下げ振り

下げ振りとは

下げ振り

下げ振りとは、建物の柱や壁などの垂直を測定するための道具です。

下げ振りと呼ばれる紡錘形のおもりを糸の先端に有しており、下げ振り保持器から垂らして垂直を見ます。

液体の入ったガラス容器中の気泡を見る水準器でも垂直を測ることができますが、重力を利用した原始的な下げ振りの方が比較的正確に垂直を見ることができます。

糸とおもりの代わりにレーザーを使用した下げ振りもあります。レーザータイプは風の影響を受けず、糸の巻取りも不要というメリットがありますが、取り付け面が傾いているとレーザーも傾いてしまうというデメリットもあります。精密な測定のため、補正機能の搭載された製品もあります。

下げ振りの使用用途

下げ振りは柱や壁の垂直を測定するだけでなく、トランシットの設置のように、測定機器が平行・垂直に設置されているかを確認する目的、および地墨上げなどに用いられます。

使用する環境に応じて、多様なタイプの下げ振りがあります。

下げ振りの使用手順と注意点

  • 下げ振り取り付け方法
    取り付ける壁が木材の場合は押しピン(針)で取り付け、金属の場合はマグネットで取り付けます。コンクリートの場合は金属フックを釘等に引っ掛けて取り付けます。
  • への対策
    下げ振りは、その構造から風に弱いです。近年は、素早く揺れを抑える静止機能が搭載されたものがあります。静止機能が付いていても風の影響を受けてしまう環境では、細長い筒で下げ振りを覆った防風タイプの下げ振りが適しています。
  • 糸の回収方法
    下げ振りを回収する際に手動で糸を巻き取るタイプと、ボタンひとつで自動で巻き取るタイプがあります。

下げ振りの原理

壁や柱等に固定した下げ振り保持器から下げ振りを垂らし、糸の上部と下げ振りの先端の2ヵ所の壁や柱からの距離を測ります。垂直の方向(鉛直)は地球の中心に向かっていることを利用しており、壁や柱が垂直であれば、この2ヵ所の距離が等しくなります。具体的には、上部と下部で同じ距離であれば、その測定物は垂直となります。正確な測定のためには、できるだけ長い距離で測ることですが、一方で糸が長くなると、おもりが安定しにくくなります。

測定の際には、下げ振りが揺れていないことを確認します。下げ振りを垂らすと、円を描くように揺れ、次第に揺れが小さくなります。静止機能の付いた下げ振りは、揺れの方向を一方向に制限することにより、早く揺れが収まるように工夫されています。

下げ振り本体の重量は100g-1,000gの範囲のものが多いです。おもりが重いほど揺れの収まりが早くなります。ただし、下げ振り保持器に適合するおもりよりも重い下げ振りを用いると、落下の恐れがあるので必ずおもりの適合性を確認する必要があります。

下げ振り保持器、糸および下げ振りはそれぞれ交換することができます。交換の際は、下げ振り保持器または下げ振りのマニュアルに従い、結び目がほどけないように確実に取り付けるようにします。

落下等による怪我防止のため、使用の際はヘルメット・保護メガネ・安全靴の使用が推奨されています。

下げ振りの構造・機能

下げ振りは基本的に糸に重りがついた原始的なものが多いですが、近年では効率化を目的に一歩進んだ製品も見られるようになりました。

自動巻き取り型

自動巻取りは、糸を保持器内部に収納し、測定後にその糸を自動で巻き取る形のものです。糸が絡まったりせず、素早く効率的な作業が可能です。また、重りの自動静止機能付き製品もあり、通常はおもりが止まらす時間がかかりますが、特殊な構造で素早く止めることができます。特に風のある屋外では大変有用です。

ダイヤル型

ダイヤル型は、長い金属板に目盛り付き測定器が備えられています。測定する方向に金属板を沿わせると、測定器の目盛りが角度を表示します。

振り子がカバーの内側にあることから風の影響を受けずに鉛直の確認や傾きの測定ができます。使い方は本体を対象物に当てるだけで、一般的な下げ振りと比較して針の静止が早く効率的です。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/556/
https://www.shinwasokutei.co.jp/wp/wp-content/uploads/upimg/manual/manual_77502.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です