ジョイントボックス

ジョイントボックスとは

ジョイントボックス

ジョイントボックスとは、ケーブル接続の際に結線部を保護する箱です。

一般的には、電気工事に使用されています。電気設備技術基準では、通電されるケーブルの充電部が露出しないように施設することが定められています。そこで、低圧電圧で使用するケーブルの接続部は一般的に熱収縮チューブやビニールテープなどで保護します。

この接続部に人が誤って触れないように、また景観を整えるためにジョイントボックスが使用されます。

ジョイントボックスの使用用途

ジョイントボックスは一般的に電気工事で使用する部材です。以下はジョイントボックスの使用箇所一例です。

  • 電線管敷設工事の中継地点
  • 電線の分岐地点
  • 街灯ポールの中継地点

家庭の電気配線は基本的に壁内に収納するため、ジョイントボックスを使用することは少ないです。商業施設や公共施設では、目にすることがあります。

結線部にかぶせるだけで結線部の保護ができるものや、端子付き・蓋つきのジョイントボックスもあります。

ジョイントボックスの原理

ジョイントボックスは本体や蓋、入線口などで構成されます。

1. 本体

本体には、樹脂や金属の製品があります。樹脂の場合は、塩ビが用いられることが多く、金属の場合は主に鉄が使用されます。乳白色またはネズミ色が使用され、外観と似た色のジョイントボックスを選定して目立たなくするのが基本です。金属の場合は耐食を目的に溶融亜鉛でメッキされた製品も販売されています。

2. 蓋

蓋は、本体とねじ留めした構造が一般的です。ねじは樹脂製のジョイントボックスでも鉄製ねじが使用されます。

3. 入線口

本体の側面には、四方のいずれかまたは全部にケーブルを入線するための開口が開けられます。入線口には基本的には直接配線を入れず、キャプコンや電線管を繋げて内部に配線を通します。

ジョイントボックスの種類

ジョイントボックスには、樹脂製、金属製、防爆構造、端子付き中継ボックスなどさまざまな種類があります。

1. VVF用ジョイントボックス

VVF専用のジョイントボックスです。被せるだけの簡単な製品や端子付きのジョイントボックスなどが販売されています。VVFの電線を突き刺して接続するVVF特化型のジョイントボックスで、基本的には樹脂製の製品が多いです。

2. アウトレットボックス・プルボックス

工場や屋外など、さまざまな場所で使用されるジョイントボックスです。薄鋼管やVE管などの電線管を入線口に接続して使用します。電線管を通ったケーブルの中継地点となり、内部で結線及び分岐して再び電線管を通って各所に敷設されます。

屋外で使用できる防滴型の製品や、結線や分岐を手軽に変更できるよう複数の端子が取り付けられている製品も販売されています。

3. 耐圧防爆構造のジョイントボックス

厚鋼電線管などとセットで使用されます。耐圧防爆構造は引火性ガス雰囲気などで使用され、電気による引火を防止するために密閉された構造です。主に引火が懸念される化学プラントや危険物貯蔵設備で使用されます。

頑丈な構造になっており、入線は防爆パッキン有するパッキン式ケーブルグランドで行われます。蓋などの開閉部分にもパッキンを使い密閉します。

4. 丸型露出ボックス

丸型露出ボックスは丸いジョイントボックスです。丸ボックスとも呼ばれます。リフォームや工場配線など、幅広く使用され、蓋と本体は上下2点でネジ留めする構造が一般的です。

丸型露出ボックスはJISなどで規格が定められており、プルボックスなどと比べて体積が小さいです。そのため、比較的小規模な配線接続に使用されます。四方のうち下方を入線せずに開口し、水抜き穴として使用する場合もあります。

ジョイントボックスの選び方

ジョイントボックスは種類、大きさ、色などの観点から選定します。種類は上記のように多数販売されていますが、用途に応じて選定します。一般的に決まりはないため使いやすい種類を選択しますが、防爆エリア箇所には必ず防爆構造のジョイントボックスが必要です。

プルボックスなどを選択した場合は、大小さまざまです。一般的には芯数が多いほど収納する配線接続部も多くなるため、大きいジョイントボックスを選定します。色は周囲の色と溶け込むように選定します。必要な色が販売されていない場合は、別途塗装が必要です。

参考文献
https://jp.c.misumi-ec.com/book/MRI1_E06/pdf/0933.pdf
https://www.takachi-el.co.jp/main_cat/junction_boxes
http://www.shimada-elec.co.jp/pdf/catalog/17/200701a.pdf

ウレアグリース

ウレアグリースとは

ウレアグリースとは、分解しづらいウレア結合を2個以上有し、科学的な安定を確保した増稠材 (ぞうちょうざい) を含むグリースのことです。

なお、増稠剤は、液体に混合することで半固形状にする働きを持ちます。グリースは、一般的に、比較的低速で回転する機械や、高荷重が掛かる軸受け、金属同士がスライドする摺動面に用いられ、摩擦を軽減し、設備に掛かる負担を減らすのが役割です。

用いられる増稠剤や基油により様々な種類に分けられ、特に増稠剤の特性はグリースの特性をほぼ決定します。ウレアの持つ特性を反映するウレアグリースの特徴は、他のグリースと比べて、耐熱性および耐水性にが高いことです。

なお、ウレアグリースには独特の粘り気があります。そのため、グリースの硬さを表すちょう度が同じである他の増増稠剤を用いたグリースと比べると、長期にわたって機械を保護できます。

ウレアグリースの使用用途

ウレアグリースは、耐熱性および耐水性に優れたグリースです。そのため、高温な条件下で駆動する設備軸受けや摺動部によく使用されます。

例えば、金属の圧延工場などでは、高い荷重を掛け、高温の条件下のもと、冷却水を吹きかけながら機械を運転する必要があります。このような特殊な条件下においては、耐熱性および耐水性に優れるウレアグリースが好適です。

ウレアグリースは一般生活用品にも使用されています。例えば、釣竿につけて使うリール内部に使用されています。耐水性の高いウレアグリースを使用する事で内部部品の海水からの保護が可能です。ウレアグリースの持つ独特の粘り気が、リール内部の精密ギアを保護します。

ウレアグリースの原理

ウレアグリースに増稠剤として使用されている、ウレアは科学的に安定し、分解しにくいウレア結合を2個以上有しています。ウレアは、ウレア基の数によってさらに分類され、2個はジウレア、3個はトリウレア、4個はテトラウレアです。この中で、グリースとしての性能が優れているのはジウレアです。このため、ウレア系グリースにはジウレアが多く使用されています。

ウレアグリースの特徴

1. ウレアグリースの化学的特徴

ジウレアは、増稠剤分子の両端の構造によってさらに細分化されます。分類は、芳香族ジウレア、脂肪族ジウレア、脂環族ジウレアです。中でも芳香族ジウレアはグリースの性能として最も高く、耐水性、せん断安定性が優れています。その他、脂肪族ジウレアは、はグリースが流動しており、せん断力が加わるせん断時に軟化します。

そして、流動が止まりせん弾力が無くなると元の硬さに戻ることが特徴です。集中給油 (一つのグリースポンプで複数箇所にグリースを供給する方式) での使用に適しています。また、せん断時の軟化は軸受に使用した場合のトルク減少、騒音の低減という点もメリットです。

この分子レベルでの構造による特徴のほか、グリースとしては基油 (ベースオイル) の性能も影響するため、増稠剤だけでなく総合的な特性から最適なグリースを選定するのが重要です。金属石けん系のグリースの種類が多く、カルシウム石けん、リチウム石けん、二硫化モリブデン、リチウムコンプレックス、などがあります。一方、非石けん系のグリースには、、ウレアなどが存在し、ウレアグリースがその代表格となります。

2. ウレアグリースの物理的特徴

一般的に、グリースの硬さは、増稠剤の配合量や種類によって変化し、「ちょう度」で表示されています。「ちょう度」としては、「混和ちょう度」の値が一般的です。グリースの硬さは、000号、00号、0号、1号、2号、3号、4号、5号、6号と分類されています。

混和ちょう度が445~475の範囲のグリースは、半流動状の柔らかいグリースで、000号に該当します。混和ちょう度が85~115の範囲のグリースは、6号と表示されて、とても硬いグリースです。ウレアグリースには、ちょう度が2号程度の製品が多く、通常の硬さのグリースに分類されます。硬さは普通ですが、ウレア系増稠剤を使用していることで、防錆性や潤滑性、耐摩耗性に加え耐熱性、耐水性が高く、長寿命なグリースです。

ウレアグリースのその他情報

1. グリースの増稠剤の種類

増稠剤は、グリースを構成する基油を半固体状にします。基油に増稠剤を混合することで、基油内に増稠剤が取り込まれ、半固体状態になります。

増稠剤を大きく分けると、金属石けん系と非石けん系の2種類です。金属石けん系のグリースは種類が多く、カルシウム石けん、リチウム石けん、アルミニウムコンプレックス、リチウムコンプレックスなどのグリースがあります。一方、非石けん系のグリースにはベントナイトPTFE、ウレアなどがあり、ウレアグリースが代表的な製品です。

2. ウレアグリースのデメリットと対応策

ウレアグリースは、リチウム系グリースと比べて優れている点が多いですが、デメリットもあります。ウレアグリースの中には高温環境下の使用で硬化してしまうタイプがあります。これは、高温下で増稠剤分子が重合してしまうために発生する現象です。

このため、耐熱温度付近での常用は硬化による性能の低下を引き起こす可能性があり注意が必要です。使用前にはメーカのカタログなどでグリース銘柄を十分に確認してから機械に適用してください。また、せん断時の軟化、硬化の度合いが大きいウレアグリースもあります。

その特性を活かした選定や機械の設計を意図的に行う場合は問題ありませんが、意図しない変化により使用機械に不具合を生じる場合があるため、使用前の十分な確認が必要です。

参考文献
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/grease/category/
https://www.cosmo-lube.co.jp/Portals/0/images/product/tech/tech3612130.pdf
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/grease/category/
http://www.jalos.jp/jalos/qa/articles/003-S28.htm
https://shell-lubes.co.jp/lubes-grease/lubes-technology/tech-grease/1138/

DAC

DACとは

DAC

DACとは、「デジタル-アナログ変換」の略で、デジタル信号をアナログ信号に変換する役割を持ち、デジタル世界とアナログ世界をつなぐ重要な橋渡しとなる装置です。

音楽を聴く、映像を見る、あらゆるデバイスにおいて、私たちの五感に直接訴えかけるためには、デジタルデータを現実の物理的な出力に変換する必要があります。その際に必要となるのがこのDACです。

信号の品質や変換の精度は、音質や映像の品質を大きく左右します。

DACの使用用途

D/Aコンバーターは、多くのデバイスで重要な役割を果たしています。以下に、その具体的な使用例をいくつか紹介します。

1. オーディオ機器

DACは、オーディオ機器で音質を向上させる重要な要素です。音楽データがデジタル形式で保存・伝送されていますが、人間の耳で聞くためにはこれをアナログの音響信号に変換する必要があります。高品質なD/Aコンバーターを使用して、より豊かな音質と細部まで再現した音場を実現できます。

2. メディアプレーヤー

映像や音声を出力するメディアプレーヤーでもDACは不可欠です。映像データや音声データを、テレビやスピーカーが再現できるアナログ信号に変換する役割を担っています。

3. 医療機器

医療分野でもDACは広く使用されています。例えば、心電図で取り込んだ信号を音に変換したり、超音波診断装置では一部のモデルでは送信波形を作り出したりするために使用されています。

DACの原理

物理的に変換してアナログ出力する「 抵抗ラダー方式 (R-2Rラダー方式)」、1度別の形に変換した後、フィルタを通してアナログ出力する「ΔΣ方式」、電流から電圧に換算してアナログ出力する「温度計コード方式 (電流検出) 」などがあります。

1. 抵抗ラダー方式 (R-2Rラダー方式)

この方式は一般的に、抵抗のみを使用してデジタル信号をアナログ信号に変換します。その名前が示すように、この方式では、2つの抵抗値 (Rと2R) が交互に接続されたラダー状の抵抗ネットワークを使用します。

この抵抗ネットワークは、デジタル入力のビット値によって接続・切断され、その結果として得られる総抵抗がアナログ出力の電圧を決定します。メリットは線形性に優れていますが、分解能が大きいほど回路規模が大きくなるのがデメリットです。

2. ΔΣ (デルタ・シグマ) 方式

デジタル信号をオーバーサンプリングし、デルタ・シグマ・モジュレータを通すことで、ディザ波形を生成します。ディザ波形をローパスフィルタで雑音を除去して出力する方式です。

メリットは18bit以上の高分解能が可能なことですが、デメリットとして電流消費が大きいことやサンプリング・レートが比較的遅いことが挙げられます。

3. 電流出力方式

電流源スイッチ型DACは、一連の電流源とスイッチを使用してデジタル信号をアナログ信号に変換します。この方式では、各デジタル入力ビットに対応する電流源があり、デジタル入力のビット値によってこれらの電流源がオンまたはオフにされます。

これらの電流源からの電流が合計され、結果として得られる合計電流がアナログ出力の電圧を決定します。メリットは非常にきれいな波形が出せることですが、デコード方式同様に分解能が大きいほど回路規模が大きくなるのがデメリットです。

DACの選び方

DACを選ぶ際には、次の点を考慮する必要があります。

1. 解像度

解像度は、DACが処理できるデジタル信号の精度です。解像度が高いほど、デジタル信号をより細かく再現できます。

2. 周波数特性

周波数特性は、DACが処理できるデジタル信号の周波数範囲です。周波数特性が広いほど、幅広い周波数のデジタル信号を再生できます。

3. コスト

DACの価格は、その性能や機能によって大きく異なります。一般的に、高解像度、高サンプリング・レート、高SNRを実現するDACは高価です。しかし、必ずしも最も高価なDACが最適な選択とは限りません。そのため、予算と性能要件をバランス良く考慮したDACの選択が重要です。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/da-converters
https://www.analog.com/media/jp/technical-documentation/application-notes/AN-283_jp.pdf

パーライト

パーライトとは

パーライト

パーライト (英: pearlite) とは、黒曜石や真珠岩などの岩石を高温処理して粒状にした人工発泡体のことです。

園芸用や産業用、建築材料などに使用されます。パーライトは、岩石に含まれる水分を急激に蒸発させて多孔質構造としたもので、非常に軽量です。

主に園芸用途で使われますが、多孔質構造のため断熱性や保温性・耐火性などに優れ、産業用や建築材料にも使用されます。同炭素鋼や合金鋼をオーステナイト状態から徐冷すると得られる鋼の組織もパーライトと呼びますが、本記事では岩石発泡体のパーライトについて解説します。

パーライトの使用用途

パーライトの使用用途は、主に3種類に分類することができます。

1. 園芸用

パーライトは、培養土や鉢底石などに使用されます。非常に軽量で様々な特性を持つため、土壌の改良材として広く使われています。使用する際は、土全体に対して1~2割程度のパーライトを混合すると良いとされています。

2. 濾過助剤

1950年代に珪藻土濾過助剤の代替品として、パーライトが使用されるようになりました。化学的に非常に安定しており、触媒やキャリアとして使用されます。また、気体からの固形物分離にも使用されることが多いです。

3.建築材料・断熱材料等

近年、パーライトは濾過助剤よりも、断熱材や充填材での用途が増加しています。多孔質材料なので、軽量・断熱性・防火性・防音性などに優れています。そのため、壁材のサイディングボードに使用されることも多いです。

また、断熱材として、液化天然ガス (LNG) の貯蔵タンクや船舶などの冷蔵・冷凍保存の分野にも大規模で使用されています。さらに、セメントにパーライトを添加すれば、軽くて丈夫なモルタルを製造することも可能です。高層マンションやビルなどでは、パーライトの添加によって、軽量で強度を維持したコンクリートの製造が可能となり、運搬・製造・原料のコスト削減につながりました。

 

この他、パーライトは、樹脂製品の添加剤・歯科用・印章材・塗料の艶消し剤・シリコンゴム・製紙用などの用途もあります。

パーライトの特性

パーライトの原石は、真珠岩と黒曜石の2種類が使われています。それぞれ特性があり、その特性を活かす形で使用されます。

1. 真珠岩パーライト

真珠岩パーライトは、真珠岩を高温処理して得られる多孔質粒子です。真珠岩は水分含有量が高いため、スポンジ状の多孔質構造となります。保水性と透水性に優れているため、水持ちの悪い土壌に使用されています。

2. 黒曜石パーライト

黒曜石パーライトは、黒緑色をした黒曜石を高温で加熱し、水分を蒸発させることで得られます。真珠岩と比較し水分の含有量が少ないため、加熱処理により微小な孔が多数生じます。この微小な孔には水が浸入しにくいため、排水性に優れていることが特徴です。また、ミネラル水に変化させるイオン交換性も有しており、根腐れ防止効果を発揮します。このような特徴から水はけの悪い土壌に多く使用されます。

パーライトのその他情報

1. パーライトとゼオライトの違い

パーライトは、ガラス質の火山岩を加熱処理したものなので、岩石や鉱石に多く含まれる二酸化ケイ素酸化アルミニウム酸化鉄・酸化カリウム・酸化ナトリウムなどが主成分です。

一方、ゼオライトはアルミノケイ酸塩で、主成分としてケイ素やアルミニウム・酸素が含まれています。元素の構成はパーライトと似ていますが、分子構造や特性に差があります。

パーライトとゼオライトの違いを園芸用途で比較します。例えば、パーライトは土壌の水分量を調節する目的で使用されます。土の水はけが良く、すぐに乾燥してしまう場合には、保水性を高める真珠岩パーライトを、土の水はけが悪く、植物の根が腐ってしまう場合には、排水性を高める黒曜石パーライトを使用します。

一方、ゼオライトは、土に通気性や栄養を供給する目的で使用されます。多孔質で適度な通気性を有しているので、土と混ぜることで植物の根に酸素を充分に供給できるため、植物の生育が良くなります。また、ゼオライトから溶出したミネラルが植物の栄養になるため、肥料の量を抑えることができます。

2. パーライトの危険性

パーライトは元々が岩石なので、通常使用する場合には特に危険性はありません。一方で、パーライトの粉塵を鼻や口から大量に吸入すると、じん肺症になる可能性があります。じん肺症は、粉塵が呼吸器系に蓄積することが原因で起こる疾病です。初期段階での自覚症状がありませんが、時間経過とともに咳や痰、さらには息切れや呼吸困難の症状が現れます。

日本産業衛生学会では、粉塵のレベルを分類しています。第二種は結晶質シリカ含有率3%未満の鉱物性粉塵などであり、粉塵許容濃度は、吸入性粉塵1mg/m3、総粉塵4mg/m3としています。

参考文献
https://lovegreen.net/plantcare/p94012/
https://greensnap.jp/article/8578
https://agripick.com/1632
https://lovegreen.net/plantcare/p94012/#a1
https://agripick.com/1632#content_57247_0_2
https://horti.jp/14466
https://www.esco-net.com/wcs/escort/ItemFile/shiire_shohin/DF016/DF01691/DF0169191/DF0169191_DOC_SDS_JPN_INP(01).pdf

パージ剤

パージ剤とは

パージ剤とは樹脂成型機の材料替え時に使用する洗浄剤で、金属表面に付着した樹脂や炭化物を剥離する作用を持ちます。通常、1つの樹脂成型機に対して樹脂の色を変えたり、樹脂の種類を変えたりしながら運用しています。しかし、洗浄プロセスを省いた場合、前材料の残留物が混入し歩留まりが低下します。結果的に樹脂の廃棄物が増加するだけでなく、人件費などのコストがかさむとされています。そのため、パージ剤を使用し歩留まりの低下を防止します。近年は、主成分にホウ酸を使用しているものが多く、成形機を傷つけることなく洗浄できます。

パージ剤の使用用途

パージ剤は、樹脂成型機の材料替えや色替えの際に洗浄目的で使用されます。材料の種類や色を変える場合は、成形機に付着している前材料を洗浄する必要があります。正確には、必ずしも洗浄する必要はありませんが、洗浄なしで後材料を投入すると前材料と混合し、歩留まりの低下や材料ロスが発生し、時間とコストがかかります。また、成型品に付着する炭化物や黒点の除去も可能になります。ただ、使用する樹脂によって適切なパージ剤が異なるため、事前に確認しなければなりません。

パージ剤の原理

ここではパージ剤を用いた洗浄工程を説明します。ただし、使用する前後の材料や成型機により異なる場合もあるため注意してください。

前材料をすべて排出

前材料の残留状態では高い洗浄効果を得られないため、確実に排出します。また、ホッパーや供給ラインも同様に排出します。

ホッパー部分の清掃後、パージ剤を投入

基本的には規定量を投入しますが、凹凸部は洗浄効果が低くなるため量や回数など工夫する必要があります。

諸条件を検討し回転パージで洗浄

作業効率を高くするため背圧を高くし、射出速度も高めに設定します。また、洗浄温度は前材料の成形温度を維持します。

前材料または前色が除去できたことを確認

目視にて前材料がすべて除去したことを確認し、成形機を停止します。

後材料の成形温度に変更

後材料の成形温度に変更後、材料を投入します。

回転パージで排出

洗浄時と同様の操作を行い、パージ剤を完全に排出させます。パージ剤が完全に除去できたことを確認し、通常の成形作業に移行します。

パッド印刷機

パッド印刷機とは

パッド印刷機

パッド印刷機は、印刷に使用する機械の一種です。軟らかいパッドを対象物に押し付けて印刷を行うため、平面だけではなく曲面などにも綺麗に印刷を行うことができます。色も単色に限らず様々な色を組み合わせて使用することが可能です。シリコンパッドを使用して印刷を行うため、印刷できる大きさはシリコンパッドの大きさに依存します。

パッド印刷機の使用用途

樹脂製品やバッグなどの布製品、革製品など、様々なものに対して印刷を行うことができるため、ボールペンやトートバッグなど身近なものの印刷にも多く使用されています。特に、凹凸のある面にも綺麗な印刷ができるという特長から、ボールペンやマグカップなど通常の印刷では対応できないような形状に対しての印刷には必須の技術です。一方で、印刷範囲は印刷に使用するシリコンパッドの大きさに依存するため、あまり大きな製品への印刷には向いていないと言えます。

パッド印刷機の原理

パッド印刷は、以下のような流れで行われます。印刷に使用するシリコンパッドには弾力があるため、曲面や凹凸面にも印刷可能です。また、一般的なシルク印刷に比べて乾燥が速いため、印刷直後の重ね刷りもでき、フルカラー印刷が可能という特長もあります。

  • 対象物を印刷台に乗せ、位置を微調整します。
  • 印刷デザインを彫り込んだ凹版にインクを流し込み、余分なインクを掻き出します。
  • シリコンパッドを凹版面に押し当て、インクを転写します。
  • シリコンパッドを対象物に押し当てることで、インクを対象物に転写します。

パッド印刷機には、位置調整などを人が行うものと機械が自動的に行うものが存在し、用途によって使い分けられています。生産数の少ない特注品や印刷精度がそこまで高くない場合などは、一部手動のパッド印刷機でも十分に対応可能ですが、大量生産が必要なものや高い印刷精度が必要となる場合には、自動のパッド印刷機が使用されるのが一般的です。また、印刷品質はシリコンパッドの状態に依存するため、シリコンパッドの劣化やゴミの付着などには注意が必要となります。

ハイブリッドファン

ハイブリッドファンとは

ハイブリッドファンとは、業務用のエアコンに取り付けるファンです。

従来のファンは、常に一定の速度で回転し、必要以上のエネルギーを消費することがありました。しかし、ハイブリッドファンはセンサーによって室温や湿度などの環境条件を感知し、最適な風量で動作するように制御されます。これにより、必要最低限のエネルギーで快適な空気循環を実現することが可能です。

また、取り付けが簡単で、夏や冬など季節を気にすることなく使用できる利便性も兼ね備えているため、オフィスや店舗での導入が増えています。

ハイブリッドファンの使用用途

ハイブリッドファンは、住宅やオフィスなどで使用されています。冷暖房の風がファンによって部屋全体に拡散し、温度の偏りを減らして空調効率を向上させています。

特に天井付近の温度と床付近の温度は10℃以上異なることも多いため、使用効果は非常に高いです。二酸化炭素の排出量も20%程削減できると言われています。ただし、単価が高く初期投資が大きくなるので、数箇所のみ設置するなどの工夫も必要です。

1. 住宅

ハイブリッドファンは、リビングルームや寝室などの居住空間において、効率的な空気循環を実現します。部屋の中の空気が均一に循環することで、温度差や湿度差を軽減し、快適な居住環境を提供します。また、電子制御による静音性も特徴であり、静かな環境での生活を支えます。

2. オフィス

オフィス内は、多くの人が集まる場所であり、ここでの空気質は重要です。ハイブリッドファンは、センサー情報を活用して適切なタイミングで空気の入れ替えを行うため、新鮮な空気を保ちつつ、作業効率を向上させる役割を果たします。また、静音性が高いため、集中力を保ちながら作業することが可能です。

3. 公共スペース

商業施設や飲食店、医療施設などの公共スペースでもハイブリッドファンの利用が広がっています。人々が集まる場所では、空気の質が居心地や快適性に大きな影響を与えます。

ハイブリッドファンは、環境の変化に合わせて自動的に適切な風量や回転数を調整することで、快適な空間を維持します。特に感染症の拡大を考慮した医療現場では、適切な換気が重要です。センサーによって環境を監視し、必要に応じて適切な換気を行うことで、清潔な環境を保つのに役立ちます。

ハイブリッドファンの原理

ハイブリッドファンの内部は、大まかに2つの主要なコンポーネントで構成されています。

1. メカニカルファン

メカニカルファンは、回転するブレードによって空気を吸い込んで圧縮し、外部に排出する役割を果たします。

2. 電子制御ユニット

ファンの回転数や風量を調整するためのセンサー情報を処理し、適切な制御信号をメカニカルファンに送る役割を果たします。従来のファンの回転音はしばしば騒音の原因となりましたが、ハイブリッドファンは電子制御によってセンサー情報に基づいた適切な回転数で動作するため、不要な騒音を最小限に抑えることが可能です。

ハイブリッドファンの特徴

ハイブリッドファンは、従来のファンに比べて効率的かつ静音性に優れた特性を持っています。また、環境への負荷を減少させつつ、快適な居住空間を提供する点で優れた存在ですが、もちろんメリットもデメリットも存在します。

1. メリット

ハイブリットファンを使用するメリットは、主に以下の4つがあります。

  • 冷暖房の直撃風を低減し、部屋全体に拡散してくれる
  • 直撃風の拡散により天井付近と床付近の温度差が軽減し、空調効率が増加する
  • 空調効率の増加により、設定温度を最大3℃程度変更しても快適に過ごせる
  • 動力源がエアコンの風のため電気代などのランニングコストがかからない

2. デメリット

ランニングコストはかからない反面、初期投資が大きくなります。単価は3万円程度であり、複数設置するとなれば高額です。

ただし、部屋の大きさや条件にもよりますが、数箇所に設置するだけでも一定の効果は期待できます。

ドレントラップ

ドレントラップとは

ドレントラップ (英: drain trap) とは、圧縮空気や水蒸気中の水分が凝縮して発生するドレン水を排出する機器のことです。

一般的に、圧縮空気は冷却して使用しますが、圧縮空気中の水分が凝縮して水になります。そのまま使用すると機器に悪影響を及ぼすため、ドレントラップでドレン水のみを分離・排出して使用します。

水蒸気用ドレントラップの別名は、スチームトラップあるいは蒸気トラップです。水蒸気を機器で使用すると凝縮して水になり、ドレン水として排水するためにドレントラップを使用します。

また、ドレン配管の途中にU字型トラップ部分やドレントラップを設けて、外部から汚臭・虫などが機器内部に侵入するのを防ぐ用途もあります。空調機や業務用冷凍冷蔵機器などで使用されるケースが多いです。

ドレントラップの使用用途

ドレントラップには、大きく分けて3種類の用途があります。

1. 圧縮空気用ドレントラップ

圧縮空気は、製造現場における安価で一般的な動力源として使用されています。ドレントラップは、圧縮空気利用時に発生するドレンの排出に使用されます。機器の保守や、圧縮空気使用後の製品への品質保持のために必要なものです。

具体的には、機械装置のエアシリンダ/アクチュエータ削岩機・空気ハンマ・空気プレス・空気工具などに使用されます。また、加工部品の水切り/切粉払い・加工時の冷却・空気シール・空気搬送などにも使われます。

2. 水蒸気用ドレントラップ

水蒸気用のドレントラップは、水蒸気の中からドレンだけを排出して、蒸気を極力漏らさないという用途に用いられる自動弁の一種です。水蒸気を使用する機器に必須のものです。具体的には、ジャケット釜・熱交換器・加湿器・洗浄機などに使用されます。

3. 排水用ドレントラップ

ドレン排水管から汚臭の逆流などを防止するために、ドレントラップを排水管の途中に設けます。空調機・業務用冷蔵冷凍機器・ショーケースなどのドレン排水管に使用されます。

ドレントラップの原理

ドレントラップの原理は、排出形式によって異なります。

1. ディスク式

電源が不要で数秒ごとの短い間隔で内部のディスクが上下しドレン水を排出します。ごみが詰まりにくいが、圧縮空気や水蒸気も一緒に排出する短所があります。水蒸気用は、バイメタルを使用して、温度により弁が開閉動作します。

2. ベローズ式

ベローズの内部に、封入液を入れ、温度変化による封入液と蒸気の体積変化を利用してベローズを伸縮させ、弁の開閉を行います。ベローズ式は、水蒸気用に採用されています。

3. フロート式

ドレンが貯まるとフロートと呼ばれる浮きが浮き上がり、フロートに接続されたレバーが動いてドレン水を排出します。電源を必要とせず、ほぼドレン水のみの排出が可能で、圧縮空気や水蒸気の漏れは少ないが、排出口が狭いため不純物等が詰まる場合があります。

4. タイマー式

ディスク式やフロート式と比較し、大量のドレン水やごみが含まれているドレンの排出に適しています。電源を必要とし、設定した時間に排出するため、ドレンが少量の場合には空気や水蒸気の漏れが大きくなります。

5. 電磁式

静電容量式センサーによりドレン量を把握し、電磁弁を使用して排出します。無駄なロスが発生せず、ドレン量の把握も可能です。電源を必要とし、センサー搭載による部品数の多さから、メンテナンスのコストは上がります。

ドレントラップのその他情報

1. ドレントラップの清掃

ドレントラップは、継続使用により汚れやごみのつまりが発生するので、清掃が必要になります。ごみなどがドレントラップのシート部に付着することで、バルブが吹きっぱなしの状態となり、機器側にドレンが混入する可能性があります。定期的にドレントラップの清掃を実施することが大切です。

給油式のコンプレッサには油分が含まれている場合が多く、水質汚濁防止法で未処理の油を含むドレン放流は禁止されています。ドレン処理装置 (フィルター) や、油分分離槽または微生物を用い油分を分解した後、ドレンとして排出します。

2. 空気用ドレントラップとスチーム用ドレントラップの違い

圧縮空気などの気体用ドレントラップとスチーム用ドレントラップの違いは、取り扱う流体など様々です。圧縮空気用ドレントラップは、機器の駆動などに使用する圧縮空気のラインに取り付けられ、機器に水分が入らないようにします。これにより、機器内部の腐食を防止したり、エロージョンなどによる減肉を防ぎます。

水蒸気用ドレントラップは、蒸気ラインに取り付けられ、ドレンを分離して排水します。機器の性能維持やドレンが配管に当たったり、急激な圧力変化することで発生するハンマリングの防止が主な役割です。水蒸気用のドレントラップは、ドレンによる温度の変化を利用して、弁の開閉を行うタイプが多く使われています。

参考文献
https://www.orionkikai.co.jp/product/kuatsu/successor/
https://www.orionkikai.co.jp/product/kuatsu/successor/
https://www.fukuhara-net.co.jp/drain_top
https://www.haneda-comp.co.jp/2015/12/17/
http://fukuhara-net.co.jp/pdf_cat/mag218ae.pdf

ドライブシャフト

ドライブシャフトとは

ドライブシャフト

ドライブシャフト (英語:driveshaft) とは、原動機の動力を回転機器に伝えるために使用される回転軸のことです。

一般的には、自動車のドライブシャフトがよく知られていますが、自動車以外では、船舶・産業機械・建設機械・鉄道車両などの動力伝達に広く使われています。ドライブシャフトは、動力部から伝達部まで一直線で配置されなくても、等速ジョイントを使用して、動力を伝えることが可能です。

特に自動車では、振動変位が大きい車輪を駆動するためのドライブシャフトが必要になります。

ドライブシャフトの使用用途

ドライブシャフトは自動車にも最も多く使用されます。自動車のドライブシャフトは、エンジンの動力を車輪に伝えるための部品です。

前輪駆動車の場合には、エンジンからドライブシャフトを介して、車輪に動力を伝えます。後輪駆動車の場合には、エンジンからの動力をプロペラシャフトを介して後方のディファレンシャルギアと呼ばれる差動装置に伝え、ドライブシャフトを使用して車輪を駆動します。

自動車以外の用途では、送風機・ポンプ・コンプレッサ・クレーン・減速機などのモーターとの連結、及び製鉄機械の圧延機ロール・テンションリールの駆動軸などがあります。また、化学機械のロールの駆動軸・建設機械の油圧ポンプ駆動軸・トラックミキサーの油圧ポンプ駆動軸にも使用されます。さらに、農業用トラクタの作業機駆動軸や工作機械・印刷機械・製紙機械の駆動軸などの用途もあります。

ドライブシャフトの原理

自動車などの機器におけるドライブシャフトは通常、エンジン動力部から車輪の動力伝達部まで一直線とならない場合がほとんどです。そのため、等速ジョイントをシャフトの両端に設けることにより、角度がついても円滑に等速で動力を伝えることができます。等速ジョイントには、「固定式」と「摺動式」があります。

1. 固定式

駆動軸方向にスライドできない方式で、等速ジョイント部にアウターレース・インナーレースと呼ばれる部品があり、アウターレースの内側とインナーレースの外側にスチールボールが複数個配置されます。このスチールボールにより等速ジョイントに角度をつけることができます。

2. 摺動式

駆動軸方向にスライドできる方式で、2つの種類があります。1つは、アウターレースとインナーレースに設けられている溝が軸方向に平行になっており、軸方向へのスライドが可能なものです。もう1つは、一方の回転軸に3股の軸をもつ部品が取り付けられ、それぞれの先端にはローラが設置されているものです。作動角をとって回転するとハウジングの内側の溝をローラが転がり、軸方向へのスライドが可能となります。

ドライブシャフトのその他情報

1. ドライブシャフトの寿命

ドライブシャフトの寿命とは、一般的に等速ジョイント部の摩耗による異音または破損に至るまでの時間です。自動車では、走行距離で20万kmが目安になります。寿命が近づいたドライブシャフトの不具合症状は異音が出ることです。

異音を認識しやすい車種はFF (前輪駆動) 車で、操舵により等速ジョイント部の角度が大きい時に加速するとカタカタという異音が発生することがあります。異音の原因は、等速ジョイントの基幹部品であるインナーレース・アウターレース・スチールボールの摩耗によるクリアランス過大です。

摩耗の主な原因は、潤滑のために等速ジョイント部に封入されているグリースの劣化や量の減少による潤滑性能の低下及びジョイント部への砂などの異物混入による摩耗の促進です。

グリースの劣化は長期間の使用による経年劣化・連続高負荷によるジョイントの発熱による早期劣化・水分混入による劣化などが考えられます。ジョイント部のグリース量低下や異物混入の原因のほとんどは、ブーツと呼ばれるジョイントを保護するためのジャバラ状の部品の劣化や破損です。

2. ドライブシャフトブーツ

ジョイントを保護するブーツは、主にゴムまたは柔軟な樹脂で製造されます。ブーツは円筒のジャバラ形状をしており、ジョイント部全体を覆うように取り付けられ、両端を金属のバンドで締め付けて固定されています。

ブーツの主な役割は、ジョイント部の潤滑グリースの保持と異物混入防止です。ドライブシャフトを外観で点検する場合にはこのブーツが破れていないか、固定部分からグリースが漏れていないかが重要なポイントになります。ジョイント部の潤滑低下や異物混入は摩耗を早めます。

ブーツの交換は、従来はドライブシャフトを車体から取り外す必要があったが、現在は車体から取り外さずに交換できる分割式ブーツが出現しています。古いブーツを取り外した後、2つ割になっている新品のブーツをジョイント部に挟み込むように取り付け、合わせ目を接着剤と加熱により溶着することで、従来品に近い強度を得ることが可能です。ブーツ交換時には、内部のグリースも新しい物に入れ替えるため潤滑性能の復元も実施されます。

参考文献
https://koyo.jtekt.co.jp/assets/file/pdf/catua002ja.pdf
http://www.nkn-joints.co.jp/driveshaft/
https://www.jbia.or.jp/about/illust/pdf/tousokujoint.pdf
https://www.juntsu.co.jp/qa/qa0815.php
https://www.goo-net.com/pit/magazine/30468.html

トンネルフリーザー

トンネルフリーザーとは

トンネルフリーザーとは、室温環境でも冷凍作業が可能な機械です。

食品を通すためにトンネル状になっており、冷風を直接吹き付けて急速冷凍させます。菌が増殖しやすい温度帯 (10 ~ 60℃) を急速冷凍し、加熱した食品の安全性が保たれます。

フリーザー内部は蒸気により滅菌可能な構造で、クリーンルーム内にも設置可能です。作業者がトレーで出し入れするバッチ式冷凍庫と比較して、冷風の当たりにムラが起きにくい構造です。スパイラルフリーザーと呼ばれるらせん状にコンベアが設置されたタイプは、トンネルフリーザーより省スペース化が可能ですが、冷却性能は劣ります。

トンネルフリーザーの使用用途

トンネルフリーザーは食品業界で、水産加工品、製肉加工品、製菓、製パン、冷凍食品などに幅広く利用されています。

クーラーとファンが取り付けられた一般的なタイプは、食肉加工品、調理済み揚げ物、魚介練り物、生餃子、蒸した調理済み食品などの冷凍で使用可能です。IQF (英: Individual Quick Frozen) 冷凍は、製品をバラ凍結させる技術で、米、カット野菜、ひき肉、エビ、魚などに用いられています。

コンベアの上下から冷気がジェット噴射されるタイプは、通常のフリーザーより強力な急速冷凍が可能です。カニ、大容量の肉パック、ピザ、うどんなどの比較的大きな製品の冷凍に向いています。急冷テンパリング (表面冷凍) も可能になり、急速冷凍すると水分の分子が小さいまま冷凍され、解凍時のドリップを防ぎます。表面冷凍の技術により薄いスライス加工も容易です。

トンネルフリーザーの原理

冷凍機で冷やされた冷媒にユニットクーラーを当て、冷風を製品へ浴びせて急速に冷凍します。そのため製品がコンベアを通る出入り口付近の温度が一定で、冷風が庫内を循環するように流れや圧力を適切に保つことが重要です。

冷媒にはアンモニウムガス、炭酸ガス、液体窒素、二酸化炭素が使用されています。IQF機能では、米や野菜などをバラバラに冷凍するために、コンベアの下から冷風を吹き上げ、振動させながら冷凍します。

クーラーの洗浄や冷凍性能の維持のために、一般的に機械停止後に散水融解して霜を除去可能です。圧縮エアで定期的に霜を吹き飛ばし、ユニットクーラーの吸い込み部への着霜を防ぐADF装置もあります。

トンネルフリーザーの種類

CIP洗浄装置と呼ばれる自動洗浄装置が付いたトンネルフリーザーのほか、霜や氷の融解も兼ねて自動洗浄する装置が付いたトンネルフリーザーもあります。

バッチ式冷凍設備やスパイラルトンネルフリーザーより大型であり、設置の際には生産状況により選定する必要があります。

トンネルフリーザーの選び方

トンネルフリーザーによって冷凍品の生産能力が向上しますが、大型のためにトラブルが発生しやすいです。例えば機械トラブルが起きると、大量の食品をロスするリスクがあります。どこかに一箇所でも不具合が起こると機械全体の動作を止める必要があります。機械トラブルでの生産時のロスを防止するために、バックアップ用の予備の冷凍設備を用意するか、日頃から細かいメンテナンスが必要です。

トンネルフリーザーはトレーを出し入れするバッチ式冷凍機よりも、清掃に手間がかかります。とくに商品を切り替える場合には、運転を停止してコンベアの洗浄が重要です。一日の稼働を終えたときにも、冷凍機全体を清掃する必要があります。

トンネルフリーザーの構造

トンネルフリーザーは、食品を置く位置で風が当たる強さが違うバッチ式冷凍機よりも、むらが出にくいです。ただし風の吹き出し口のノズルの向きによって、風が当たりにくい場所が出て、冷凍が不十分になる可能性もあります。品質管理のために、ノズルの位置や商品の置く位置の調整が重要です。

トンネルフリーザーは大量の食品を短時間でも急速冷凍できます。その一方で、空気が大量に冷却されるため、蒸発器の周りに霜が付きやすいです。霜によって風の流れが悪くなって、食品を冷やす性能が低下します。そのため定期的な霜取りが必要です。