガス抜きしなければならない場合があります。エア抜きプラグがある場合は、開放してエアーを抜きます。

また、内部が汚れたり噛み込んだりした場合は、分解・清掃が必要なケースがあります。分解時は薬品が残留している可能性があるため、ゴム手袋や保護メガネなどの保護具を着用しておくと安心です。

スケールやゴミは注入不良の原因となるため、部品を傷つけない程度にしっかり洗浄することが重要です。

参考文献
https://www.sankyo.jp/news/newspast/newspast_2005/newspast_20050816.html
https://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/42/
http://ph.eichitwo.com/?page_id=712

CGソフト

CGソフトとは

CGソフトとは、コンピュータ上で画像を作製・編集するためのソフトウェアです。

CGはComputer Graphicsの略で、ソフトを使ってCGを制作する人のことをCGクリエイターと呼びます。

CGソフトの使用用途

CGソフトは産業・商業用だけでなく、個人の趣味としても使用されます。CGソフトの具体的な使用用途は以下の通りです。

  • テレビアニメーション作製
  • 漫画・絵画作製
  • ゲームソフト作製
  • ウェブサイト用素材の作製
  • デザイン用CGの作製
  • デジタルカメラで撮影した写真の編集
  • 建築図面の製図

CGソフトの種類

CGソフトは主に2DCGソフトと3DCGソフトに大別されます。ソフトウェアの価格帯はそれぞれ異なりますが、近年では無料ソフトウェアも増加傾向です。

1. 2DCGソフト

平面で描くCGを作製するソフトです。主なソフトとしては、PhotoshopやIllustratorなどが挙げられます。

2. 3DCGソフト

立体の3DCGを作製するためのソフトです。主にゲームやアニメーション用の3Dモデルの作製などで用います。主なソフトとしては、MAYAや3ds maxなどが挙げられます。CADも3DCGソフトの一種です。

CGソフトの原理

2DCGソフトは、ラスター形式とベクター形式、3DCGソフトは、ポリゴンモデリングとスカルプトモデリングに大分されます。

1. 2DCGソフト

ラスター形式
1ピクセルの点を格子状に並べる形でCGを作製する形式です。濃度や色の異なる点を多数並べて複雑な画像を表現します。ただし、点の数が増えるほどデータサイズが増加します。

主なソフトはAdobe Photoshopです。jpg、pngなどの拡張子が使用します。複雑な画像表示に有意な反面、拡大縮小を行うと品質が落ちやすいという欠点もあります。

ベクター形式
点と点の関係などを数値データとして記憶し再現する形式がベクター形式です。形状を数値で管理するのでデータサイズも小さく、変形がしやすいという利点があります。ロゴや地図などに適しています。

主なソフトはAdobe Illustratorです。PDFなどの拡張子が使用されます。拡大縮小に有意な反面、複雑な描写表現が難しいという欠点があります。

2. 3DCGソフト

ポリゴンモデリング
3つ以上の頂点を接続して囲んだ領域をポリゴンとして定義し、多数組み合わせて3次元形状を再現する方式です。ほとんどの3DCGがこのモデリング方式によって作られます。ただし、複雑な表現が必要な場合は多量のポリゴンを定義する必要があるため、スカルプトモデリングを使用することもあります。

スカルプトモデリング
彫刻を施すような感覚で直感的に3DCGモデルの形状を製作する方式です。各ポリゴンが破綻なく繋がっていることが必要となり、これを無視するとエラーや異質な陰影が生じます。

ただし、ポリゴンの流れを無視してモデリング可能なため複雑なモデリングの際に便利です。一方で、作製されたデータサイズが大きいという欠点があります。

CGソフトのその他情報

1. CGソフトの機能

CGソフトは効率化のためにさまざまな機能を備えています。以下は機能の一例です。

  • モデリング機能
    最も基本的な機能です。CGの形状を造形するCG作成の第一段階で、CGの立体形状や内部構造を表現します。
  • リトポロジー機能
    ポリゴンメッシュを再構成する機能で、ポリゴンメッシュを滑らかにすることが可能です。
  • アニメーション機能
    作成したCGを動作させる機能です。CGの骨格に相当するリグを動かし、より本物らしい動きを表現することができます。

その他、エフェクトをかける機能や座標的にポリゴンを操作す機能など、CGを効率的に作製する機能が用意されています。 

2. CGソフトの統合型と特化型

CGソフトは、統合型と特化型に分類することができます。

統合型
CGアニメーション作成に必要な機能がすべて備わった製品です。具体的には、CGのモデリングやレンダリングなどすべての工程を一つのソフトで行うことが可能です。統合型の製品は全機能を有し便利ですが、その分扱いが難しく慣れるまでに時間がかかります。

特化型
モデリングやスカルプトなど、特定工程のみの機能を備えた製品のことを指します。はじめてCGアニメーションを作製する場合は、特化型のソフトが適しています。統合型では実現できない複雑なことを実施する際には特化型が有利です。 

参考文献
https://school.dhw.co.jp/word/cg/2dcg.html
https://school.dhw.co.jp/word/cg/cg.html
https://www.asobou.co.jp/blog/web/vector-raster
https://knowledge.autodesk.com/
https://school.dhw.co.jp/word/cg/sculpting.html
https://entry.cgworld.jp/terms/%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0.html
https://c3dpoly.com/3dcg-software