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真空炉についての概要、用途、原理などをご説明します。また、真空炉のメーカー25社一覧や企業ランキングも掲載しております。真空炉関連企業の2025年2月注目ランキングは1位:中日本炉工業株式会社、2位:株式会社IHI機械システム、3位:テルモセラ・ジャパン株式会社となっています。
早稲田大学大学院でMBE法による窒化物半導体成長に関する研究に従事。2016年に大学院を修了後、非鉄金属系メーカーへ入社。金属製錬工場における設備保全・エンジニアリングの業務に従事。2022年に化学系メーカーへ転職。同様の業務に従事。
真空炉とは、真空熱処理加工ができる炉です。
炉の中を真空にした状態で対象物を加熱するため、対象物の表面を酸化させずに加工することができます。脱炭を防止し、熱処理した後にステンレスなどの光沢を維持することも可能です。
また、表面の清浄性が高いため、異種の金属の接合もきれいに加工できます。加熱から冷却をゆるやかに行うため、歪みを減らせるのが大きな特徴です。
二酸化炭素の排出量が少なく済み、寸法や硬度のバラつきも減らせる処理方法です。真空炉に窒素ガスなどを流しながら熱処理を行う場合もあります。
真空炉は主に金属や半導体の加工に使用されます。以下は真空炉の使用用途一例です。
また、以下は真空炉で製作する製品の一例です。
特殊な機能が要求される金属が真空炉で作製されます。真空炉で処理した金属は光輝性が高い特徴があり、表面の酸化や不純物を減らすことが可能です。
利点が多い真空炉ですが、メンテナンス費用や初期導入コストが高いという欠点もあります。
真空炉は油回転ポンプやターボ分子ポンプなどを組み合わせて、炉内の空気を排気して高真空状態を維持します。高真空で酸素がない状態で加熱すると、酸化を防ぐことが可能です。
炉の容器材質は、ステンレスを使用する場合が一般的です。1,000℃~2,300℃までの加熱が可能で、タングステン、モリブデン、炭化ケイ素といったメタルヒーターで加熱しています。
小型の炉には、アルミナや石英ガラスによる管状炉の中に対象物を入れて加熱する製品も販売されています。ヒーター材にはカンタル線などが使用され、700℃~1,600℃程度まで加熱することが可能です。
冷却方式は自然冷却、ガス冷却、油冷却などがあります。高温の場合には容器を二重構造にして水冷する方式も取られています。また、高温の温度測定には外部から放射温度計で測定されます。
標準的な真空炉では加熱と冷却を同じ室で行いますが、近年作業効率を高めるために別の室に分ける製品も登場しています。
真空炉は、搬送・加熱・冷却の3工程により被熱処理品を熱処理加工します。熱処理部品の種類や目的によって大きく「一室型」と「多室型」の2つの構造に大別されます。
一室型は、作業員が被処理品を炉内に搬送・設置し、一室で加熱と冷却を行う真空炉です。加熱と冷却工程を同室で行うため、急激な温度差に耐える必要があります。ヒータや構造部材には耐熱性ステンレス鋼やカーボン部材が使用されます。
構造がシンプルなため、小型から大型までラインナップが豊富な点も特徴です。冷却は炉内と被熱処理品の汚染を防止するため、自然冷却か窒素などによる不活性ガス冷却が採用されます。冷却ガスの吹出し口構造や攪拌ファンによって、均一で汚染の少ない冷却が可能です。
したがって、表面の汚染や変形に敏感な製品の処理に適しています。一方で、前の処理が完了するまで次の被熱処理品を投入できないため、生産性が低いのがデメリットです。
多室型は、搬送・加熱・冷却工程を2室以上で行う構造の真空炉です。搬送室に投入すれば基本は設定通り全自動で加熱・冷却を完了します。ゾーン毎に温度制御できたり、小バッチの加熱室を複数設けて処理時間をずらしたりすることが可能です。
上記工夫によって、生産性を向上することができる点が特徴です。冷却を別室にすることで、油などの冷却能力の高い液体冷媒が選択可能です。冷却室が加熱されないため、高い冷却能を維持することができます。
焼入れ性が低く、冷却速度に敏感な金属材料などでもしっかり性能を出すことができます。一方で、冷媒による処理材の汚染があることから熱処理後に洗浄が必要です。冷却速度が速いために歪や割れが発生する危険もあります。
真空炉には、カーボングラファイトやC/Cコンポジットなどのカーボン部材が使用されます。使用箇所は発熱体や構造材、熱処理治具です。
カーボン部材は耐熱性が高く、最高3,000℃までの耐熱性があります。軽量で熱膨張係数が小さく、熱疲労による変形が小さく低熱容量な点が特徴です。
軽量なため、被熱処理品の積載量アップと段取り負荷の低減が可能です。変形しにくいためランニングコストの低減にもつながります。低熱容量で省エネ効果も高いことから、多くの生産性向上効果のメリットがあります。
ただし、加熱時にカーボンが揮発するため、炉内や被熱処理部品の汚染が発生する点がデメリットです。冷却方式もガス冷却だけに限定されます。
参考文献
https://www.chushin-koshuha.co.jp/technology/technology04/
https://chugai.co.jp/pro_01_parts_01/
https://www.satovac.co.jp/products/vacuum_equipment/furnace/index.html
https://www.toyotanso.co.jp/Products/application/heat-treatment.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 中日本炉工業株式会社 |
12.3%
|
2 | 株式会社IHI機械システム |
7.1%
|
3 | テルモセラ・ジャパン株式会社 |
6.5%
|
4 | プランゼージャパン株式会社 |
5.2%
|
5 | 株式会社タナベ |
5.2%
|
6 | 中外炉工業株式会社 |
5.2%
|
7 | 有限会社イーガーコーポレーション |
3.9%
|
8 | 株式会社大東工業 |
3.9%
|
9 | 大亜真空株式会社 |
3.9%
|
10 | DOWAメタルテック株式会社 |
3.2%
|
項目別
最高温度 ℃
600 - 1,000 1,000 - 1,200 1,200 - 1,400常用温度 ℃
500 - 600 600 - 800 800 - 1,000 1,000 - 1,200 1,200 - 1,400到達真空度 Pa
0 - 0.1 0.1 - 103 点の製品がみつかりました
3 点の製品
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