AD変換ボードについての概要、用途、原理などをご説明します。また、AD変換ボードのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。AD変換ボード関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:有限会社ヒューマンデータ、2位:株式会社ロッキー、3位:コスモリサーチ株式会社となっています。
AD変換ボードとは、様々なアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を持ったボード (基板) のことです。
自然界のあらゆる現象はアナログ信号で取得されるため、数値計算やデジタル信号処理、制御などをする際は、AD変換ボードを使ってデジタル信号に変換する必要があります。AD変換ボードには組込用途に応じて、様々なインターフェースを持つ製品がリリースされています。
パソコン内蔵用のPCI-Expressや他の基板のドータカードとして接続するFMC、USBなどのインターフェースを持つ製品がリリースされています。
AD変換ボードは、主に各種センサで取得されるアナログ信号をマイコンなどで処理するためにデジタル信号に変換する際に使用されます。
AD変換ボードは、温度、圧力、光、音などの物理量をデジタル信号に変換するために使用されます。これにより、センサからの信号を取得し、測定や監視を行うことが可能です。例えば、工場での製品品質管理や、環境モニタリングなどが挙げられます。
AD変換ボードは、アナログ信号をデジタル信号に変換することにより、データを取得し、処理するために使用されます。例えば、医療機器での心電図信号の取得や、音声処理などが挙げられます。
AD変換ボードは、デジタル信号処理を行うために使用されます。例えば、音声のフィルタリングや、波形解析などが挙げられます。
A/D変換は、以下のような標本化、量子化、符号化のステップでアナログ信号をデジタル信号に変換します。
連続な信号であるアナログ信号の振幅値を離散的な周期で切り出します。この時の周期を「サンプリング周期」と言い、記号としては主にTsで表します。計算式は下記の通りです。
サンプリング周期: Ts = 1/Fs (Fs: サンプリング周波数)
標本化によって離散的な周期 (サンプリング周期) で切り出された振幅値を、デジタル信号に変換できるように離散的な振幅値に近似します。この時、量子化によって生まれる誤差を「量子化誤差」と呼び、以下の式で表されます。
量子化誤差= (標本化した値) - (量子化した値)
入力された電圧を基準となる電圧と比較することで量子化を行います。比較するやり方によって、高精度な変換や高速なサンプリングが可能な方式があります。
量子化によって近似した離散的な振幅値を0と1の2値で表す符号に変換します。
AD変換ボードの種類はAD変換方式により区分されます。主要な方式は、以下の3種類です。
逐次比較型のAD変換方式は、アナログ信号を電圧の比較によってデジタル信号に変換する方式です。アナログ信号を比較対象の電圧と比較して、次々にビットを決定していきます。
最大分解能は18ビット、最大サンプルレートは10MHz程度です。アンチエイリアシングフィルタが外付けで必要となります。
デルタシグマ型のAD変換方式は、アナログ信号をデジタル信号に変換するために、デルタシグマ変調技術を利用する方式です。最大分解能は32ビット程度で最も高分解能が得られる方式ですが、最大サンプリングレートは1MHz程度で低速です。
パイプライン型のAD変換方式は、アナログ信号をパイプライン構造の複数のステージに分割し、並列に処理することで高速な変換を実現する方式です。各ステージでアナログ信号をデジタル信号に変換し、次のステージに渡します。
最大サンプルレートは1GHzで、最大分解能は16ビット程度です。回路が複雑になるので、コストが高くなります。
必要とされる分解能を持つAD変換ボードを選択します。例えば、フィードバック制御に使用する場合は、精度要求から決定します。
対象となる信号の周波数範囲によりサンプリング周期を決めます。理論上は周波数範囲の2倍のサンプリング周期が必要となりますが、実際には10倍必要と言われています。
AD変換ボードは、1チャンネルのものから数百チャンネルのものまで、さまざまな種類があります。測定する信号の数に応じて、必要な入力チャンネル数を選択する必要があります。
AD変換ボードは、USB、FMC、PCI Expressなどのインターフェースを持っていることが多いです。使用するインターフェースに合わせて、適切なインターフェースを選択する必要があります。
AD変換ボードには、測定用ソフトウェアが付属していることがあります。このソフトウェアは、データの収集、処理、表示、保存などの機能を提供するものです。使用する目的に合わせて、必要な機能を持ったソフトウェアがあるかどうかを確認する必要があります。
必要な精度、サンプリングレート、入力チャンネル数などに応じて、適切な価格帯のものを選択する必要があります。
参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/ad-converters/ad_what1
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/ad-converters/ad_what2
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト6
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 有限会社ヒューマンデータ |
28.0%
|
2 | 株式会社ロッキー |
16.1%
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3 | コスモリサーチ株式会社 |
16.1%
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4 | 株式会社エルモス |
15.1%
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5 | 株式会社エンベデッドテクノロジー |
14.0%
|
6 | 有限会社浅草ギ研 |
10.8%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年5月のAD変換ボードページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
MPC104-ISOADC16-P-V1は、分解能16 bit、最大サンプリング速度80KSpsのAD変換ボードで、8チャンネル分のAD入力信号ポートと、
アイソレート入出力ポートを備えています。
差動入力/シングルエンド、バイポーラ/ユニポーラ、変換するチャンネルの指定、読み取り移動平均の回数設定など各種AD変換設定をPCIバス側から設定できる点が特徴です。
入力アナログ信号の入力種類が多い製品用途に適した製品です。
FAD-16HSは、分解能16bit、最大サンプリング速度2MSpsのAD変換ボードで、最大2,097,152点のデータ保有可能な大容量メモリを備えていることが特徴です。
入力電圧レンジは -10Vから+10Vまでの幅広い電圧レンジに対応しています。
USBインターフェースを備えており、PCへのデータ取り込みが実施でき、取り込みデータのビューワーソフトも付属しているので簡単にデータ計測が実施できます。
高速かつ高ダイナミックレンジ信号を入力とする用途に適した製品です。
UTL-016は、分解能16bit、最大サンプリング速度105MSpsの高速AD変換ボードです。
アナログ信号の入力チャンネルを2系統備えており、ジャンパピンによりDC/AC/切り替えが簡単に行えます。
アナログ信号から変換したデータは8B/10Bフォーマットにエンコードされたデータが出力される点が特徴です。
出力側にFPGAの高速トランシーバを接続し、FPGAボードの高速シリアルI/Fの評価用途、FFTアナライザ機能の実現などの用途に適用できます。
ADCR-4096は、分解能10bit、最大サンプリング速度4GSpsの高速AD変換ボードです。
高速信号処理用のFPGAもボード上に搭載しており、各種用途に応じた信号処理機能を実装することが可能であるため、
例えば、取り込んだアナログ信号を変換し、FPGAでFFT解析を実施し、解析データをPCへ転送するような使い方ができます。
出力インターフェースにはUSB3.0 SupreSpeedを採用しており最大5Gbpsでの高速転送が可能です。
電波、超音波など広帯域の信号の取り込みと解析に適した製品です。