モーターレンチとは
画像出典元: アマゾン
モーターレンチとは、工業用工具の1種で、おもに衛生器具の配管部を締めるナット類を少量の力で固定するための工具です。
よく似た工具として、モンキーレンチが挙げられます。モンキーレンチとモーターレンチのもっとも大きな違いは、口開き幅です。衛生器具の配管部を締めるナット類はサイズが大きいため、一般的なモンキーレンチでは口開き幅が足りない場合があります。
モンキーレンチは、ハンドルに対してナットを挟み込む部位が垂直のため、口開き幅をあまり大きくできません。しかし、一般的なモーターレンチはナットを挟み込む部位がハンドルと平行になっているため、口開き幅をハンドルに沿って大きくできます。
もう1つ似た工具に、パイプレンチがあります。パイプレンチは、円筒形のパイプを締めるための工具です。滑らないように噛ませる必要があるため、パイプを挟み込む部位がギザギザになっています。そのため、モーターレンチのかわりにパイプレンチを使用すると、ナットを傷つけてしまうので注意が必要です。
モーターレンチの使用用途
モンキーレンチは、対応できるナットのサイズが幅広いため、洗面台やトイレ、浴室などの比較的大きな水道配管のメンテナンスに使用されます。
水道配管は、パッキンを用いて配管の気密性を保つ構造です。そのため、使用する継ぎ手やナットは、呼び寸法が大きいわりに締め付けトルクが小さく、モーターレンチによる締め付けや取り外しに適しています。
また、締め付けや取り外しの際に加わるトルクが小さく、樹脂などの比較的柔らかい材質のナットに対しての使用も適しています。
モーターレンチの原理
モーターレンチのもっとも大きな特徴は、レンチ本体に備えられているウォームギアで、レンチの口開き幅を自由自在に変えられる点です。さまざまなサイズのナットや継手に対応できます。
配管に使用されているナットは、メッキ加工が施されたものや、真鍮 (亜鉛と銅の合金) 、樹脂製のものが多いです。そのため、それらを傷つけないようにモーターレンチ本体は、アルミのような比較的柔らかい金属でできています。
一般的なモーターレンチは、ハンドルと平行する方向に口開き幅を変えられます。口開き幅が大きくなるほど、ハンドルがナットや継手に対して相対的に短くなってしまうため、締め付けや取り外しに大きな力が必要です。
その場合、モンキーレンチのような縦型 (ハンドルと挟み込む部位が垂直) のモーターレンチを使うと、大きなナットに対しても少量の力で締め付けや取り外しが可能です。配管と配管の間の空間が狭い場所でも作業できます。
モーターレンチのその他情報
モーターレンチの使用上の注意点
モーターレンチの使い方は簡単ですが、破損やケガを防止するための注意事項があります。
1. ガタツキがないことを確認する
モーターレンチを使用する際は、ナットを挟んだあとにガタツキがないことを確認してから回します。ガタツキのある状態で力を入れると、モーターレンチがすっぽ抜けて思わぬ事故やケガにつながるおそれがあります。
ガタツキがない状態でも、万が一すっぽ抜けたときのことを考えて、手を挟まない位置関係で力を入れることが重要です。また、ガタツキのある状態でナットへの引っかかりが不十分のまま無理矢理回すと、ナットをなめてダメにしてしまうこともあります。
2. 正しい方向に回す
モーターレンチを回す方向は、上アゴから下アゴ方向と決まっています。ナットを締めるときは正しい方向になりやすいですが、取り外すときも同じ持ち方だと下アゴから上アゴ方向に緩めることになります。下アゴに力がかかりすぎると、破損の原因になるため注意が必要です。
また、固着したナットを取り外す際に、パイプなどでハンドルを延長して大きな力を加えるのも破損の原因となります。ハンドルを長くして大きな力が必要な場合は、縦型のモーターレンチの使用をおすすめします。
参考文献
https://electrictoolboy.com/media/18574/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0294.html