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ハンディ3Dスキャナについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ハンディ3Dスキャナのメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
監修:日本3Dプリンター株式会社
ハンディ3Dスキャナとは、3次元物体の形状や表面情報をデジタルデータに変換するための携帯型装置です。
ハンディ3Dスキャナは小型で可搬性に優れ、数cm (センチメートル) 程度のものから数m (メートル) 単位のものまで場所を問わず非接触でスキャンでき、据え置き型の3Dスキャナに比べて汎用性が高いことが特徴です。
高い自由度と使い易さから、工業製品、医療、芸術、エンターテインメントなど多岐にわたる分野で利用され、業務の効率化を始めデータの保存・継承などにも活用されています。
ハンディ3Dスキャナを選ぶ際には、スキャンの精度、速度、スキャン範囲など様々な項目を考慮し、使用用途に適した最適なモデルを選ぶことが重要です。
ハンディ3Dスキャナは様々な場面で使用されています。以下はその使用用途の一例です。
リバースエンジニアリング:製品や部品の形状をスキャンし、スキャンした箇所に適合する部品の設計や、ジグ製作・カスタマイズなどに役立てられています。また、設計図がない製品及び古い部品の修復・改良や、他社製品との性能比較などにも役立てられています。
品質管理:製造後の部品をスキャンして、設計通りに製造されているかどうかの確認に使用されています。定期的な外観・品質検査においても、寸法や形状を定量的に測定でき効率化が図れています。測定時間の削減や、人による測定結果のばらつきをなくすなど、様々なメリットがあります。
義肢や補装具の製作:患者の体の一部をスキャンすることで、高精度で患者にフィットする義肢や補装具を製作できます。
病気の早期発見・手術:脊柱側弯症などの脊椎・脊髄の病気の早期発見に繋げることも可能です。また、整形手術において手術前の皮膚表面や体の形状をスキャンして、手術の計画や治療の記録に役立てられています。
文化財や歴史的遺産・彫刻・美術品などの対象物をスキャンし、デジタルデータとして保存できます。
デジタルデータとして保存・活用する技術は「デジタルアーカイブ」と呼ばれており、構造解析・修復作業に使用され、文化財や歴史的遺産などの研究・保護に役立ちます。
デジタルアーカイブは、芸術作品や彫刻のレプリカの作製、博物館で保存している資料などにも利用され、現物の保全、情報公開・閲覧などを可能にします。
キャラクターや衣装、アイテムなど現実世界のものをスキャンして、AR・VRやメタバース空間、3Dゲームなどに取り込む用途でも活用されています。。
ハンディ3Dスキャナの基本原理は、レーザーやLEDなどのパターン光を照射し、角度のついたカメラで撮影した2枚の画像を元にした三角測量で点群を取得するという三角測量方式です。書き出し形式には、計測によく用いられる点群や、点群データをstlやobjなどのポリゴンに変換したものが挙げられます。
以下に、スキャンの要となる光源について記載します。スキャンには、主にレーザー光方式とパターン光投影式があります。
レーザー光を対象物に照射し形状を測定する方式で、複数の方式があります。
ハンディスキャナで代表的な方式は、交差させたラインレーザーを対象物に照射し、投影された像を2つのカメラセンサーで受光し三角測量の原理で三次元の座標点を取得するものです。大きなスキャン対象を素早くスキャンする際に適しています。
また、奥まった部分や深い穴をスキャンすることに適したレーザー切断方式もあります。1本のレーザーを使用し、切断面を連続させてスキャンするアーム式3Dスキャナで一般的な方式です。
レーザーを使用することで黒色や反射する対象物がスキャン可能で、比較的精度の高いハンディ3Dスキャナに搭載される方式です。
縞模様や、QRコードのようなパターンを物体に投影し、投影された像を2つのカメラセンサーで受光し、三角測量の原理で三次元の座標を取得します。
細かいディティールの再現やスキャン速度が特徴で、ハンディスキャナーでは小型〜中型の対象物のスキャンに適しています。LEDを使用している為、比較的安全性が高くカラー情報が得られることが利点ですが、対象物が黒色や透明、反射する素材の場合はスキャンする際に白い粉末を塗布するなどの対応が必要です。
LED方式と同様に、縞模様やQRコードのようなパターンを不可視の赤外線で投影し、赤外線を受光可能な2つのカメラセンサーで画像を撮影し、三次元の座標点を取得します。
LED光源に比べて広い視野範囲や黒色が取得できるという利点がありますが、データの精度が比較的劣る点や、細かいディティールの取得が難しいというデメリットがあります。
ハンディ3Dスキャナを選ぶ際には、使用する用途に適したものを選択することが重要です。下記に考慮すべき主な観点を記載します。
スキャンする対象物の要求精度及び解像度に応じて選ぶことが大切です。その際、対象物の素材のスキャン対応性やスキャンの基準位置合わせ方法などにより、精度や価格が変わってきます。
スキャンの精度は正確性を意味し、実物に対して正確な寸法でデータを取得できているかという意味を指します。一方で解像度は取得する座標点の密度をあらわし、この数値が小さいほど細かいディティールを取得することが可能です。
精度はスキャナーによって固定された数値になりますが、解像度はソフトウェア上で変更可能である点も留意することが必要です。
リバースエンジニアリングや品質管理などの工業的な分野では、高精度が求められます。
CGを用いた彫刻やデジタルアーカイブでは解像度を求められます。
スピードが求められる作業や、大きい対象物や大量にスキャンする場合には、高速なスキャナが望ましいです。スペック上では取得できる最大点数が記載されていますが、実際に使用する上では1秒間に何回座標点を取得するのかを示すFPSにも注意が必要です。この数値が低いものはゆっくりと動かす必要があり、高いほど動きへの追従性が優れたスキャナーとなります。
スキャンする対象物の大きさを考慮してスキャン範囲を確認しましょう。建築物や大規模な設備には、広範囲のスキャンが可能なモデルが必要です。小さいスキャン範囲のモデルの場合、スキャンに時間がかかるだけでなく、位置合わせに使用するマーカーを大量に貼り付ける必要がでてきます。
ゲーム開発やCG制作、美術品や文化財のデジタルアーカイブなどには、色情報が重要となります。色情報が必要かどうかも検討しましょう。
機種によってはカメラの解像度が高いものや、スキャンしたカラーデータをレンズ交換式カメラで撮影したデータに差し替えること (リマッピング) ができるものもあります。
作業環境によっては軽量で持ち運びがしやすいかどうか、また操作性を確認することが大切です。機器のセットアップやキャリブレーションも工数となりますので、実際の運用を想定して最も頻度の高い使用方法でデモンストレーションを実施することをお勧めします。
スキャンデータを処理するためのソフトウェアも重要です。使いやすさや機能性、サポート体制、他のCADや3Dモデリングソフトとの互換性などを確認することが必要です。
コストは、初期の購入費用だけでなく、メンテナンスやサポート費用などのランニングコストを含めて検討が必要です。高精度なハンディ3Dスキャナは高価ですが、簡易的なリバースエンジニアリングや、モデリングの目安とするためのデータの取得など、用途によっては低価格のコンシューマーモデルでも十分な場合があります。使用用途と頻度に合わせた費用対効果を算出することで、より効率的な運用が可能です。
オペレーションを行う人や、スキャンデータを使用したデータの測定・リバースエンジニアリングを実施する工数もこの費用に含まれます。この工数を削減するためには、スキャンデータの精度や品質も必要となるため、バランスのとれた選定が重要です。
本記事はハンディ3Dスキャナを販売する日本3Dプリンター株式会社様に監修を頂きました。
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