IPトランシーバーとは
IPトランシーバーとは、大手通信事業者の通信回線を利用した無線通信機システムのことです。
IPは「Internet Protocol」の略で、データの送信元と受信先を設定するためのルールや手順を指します。インターネット上ではIPのルールに則ってPCからPCまでデータをやり取りしています。
IPトランシーバーは電話回線で電波を飛ばすため、従来の無線機と異なり通話エリアが広いのが特徴です。地下やトンネル内のように遮断物が多い場所でも通話できます。携帯電話と無線の長所を併せ持ったハイブリットな通信手段です。
IPトランシーバーの使用用途
IPトランシーバーは通常の無線とは異なり、免許が不要で誰でも気軽に使用できます。また、携帯電話が届くエリアであれば全国どこでも使用可能です。具体的な使用用途は、以下の通りです。
- 建設現場
- イベントなどの警備業務
- トラックやタクシー運転手の通話手段
- 工場や倉庫における相互連絡用通話
- テーマパークや競技場における相互連絡用通話
- 宿泊施設における室内-フロント間通話
- 病院における相互連絡用通話
- 学校行寿などの教師相互連絡用通話
- 防災・危機管理
IPトランシーバーの原理
IPトランシーバーは一般的な無線機とは異なり、無線音声電波を飛ばしていません。音声をパケット化して電話回線で送信し、受信機器で音声に復元しています。つまり、携帯電話のようにインターネット回線で音声を符号化・圧縮して通信を行う仕組みです。
多人数に一斉通信できる点が特徴で、最近では携帯電話のアプリケーションでIPトランシーバーを利用することも可能となりました。
IPトランシーバーのその他情報
1. IPトランシーバーのメリット
IPトランシーバーは一般的な無線機と動作原理が異なり、大規模なインターネット回線を使用して送受信を行っています。インターネット回線は今や日本全土に広がっており、インフラの一部となっています。したがって、IPトランシーバーには以下のような利点があります。
- 暗号化が施されるため、盗聴を受けずに安心して利用できる
- 1対多数での通信もできる
- GPSを利用してIPトランシーバーを持つ人の動向を確認できる
- 災害時抑制率が低いデータ回線を利用しているため、有事の際も利用できる確率は高い
2. IPインカムとは
IPインカムは従来のトランシーバーや無線機では実現不可能な新しいコミュニケーションシステムです。IPインカムには2つのタイプがあります。
- ネットワークトランシーバーシステム
トランシーバーや業務無線機をインターネット通信網に接続するシステムです。このシステムにより、業務無線機では電波が届かない超高層ビルのでの通話が可能になります。また、本部と全国の店舗間と結ぶ広域拠点間通信網としても利用可能です。 - IP無線機
外見はトランシーバーですが、ドコモなどの通信事業者回線を利用して日本全国が通話圏内になります。一般のトランシーバーのように通話距離や不感地帯を気にせず利用可能です。また、IP無線機はトランシーバーのように全員一斉につながる通話ができます。そのため、大規模イベントや建築現場などで利用されます。
3. アプリ版のスカイトランシーバ
スカイトランシーバーはスマートフォンをIPトランシーバーとして活用できる専用アプリです。NECネッツエスアイがサービス提供しています。専用の業務用無線機の持ち運びが不要で、音声通話機能だけでなくテキストチャット機能や発信者位置情報機能などを搭載しています。
テキストチャット機能は、同一チャンネルを利用する相手にテキストを一斉同報できる機能です。発信者位置情報機能は、音声発信者の位置情報をマップで確認できる機能を指します。アプリを利用すれば、端末にかかるコストを抑えつつ、便利なIP通信が可能です。
参考文献
https://www.mcinc-products.jp/vpt/vpt_faq/vpt_faq_1/
https://www.sanwa-sys.co.jp/guide/gyoushu.html
https://skytc.jp/ip-wireless/ip-wireless-structure/
https://www.musen.tokyo/column/1427.html
https://www.incom.ne.jp/ipincom/