トンネルフリーザーとは
トンネルフリーザーとは、室温環境でも冷凍作業が可能な機械です。
食品を通すためにトンネル状になっており、冷風を直接吹き付けて急速冷凍させます。菌が増殖しやすい温度帯 (10 ~ 60℃) を急速冷凍し、加熱した食品の安全性が保たれます。
フリーザー内部は蒸気により滅菌可能な構造で、クリーンルーム内にも設置可能です。作業者がトレーで出し入れするバッチ式冷凍庫と比較して、冷風の当たりにムラが起きにくい構造です。スパイラルフリーザーと呼ばれるらせん状にコンベアが設置されたタイプは、トンネルフリーザーより省スペース化が可能ですが、冷却性能は劣ります。
トンネルフリーザーの使用用途
トンネルフリーザーは食品業界で、水産加工品、製肉加工品、製菓、製パン、冷凍食品などに幅広く利用されています。
クーラーとファンが取り付けられた一般的なタイプは、食肉加工品、調理済み揚げ物、魚介練り物、生餃子、蒸した調理済み食品などの冷凍で使用可能です。IQF (英: Individual Quick Frozen) 冷凍は、製品をバラ凍結させる技術で、米、カット野菜、ひき肉、エビ、魚などに用いられています。
コンベアの上下から冷気がジェット噴射されるタイプは、通常のフリーザーより強力な急速冷凍が可能です。カニ、大容量の肉パック、ピザ、うどんなどの比較的大きな製品の冷凍に向いています。急冷テンパリング (表面冷凍) も可能になり、急速冷凍すると水分の分子が小さいまま冷凍され、解凍時のドリップを防ぎます。表面冷凍の技術により薄いスライス加工も容易です。
トンネルフリーザーの原理
冷凍機で冷やされた冷媒にユニットクーラーを当て、冷風を製品へ浴びせて急速に冷凍します。そのため製品がコンベアを通る出入り口付近の温度が一定で、冷風が庫内を循環するように流れや圧力を適切に保つことが重要です。
冷媒にはアンモニウムガス、炭酸ガス、液体窒素、二酸化炭素が使用されています。IQF機能では、米や野菜などをバラバラに冷凍するために、コンベアの下から冷風を吹き上げ、振動させながら冷凍します。
クーラーの洗浄や冷凍性能の維持のために、一般的に機械停止後に散水融解して霜を除去可能です。圧縮エアで定期的に霜を吹き飛ばし、ユニットクーラーの吸い込み部への着霜を防ぐADF装置もあります。
トンネルフリーザーの種類
CIP洗浄装置と呼ばれる自動洗浄装置が付いたトンネルフリーザーのほか、霜や氷の融解も兼ねて自動洗浄する装置が付いたトンネルフリーザーもあります。
バッチ式冷凍設備やスパイラルトンネルフリーザーより大型であり、設置の際には生産状況により選定する必要があります。
トンネルフリーザーの選び方
トンネルフリーザーによって冷凍品の生産能力が向上しますが、大型のためにトラブルが発生しやすいです。例えば機械トラブルが起きると、大量の食品をロスするリスクがあります。どこかに一箇所でも不具合が起こると機械全体の動作を止める必要があります。機械トラブルでの生産時のロスを防止するために、バックアップ用の予備の冷凍設備を用意するか、日頃から細かいメンテナンスが必要です。
トンネルフリーザーはトレーを出し入れするバッチ式冷凍機よりも、清掃に手間がかかります。とくに商品を切り替える場合には、運転を停止してコンベアの洗浄が重要です。一日の稼働を終えたときにも、冷凍機全体を清掃する必要があります。
トンネルフリーザーの構造
トンネルフリーザーは、食品を置く位置で風が当たる強さが違うバッチ式冷凍機よりも、むらが出にくいです。ただし風の吹き出し口のノズルの向きによって、風が当たりにくい場所が出て、冷凍が不十分になる可能性もあります。品質管理のために、ノズルの位置や商品の置く位置の調整が重要です。
トンネルフリーザーは大量の食品を短時間でも急速冷凍できます。その一方で、空気が大量に冷却されるため、蒸発器の周りに霜が付きやすいです。霜によって風の流れが悪くなって、食品を冷やす性能が低下します。そのため定期的な霜取りが必要です。
参考文献
https://www.galilei-tm.co.jp/freezetest/
https://www.jffic.or.jp/download_files/inspection/pdf/document/fftr_no105.pdf
http://www.kanenaka.co.jp/blastchiller/importance.html