レーザー光源とは
レーザー光源とは、レーザー光を発する光源です。
レーザーは通常光と比較して、高い単一波長性、指向性に加え、優れたエネルギー密度を持ちます。レーザー光源は、プロジェクターの光源に適した半導体レーザーから物体の切断、加工に適したYAGレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザーなど、種類はさまざまです。
レーザーはその動作物質の形状から固体レーザー (YAG) 、半導体レーザー、気体レーザー (CO2レーザー、アルゴンレーザー、エキシマレーザー、HeNeレーザー) に分けられます。HeNeレーザーは、632.8nmの波長の赤色のレーザーで、目的に照射する以外に、可視光波長領域外のレーザーのガイド光にも利用可能です。レーザーは単一波長性が高いのですが、原理上それ以外の波長の光も混在している場合があります。例えば、HeNeレーザーの場合、632.8nm付近の周りに別の波長の弱い光のサテライト構造があります。
レーザー光の純度を高めるため、レーザー波長だけを通す光学フィルタやその波長だけの光を反射するダイクロイックミラーなどの光学素子を利用できます。市販の光学素子の波長設計の多くは上記のレーザーに合わせているものが多いです。
レーザー光源の使用用途
レーザー光源は多様な手段に利用されています。種類によって使用用途は異なります。
1. 半導体レーザー
その長寿で取り回しのよい特性からプロジェクターの投影用光源として利用できます。
2. YAGレーザー
一般的な固体レーザーであるYAGレーザーは、金属やさまざまな物質の切断や穴あけに代表されるレーザー加工に利用されています。YAGレーザーは光という特性のため、透明な物質の加工には不向きです。
3. CO2レーザー
最も長波長なレーザー光を投影できます。YAGレーザーと対照的に透明な物質の加工に適していますが、金属の加工には適していません。
レーザー光源の原理
レーザー光源は、レーザー媒質の分子にエネルギーを与えることで励起される光を光源として使用します。レーザー光源に強力なエネルギーを与えると、レーザー媒質の原子の一定数が励起状態になります。
- ポンピング
励起状態の原子が増加すること。 - 反転分布状態
ポンピングにより励起状態の原子数が他の状態の原子数を超えた状態のこと。 - 光増幅
反転分布状態で励起光と同一波長の光を原子に照射すると、光を受けた原子はその光と同じ方向に同一波長の光を放出し、他の原子を励起させること。
レーザー光源は、光増幅を引き起こすための光源が設置されている側面にミラーを、レーザー光を放出する側に部分反射ミラーを設置した構造になっています。光増幅で励起された光は部分反射ミラーで反射され、レーザー光源の中を何度も光増幅を繰り返しながら反射し続け、最終的に部分反射ミラーの透過部を高エネルギーのレーザー光として通過します。
レーザー光源の特徴
レーザー光源には、指向性、単色性、エネルギー密度のほかに、位相 (光の波形) が揃っているため、物体に当たると干渉を起こしやすい性質があります。この特徴を利用したものがレーザー干渉計など、距離を測定する機器です。一般光はいろいろな光が混じっているため、位相もバラバラになっており、基本的に干渉が起きづらくなっています。
レーザー光源のその他情報
レーザー光源の波長
レーザー光源にはいろいろなものがありますが、それぞれ波長で分類することができます。エキシマレーザーは150~308nm、アルゴンレーザーは488nm、ルビーレーザーは694.3nm、YAGレーザーは1,064nm、CO2レーザーは10,600nmとそれぞれ異なる波長です。波長の違いは、対象物に照射した際の吸収率の違いになります。吸収率が異なると、温度が変わります。
上記のレーザーの基本波に対して、非線形光学結晶を用いることで、波長変換が可能です。例えば、YAGレーザーの基本波長は1,064nmで、非線形光学結晶を通すと第2高調波の532nm、第3高調波の355nm、第4高調波の266nmの波長の光を取り出すこともできます。また、波長可変のパラメトリック発振器を作成することも可能です。
参考文献
https://www.jpu.or.jp/useful/laser/
https://www.trust-ele.com/
https://www.laserfront.jp/learning/basic.html