ボタンダイとは
ボタンダイ (英: button die) とは、金型の下型ダイプレートに入れ子として使う部品です。
ボタンダイはボタンダイス、ねじ切り調整丸ダイス、丸割駒、調整丸ダイスとも呼ばれます。通常は、下型ダイプレートを使用し、メンテナンスでプレートの表面を研磨可能です。そのためプレートの厚みが薄くなり、下型ダイプレートの取り外しなどの手間がかかります。しかし、ボタンダイは入れ子式のため、ボタンダイのみを取り外し可能です。研磨や交換が可能なため、長期的に使えます。
ボタンダイの使用用途
ボタンダイは焼き入れしないダイプレートに、入れ子として組み込んで用います。金型を容易に製作したり、金型をメンテナンスしたり、長期的に使えます。ハサミで刃に当たる部分であり、ボタンダイのみでは機能せず、刃の相方となるパンチも必要です。ボタンダイが下側の刃で、パンチが上側の刃となって穴加工ができます。
穴加工を繰り返すと刃が摩耗するため、研磨が必要です。下型ダイからボタンダイを取り外して研磨でき、下型ダイにはめ込むと再度使用できます。
ボタンダイの原理
ボタンダイは刃にあたる部分であり、摩耗対策として焼き入れが必要です。ただし下型ダイは、焼き入れをしなくても問題ありません。
パンチが入ることで加工可能です。加工の際に穴詰まり対策として、切断した屑が下に落ちるように貫通させる必要があります。穴詰まり対策を行わないと、パンチが折れ製品を傷つける可能性があります。また、加工した残り屑がボタンダイの表面から飛び出すこともあり、その状態で加工すると製品に打痕が残るため注意が必要です。
ボタンダイの構造
ボタンダイの穴は逃がし部とランド部からなり、断面には3種類あります。材料の通過を考えて、ランド部がテーパーを有するボタンダイもあります。ただし再研磨の際に、穴が徐々に大きくなることが欠点です。
再研磨で必要となる箇所をストレートにして、再研磨で穴の寸法が変わらないようにしたボタンダイもあります。その一方で、ランド部の下部を大きく逃がさずに、ストレートのランド部を下部のテーパーで逃がしたボタンダイは、アンギュラーボタンダイ (英: Angular Button Dies) と呼ばれています。かす詰まりを考慮し、小径穴の抜きに使用しやすいです。
ボタンダイの種類
ストレートなタイプのボタンダイは、軽くプレートに圧入して使います。組込導入部が部品に付いており、組み込みは容易です。標準的なボタンダイはつば付きです。ボタンダイの材質には、粉末ハイス、超硬合金、SKD11、SKH51などが使用されています。
ボタンダイの刃先形状にも複数の種類があります。穴に方向性があるタイプには、回り止めが必要です。寸法と回り止めの作り方は、細かく設定できます。断面も変更可能で、加工する材質や板厚に合わせます。
つばがないボタンダイでは、裏に研磨分のスペーサを敷いて対応可能です。それに対して、つば付きのボタンダイでは、スペーサをつば上に入れる必要があります。再研磨でスペーサは増加しますが、数が多くなり過ぎないように、スペーサの厚さを変えます。
ボタンダイの選び方
ボタンダイの金型は切れ刃の痛みとともに、再研磨によって切れ刃を再生可能です。金型の再研磨の方法は、プレート全体の研磨と入れ子部品のみの研摩から選択します。
プレート全体の研磨では、プレートが薄くなりますが、入れ子部品も同じように変化するため問題ありません。その一方で、入れ子のみの研摩では、研磨分の調整が必要です。適切な調整ができないと、凸凹がプレート面に生じ、品質が悪くなります。
L寸法が穴径に対して長いと、詰まりやすいです。小径穴の場合には、短い方が適しています。加工によってプレートが厚くなって、穴径に対してL寸法が長くなる場合もあります。バランスの悪いときには、ボタンダイの後部にカラーを入れて、長さを調節可能です。
参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/press_mold_design/pr04/c0128.html