高力ボルト

高力ボルトとは

高力ボルト

高力ボルトとは、主に鉄骨構造の建築用に使われる強度の高いボルトのことです。

一般的に使用されるSS400と呼ばれる鋼材の引っ張り強さは400N/mm2ですが、高力ボルトに使われる材料は、低くても800N/mm2の強度があります。そのため、一般的な機械用としては使用されずに、建設の分野で使用されます。

特に鉄骨造でよく採用される摩擦接合の継手として、鋼材同士を固定する際のボルトとして、広く使用されているボルトです。

高力ボルトの使用用途

高力ボルトの使用用途は、主に建築分野です。建物の構造を作る方法は色々ありますが、その中でも鉄骨で建物の構造を製作する方法は、コンクリート造に比べると非常に簡単です。

そのため、日本では多用されることの多い構造ですが、高力ボルトは鋼材同士の接合に使用されます。鉄骨造の場合は、鉄骨同士を溶接していると非常に手間がかかり、建設現場での溶接では品質も安定しません。

そこで、摩擦接合と呼ばれる方法で接合します。この摩擦力を発生させるのに高トルクが必要なため、高力ボルトが使用されます。

高力ボルトの原理

高力ボルトは、鉄骨同士の接合という大きなトルクが必要な箇所に有用で、クロム鋼クロムモリブデン鋼が長年使用されてきました。しかし、現在使われるようになってきたのは低炭素ボロン添加鋼です。低炭素ボロン添加綱により、クロム鋼やクロムモリブデン鋼で問題となった遅れ破壊対策が可能となりました。

また、高力ボルトの1つであるトルシア型高力ボルトは、締結作業の完了と軸力の確保、締結後に故意に緩めることができな構造になっているのが特徴です。

高力ボルトの種類

高力ボルトはその形状と使用方法によって、摩擦接合用高力六角ボルトと、トルシア型高力ボルトの2種類に分かれています。

1. 摩擦接合用高力六角ボルト

摩擦接合用高力六角ボルトは、建築部材の摩擦接合に用いるためのボルトです。「JIS B 1186 摩擦接合用高力六角ボルト 六角ナット・平座金のセット」で規定されています。摩擦接合とは、ボルトによって軸力から接合部材同士の摩擦力を発生させることで接合力を得る方式です。

ボルトには強度によって区分を表す記号がありますが、摩擦接合用高力六角ボルトはF10TやF8Tで表されます。なお、F8Tで区分されるボルトとして溶融亜鉛めっき高力ボルトが挙げられることがありますが、正確にはJIS規格には合致しておらず、国土交通大臣認定品であることがほとんどです。

溶融亜鉛めっきを施したボルトはめっきの膜厚が大きいため、嵌合性が悪くオーバータップという加工がめっき後に施されており、この処理がJIS B1186では認められていません。JIS該当品にはならず、国土交通大臣の認定を得た製品だけが実用されています。

2. トルシア型高力ボルト

トルシア型高力ボルトは、締め付け部が特殊な形状になっているため専用工具が必要になります。しかし、規定トルク以上で締め付ければ締め付け部が破断する形状になっており、トルク管理が非常に簡単です。

トルシア型高力ボルトは、頭部は六角形状ではなくリベットのような円形状です。締結作業はねじ先端部分を回しますが、軸部分に溝があり、締結作業が完了すると破断します。溝部分で破断するまで締め付けるため、軸力と一定以上加えることが可能です。

また、本体を回転させるためにチャックする部分が破断しているので、締結後に故意に回して緩めることができません。

高力ボルトのその他情報

 高力ボルトとハイテンションボルト違い

高力ボルトとハイテンションボルトは同一のものです。高張力鋼 (ハイテンションスティール) によって作られていることから、「高力」と「ハイテン」2つの呼び方をされます。

高張力鋼にも種類があり、ニッケル量を3%ほどに高め海岸付近での塩の耐性を高めたものや、NiやCuを添加量を増やして大気腐食力を高めた耐候性のものもあります。

参考文献
http://www.bolten.co.jp/products/product/101-detail
http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-suberikeisu.html
http://www.bolten.co.jp/products/product/101-detail

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