フォトMOSリレー

フォトMOSリレーとは

フォトMOSリレーとは、内部にLEDと受光素子とMOSFEを備えており、これらを組み合わせた素子で従前のリレー部品と同様の動作をするものです。

従前のメカニカルリレーが内蔵するコイルに電流を流し、その磁力によって電気的な接点を動作させてON/OFFの制御をしていました。それに対してフォトMOSリレーは、内蔵するLEDに電流を流して発光させ、その光を使って受光素子を起電させます。その起電電圧でMOSFETを動作させて、従前のリレーと同様の制御ができるようにした電子部品です。

フォトMOSリレーの類似品として、フォトカプラ、フォトトランジスタ、フォトトライアック、SSR (Solid State Relay) などが挙げられます。これらはまとめて無接点リレーや半導体リレーなどと呼称され、使用用途などにより使い分けられています。

フォトMOSリレーの使用用途

フォトMOSリレーは、フォトカプラやフォトトランジスタ等の用途よりも、大きな電流を必要とする回路あるいはフォトトライアックやSSRが交流のON/OFFを得意としているため、その用途として使用される場合が多いです。

フォトMOSリレーは、一次側から二次側への信号伝達に光を使っており、一次側と二次側は電気的には完全に絶縁されているため、マイコン回路などの小信号で商用電源や高い電圧の電源で駆動します。そのため、数A程度の比較的大きな電力の負荷をON/OFFする回路やモータードライバーなどのブリッヂ回路などに使用されています。

フォトMOSリレーの原理

入力端子に信号電流を流すとLEDが発光し、受光素子が受光して起電電圧が発生します。この電圧によって、MOSFETのゲート電圧が上昇して2つのMOSFETのソース・ドレイン間がON状態になります。

そして、出力端子間の電圧の向の電圧が高い側のMOSFETのソース・ドレインを通過し、次段のMOSFETの寄生ダイオードを通過するルートで電流を流せるようになります。そのため、結果的に出力端子間の電気的な極性に関係なく、出力端子間に電流を流すことが可能です。

フォトMOSリレーの構造

フォトMOSリレーは、LED・フォトダイオードなどの受光素子・MOSFETの3つの要素から構成されています。

MOSFET互い違いの方向で2回路を配置し、それぞれ寄生ダイオードが接続しているような構造をしているのが特徴です。

フォトMOSリレーのその他情報

1. フルブリッヂ回路への応用

例えば、モータードライバーを作ろうとした場合、フルブリッヂ回路などにより回路を構成するのが一般的です。しかし、この回路の最大の懸念は、負荷の両端に電源電圧がそのまま印可されている状態になった時に、上下あるFETのうちの上段のFETのソース電圧が電源電圧と等しくなってしまうことです。この状態から上段のFETをON動作させるためには、電源電圧よりも高い電圧を別に用意して、その電圧を使って上段のFETのゲート電圧を制御する必要があります。

しかし、フォトMOSリレーは内蔵するLEDさえ点灯できれば動作するので、それこそCPUから出力される数V程度の信号でも直接駆動することも可能です。また、モーター駆動用の電源と制御用の電源を完全に絶縁することもできます。

2. MOSFETの種類

MOSFETには、常時OFFになっているタイプと常時ONになっているタイプの2種類があります。前者はメイクコンタクト型のリレー、後者はブレークコンタクト型のリレーとして使うことが可能です。

また、フォトMOSリレーは、2つのMOSFETのソース同士を向かい合わせて接続することで交流電流のスイッチとしても利用できます。光MOSFETの導通特性は、入力電流量に依存しないため、微小な入力電流でも電流のON/OFF制御をできるのが特徴です。

参考文献
https://www.renesas.com/jp/ja/products/optoelectronics/technology/difference.html
https://www.renesas.com/us/en/products/optoelectronics/technology/architecture.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です