ウレアグリース

ウレアグリースとは

ウレアグリースとは、分解しづらいウレア結合を2個以上有し、科学的な安定を確保した増稠材 (ぞうちょうざい) を含むグリースのことです。

なお、増稠剤は、液体に混合することで半固形状にする働きを持ちます。グリースは、一般的に、比較的低速で回転する機械や、高荷重が掛かる軸受け、金属同士がスライドする摺動面に用いられ、摩擦を軽減し、設備に掛かる負担を減らすのが役割です。

用いられる増稠剤や基油により様々な種類に分けられ、特に増稠剤の特性はグリースの特性をほぼ決定します。ウレアの持つ特性を反映するウレアグリースの特徴は、他のグリースと比べて、耐熱性および耐水性にが高いことです。

なお、ウレアグリースには独特の粘り気があります。そのため、グリースの硬さを表すちょう度が同じである他の増増稠剤を用いたグリースと比べると、長期にわたって機械を保護できます。

ウレアグリースの使用用途

ウレアグリースは、耐熱性および耐水性に優れたグリースです。そのため、高温な条件下で駆動する設備軸受けや摺動部によく使用されます。

例えば、金属の圧延工場などでは、高い荷重を掛け、高温の条件下のもと、冷却水を吹きかけながら機械を運転する必要があります。このような特殊な条件下においては、耐熱性および耐水性に優れるウレアグリースが好適です。

ウレアグリースは一般生活用品にも使用されています。例えば、釣竿につけて使うリール内部に使用されています。耐水性の高いウレアグリースを使用する事で内部部品の海水からの保護が可能です。ウレアグリースの持つ独特の粘り気が、リール内部の精密ギアを保護します。

ウレアグリースの原理

ウレアグリースに増稠剤として使用されている、ウレアは科学的に安定し、分解しにくいウレア結合を2個以上有しています。ウレアは、ウレア基の数によってさらに分類され、2個はジウレア、3個はトリウレア、4個はテトラウレアです。この中で、グリースとしての性能が優れているのはジウレアです。このため、ウレア系グリースにはジウレアが多く使用されています。

ウレアグリースの特徴

1. ウレアグリースの化学的特徴

ジウレアは、増稠剤分子の両端の構造によってさらに細分化されます。分類は、芳香族ジウレア、脂肪族ジウレア、脂環族ジウレアです。中でも芳香族ジウレアはグリースの性能として最も高く、耐水性、せん断安定性が優れています。その他、脂肪族ジウレアは、はグリースが流動しており、せん断力が加わるせん断時に軟化します。

そして、流動が止まりせん弾力が無くなると元の硬さに戻ることが特徴です。集中給油 (一つのグリースポンプで複数箇所にグリースを供給する方式) での使用に適しています。また、せん断時の軟化は軸受に使用した場合のトルク減少、騒音の低減という点もメリットです。

この分子レベルでの構造による特徴のほか、グリースとしては基油 (ベースオイル) の性能も影響するため、増稠剤だけでなく総合的な特性から最適なグリースを選定するのが重要です。金属石けん系のグリースの種類が多く、カルシウム石けん、リチウム石けん、二硫化モリブデン、リチウムコンプレックス、などがあります。一方、非石けん系のグリースには、、ウレアなどが存在し、ウレアグリースがその代表格となります。

2. ウレアグリースの物理的特徴

一般的に、グリースの硬さは、増稠剤の配合量や種類によって変化し、「ちょう度」で表示されています。「ちょう度」としては、「混和ちょう度」の値が一般的です。グリースの硬さは、000号、00号、0号、1号、2号、3号、4号、5号、6号と分類されています。

混和ちょう度が445~475の範囲のグリースは、半流動状の柔らかいグリースで、000号に該当します。混和ちょう度が85~115の範囲のグリースは、6号と表示されて、とても硬いグリースです。ウレアグリースには、ちょう度が2号程度の製品が多く、通常の硬さのグリースに分類されます。硬さは普通ですが、ウレア系増稠剤を使用していることで、防錆性や潤滑性、耐摩耗性に加え耐熱性、耐水性が高く、長寿命なグリースです。

ウレアグリースのその他情報

1. グリースの増稠剤の種類

増稠剤は、グリースを構成する基油を半固体状にします。基油に増稠剤を混合することで、基油内に増稠剤が取り込まれ、半固体状態になります。

増稠剤を大きく分けると、金属石けん系と非石けん系の2種類です。金属石けん系のグリースは種類が多く、カルシウム石けん、リチウム石けん、アルミニウムコンプレックス、リチウムコンプレックスなどのグリースがあります。一方、非石けん系のグリースにはベントナイトPTFE、ウレアなどがあり、ウレアグリースが代表的な製品です。

2. ウレアグリースのデメリットと対応策

ウレアグリースは、リチウム系グリースと比べて優れている点が多いですが、デメリットもあります。ウレアグリースの中には高温環境下の使用で硬化してしまうタイプがあります。これは、高温下で増稠剤分子が重合してしまうために発生する現象です。

このため、耐熱温度付近での常用は硬化による性能の低下を引き起こす可能性があり注意が必要です。使用前にはメーカのカタログなどでグリース銘柄を十分に確認してから機械に適用してください。また、せん断時の軟化、硬化の度合いが大きいウレアグリースもあります。

その特性を活かした選定や機械の設計を意図的に行う場合は問題ありませんが、意図しない変化により使用機械に不具合を生じる場合があるため、使用前の十分な確認が必要です。

参考文献
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/grease/category/
https://www.cosmo-lube.co.jp/Portals/0/images/product/tech/tech3612130.pdf
https://www.kyodoyushi.co.jp/knowledge/grease/category/
http://www.jalos.jp/jalos/qa/articles/003-S28.htm
https://shell-lubes.co.jp/lubes-grease/lubes-technology/tech-grease/1138/

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