カウンタバランス弁

カウンタバランス弁とは

カウンタバランス弁とは、一方からの流れに対して流量制限を設けて、もう一方の流れは自由に流す油圧制御弁です。

カウンタバランスバルブは、液圧シリンダーが予期せず急速に下降することを防ぎ、これによって操作者や周囲の人々の安全を確保します。特に大きな負荷を扱う場合や、高さのある作業を行う場合に非常に重要です。要件に合わせて調整や設定が可能であり、異なる用途に適合するようにカスタマイズできます。

そのため、多くの建設機械や工作機械に組み込まれています。油圧を用いた機械は小規模で大きな力を発揮することが可能です。電気回路と組み合わせることでさまざまな場面で応用ができます。

カウンタバランス弁の使用用途

カウンタバランス弁は液圧系統においてさまざまな用途で使用されます。以下はカウンタバランス弁の主要な使用用途の一例です。

1. 建設機械

ショベルやブルドーザーなどの建設機械では、カウンタバランス弁が重要な役割を果たします。これらの機械は、大きな負荷を持ち上げる必要があるため、カウンタバランス弁は安全性と制御性を向上させる制御弁です。

例えば、 建設現場で使用されるクレーンは、非常に重い荷物を持ち上げる必要があります。カウンタバランス弁はクレーンのブームの上昇と下降を制御し、ブームが予期せず下がることを防いでクレーンの安定性を向上させることが可能です。これにより、クレーン操作者と周囲の人々が安全に作業を行うことができます。

2. 農業機械

農業トラクターは、畑での畑仕事や牧草地での作業に使用されます。カウンタバランス弁はトラクターの油圧システムに組み込まれ、農具やアタッチメントを制御する装置です。これにより、畑仕事や草刈りなどの作業が効率的に行われ、農業労働者の作業が容易になります。

3. 産業機械

産業用プレス機は、金属やプラスチックなどの素材を成形するために使用されます。カウンタバランス弁はプレス機の上下動を制御し、精密な成形プロセスをサポートすることが可能です。プレス機のバルブ制御において、カウンタバランス弁は安全性と制御性を提供します。

4. 航空機

航空機の離着陸時に非常に重要となる装置です。カウンタバランス弁はランディングギアの格納と展開を制御し、着陸時の衝撃を吸収し、離陸時にランディングギアを格納する際に安定性を提供します。これにより、航空機の離着陸操作が安全にし、信頼性が高くなります。

カウンタバランス弁の原理

カウンタバランス弁は弁本体、バルブプラグ、スプリング、およびポートから構成されます。流体はこれらのポートを介して弁に供給されます。

カウンタバランス弁に内蔵されたスプリングは特定の設定圧力を常時かける部品です。このスプリングはバルブプラグを閉じる方向に押し付け、閉状態から流体を通過させる圧力を決定します。カウンタバランス弁は流体がバルブに供給されたときに閉状態にあり、流体の通過が制限されます。

カウンタバランス弁にはバランシングポイントと呼ばれる、流体の流通開始圧力があります。通常、バランシングポイントはシリンダーなどの荷重を支えるための最小必要圧力に設定されることが多いです。

シリンダーが荷物を持ち上げようとすると、シリンダー内の流体圧力が上昇します。この流体圧力がカウンタバランス弁のバランシングポイントを超えると、バルブが開きます。流体圧力がバランシングポイントを下回るとバルブを閉じ、装置が予期しない下降を防ぐことが可能です。

カウンタバランス弁の選び方

カウンタバランス弁を選ぶ際には、いくつかの要因を考慮する必要があります。以下は一般的な選定要素一例です。

1. 流体種類

カウンタバランス弁を選ぶ際、まず最も重要な要因は流体の種類です。一般的には作動油に対して使用する製品が多くあります。特殊な液体や腐食性のある液体を扱う場合は、適切な材料と耐性を持つ弁を選択する必要があります。

2. 圧力調整範囲

カウンタバランス弁の圧力調整範囲は、設定可能な圧力の範囲です。選択したカウンタバランス弁は、システムが安全に操作される圧力範囲内で正確に調整できる必要があります。

3. 最高使用圧力

カウンタバランス弁は、設計された最高使用圧力を超えないように選択することが必要です。システムの最高圧力がカウンタバランス弁の仕様に合致していることを確認します。

カウンタバランス弁のその他の情報

1. カウンタバランス弁のJIS記号

カウンタバランス弁のJIS記号はリリーフ弁とチェック弁を合わせた記号です。JIS記号では内部構造をそのまま油圧記号として記載しています。

カウンタバランス弁にはA・Bという2つのポートがあり、Aから流体が入るとチェック弁を通過してBから油が出ていきます。流体はチェック弁を通過するのみのため、Aに入力された時とBから出てくる時で圧力に差はありません。一方、Bから流体が入るとリリーフ弁を通過するため、流量を制御しているのがカウンタバランス弁です。

2. カウンタバランス弁とパイロットチェック弁の違い

カウンタバランス弁とパイロットチェック弁は流量制御をする点に違いがあります。

パイロットチェック弁は流量制御は行わず方向制御のみを行うバルブです。非操作状態では流体が流れる回路を遮断し、シリンダなどの自然動作を止める役割をしています。

カウンタバランス弁は、方向制御と流量制御の2つの役割を持つバルブです。非操作状態で流体の流通を防止しつつ、一方からの流体をリリーフ弁により流量制御している点がパイロットチェック弁と異なる部分です。

参考文献
http://www.kyoritsu-ss.co.jp/recruit/oilpressure/
http://www.crane-club.com/study/mobile/control.html
https://www.khi.co.jp/kpm/pdf/2atsuryoku_14.pdf

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