パラレルロボットについての概要、用途、原理などをご説明します。また、パラレルロボットのメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。パラレルロボット関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:株式会社安川電機、2位:川崎重工業株式会社、3位:オムロン株式会社となっています。
早稲田大学大学院でMBE法による窒化物半導体成長に関する研究に従事。2016年に大学院を修了後、非鉄金属系メーカーへ入社。金属製錬工場における設備保全・エンジニアリングの業務に従事。2022年に化学系メーカーへ転職。同様の業務に従事。
前田 理也のプロフィール
パラレルリンクロボットとは、並列につながれたアームを用いて1点に対して高速・精密な動作をする産業用ロボットです。
アームはリンクやジョイントと呼ばれる部品で構成され、3本アームの製品が主流です。パラレルリンクロボットはシンプルな構成のため、メンテナンス性に優れます。複数のモーター出力がアーム先端部の1点に集中する機構であり、高出力で高精度な動作を実現可能です。
自動化設備のピックアップ作業などで活用されています。また、パラレルリンクロボットのアームにはカーボンパイプ/ CFRPパイプが使用されます。
パラレルロボットは産業において広く使用される機械です。以下はパラレルロボットの使用用途一例です。
高速かつ精密な動作が可能なため、ワークの仕分けや移動を含めたピックアップなどの比較的軽作業で利用されます。スカラロボット以外の産業用ロボットは、一般的に高性能であるが故に導入コストが高く、複雑なメンテナンス作業を必要とすることが多いです。
また、専門的なティーチング作業が必要な場合も多いため、多額のコスト負担を考慮しなければなりません。一方、パラレルリンクロボットはスカラロボット以外の産業用ロボットと比較して簡易的な構造です。
したがって、導入コストが安価かつメンテナンスや管理も容易な点がメリットです。
パラレルリンクロボットは、主にモーターやベアリング、リンクアームなどによってシンプルに構成されます。一般的に3本からなるリンクアームが並列に繋がれ、個々のリンクアームにそれぞれモーターが備わっています。
本体ベース部分は天井に固定され、リンクアームなどによってアーム先端部が吊り下げられた状態です。パラレルロボットは、パラレルリンク機構を有する点が最大の特徴です。パラレルリンクは、複数のモーター出力がアーム先端部の1点に集中して動作させる機構です。一般的に多関節ロボットはロボットアームの先端部を動かすために、各関節を順番に動作させる必要があります。これがシリアルリンク機構です。
一方、パラレルリンク機構は複数の関節が同じ最終出力先に接続されているため、それぞれを並列に動作させることで最終出力先を動かします。これをパラレルリンク機構と呼び、シリアルリンク機構で動作するロボットよりも高速に動作させることが可能です。パラレルリンク機構は、アームやモーター、軸受で構成されます。そのため、構造が簡単で安価に導入可能です。
各メーカーから販売されているパラレルリンクロボットも、他の多関節ロボットに比べると安価です。安価に導入可能なため、製造現場の担当者が手を出しやすい製品です。高速動作が可能な点を活かせば、ピックアンドプレースのような作業を自動化することが可能です。適切な場面で複数台導入すれば、工場の複数工程を自動化することが期待できます。
スカラロボットとは、水平方向に動作する回転軸を3軸備え、上下方向に動作する1軸を備えた水平多関節型の産業用ロボットです。パラレルリンクロボットとスカラロボットは、ベルトコンベア上のワークを運搬する作業で、同様に適用されています。こらら2つの違いは水平作業と高速性です。
スカラロボットは別名水平多関節ロボットと呼ばれる、シリアルリンク機構のロボットです。これは地面に対して水平方向の動きに強みを持つロボットであり、水平方向のネジ締めやワーク吸着のような作業を行うことが可能です。
一方、パラレルロボットは基本的に地面に対して垂直方向の仕事を得意とします。つまり、スカラロボットで行えるようなネジ締め作業などを行うことは困難です。しかしながら、パラレルロボットはスカラロボットよりも高速で仕事を行うことが可能なため、垂直方向の仕事に関してはスカラロボットよりも効率的です。
参考文献
https://global.yamaha-motor.com/jp/profile/technical/publish/pdf/browse/48ss_08.pdf
https://www.robot-befriend.com/blog/parallellink-robot
https://robotics.kawasaki.com/ja1/xyz/jp/1804-03/
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パラレルロボットのカタログ一覧はこちら企業
イグス株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト8
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 株式会社安川電機 |
21.8%
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2 | 川崎重工業株式会社 |
14.1%
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3 | オムロン株式会社 |
13.4%
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4 | パナソニック株式会社 |
12.0%
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5 | 村田機械株式会社 |
11.3%
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6 | 株式会社ロボテック |
10.6%
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7 | 株式会社GKM |
9.2%
|
8 | ムラテックメカトロニクス株式会社 |
7.7%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年5月のパラレルロボットページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
4軸パラレルリンク MOTOMAN-MPP3Sは、クラス最高の基本性能を備えたピッキングやパッキングに適したパラレルリンクです。
クラス最速の搬送能力を有しているほか、頭一つ抜けた主首の許容慣性モーメントの高さが特徴です。
安川電機独自である中空ボディ構造を用いており、ボールジョイント部のグリーレス化を実現しています。
酸またはアルカリ薬剤で殺菌洗浄をすることができ、クリーンクラスはISOクラス5を誇っていることに加え、運搬可能な最大質量は3㎏、最大リーチは直径800㎜であり、動作範囲は-360℃~360℃となっています。
ロボテック社のパラレルリンクロボットであるPL3-80は、従来は困難とされていた押し付け制御を可能にしたロボットです。
手で直接操作をすることで容易にティーチングを実行することができます。
3台の電動トルクアチュエータを使用してパラレルリンクロボットを構成しており、うち1台は遠隔操作として用いることでバイラテラル制御により協調動作が可能になっています。
また、モータ出力軸のトルクを測定しながら制御することができるため、可動部に働く外力の検出も可能です。
GKMのXT500S1/700S1は、加工が難しい精密な角度の割り出しといった加工能率を飛躍的に向上させたい場合に最適なパラレルリンクマシンです。
一度の段取りで5面を加工することができるため段取りの回数を減らせるほか、取り換え時の寸法誤差の発生を大幅に削減することが可能となっています。
また、各軸には高剛性のローラースクリューと温度補正機能が搭載されており、位置決めや繰り返しの制度を高い水準で実現することができます。
さらに、独自のンパラレルリンク構造を採用していることから広域かつ高精度の加工が可能であり、自動生産設備の生産性向上に寄与すると言えます。
パラレルメカニズムロボットのMPS2シリーズは、高稼働の汎用性が高いパラレルリンクタイプのロボットです。
基本性能として高精度かつ高速稼動を有しており、ラッピング包装品のピッキングやピッキングなどに最適な一台です。
最大で2㎏の重量を持ち運ぶことができることに加え、上面設置のため設置スペースを抑えることが可能です。
アームと旋回軸には独自技術を用いることで軽量化と高剛性を実現しており、可動各部は高い耐久性を有しています。
川崎重工業株式会社のBU015Nは、コンパクトな本体であるものの、中空構造の手首や上部アーム、ベース部にケーブルやホースを内蔵することができます。
最大の可搬質量は15㎏、最大リーチは1550mmで7軸仕様のため塗布部分を大幅に拡大することが可能です。
また、周辺の器具との干渉の心配がなく、オフラインおよび現場でのティーチングの作業効率を大幅に向上させることができます。
このため、シーリングと下地塗装に最適な一台となっています。
パナソニック株式会社のパラレルリンクロボットであるPLR-D500は、繊細な作業に対応するロボットです。
衝突を探知し、ワークの破損を防止する衝突探知機能を搭載しており3~120Nのログ出力を検知することができます。
また、各軸最大127分割することができるパレタイジング機能を搭載しており、傾いたパレットにも対応することが出来ます。
ツールを変える必要のないマルチツール機能のほか、3D認識補正機能によりオフセット動作が可能となっています。
オムロンのHornet565は、食品、薬品、衣料品業界に最適なパラレルロボットであり、イーサネットを介して使い慣れたプログラミング言語を用いることによってロボット制御が可能となっています。
動くことが出来る最大範囲は直径1130㎜、垂直方向には425㎜であるほか、高速コンベア上でのPick&Placeに対応していることが特徴の一つです。
運ぶことの出来る質量を最大8㎏と高く設定していることから、マルチハンド(複数個どり)に対応することが出来ます。
オムロンのQuattro 650H/HSは、高速かつ高精度を実現することが出来る4軸パラレルロボットです。
イーサネットを介して使い慣れたプログラミング言語を用いることによってロボット制御が可能となっています。
また、可搬質量を高く設計していることに加え、アメリカの農務省が掲げる衛生基準をクリアしており、製品の異物混入を防げる製品となっています。
4軸アームでロボットへの負荷を均等に分散させており、高速かつ高精度に搬送や組み立てを実現したい場合に最適な製品です。
オムロンのQuattro800H/HSは高速かつ高精度を実現することが出来る4軸パラレルロボットです。
イーサネットを介して使い慣れたプログラミング言語を用いることによってロボット制御が可能となっており、最大可搬質量は10㎏です。
また、可搬質量を高く設計していることに加え、アメリカの農務省が掲げる衛生基準をクリアしており、製品の異物混入を防ぐことが出来ます。
4軸アームでロボットへの負荷を均等に分散させており、高速かつ高精度に搬送や組み立てを実現したい場合に最適な製品です。