バイアルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、バイアルのメーカー23社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。バイアル関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:ジーエルサイエンス株式会社、2位:三田理化工業株式会社、3位:株式会社トムシックとなっています。
バイアルとは、注射剤や高速液体クロマトグラフィーにおける分析試料などを入れる容器として使用されており、日本薬局法では密封容器に分類されます。開口部はゴム栓により蓋をされますが、ネジ口のバイアルも存在しています。
製造方法としては、金型を用いずにホウ珪酸ガラスを火で加工します。ソーダ石灰ガラスよりも低温で製造可能なため、アルカリ成分の溶出が比較的少なくなります。近年では、薬剤安定のためにバイアルからの溶出物が減る低アルカリ処理バイアルや、薬剤の吸着量を減らすことができる低吸着バイアルのニーズが増えました。
主な用途として、注射剤を入れるのに使用されています。 使用方法としては、無菌状態で薬剤を充填した後に開口部へゴム栓を打栓し、アルミニウムキャップ等でゴム栓と開口部を巻締めます。なお、ゴム栓は複数回の刺針が可能なため、薬液を複数回採取できますが、汚染した注射針で薬液を採取する等の操作が原因での感染事故も起こりうるため、無菌状態での操作を行う必要があります。
また高速液体クロマトグラフィーにおいても、オートサンプラへ分析試料を入れるのにバイアルが使用されますが、イオンクロマトグラフィーの場合だとガラスバイアル中の成分が溶出するおそれがあるため、合成樹脂製バイアルを用います。その他、塩基性物質がバイアル内壁に付着することもあるので、その場合も同様に合成樹脂製バイアルを用います。
バイアルは、ホウ珪酸ガラスを原料としています。ホウ珪酸ガラスは、二酸化ケイ素と無水ホウ酸から成り、網目状構造を持っています。特徴としては、熱膨張率が小さく、比較的硬く、耐水性が高い点が挙げられ、ソーダガラスや鉛ガラスに比べて、耐熱性・耐冷性があり、化学薬品に対する耐腐蝕性にも優れています。 また、酸素等のガスが透過せずに酸化を防ぐことができるという特徴を持っています。
また、バイアルのガラス内表面の性質を改質させる表面処理を行なっており、具体的には脱アルカリ処理やコーティング等が挙げられます。 脱アルカリ処理とは、ガラス転移点付近の温度まで上昇させた状態で、ガラス表面と硫黄化合物を反応させることによって、表面層のアルカリ成分を中和させたり選択的に抽出除去する操作です。この操作によって、シリカ成分を多く含む表面が露出し、アルカリ成分の溶出を減少させることが出来ます。 コーティングには,シリカやシリコーン樹脂、フッ素樹脂などを用いて行う方法があります。
シリカ加工とは、ガラス内表面にシリカを高温で溶融させて、内表面へシリカの薄膜を形成させる方法です。 シリコーン加工とは、一般的にはジメチルポリシロキサン溶液へ浸漬・焼付け処理を行い、ガラス表面へシリコーン樹脂の薄膜を形成させる方法のことです。 フッ素樹脂加工とは、カップリング剤によりフッ素樹脂を塗布・焼付け処理を行って、ガラス内表面へフッ素樹脂の薄膜を形成させる方法のことです。 これらの処理を行うことにより、薬液をガラス内表面へ直接接触させることを避けられるため、ガラス成分が溶出し難くなる等の効果が得られます。
バイアルは、開口部がゴム栓により蓋をされているのに対して、アンプルは薬液を充填した後、容器の先端を熱で溶閉して保管します。薬液を使用する際には、容器の頭部をカットして、開口部から注射針を差し込んで薬液を吸い出します。アンプルのカットの際は、容器の種類に応じて対応が異なります。カット位置にポイントマークやラインの入った容器では、そのまま手でアンプル頭部を折って開封しますが、マークやラインがないアンプルの場合には、アンプルカッターややすりでアンプル頸部に傷をつけたあとにアンプル頭部を折ります。比較的量の少ない注射剤では、アンプルを使用する場合が多いです。アンプルはバイアルと同様に、ホウ珪酸ガラスを原料とすることから、薬液の成分の吸着はほとんどなく、ガラス成分が溶け出すことはほとんどありません。また酸素等のガス透過性もありません。アンプルを用いるメリットとしては、バイアルと比較してより安価に密閉性の高い容器にできことが挙げられます。
ゴム栓付きバイアルを使用する際に注意しなければならいないことに、コアリングがあります。コアリングとはバイアルのゴム栓に注射針を刺す際に、針によってゴム栓が削り取れ、この削り取られたゴム片=コアが薬液内に混入してしまう現象をいいます。コアリングは、ゴム栓の形状や材質、注射針の径や形状、穿刺方法などが関与して発生するものと考えられています。例えば、プラスチック製の鈍針と18Gの金属針では、プラスチック製の鈍針の方がコアリングの発生率が高いことが報告されています。また、針を刺す際のスピードが速いほど、コアリングの発生率が高くなるという報告もあります。
コアリングを防止するためには、以下のような方法が有効とされています。
・注射針を刺す時は、ゴム栓の指定位置(刻印部)に穿刺する。刻印部がない場合には、ゴム栓の中央部分とする。
・針はなるべく細いもので、刃面の長さが短いものを選択する。
・注射針を刺す際には、ゆっくりと垂直に刺す。
・注射針を刺している途中で針を回転させない。
・注射針を複数回刺す場合には同じ場所を避ける。
ゴム栓付きバイアルを取り扱う際は、これらの方法を熟知したうえで、コアリングの発生に細心の注意を払う必要があります。
参考文献
http://www.iwataglass.com/products/vial/
https://www.toseiyoki.co.jp/material/glass/324
https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html?mode=0&classId=17&blockId=39353&dbMode=article&searchTitle=&searchClassId=-1&searchAbstract=&searchSelectKeyword=&searchKeyword=&searchMainText=
https://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/support/lib/lctalk/100/100intro.htm
https://www.pmda.go.jp/files/000213851.pdf
https://answers.ten-navi.com/dictionary/cat04/3362/
https://answers.ten-navi.com/dictionary/cat04/3356/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdsa/46/1/46_52/_pdf/-char/ja
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アジレント・テクノロジー株式会社 株式会社島津ジーエルシー*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | ジーエルサイエンス株式会社 |
10.0%
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2 | 三田理化工業株式会社 |
7.5%
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3 | 株式会社トムシック |
7.5%
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4 | 塩谷硝子株式会社 |
7.5%
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5 | 大和特殊硝子株式会社 |
7.5%
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6 | ニプロ株式会社 |
5.0%
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7 | 大阪ケミカル株式会社 |
5.0%
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8 | 大成化工株式会社 |
5.0%
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9 | 内外工業硝子株式会社 |
5.0%
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10 | 株式会社島津ジーエルシー |
5.0%
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注目ランキングは、2023年5月のバイアルページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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