精密レギュレータとは
精密レギュレータとは、レギュレータの中でも圧力を高精度に設定することができる機器です。
高圧の流体を一定の圧力に下げるバルブをレギュレータまたは減圧弁と呼び、一般的には圧縮空気を扱う空圧機器を指します。一般的なレギュレータでは繰返し再現性がフルスパンの±1%程度であるのに対して、精密レギュレータではフルスパンの0.5%程度です。
また、繰返し再現性が0.1%以内という高精度を誇る超精密レギュレータも存在します。
精密レギュレータの使用用途
精密レギュレータは下流圧力を高精度に調整できるため、エアシリンダなどの空圧アクチュエータを精密に制御したい場合に使用されます。
具体的な事例としては、印刷機械やプラスチックフィルムの加工機械におけるテンションコントロール (張力制御) 、研磨機やカッターなどの押圧制御、薬液や試料の吐出量制御などです。
周囲に接続される空圧機器は一般的なレギュレータと同様に、エアフィルタやミストセパレータなどが設置されます。
精密レギュレータの原理
精密レギュレータの調圧スプリングには調整つまみが接続されており、調整つまみを回転することで調圧スプリングの押さえ力を設定します。
1. 一次側が高圧の場合の圧力調整
一次側の方が高圧の場合には、一次側と二次側の圧力差が調圧スプリングの押さえ力以上であれば二次側に圧縮空気が流入し、押さえ力とつり合った状態になります。
2. 二次側が高圧の場合の圧力調整
また、二次側の方が高圧の場合には、リリーフ弁から二次側の空気が外部に放出されます。一次側と二次側の圧力差は調圧スプリングの押さえ力によって決定されるため、二次側の圧力を調整することが可能です。
3. その他の圧力調整方法
機種によってはリリーフ弁が無く、2次側が高圧になった場合の排気機能をもたない機種もあります。
また、使用する流量が多い場合には、二次側の圧力を利用してさらに大きなレギュレータを操作する構造のパイロット式レギュレータが使用される場合もあります。
精密レギュレータの構造
精密レギュレータは、主に一次側と二次側を仕切る弁と弁に接続された調圧スプリング、2次側に設けられたリリーフ弁によって構成されています。
ダイヤフラムは、給気が行われるとバルブを押し下げる給気ダイヤフラム、排気時に力が作用する排気ダイヤフラム、ノズルの隙間を調整するノズルダイヤフラムの3種類があります。
精密リギュレータのその他情報
1. リリーフ弁の役割
精密レギュレータ内の圧力が高まった際に、リリーフ弁は自動で開いて圧力の放出を行います。リリーフ弁があることで、タンクからの逆流等があっても確実な残圧排気が可能です。
タンクの設計圧力以上の圧力が発生してタンクの破裂すると大きな事故に繋がりますが、リリーフ弁がこの事故を未然に防ぎます。
2. ダイヤフラムの役割
ハンドルを回転させると、調圧スプリングを介して、ノズルとの隙間を広げます。一次側から流入した供給圧力は、ノズルの間を通り、ノズル背圧として給気ダイヤフラムに作用する仕組みです。
バルブを押し下げる力はこの給気ダイヤフラムに発生した力です。バルブが押し下がられることで、供給圧力は二次側へ流出します。流出した空気圧は、排気ダイヤフラムへ作用することで給気ダイヤフラムの発生力と対抗します。設定圧力が上昇し過ぎた際などで作動するのがノズルダイヤフラムです。
ノズルダイヤフラムが押し上げられることで、周辺に隙間が生じます。ノズル背圧が大気側に流入することで給気ダイヤフラムと排気ダイヤフラムとのバランスが崩れ、バルブが閉じた後排気弁が開き、余剰圧力が大気に放出されます。
このような機構で圧力偏差が鋭く検出されることで、精密な調圧作用が可能です。
参考文献
https://atc.azbil.com/products/regulator/precision_regulator.html
https://www.smcworld.com/products/ja/s.do?ca_id=121
https://www.fujikura-control.com/